艦これRPGシナリオ『ある艦娘の「最期」或いは「それから」』
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艦これRPGシナリオ『ある艦娘の「最期」或いは「それから」』

2017-07-15 09:25

    シナリオ『ある艦娘の「最期」或いは「それから」』テストプレイ済

    【シナリオスペック】
    特殊フェイズ進行シナリオ
    使用:『着任ノ書』『抜錨ノ書』『出撃ノ書』(選択:『建造ノ書弐』)

    艦娘人数:2~4人
    重要NPC:大和(データについては後述)
    プレイ時間:3時間程度
    リミット:1サイクル
    任務:1、鎮守府フェイズのシーンを[PC人数-1]回達成する
      :2、艦隊戦に勝利する
      :3、艦隊戦において、轟沈艦を出さない(回収判定に失敗しない)
      :4、エンディングA(-1/-2)に到達
    合意事項:キャラクター作成時には行うこと。シナリオにはいくつか特殊な処理がある。
         その点を簡単にPLに説明し合意を得ておくとよいだろう。
         以下、必要と思われる点を箇条書きする。
         ・進行において、通常の艦これRPGとは異なる進行をする場合がある。
         ・艦隊戦において、特殊なルールを使用する。(生存戦)
         ・艦隊戦において、NPCやPCに特殊な処理が発生することがある。
         他にも必要と思うことがあれば都度、加えてほしい。


    【あらすじ】
    ある日、PC達の艦隊に任務が命じられる。
    それは呉鎮守府のある艦娘と海上で合流しPC達の鎮守府まで護衛を行うというものだ。
    道中の海域は安全な航路――対象と途中海上で合流するというのがその証左であろう。
    その護衛する艦娘の名は『亜細亜』というらしい。

    わたしたちは、ある艦娘についての「最期」と「それから」を知ることになった。
    それはどのようなものであったか――。

    【NPCデータ】
    亜細亜-アジア-/艦娘:大和の偽名、元ネタは児島襄『戦艦大和』の一場面から。
    ※データは下記の大和と同様。

    大和/戦艦:艦娘『亜細亜』の本当の名前。不調のため、戦力を十分に出せないでいる。
     ●前提
       レベル5として扱う。その為、戦力やアビリティ等も変わっている。
     ●戦力
       命:0,火:5,回:0,装:15,装備力:4,行動力:8
     ●個性
       秘密兵器/けなげ/おしゃれ/索敵/指揮/x食べ物
     ●装備アビリティ
       46cm三連装砲/零式水上観測機
     ●修得アビリティ
       決戦仕様/援護射撃/艦隊の希望/決意(使命から)
     ●使命アビリティ
       【決意】使命/なし/オート/使命アビリティ
       効果:誰かが自分に対して感情値を取得したときにその相手を対象に使用できる。
          相手の行動力を[上昇後の感情値の値×2]回復する。
       代償:自身のダメージ算出時、火力にマイナス5の修正がつく。
     ●使命
      『出来ぬ決意』
      あなたは三大鎮守府の1つである呉鎮守府の艦娘だ。
      前線のあなたの活躍は、戦友だけにとどまらず多くの人々に希望を与えてきた。
      しかし、近頃あなたの心は惑い、それが戦果にも影響し、周囲からも心配をされている。
      なぜ心が惑うのか。それは、あなたが【決意】出来ずにいるからだ。
      呉は深海棲艦との戦いの最前線であり、艦娘達の損耗も激しい。
      あなたの仲間は幾度となく――あなたがいくら奮戦しようとも――失われてきた。
      しかし、戦えども戦えども深海棲艦との戦いは終わらない。
      そんなことを考え始めた頃から、あなたは戦うことが辛くなってしまった。
      どうして、自分が戦い続けなければならないのだろうか?
      自身のこれからについて、思い悩んだ貴方はそのことを提督に相談した。
      あなたの提督は暫し前線を離れてPC達の鎮守府で心を落ち着けることを勧めたのである。
      戦えないあなたは維持費だけでも多くの負担を掛けてしまう。長くは迷っていられない。
      あなたの【使命】は自身がこれからどうするのか、決意することだ。

    【特殊ルール】
    ■「生存戦」について
    生存戦とは敵を沈めることよりも、その戦闘で生き残ることが優先される状況を想定した勝利条件の設定である。具体的には下記する。
    ●勝利条件
    戦闘終了までPC艦隊が全滅していないこと。
    NPCの艦隊を全滅させた場合はPC側の勝利となる。
    このルールを使用する場合は、「戦闘終了条件」を設定すること。
    (戦闘勝利条件例:雷撃戦を終えると即座に終了)※なお、このシナリオでは既に設定されている。
    ●戦果の決定
    PCたちが艦隊戦に勝利すると、「戦果表」を
    [自艦隊の轟沈していない艦の数]と同じ回数使用して、戦果を獲得することができる。
    さらに、「特殊戦果表」の条件として、次の文を追加する。
    ・自艦隊の誰も轟沈していない。
    他は抜錨ノ書P108「戦果の決定」と同様である。
    ●選択ルール
    以下は、生存戦をよりらしいものに近づけるためのルールである。
    適用の有無は各提督が判断してほしい。
    ◯回収判定
    回収判定の仕様を変更するルール。
    これを適用する場合、回収判定は「戦果の決定」の処理の前に行うこと。
    艦隊戦の戦闘終了時に轟沈しているPCがいた場合、他の轟沈していないPCは、その回収を試みることができる。
    回収は全てのPCが、轟沈した自艦隊のキャラクター1人に対して1度試みることができる。
    ただし、回収判定に以下の条件を設定する。
    ・回収判定の指定個性は、回収対象1人につきGM/提督が一括で、ランダムに決定する。
    ・回収判定には、【轟沈していない敵艦の数】が「マイナス」の修正としてつく。
    ・回収判定には、【轟沈している敵艦の数】が「プラス」の修正としてつく。
    (例:敵5体のとき、敵3体を轟沈させて戦闘を終えた。このとき、轟沈したPCがいたため回収判定を試みた。
    敵2体が生存しており、判定にマイナス2の修正。そして、敵3体を轟沈させているため、プラス3の修正がつく。
    修正を計算して、最終的には、判定にプラス1の修正がつくことになった。)

    【導入フェイズ】
    ■導入シーン1「艦娘『亜細亜』を護衛せよ!」
    事前に鎮守府名と艦隊名、旗艦の決定を行うこと。
    なお、自己紹介等を行う場合はこのタイミングで行うこと。
    ==========================================
    天気晴朗、海は穏やか。PC達はある任務のために海路の途中だ。
    PC達のゆく海域は安全なもので、ちょっとした休暇にも思える。
    だから、気が緩んだのだろうか。PC達は任務を命じられた場面を回想する。――
    ==========================================
    ある日、PC達の艦隊は提督に任務を命じられた。
    任務は呉鎮守府からPC達の鎮守府に出向することになった艦娘の迎え兼護衛だという。
    護衛対象の艦娘とは海上のあるポイントで合流し、それからPC達の鎮守府まで護衛するというものだ。提督はPC達に言う。
    「安心してくれ。道中は安全な海域だから、深海共の心配も殆どないだろう。」
    「ただし、途中からとはいえこちらの管轄になるからには何かあってもいけない。」
    「特に今回は呉鎮からの頼みだ。護衛の艦娘は1人いれば十分だとは思うのだが、キミ達をつける。」
    「それと、今回の任務は極秘で行われる。安全な航路ではあるが寄り道は禁止だ。」
    簡単な護衛任務。久しぶりにゆっくりとした海を楽しめるかもしれない。
    「護衛対象の艦娘は『亜細亜』という。艦娘『亜細亜』だ。よろしく頼む。」
    そうして、PC達は準備を終え、任務の為に抜錨した。
    ※これは過去を回想する場面であるので、提督の描写のみであっさりと進めること。
     PC達の現在の状況に至るまでを把握させるものであり、進行を止めRP等の掛け合いをするための場面ではない。
    ==========================================
    ――そこまで思い出したところで、PC達を襲う衝撃によって意識は現実に引き戻される。
    前方に立ち上がる水柱。おそらく敵の砲撃によるものだ。
    そして、更に後方からも衝撃と水柱――PC達は理解する。
    状況は夾叉、波間には敵艦隊、気がつけば空には敵艦載機すらも確認できる。
    後手に回ってしまったが、こうなれば無理やり切り抜けるしかない。

    【艦隊戦】
    戦闘に関する特記:この戦闘は【決戦フェイズ】の戦闘として扱うこと。
              この戦闘にはPC側として艦娘『亜細亜』が参戦する。
              艦娘『亜細亜』の艦隊戦における処理については通常通りに行うが、
              描写としてはPC達と反対の方向から戦闘に参加しているものとする。
              その為、PC達は『亜細亜』姿を視認することはできない。
              なお、「艦隊戦を夜戦から始める」アビリティは無効となる。
              この戦闘では「生存戦」という特殊ルールを用いる。

    艦娘『亜細亜』についてのGMが行う処理
     『亜細亜』のステータスは【NPCデータ】を参照すること。
     偵察フェイズにおいて、戦艦ル級を偵察する。この判定は自動成功になる。
     戦艦ル級をマークする航行序列に配置する。
     『亜細亜』が「轟沈」した場合、
     戦闘終了時に「応急修理要員」により大破状態で復帰すること。

    敵編成:『着任ノ書』記載の敵だけを使った編成と、
        既刊サプリを含んだ敵編成に2つを記述する。
        なお、可能であれば後者の編成を使用することを推奨する。
    『着任ノ書』のデータのみの編成
     (PC数2~3)旗艦戦艦ル級、軽母ヌ級、駆逐イ級×2
     (PC数4)  旗艦戦艦ル級、軽母ヌ級、重巡リ級、駆逐イ級×2
    既刊サプリのデータ含む編成
     (PC数2~3)旗艦戦艦タ級、軽母ヌ級、駆逐イ級、潜水カ級
     (PC数4)  旗艦戦艦タ級、軽母ヌ級、重巡リ級、駆逐イ級、潜水カ級

    戦闘勝利条件:戦闘終了条件の達成、あるいは敵艦隊の全滅
    戦闘敗北条件:PC艦隊の全滅
    戦闘終了条件:雷撃戦フェイズの処理を終えたら、即座に戦闘が終了する

    補足
    この艦隊戦中は『亜細亜』と共闘という形にはなるが、直接顔を合わせるわけではない。
    ただ、PC達が共闘しているのが『亜細亜』と気づくことができないというのはやりにくい。
    よって、亜細亜からPC達に通信を行わせることによりその存在を伝えるとよいだろう。
    タイミングとしては「プロット決定-偵察」のときが妥当であると考える。
    以下、通信会話例
    「こちらや、『亜細亜』状況は把握しています!」
    「敵戦艦の位置は補足しました。そちらは私に任せてください!」
    「大丈夫、私は不沈艦です。」
    「それに優秀な『応急修理要員』もいます。決して、沈みはしません!」
    ==========================================
    [戦闘勝利]導入シーン2へ続く。轟沈したPCがいた場合は、新しいPCを作成すること。
    [戦闘敗北]エンディングBへ向かう。

    ■導入シーン2「選択」
    戦闘は終わった。敵艦隊は奇襲の失敗のためか撤退してゆく。
    兎にも角にも、旗艦のPCは提督に通信し報告すべきだろう。
    場合によっては提督から通信を入れてもよい。
    ※各鎮守府の設定に合わせて提督のRPはすること。
    「どうした……深海棲艦の奇襲!? 損害と規模は?」
    「『亜細亜』と共闘――そうか。彼女は戦えたのか。」
    「わかった。しかし、その海域に深海共が出るとは……。」
    「戦闘での損耗もあるだろう。一度、作戦を前提から考え直す必要があるな。」
    「安全と思われた海域にその規模の敵が出た以上、このまま任務を続行すべきではないだろう。」
    「しかし、現場の判断も重要だ。キミ達は任務の続行についてどう考える?」

    ●選択
    【任務を中断】以後、描写の分岐は[任務中断]の方を描写する。
    『亜細亜』と別れ、帰投する。感情値の処理をしてから鎮守府フェイズへ以降する。

    【『亜細亜』と合流し、任務を続行】以後、描写の分岐は[任務続行]の方を描写する。
    『亜細亜』が艦隊に加わり帰投する。感情値の処理をしてから鎮守府フェイズへ以降する。

    ▼解説:これは、シナリオの今後の展開を左右する重要な選択をする場面です。
        ここで決めなければならないことは「任務を中止するか続けるか」です。
        PL/PC隔てなく相談し、最終的な答えを決めさせてください。
        通信を用い、提督、もしくは『亜細亜』に質問させてもよいでしょう。
        役には立たないかもしれないが、想定される返答を下記する。
        ・提督としては任務の続行はするべきではないと考えている。
        ・しかし、実際に護衛を行う現場の判断を優先するべきであるとも考える。
        ・極秘作戦のため、中間基地等で補給を行う等は許可できない。
        ・任務を中止した場合は艦隊を再編成し、日を改めて再度同任務を行うことになる。
        ・『亜細亜』が呉鎮守府に帰るなら呉鎮守府から帰りを護衛する艦隊が出てくれる。
        ・『亜細亜』の出向の理由は「呉という最前線から下がり休養すること」だ。
        ・『亜細亜』はPC達の提督の判断は正当だと感じている。
        ・『亜細亜』意見を求めると任務中止に肯定的である。
    ここでは任務を中止することが「正しい」と思われるような答えが返ってきます。
    また、『亜細亜』は自分の出向の為に護衛に来た艦隊が深海棲艦により危険に晒されたときから自主解体される意志が強くなっています。
    ただ、任務を続行することを否定すべきではありません。
    あくまでPCの意見を尊重し、「中止」するか「続行」するかを決めること。
    PL/PC達が曖昧な答えをした場合は、提督がどちらかを判断し進行すること。

    最後に、感情点の処理。任意のキャラクターを選び、そのキャラクターに感情点を1点取得

    【鎮守府フェイズ】
    シーンエディット:遊び、交流、日常、(選択追加:ほのぼの、任務)

    ■マスターシーン1「帰投報告」発生
    タイミング:鎮守府フェイズの最初
    内容:PC達が鎮守府に帰投後、提督に報告し、今後のことを伝えられるシーン。
    [任務中断]→[共通]
    [
    任務中断]を選択した場合、こちらの描写を行う。
    「ご苦労だった。こちらの不足だ。危険な目に遭わせすまない。」
    「『亜細亜』のことだが、無事に呉鎮守府に帰投したと連絡が来た。」
    「任務の再開については後日改めて通達する。」
    そこで提督は話しを終えようとするが、思い直したように続ける。

    [任務続行]→[共通]
    [任務続行]を選択した場合、こちらの描写を行う。
    「急な襲撃にも関わらずよくやったな。亜細亜も無事で何よりだ。」
    「亜細亜、キミの提督も無事を喜んでいた。これからはこちらでゆっくりしてくれ。」
    と、提督が言うが、亜細亜の顔は明るくない。
    「提督、皆にこれ以上隠しても仕方ありません。大丈夫、伝えてください。」
    提督は亜細亜の言葉に頷き、続ける。

    [共通]
    「気付いている者もいるかもしれないが、艦娘『亜細亜』は本当の名ではない。」
    「キミ達の護衛対象の本当の名は大和。呉が誇る武勲艦、戦艦『大和』だ。」
    大和は過去の戦争では極秘とされていた艦だが、現在では状況が異なる。
    艦娘としての大和は様々な戦場でその砲火力と装甲を持って多大な武功を立てた艦である。
    一般にもその存在が周知されており、長門と並び護国の象徴とされ大衆からの人気も高い。
    メディアでは大和の特集が組まれるほどである。
    その大和が少し前から原因不明の不調に陥っている。
    それは戦闘にも影響を及ぼしているのだ。
    今回の出向はそんな大和の状況を憂慮した呉鎮守府提督の判断であった。
    「護国の象徴でもある大和が不調のために最前線を離れるというのは国民の不安を招く。」
    「大本営からも指示があり、今回の任務が機密で行われることになったのもその為だ。」
    「キミ達には話したが、このことは他言を禁じる。いいな。」
    「さて、ではこれで解散とする。別命があるまで通常の職務に励むように。」
    ※このタイミングで『大和』の使命アビリティが公開される。使命アビリティの達成手段等は特にはない。
     これについてはエンディングAの補足にて記述する。

    【終了フェイズ】
    [エンディングA-1]
    [任務中断]を選択した場合、こちらの描写を行う。
    護衛任務中止から数日経った朝のことだ。
    PC達の艦隊は提督から呼び出しを受ける。
    執務室へ向かうために鎮守府の廊下を歩いているとき、ふと壁に掛けてある掲示板を見る。
    そこには、鎮守府からの全体通達や大本営からの通達が書かれた文書等が貼られている。
    おかしなものはない。普段ならば横目に通り過ぎるものだろう。
    しかし、PC達はそのなかの書類の1枚に見過ごすことのできないものを見つける。
    《…… 呉鎮守府 戦艦 大和 自主解体希望ニヨリ除籍 ……》
    そこには、そう書かれていた。
    それは大本営から通達される艦娘の除籍報告だ。
    簡素な書体で多くの艦娘の名前が羅列されている。
    ここでの除籍とは、既に轟沈、あるいは解体され書類上からも抹消されたことを意味する。
    何があったのか。このまま、この書類を見ていても何も分からない。
    執務室へ向かおう。PC達が呼び出されたことと無関係ではないはずだ。

    執務室に入る。執務机に座る提督は、PC達に言う。
    「キミ達が担当していた任務は取り消しになった。理由はその必要が無くなったからだ。」
    「亜細亜――『大和』は自主解体を希望し、それは認められた。」
    「呉の提督や仲間達も考えるように説得したらしいが、決意は固く無駄だったらしい。」
    「大和の解体についてはマスコミや国民の間でも騒がれるだろう。」
    「大本営も、原因不明の不調により解体、という事実を伝えるわけにはいかないようだ。」
    「何かしらの、『戦艦大和の最期』に相応しい理由が創られ、真実として発表される。」
    「キミ達にも、この件については箝口令が敷かれる。」
    「――ただ、キミ達に伝えなければいけないことがある。」
    「解体される前のものだろう。呉にいる艦娘『亜細亜』からのキミ達に向けての伝言だ。」
    『ありがとう。私はダメだったけれど、貴方達の航路の先には、希望がありますように』「しかし、分かっていただろうに。どうして、彼女は解体を望んだりしたのかな。」
    ――提督は呟く。答えはない。
    それを知る者は既に解体され、それからのことはもうPC達には知りようがない。
    こうして、PC達の任務は護衛対象の解体によって唐突な終わりを迎えた。

    その後、戦艦大和の最期は様々な尾ひれを付けて、人々の間で語られることになるだろう。

    [エンディングA-2]
    [
    任務続行]を選択した場合、こちらの描写を行う。
    護衛任務からしばらく経った朝のことだ。
    PC達の艦隊は提督から呼び出しを受ける。
    執務室へ向かうために鎮守府の廊下を歩いているとき、ふと壁に掛けてある掲示板を見る。
    そこには、鎮守府からの全体通達や大本営からの通達が書かれた文書等が貼られている。
    おかしなものはない。普段ならば横目に通り過ぎるものだろう。
    しかし、大和は立ち止まり、その中にある一枚の文書をジッと見ている。
    彼女はPC達の目に気づき言う。
    「いえ……、とても辛いことだな、と思いまして。」
    それは大本営から通達される艦娘の除籍報告だ。
    簡素な書体で多くの艦娘の名前が羅列されている。
    ここでの除籍とは、既に轟沈、あるいは解体され書類上からも抹消されたことを意味する。
    この書類をこれ以上見ていても仕方がない。執務室へ向かおう。

    執務室に入る。執務机に座る提督はPC達に言う。
    「明日、大和が呉に帰る。キミ達には今日は彼女の送別会を行ってもらいたい。」
    「出来れば賑やかにやりたいのだが、残念ながらそういうわけにもいかなくてな。」
    「なので、同じ艦隊のキミ達が彼女の送別会をしてくれ。費用は全てこちらで負担する。」
    大和はおずおずと話す。
    「言おう言おうとは思っていたのですが、なんだか言い出しづらくて……。」
    「皆さん、本当にお世話になりました。お陰様で、私も前に進めそうです。」
    彼女は微笑む。その口調は穏やかで、迷いはなく、強い意志を感じた。
    それから、残りの時間をPC達は大和との別れを惜しむように過ごした。
    ※さらりと流しているが、PL達から送別会のシーンの提案があるならば、時間があればやってもよいだろう。
    そして翌日、PC達は大和を送る。呉から迎えの護衛艦隊が来ているようだ。
    ※護衛艦隊の面子は誰でもよいが、坊ノ岬沖海戦の面子から選ぶとよいだろう。
    大和は去る。その際、PC達に別れの言葉を告げる。
    「ありがとう。この後もずっと、貴方達の航路の先に、希望があることを祈っていますね。」

    数日後、大本営から各鎮守府に呉の大和が自らの希望により解体されたことが通達された。
    また、一般に対して大和の除籍は「然るべき出来事」として発表されることになるという。
    戦艦大和の最期は様々な尾ひれを付けて、人々の間で語られるだろう。

    ――だが。
    だが、PC達は知っている。あのとき、彼女は微笑んだ。
    私の往くさきに希望はあると、たしかに微笑んでいた。

    補足
    [エンディングA]は描写が変わるだけで1も2も同じものです。
    このエンディングでは大和は必ず自主解体を希望し、その通りになります。
    しかし、提督によっては解体はしたくないという人もいるでしょう。
    その場合は、大和の【使命】に何らかの達成条件を設定し、
    それに合わせて2の描写の終わりの描写を削る、または描写を改変するとよいでしょう。
    また、PLから「解体された艦娘のそれから」について聞かれた場合は、
    各提督の思う設定を答えていただければ構いません。困るようであれば、
    『艦娘が解体された後のことについては艦娘に対しては機密事項として開示されていない。
     ただ、艦娘間の噂話のようなもので、解体後は普通の人間になり、一定の制約の元で
     その後の余生を送ることができると語られている。
     それを信じ、自ら解体を希望する艦娘もいるが、殆どの艦娘はこれを信じてはいない。』

    と答えておくのが今回のシナリオにおいては適当かもしれません。

    [
    エンディングB]
    艦隊戦で敗北した場合。このエンディングに到達する。
    PC達は敗北し、任務は失敗となった。
    後にPC達の鎮守府にはPC達に代わる新たな艦娘が着任することになるだろう。

    【エピローグ】
    エピローグは自由にしてもらって構わない。
    ただ、終了フェイズがエピローグを兼ねている部分もある為、
    特にPLや提督からやりたいことがなければ終わるとよいだろう。
    またPL達の様子、時間を考えて、余裕があれば以下を描写してもよい。
    ==========================================
    [それからの亜細亜]
    こうして、PC達はある艦娘の「最期」を知った。
    これから、PC達はある艦娘の「それから」を知ることになる。
    これは、結末のそのあとの、ちょっとした後日談。――

    彼女の最期を知ってから、1ヶ月の時が過ぎていた。
    PC達もそれぞれの日常へと戻り、変わらない日々を過ごしている。
    あれから、あの掲示板を見ることが多くなった。
    他のPCも同じようで、顔を合わせることも少なくはない。
    そして、PC達は今日も掲示板の前で居合わせた。
    示し合わせたように掲示に目を向けると、目につく掲示が二つあった。
    一つは、呉鎮守府には新たな戦艦「大和」が配属されたという掲示。
    もう一つは、PC達の鎮守府に新たな職員が配属されるという掲示だ。
    《…… 呉鎮守府 戦艦 大和 前任除籍ノ為新規ニ配属 ……》
    《…… (PC鎮守府名) 新規職員 亜細亜 希望ニヨリ該当鎮守府ニ配属 ……》
    新しく配属される職員の名は「亜細亜」というらしい。
    見慣れない名に、どんな人だろうと、鎮守府ではちょっとした噂になっている。
    だが、PC達は知っている。亜細亜とは、きっと―――。
    ==========================================

    演出終了後、成長処理を行ってください。
    シナリオは終わりです。お疲れ様でした。

    【シナリオノート】
    このシナリオは、「解体される艦娘のそれから」を考えるシナリオを作ろうと生まれました。
    既に公開した拙作『照らす月の下で』では轟沈した艦娘について扱っていたので、じゃあ解体される艦娘について、それも自主解体される艦娘とはどんな子だろう?というところから出発しています。
    解体については提督諸氏で様々な考えや見解があります。なので、そのものについて扱うのは抵抗がありました。ならば解体されるまでの艦娘について扱ってみるか、ということでこのようなシナリオになりました。
    シナリオの主要NPCとして戦艦大和を選んだ理由は、自分の意志で艦としての終わりを迎える場面を想像したときに浮かんだのが彼女だったからです。
    このシナリオのなかでの艦娘『大和』は自主解体願望――人で言うならば自殺願望――を持っています。解体された後の艦娘がどうなるかについては提督諸氏の設定に任せますが、分かっていたところで、簡単に決断することはできないでしょう。
    状況は違いますが、あえて人で例えるならば、「死後、彼の世に行き、次の人生があると信じている」として、ならば実際に死ぬことができるのかという話になるのでしょうか。
    どのような決断をするにしても、そこには強い「決意」が必要になります。
    このシナリオは戦艦大和が解体される決意を、PC達と関わることによって得るシナリオです。
    また、PC達はシナリオのルートによって、大和の最期について違った解釈を得るシナリオでもあります。

    『亜細亜』という名前について。
    この名は、大和が自身の名を秘すにあたり自ら提案した名です。
    作中の艦娘『亜細亜』は、戦艦『大和』の偽の名前なのですが、これはNPCデータでも示したように、児島襄(こじま・のぼる)さんの著書『戦艦大和』から取りました。この作品のなかの一場面で大和の進水式について書かれており、そこで「大和」という名前が大和の工員達に知らされたとき、発表者の声が小さかったために、工員達がよく聞き取れなく、工員同士で何と聞こえたか話しているうち、「『あじあ』と言ったようだ」という者が現れ、一同がそれに頷き、「超戦艦だから、名前もひとまわり大きくなって当然だ」と、そのようなことを話します。
    当然、このとき大和は鋼鉄の塊であるわけですので、何も思うところはないと思いますが、艦娘の大和がこの場面にいたらきっと、期待の大きさを誇りに思いつつも赤面していたでしょう。大和にとって、この記憶は光彩を放つ特別なものです。だから、彼女は『亜細亜』を名乗ったのです。

    このシナリオを遊ぶという方がいらっしゃれば質問や相談はいつでも受け付けます。
    Twitterや配信等で気軽に聞いてください。

    なお、Twitterで御紹介していただけるときは「#艦これRPG」つけていただけると公式展開再開にも微力ながら繋がるかもしれません。私もこっそり確認して嬉しくなります。
    よろしくお願い致します。

    シナリオ製作者:トカゲッコー
    Twitter:@tokagekko モーメント:艦これRPG自作データまとめ



    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
    この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

    ここまで読んでいただき感謝致します。それでは、良い艦隊生活を!

    某年某月某日、パスピエ「最終電車」を聴きながら



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