艦これRPGシナリオ『よくあること・秋』
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艦これRPGシナリオ『よくあること・秋』

2018-02-23 02:11
    シナリオ『よくあること・秋』テストプレイ済

    【シナリオスペック】
    よくあるシナリオ(秋)
    使用:『着任ノ書』『抜錨ノ書』(選択:『建造ノ書壱』)
    艦娘人数:2~4人
    プレイ時間:3時間程度
    リミット:1サイクル
    任務:1、鎮守府フェイズのシーンを[PC人数-1]回達成する
      :2、艦隊戦に勝利する
      :3、艦隊戦にて、敵を全滅させる

    【あらすじ】
    晩秋。秋が終わり、冬が近づいている。
    ここに、秋の終わりと時を同じくして、変わろうとしている艦娘達がいた。
    萩風と嵐――それまでずっと一緒だった彼女達は分かたれる。
    それは会おうと思えば会えるような距離に離れるだけの、そんな小さな変化。
    彼女たちでなければ、日常に起きた、小さな波紋程度の些事/よくあること。
    でも、彼女達にとってその別れはよくあることと済ませる問題ではなかった。
    これまでそうであるのが当然であったものが突然変わってしまう――
    そんな変化に対する不安を抱える彼女達と関わるなかで、
    キミ達はどのような決意と結末を見るのだろう?

    【NPCデータ】
    萩風/駆逐艦
    シナリオ重要NPCとなる2人のうちの1人。
    面倒見がよく、優しい性格。夜が少し苦手。
    ※シナリオにおいて、艦隊戦に参加するため、提督はあらかじめレベル3の状態で個性等を修得させること
     ●戦力
      命:2,火:0,回:2,装:6,装備力:2,行動力:17
     ●得意カテゴリ
      展開/攻勢/便利
     ●初期個性
      面倒見/フリー/×夜戦
     ●初期アビリティ
      応急整備/朝は好きです!
     ●固有アビリティ
      【朝は好きです!
      固有/なし/サブ/萩風
      昼のシーン(あるいは夜戦を除く艦隊戦中)に使用できる。
      自分が誰かを対象として【感情値】の値を参照する行動を行うとき、
      その【感情値】の値を1点高いものとして扱う。
     ●初期装備
      小口径主砲/機銃


    /駆逐艦
    シナリオ重要NPCとなる2人のうちの1人。
    人付き合いがよく、勝ち気な性格。格好つけたがりな一面がある。
    ※シナリオにおいて、艦隊戦は参加しないNPCだが、一応データだけは記載しておく
     ●戦力
      命:2,火:0,回:2,装:6,装備力:2,行動力:17
     ●得意カテゴリ
      展開/作戦/守勢
     ●初期個性
      人脈/対潜戦闘/×フリー
     ●初期アビリティ
      疾風怒濤/嵐巻き起こしてやるぜっ!
     ●固有アビリティ
      【嵐巻き起こしてやるぜっ!】
      固有/なし/オート/嵐
      自分の【火力】が、修得している[【対潜X】が付いた装備アビリティの数]点上昇する。
     ●初期装備
      小口径主砲/九四式爆雷投射機


    【導入フェイズ】
    あまりにも紅葉が綺麗だから、秋がいつまでも続くのではないか――
    そんな幻想を抱かせるような晩秋のある日のことだ。
    夜、その日の任務を終えて提督へと報告に来たPC達に提督はこう言った。
    「ふむ。やはり今回の敵も規模が小さいな。偵察か――ところで、」
    「キミ達は、萩風と嵐を知っているか?」
    駆逐艦「萩風」と駆逐艦「嵐」はこの鎮守府に所属する艦娘である。
    二人は同じ艦隊(PC達と、というわけではない)に所属する艦娘だ。
    何をするときも二人一緒で、仲の良い光景を何度か見かけている。
    PC達は顔を合わせたことはあれども、艦隊が違うために関わりは殆どない。
    「そうか、それなら好都合だ。」
    と、提督は何か気になる言葉を呟いて、話を続ける。
    「突然だが、明日からキミ達の艦隊には萩風と嵐の二人が加わることになる。」
    「明朝、改めて顔合わせのために集まってもらう。よろしく頼んだぞ。」
    提督はPC達にそう伝えると、また忙しなく自身の仕事に戻った。
    そうして、その日は終わった。
    ==========================================
    翌日朝、PC達は提督執務室にいた。
    執務室にはPC達より先に来ていた萩風と嵐の姿がある。
    PC達に対して二人はそれぞれ挨拶をする。
    「ああ、皆がそうなんだな。よろしく頼むぜ!」と嵐が言い、
    萩風は「皆さん、よろしくお願いしますね。」と言った。
    こうして、PC達の艦隊に新たな仲間が加わった。
    「さて、ではキミ達の艦隊に任務を与える。」
    「近頃、鎮守府の近海に敵深海棲艦の偵察艦隊が現れるようになった。」
    「こちらの艦隊とも何度か小競り合いがあったが、戦果は芳しくない。」
    「そして、さらなる調査の結果、西にある島近辺に敵補給艦の存在が目撃された。」
    「おそらく、敵は島に小規模な泊地を作ろうとしている。」
    「西にある島は【寄月島-オクリツキシマ-】という島で小さいながらも陸から近く脅威だ。」
    「キミ達には、この島に行って建造中と予想される敵泊地の偵察を行ってもらう。」
    「任務決行は5日後の黎明、偵察といっても交戦も十分に考えられる。」
    「それまでに十分に準備をしておくように。」
    そして、最後に提督はこう言った。
    「艦隊結成の、最初で最後の任務だ。気合を入れて頑張ってくれ。」
    提督の言葉に、萩風と嵐の二人は気合の入った声で了解を応え、敬礼する。
    「……頑張ろうね、嵐。」
    「ああ、頑張ろう、萩。」

    ※PC達が「最初で最後」の意味を問うた場合は、萩風と嵐が『艦隊結成して最初の任務はこれで最後』等の適当な理由を言い、はぐらかす。提督も、二人が話さないならば話そうとはしない。この時点では、PC達は萩風と嵐の事情については知らない。

    ■マスターシーン1「二人の事情」発生
    タイミング:導入フェイズの最後
    内容:提督執務室、PC達が来る前。
       提督と萩風と嵐の、3人の姿がある。
       執務室には、澄んだ秋の朝に相応しくない重い空気が満ちている。
       「司令、それってどういうことですか……!」
       「……ちゃんと、説明してくれるんだよな、司令。」
       「ああ、改めて話すが、近く、嵐はこの鎮守府から転属することになる。」
       「転属先は新造の鎮守府で、そのために、戦力が不足している。」
       「そのような事情であちらの要請に適う艦娘を検討したら、嵐、キミになった。」
       「突然のことですまないが、これも海の平和のためだ。頼んだぞ。」
       「でも、そんなに突然――」
       「……分かった。」
       「嵐!」
       「仕方ないだろ、萩。それに、新しい鎮守府には俺が必要なんだぜ?」
       「艦娘として、これは本望だろ? 萩も俺の活躍を応援してくれるよな。」
       「嵐、あなた……。」
       「ありがとう、嵐。転属の日まではまだ時間はある。」
       「お前たちはこの後、他の艦隊と合流し、ある任務にあたってもらう。」
       「その艦隊は嵐の転属後に萩風が所属する艦隊でもある。」
       「お前たちにとっては最後の任務だ。悔いのないように奮励努力してくれ。」
       提督が話を終えた後、嵐は萩風に身を寄せて囁く。
       「……萩、このことは、その艦隊の皆には話さないでくれよ。」
       「変に気を遣わせても悪いしさ。それに、後に残る萩だってやり辛いだろ?」
       「嵐――。……うん、分かった…………。」
       そして、部屋の外から、PC達の近づく足音が聞こえてくる。――

    最後に、感情点の処理。任意のキャラクターを選び、そのキャラクターに感情点を1点取得
    ※なお、萩風と嵐はPC全員に1点の感情を持っているものとする

    【鎮守府フェイズ】
    シーンエディット:日常・交流・遊び・演習・作戦
    ■マスターシーン2「急転」
    タイミング:鎮守府フェイズの最後
    内容:作戦前日の夜、PC達は提督執務室へと呼び出されていた。
       提督はPC達を見渡し――そしてPC達と一緒にいる嵐に目を向けて言う。
       「向こうの鎮守府の準備が、思ったより早く終わった。」
       PC達にその意味は分からない。しかし萩風と嵐は顔色を変えた。
       「……そうか。何時だい、司令。」
       「明日の午前には。移動は陸路、電車を使ってもらう。」
       「すまないが、作戦は嵐抜きでやることになる。」
       「そんな……嵐……。」
       「悪いな、萩。皆も突然でよく分からないよな。俺から説明するよ。」
       そうして、PC達は事情を伝えられる。
       嵐が他の鎮守府に転属すること、その後に萩風はPC達の艦隊に加わること等。
       その後、提督から改めて、任務は予定通りに、但し嵐抜きで行うことが伝えられた。
       「突然だけど、皆なら大丈夫さ。俺の代わりに萩の面倒を頼むぜ。」
       萩風は執務室の扉に背を預けるようにして立ち尽くしている。
       そんな萩風に嵐は近づき、話しかける。
       「萩。明日の任務、俺の分まで頼むぜ!」
       「………嵐。どうして――」
       その問に嵐は答えない。
       「俺も成功を祈ってるから――」
       「……っ。嵐のばかっ!」
       そう言うや、萩風は嵐を突き飛ばして、扉を開けて走り去ってしまった。
       嵐は追いかけず、PC達に言う。
       「怒られちゃったな。なあ、萩のやつを本当に頼むよ。アイツ、寂しがり屋だから。」
       「悪い。ちょっと、外で風に当たってくるよ。俺も頭を冷やさないと。」
       そう言って、嵐も執務室を去った。
       すぐに二人の後を追いたいだろうが、そんなPC達を提督が止める。
       「すまない。明日、嵐が抜けた分の変更点を伝えなければならない。」
       「手短に伝える。――」
       提督の話が終わり次第、二人を探そう。

    【決戦フェイズ】
    ■マスターシーン3「どちらにする?」
    タイミング:決戦フェイズの最初
    内容:執務室での騒ぎの後、作戦前日夜。
       このまま萩風と嵐を放ってはおけない。
       時間は限られているができることをしようと、PC達は行動する。
       まずは、萩風と嵐がどこにいるか探さなければならない。

    ●選択
    萩風を探す】(萩風に会いに行く)
    →[決戦フェイズA]へ移行する。

    を探す】(嵐に会いに行く)
    →[決戦フェイズB]へ移行する。

    ▼解説
    この選択により、シナリオの今後の描写が分岐する。
    萩風を探す場合は[決戦フェイズA]を描写すること。
    を探す場合は[決戦フェイズB]を描写すること。
    どちらの選択をしても、今後の展開に大きな変化はない。
    この選択は、選択したNPCに物語のスポットを当てるものだ。
    また描写としては、PC達は嵐と萩風の二人を探すことになるが、二人は別々の場所にいる。
    そのため、この夜の事情を知ることができるのは二人のうち、選んだ方だけである。

    [決戦フェイズA]→艦隊戦へ移行する
    萩風は艦娘寮の自室にいた。嵐の姿はない。
    部屋の明かりは点いておらず、暗い。萩風はベッドに腰掛け俯いている。
    萩風はPC達に気づくと、静かに話しだした。
    「皆……急に飛び出してごめんなさい。嵐は怒ってなかった?」
    執務室での嵐の様子を伝えると、萩風はこう言った。
    「そう……嵐は、うそつきね。」
    「本当はね。寂しがり屋は嵐の方なの。」
    「鎮守府を離れるのは悲しいし、寂しいはずなのに、格好つけて、強がってるのよ。」
    「きっと、私に心配させないために最後は明るくしようって、そう思ってるの。」
    「でも、私には『悲しい』って、『寂しい』って、そう言って欲しかった……。」
    「私達、いままでずっと一緒にいたのに。嵐は何も言ってくれないの。」
    「それって、とても辛いじゃない。とっても、ずっと、辛いじゃない。」
    「私達のこれまでって、いったい、何だったのよ……。」
    声をふるわせ、萩風は心中を吐露した。
    そして顔を上げて、何かを決意したようにPC達に言う。
    「……あのね、皆。実は、お願いがあるの。」
    「私、明日の嵐の出発までに、任務を終わらせたいの。」
    「夜明けからだから、頑張ればきっとできるはず。」
    「任務を終わらして、『だいじょうぶ。離れていても、ずっと親友よ』って伝えたいの。」
    「我儘だけれど、お願いします。皆さん、一緒に協力してください。」
    そうして、萩風はPC達に頭を下げる。
    ――断る選択は、なかった。

    [決戦フェイズB] →艦隊戦へ移行する
    嵐は鎮守府の港にいた。萩風の姿はない。
    夜の母港は肌寒く、寂しさを感じさせる。嵐はひとり海を眺めている。
    嵐はPC達に気づくと、静かに話しだした。
    「そ、執務室のことは悪かったな。」
    「萩が怒る理由、分かってるんだ。俺のせいだからな。」
    そう言い、嵐は寂しく微笑んだ。
    「萩はさ、俺が空元気通してるのが許せないんだと思う。」
    「『悲しい』とか『寂しい』とか、萩の前では言わないようにしてたから。」
    「いままでずっと一緒だったのにどうして何も言ってくれないんだ、って。」
    「だから、怒ってるのは俺のせいなんだ。」
    「……でも、俺には言えない。」
    「俺だって、ここを、萩の側を離れるのは悲しいし、寂しい。」
    「でも、言うわけにはいかない。」
    「だって、言ったら、萩のやつ優しいから、俺よりずっと悲しむ。」
    「それは、俺が正直に言うよりも。ずっと、とても、悲しいことだ。」
    「それに俺は格好つけの強がり屋だから、そう簡単には変われないんだ。」
    暗い夜の海を背に、嵐は心中を吐露した。
    そしてPC達の方に振り返り、何かを決意したように言う。
    「なあ、皆。実は、頼みがあるんだ。」
    「明日の任務、俺の出発までに終わらせて欲しい。」
    「夜明けからだから、俺の出発の時間をギリギリまで遅らせればきっと間に合う。」
    「それで、その、少しだけ、素直に気持ちを伝えたいんだ。」
    「任務を終わらせて、『ありがとう。これからも親友でいて欲しい』って。」
    「我儘だけれど、頼むよ。皆、協力してください。」
    そうして、嵐はPC達に頭を下げる。
    ――断る選択は、なかった。

    【艦隊戦】
    描写
    翌日、夜明け前。
    PC達と萩風は抜錨し、寄月島へ向かった。
    萩風は険しい表情をしてPC達と共に進む。
    そして、島に近づき調査をしていると、建造中の小規模敵泊地を見つけた。
    「やっぱり、泊地を作っていますね――でも事前に発見できてよかった。」
    まだ嵐の出発までは時間に余裕がある。これから帰投し報告すれば間に合うだろう。
    「あとは帰投して報告を――」
    砲声と前方にあがる水柱の衝撃が萩風の言葉を最後まで続かせずに打ち消した。
    「きゃあっ、敵艦! 見つかった!? いけない、応戦しなきゃ!」
    島影に敵の艦隊を確認できる。二度目の砲声が響く、後方から水柱の衝撃。
    状況は夾叉だ。既に、撤退することはできない。
    そうして、艦隊戦が始まった。――

    戦闘に関する特記
    この戦闘ではPC艦隊として「萩風」が戦闘に参加する。
    また、この戦闘では描写として島を登場させているが、
    処理の煩雑さを考えて、あえて「島」のルールは使用しない。
    もし使用する場合は、PC達の状態を考慮し注意すること。

    敵編成
    (PL数2) :(旗艦)軽巡ツ級×1、駆逐ニ級×1、駆逐イ級×1、輸送ワ級×1
    (PL数3-):(旗艦)軽巡ツ級×1、軽巡へ級×1、駆逐ニ級×1、輸送ワ級×1、輸送ワ級×1
    ※輸送ワ級(建造ノ書壱記載)のデータが参照できない場合は駆逐イ級1体を代わりとする。
     なお、PC数2のとき、PC側艦隊の火力が乏しければ輸送ワ級の能力は使わないこと。
     (具体例を挙げると、低練度の駆逐軽巡だけの艦隊である場合等。)
    ==========================================
    [戦闘勝利]→【終了フェイズ】を描写する。
    [戦闘敗北]→PC達は敗北。出発には間に合わないことを描写し、成長処理へ。

    【終了フェイズ】
    艦隊戦はPC達の勝利に終わったが、嵐の出発まで時間の猶予はなかった。
    急ぎ母港へ帰投した頃には、既に嵐は出発してしまっていた。
    兎にも角にも、提督に任務の報告をしなければならない。
    提督はPC達の報告を手短に聞くと、こう続けた。
    「ああ、細かい報告は後だ。それより、キミ達は急がなければならない。」
    そうして、提督はPC達と萩風の分の外出許可証を手渡し、ある事を伝えた。――

    PC達は駅まで急がなければならなかった。
    執務室で提督はPC達にこのような内容を告げた。
    PC達が帰投するまで出発を待って欲しいと、嵐から頼まれた。
    何とかギリギリまでは待ったが、それでも時間には間に合わなかった。
    しかし不幸中の幸いとでもいうのか。PC達は深海棲艦と交戦した。
    つまりは、近海――陸から近い位置に深海棲艦が出現したということである。
    当然ながら、公共交通機関は一時的であるが、安全のために運行を停止する。
    再開されるまでには多少の時間差があり今なら急げば駅で嵐と会える、と。

    ――そうして、キミ達は間に合った。
    電車がやってくるまでには、まだ十数分ほど時間が残されていた。
    短いが、それですべてが事足りる時間。
    駅のホームで、ポツンと座り電車を待つ嵐にPC達と萩風は駆け寄っていく。
    「嵐! よかった……っ!」
    「萩! そうか、間に合ったんだな。よかった。」
    そうして、二人は同時に叫んだ。
    「あの、嵐に伝えたいことがあるの!」
    「あの、萩に伝えたいことがあるんだ!」
    一瞬の静寂――二人は互いの顔を見つめ合い、吹き出した。
    二人は、それだけで、互いの想いを理解した。
    そうして、少し照れた、それでいて晴れ晴れとした表情で二人は続ける。
    「私ね。嵐に『だいじょうぶ』って。」
    「俺は。萩に『ありがとう』って。」
    二人はお互いの肩を抱き合い、同時に言う。
    「「それから、離れていてもずっと親友って!」」
    二人は見つめ合い――駅のホームには哄笑が明るく響いた。

    「落ち着いたら――冬になったら、休暇もらって会いに来るよ。」
    「私だって、冬になったら真っ先に休み貰って会いに行くから。」
    ――それにしても、と二人はおかしそうに笑う。
    「ああ、いえ……今日がこんな日になるなんて、思っていなかったから。」
    「本当に、ウソみたいだ。今日この瞬間がこんなに晴れやかなものになるなんて。」
    「今回のコトって、きっと――よくあること、なんだよね。」
    「うん、どこにでもある、たぶん、些細なコトなんだと思う。」
    「でも――
    「ああ――いまの萩と俺にとっては、特別なコトなんだよな。」
    「うん!ええと、だからね。私たちが皆に言いたいことわね。」
    「皆がいたから、今日が私たちにとって、『素敵な特別』になったというか。」
    「――つまりは、俺たちは、本当に本当に、皆に感謝しているんだ。」
    「俺も、萩も。この『とくべつ』は、きっと、忘れないよ。」

    ――ホームへと電車がやって来る。
    名残は尽きないが、物語の終わりが来たのだ。
    嵐は電車に乗った。扉が閉じて、電車は去って行く。
    或る秋の別れは、こうしてPC達の前を過ぎていった。

    短い秋は去り、長い冬が来ようとしている。
    晩秋、駅のホームにて。
    わたし達は秋の終わりを感じて、冬を待ち遠しく思っていた。

    【エピローグ】
    エピローグは自由にしてもらって構わない。
    PC/PL達たちが望むように演出を行うとよいだろう。

    演出終了後、成長処理を行ってください。
    シナリオは終わりです。お疲れ様でした。

    【シナリオノート】
    今回のシナリオは、少女二人――萩風と嵐――の別れを描くお話です。
    PC達は、彼女達と同じ艦隊として数日を過ごし、二人の事情と決意を知ることになります。
    そうしてPC達は彼女達に協力して、暗い別れが明るいものへ変わる瞬間を目にします。
    このシナリオは終盤、萩風と嵐のどちらに物語のスポットを当てるかで描写が変わります。
    これは、「同じシナリオでも二度遊ぶことによって描写が変わる」というお話が書きたかったからです。今回は物語の大筋自体は変わりませんが、両方の描写を遊ぶことで、萩風と嵐がどのように考え、それぞれがどのように行動していたかが分かるという仕掛けでした。
    勿論、どちらかを見ただけでもお話は綺麗に終わりますので御安心を。
    ただ、両方遊ぶと物語の結末へと至ったのはPC達と二人がそれぞれに努力をしたためであるということをより深く味わえるかもしれませんので、よければ二度、遊んでください。

    一般的に、秋は色々な属性がある季節のように扱われることが多いように思います。
    例えば、「食欲」「紅葉」「実り」「読書」「芸術」、他にもたくさん。
    シナリオを書くにあたって「自分にとって秋とはどのような季節だろう?」と考えましたが、残念ながら、秋という季節に対する明確な答えは出ませんでした。

    素晴らしき秋としてとらえていることの殆どは幻想なのだと考えたわけです。
    秋の幻想をみていると、つい、冬の明確な寒々しさを敬遠したくなります。
    冬が近づく晩秋の寒さのなかで、そんなふうに考えていました。
    また、タイトルの「よくあること」はこのシナリオのもう一つのテーマのつもりでもあります。当たり前だと思っていることも、別の面から見れば特別なことかもしれません。
    今回のお話では普段行われている「転属」を、特別な別れだと思うもの達がいた、という感じでしょうか。そういうものを書いてみようと思った2つめがこのシナリオです。


    最後に、以前、このシナリオのテストプレイをした時にあったある会話について。
    それはオンラインのテキストセッションであり、終わった後のことです。
    終わった後で参加者のうちのある方から、このような相談をされました。
    以下、私を「GM」、その方を「PL」と表記します。
    ==========================================
    (行われた会話に多少の脚色を加えたもの)
    PL:あの、GMさん
    GM:はい、どうしましたか?
    PL:実は今回のNPCの悩み(転属で親友と別れる)は、PCにとっては入り込み辛かったです
    GM:なるほど、理由は何でしょうか?
    PL:私のPCは「転属を何度も経験している」ので、転属は何ら特別なものではないのです
    PL:転属は私のPCにとって「よくあること」なのにNPCは「特別なこと」と感じていました
    PL:このギャップがあり、私のPCはNPCに親身になりづらく、迷うことがありました
    PL:なので、このシナリオにおいて上手くRPが出来ていたか、少し不安です
    GM:なるほど。でも、大丈夫ですよ。そうして迷うのは立派なRPです
    GM:誰かにとっての茶飯事が、誰かにとっての重大事ということはよくあります
    GM:だから、NPCにとっての重大事をPCがそうではないだろうと悩む言動も良いのです
    PL:ああ、よかった。じゃあ、大丈夫だったんですね
    GM:はい。ちゃんと、PCらしい素敵なRPでしたよ
    ==========================================
    と、このような会話がありました。
    このシナリオで遊ぶ方や、遊ぶ予定で読んでいるGMの中には、NPCがそこまで深刻に悩むことに疑問を抱く方もいるでしょう。それは作者の感情描写の不足もありますが、PLの経験やPCの設定によるものでもあるので仕方ありません。
    そのように悩む方がいらっしゃれば、感じたままに遊べばいいんだよ、とアドバイスしてあげてください。

    次がいつになるか未定ですが、季節がくれば書きたいと思います。

    このシナリオを遊ぶという方がいらっしゃれば質問や相談はいつでも受け付けます。
    Twitterや配信等で気軽に聞いてください。

    なお、Twitterで御紹介していただけるときは「#艦これRPG」つけていただけると公式展開再開にも微力ながら繋がるかもしれません。私もこっそり確認して嬉しくなります。
    よろしくお願い致します。

    シナリオ製作者:トカゲッコー
    Twitter:@tokagekko モーメント:艦これRPG自作データまとめ



    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
    この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

    ここまで読んでいただき感謝致します。それでは、良い艦隊生活を!

    某年某月某日、椎名林檎「ポルターガイスト」を聴きながら




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