• 【MA4】MASTER ARTIST 4 第3弾(美希・あずさ・律子)レビュー

    2021-02-16 22:21
    2021年2月10日『THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 4』第3弾として星井美希・三浦あずさ・秋月律子の3タイトルがリリースされたので、それぞれレビューしていきます。


    アイマス馴染みのコンポーザーを迎え、未来へと再出発する意思を強く表明した第1弾。アイマス初参加のコンポーザーを中心に、コロナ禍の沈んだ心に寄り添うような曲を揃えた第2弾。それぞれ明確なコンセプトを感じさせるソロ新曲によって、異なる色を出してきた第1弾、第2弾に続く今回の第3弾は、これまでとまた別の流れを感じさせるものになっていました。

    まず新曲のコンポーザーは、比較的馴染みの面子ではあるものの、アイマス5ブランド全てに楽曲提供経験のある三浦誠司氏、バンナムスタジオからミフメイ氏、シンデレラを中心に多数楽曲提供している滝澤俊輔氏と、バリエーション豊かな人選となっています。MA4のこれまでの流れとして、ソロ新曲のコンポーザーは「変わるもの、変わらないもの」というMA4のテーマに沿って、765ASで作曲経験がある方が1人、未経験の方が2人という構成でしたが、今回は作詞として参加経験のある三浦誠司氏(『LOVEオーダーメイド』)と、編曲はあるものの作曲は未経験のミフメイ氏と滝澤氏の少し捻った組み合わせとなっています。さらに第1弾では春香の『START!!』を作曲した宮崎誠氏が同じく春香の『I’m yours』を、第2弾では響の『天と海の島』を作曲した園田健太郎氏が同じく響の『HUG』を手がけてきましたが、今回は律子の『LOVEオーダーメイド』を作詞した三浦氏が美希の『アプデ』を手がけるなど、こちらも少し捻ってきています。

    そして、第1弾・第2弾と新曲は歌詞に一貫したテーマ性を感じさせるものになっていましたが(詳しくはこちら→第1弾第2弾)、今回の第3弾はそういった一貫したテーマ性はおそらく設けられていないと思われます。代わりに、今回はカバー曲同様、新曲にキャストの意向が反映されているという特徴があります。新曲にキャストが関わるのは、既に出ている情報とテーマ性の強い第1弾・第2弾を見る限り、今回が初めてです。新曲の曲調について、第1弾はロック系、第2弾はアコースティック系が中心と、テーマ同様ある程度の方向性を感じさせるものでしたが、今回はキャストの意向が入ってるのもあってか、ディスコ調、EDM、バラードと曲調も多彩で、カバー曲含め楽曲の充実度で言えばシリーズ1と言えるでしょう。

    それでは具体的な楽曲について、各タイトルごとのレビューに入ります。




    07 星井美希




    ・『アプデ』
    作詞・作曲・編曲:三浦誠司

    『マリオネットの心』以降続いていた切ない路線から一転、初期の『ふるふるフューチャー』路線に回帰したような100%ラブラブ路線。MA4のテーマからは「変わるもの」を踏襲して、恋をして変化する心をスマホのアップデートに喩えた歌詞を、多幸感溢れるディスコ調の曲に乗せて歌った楽曲。

    「アップデート」は元より、SNSの通知に始まり、画像フィルタ、アラーム機能に至るまで、スマホにまつわる喩えが散りばめられているのが楽しい歌詞で、全体的に細かく韻を踏んでいたり、Aメロ後半(Bメロ)の譜割が1番と2番で変わっていたりする点も、題材同様今っぽさを感じさせます。

    個人的には『アマテラス』しかり、こういったディスコ調の曲が大好物なのと、美希のポップ路線の歌声も大好きだったり、前述の歌詞の楽しさもあり、MA4全体としてはもちろん、全アイマス曲のなかでも上位に来るほど好きな楽曲になりました。(そしてその『アマテラス』を手掛けた渡辺量氏がコロムビア特典の「TO D@NCE TO」で美希ソロ『私たちはずっと…でしょう?』のまさにディスコ調リミックスを手掛けていてさらに最高)


    ・『イジワルしないで 抱きしめてよ』(オリジナル・アーティスト:Juice=Juice)
    ・『部屋とYシャツと私』(オリジナル・アーティスト:平松愛理)

    『イジワルしないで 抱きしめてよ』がまず素晴らしい出来で、難しいビートも完全に乗りこなしつつ、美希のカッコよさと可愛さ、そしていつもより吐息多めでセクシーさを全て兼ね備えた最高のボーカルが堪能できます。一方の『部屋とYシャツと私』は、可愛さに全振りした甘い歌声ながら、実は毒っ気の効いたその歌詞によって、甘くも油断ならない美希のキャラクター性が遺憾無く表現されています。


    ・『マジで…!?』作詞:BNSI(くぼけん・エトウ) 作曲:BNSI(佐藤貴文)

    第2弾の真と亜美を経て、いよいよおもしろ『マジで…!?』選手権が本格的に始まってしまったようです。美希もまず絶対ヤバくなさそうな「ヤバイかも?」から始まるものの、そこからサビ終わりの「マジでヤバい!」がどんどんヤバそうになっていくのが面白い。イメージとしては、余裕→律子に見つかる→捕まる→説教2時間経過といった感じで、想像力を掻き立てられる楽しい仕上がりになっています。

    ・『New Me continued』作詞:八城雄太 作曲:俊龍 編曲:Sizuk

    ここまでが比較的可愛さをメインにしたボーカルだった分、この曲の落ち着いた美希の歌声は、単に成長というよりも、大人になった美希のように感じられ、歌詞から来るものとはまた別の感慨が得られると思います。



    08 三浦あずさ




    ・『VELVET QUIET』作詞・作曲・編曲:BNSI(ミフメイ)

    一聴して「TO D@NCE TO」のリミックス楽曲かと思うような、ゴリゴリのEDM楽曲で、楽曲を手掛けているのもまさにMA4第2弾特典の「TO D@NCE TO」で『ラムネ色 青春』のリミックスを手掛けたミフメイ氏。「変わらないもの」=本質・本能を求めて、ベルベットのように深い色の内面世界を漂うような歌詞になっています。ちょうどミリオンのあずささんソロ『嘆きのFRACTION』と静と動で対になるような内容とも言えるでしょう。


    ・『人生は夢だらけ』(オリジナル・アーティスト:椎名林檎)
    ・『糸』(オリジナル・アーティスト:中島みゆき)

    智秋さんがリクエストの多かった2曲を採用したという今回のカバー(1位が『糸』2位が『人生は夢だらけ』)。今作のあずささんは、キャラクターとしての制度を保ったまま、たかはし智秋のスキルを存分に振るっているという印象で、そのスキルが存分に発揮されているのが『人生は夢だらけ』です。「一息で歌いきった」という、そのライブ感溢れる歌唱で、歌のゴールにたどり着いたときには、拍手を送りたくなるような感動を覚えます。途中そのスキルから椎名林檎に接近する瞬間も聴きどころ。一方の『糸』は、逆にスキルは抑えめのあずささん感を全開にした歌唱で、優しさや暖かさを強く感じられます。


    ・『マジで…!?』

    おそらく本人はマジでヤバいと感じているものの、側から見れば全然ヤバそうに聴こえない「ヤバいかも?」に始まり、要所要所できっちりバリエーションを入れていて、キャラクター的にそこまで遊ばなくても問題ないあずささんでさえコレですから、いよいよおもしろ『マジで…!?』選手権が始まってしまったと、改めて実感させられます。


    ・『New Me continued』

    この曲では、あずささんの美声を存分に堪能できます。さらに、前述のスキルも要所要所で発揮されており、演歌的な情感さえ感じさせる歌唱で、「歌声そのものに感動する」という感覚が味わえます。第3弾ではこのあずさverが個人的に一押し。



    09 秋月律子




    ・『灯(あかし) 』作詞:Mitsu(TRYTONELABO) 作曲・編曲:滝澤俊輔(TRYTONELABO)

    「THE IDOLM@STER MUSIC ON THE RADIO」108回の律子役の若林直美さんのトークからインスパイアを受けて制作された楽曲。「はじめは小さかった灯火が徐々に増えていき、次第に世界が広がっていく」という話から、画の見える美しい歌詞に落とし込まれています。紆余曲折あった律子の道のりを、これまで灯してきた「灯」というビジュアルを用いて描いているように読める歌詞で、「灯の海」という美しい景色や、「思いの全てが “私”に変わる」という言葉で、色々あったその道のりを全て肯定すしていく様が感じられます。まさに「灯」と言えるようなサイリウムの海の中で歌うイメージが見える曲もあるので、ライブでの歌唱が待たれます。


    ・『POP STAR』(オリジナル・アーティスト:平井堅)
    ・『My Sweet Darlin' 』(オリジナル・アーティスト:矢井田瞳)

    若林さんが「『魔法をかけて!』のアンサーソング」と語る『POP STAR』も、『My Sweet Darlin' 』も、どちらもこれまでの律子のイメージを踏襲しつつ成長を感じさせるような楽曲で、新曲『灯(あかし) 』の制作の経緯を含め、若林「神」の的確なセルフプロデュース力を再確認させられます。


    ・『マジで…!?』

    ここまで「これからの律子」を感じさせる新曲、「これまでの律子」を感じさせるカバーと来て、この『マジで…!?』では「ライブでの律子」を感じられる1曲になっています。1番は比較的大人しく歌い、2番からはっちゃける様子は、まさにライブでの若林さん=律子ですし、2番終わりには明らかに疲れている→落ちサビ直前に息を整える音が入っていることや、最後のサビ「天晴れ!」でエフェクトがかかっているなど、これまでには全くなかったギミックが入っていて、非常に楽しい仕上がりになっています。


    ・『New Me continued』

    「これからの律子」「これまでの律子」「ライブでの律子」と、多角的かつ的確に律子を表現してきて、「これからの765プロ」を感じさせるこの曲で締めるという、律子のソロCDとしてこれ以上ないほど完璧な構成と言えるでしょう。繰り返しにはなりますが、今回のMA4で若林さんの「プロデューサー」としてのガチさを再確認しました。



    第1弾からホップ・ステップ・ジャンプといった具合に、今回の第3弾は楽曲の充実度、全体から感じる熱量共にシリーズ最高だったと思います。毎回じっくり時間をかけて作っていることが完全に良い方に出ていて(律子の『灯(あかし) 』などは、この制作スケジュールでなければ絶対出てこなかった訳ですし)、次の第4弾への期待がますます高まりました。

    やはりこうしてキャラクターひとりひとり、ひいては765AS全体についてしっかり考えてものを作ってくれているのを感じるのは非常に嬉しいですし、パフォーマンスとしても、後輩ブランドのアイドルでは絶対に出せない、時間と経験の乗った豊かなキャラクター表現を全てのアイドルが見せてくれていて、まだまだ可能性が開かれているのを感じます。

    とりあえず今回の美希はまだしばらくリピートすることになると思います。



    それではこの辺で。


    消灯ですよ。
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  • 【雑記】『Fermata in Rapsodia』イントロのコーラスの意味解読

    2021-01-28 03:04


    「THE IDOLM@STER MUSIC ON THE RADIO」120回にて、ゲストの小高光太郎氏から「『Fermata in Rapsodia』のイントロのコーラスは逆再生するとあることを言っている」ということが明かされました。

    しかし、逆再生してみてもハッキリと聴き取れるというわけでもなく、明確に解読している人もいなかったので、気になって気になって夜も眠れず、徹夜で何を言っているか考えてしまったので、その結果を書いていきます。



    まず前提として、逆再生したときに意味の通じる言葉になるということで、一般的な「言葉をローマ字に変換→それを逆から発音する」という手法を用いていると仮定します。

    その上で、コーラスとしても音に違和感が出ないようにある程度言葉が整えられている。つまり逆再生しても、全ての言葉が必ずしも正確に再生されない可能性があることも考慮します。

    これらの前提を踏まえた上で、まずコーラスの文字起こし(歌詞には載っていない)、その元になったであろうローマ字、さらにその元になったであろう文章を逆さにしたものを、文節ごとに順番に並べていきます。なお、前述の通りローマ字→コーラスに変換する際に多少言葉が整えられていることも考え、比較のためローマ字はあくまで原文を基準に記述します。(なのでちょっと強引なところがあっても見逃してね)


    アーミナクドゥエテーオコーイエームヌ
    aminaukudueteokoiemnu
    まにあくずうてえこをいめんう

    ウオッソメダームティ
    uosomedamuti
    うそもでまつい

    エーグソスサミエーダムリーティーカギーモノ
    egasasosokamiedamuritukagimonok
    げささそこまいでまるちくがみのこ

    オーエーオーコノ
    oeokonok
    をえこのこ

    イーデカダーターナー
    iiedekadatana
    いいでけだたなあ


    そしてこの原文部を逆から読んだ文章がこちら。


    貴方だけでいい
    この聲を
    この身が朽ちるまで今こそ捧げ
    いつまでもそう
    運命を超えて疼くアニマ


    「貴方」「聲」「捧」「いつまでも=永遠」「運命」「アニマ=生命」と、メインの歌詞と共通する言葉が散りばめられた、この楽曲を象徴するような文章が浮かび上がりました。

    細かい言葉遣いなど、正確ではないところもあるかもしれませんが、楽曲のテーマとも一致した文章になっているので、大筋はあっているんじゃないかと思います。


    というわけで徹夜で疲れたのでもう寝ます。

    それでは。



    消灯ですよ。

  • 【シンデレラHNY】新春ライブDAY1感想

    2021-01-17 22:07
    2021年1月9日、10日に無観客配信で開催された『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Broadcast & LIVE Happy New Yell !!!』DAY1観ました。

    もともとアイマスとしてはコロナ禍以降、初めて有観客で行われる予定のライブということで気になっていたのですが、直前の感染拡大に伴い今回は無観客の開催となってしまいました。

    とはいえ直前の変更ゆえ、有観客でどういうことをやろうとしていたのかは垣間見れるだろうと思い、今後のアイマスライブの行方を占う意味でとりあえずDAY1のみ鑑賞しました。

    ちなみにアイマスの配信ライブでは2020年10月31日、11月1日に開催された『THE IDOLM@STER SHINY COLORS MUSIC DAWN』が先にありますが、シャイニーカラーズは追ってないし、コンテンツの性質や体制的に自分が主に追っている765・ミリオンとはそこまで繋がらないかなと思ってそちらは未見です。今思えば見ておいた方が良かった気もしますが。


    ・総評

    前置きはこれぐらいにして、実際にライブを観た感想ですが、思ったよりもずっと楽しめました。

    配信向けの諸々の施策はありましたが、基本的にはこれまでのライブと同じ構成だったため、感覚としてはこれまでやってきたライブを家で観てるだけという感じで、その点はスムーズに入っていけました。

    もちろん、配信になったことで有観客ライブから減じるものも諸々あるのですが、その点については後述します。ただ、かつての有観客ライブを観る感覚を再現できている時点で、試みとしては十分成功と言えるでしょう。



    ・ライブ構成・セトリについて

    というわけでライブ本編についてですが、ポップス→アゲ曲→バラード・エモ→アゲ曲という、もはや定番のセトリ構成かつ、ARは置いておいて、余計な演出も抑えられていて安心して観ることができました。「和」コンセプトの安定した新春ライブということで765の『初星演舞』を連想しましたし、実際下敷きになっている気がします(それか新春ライブと言われて思いつくコンセプトがそれしか無いだけか)。

    特に前半のポップスパートは個人的にツボで、この前のポップス公演を唄った7th幕張でやってくれなかった、自分がイメージする「ポップス」をまとめて聴かせてくれたので、知らない曲も多かったですが、とても楽しめました。知らない曲の中でも特に気に入った『オレンジタイム』なんかはその場で音源をDLしたりしました。そんなこともできるのは配信の利点。



    ・良かった曲について

    続いて個別のステージについての感想ですが、ざっくり4パートある中からそれぞれ1曲ずつ挙げていきます。


    まず最初のパートからは『Sing the Prologue♪(Long Intro Ver.)』。

    この曲で特に気になったのが遊佐こずえ役の花谷麻妃さん。ステージを見ていて、「すごいダンスが安定して上手い人がいるなあ」と思ったのが花谷さんでした。動きが非常に滑らかで、メリハリも効いていて自然と目がいくダンスだったのです。不勉強ながら花谷さんを知ったのは今回が初めてで、遊佐こずえに声が付いていたことも「そういえばそうだったか…」程度の認識だったので、後で調べてもともと実際にアイドルとして活動されていたということを知り、そのダンスの上手さにも納得。今後もちょっと気にして行こうと思いました。


    第2パートからは『Sunshine See May』。

    ここはもう単純に「鈴木みのりさん歌うまっ」とびっくりすることしきりでした。藤原肇役の鈴木みのりさんは、歌手としてもバリバリ活躍されているので当然といえば当然なのですが、パフォーマンスをしっかり見るのはこれが初めてだったので、一聴して「上手い」と分かるその歌声にただ聴き惚れていました。後半のソロ『あらかねの器』も、あの椎名豪曲を乗りこなしていてまあ「すごかった」の一語につきます。対する依田芳乃役の高田さんは完全にキャラ声に振っていて、そのバランスも面白かったです。


    第3パートからは『世界滅亡 or KISS(Long Intro Ver.)』。

    これはもう観た人なら言わずもがなですが、あのやたら長大で壮大な曲をやりきった喜多日菜子役の深川さんがすごかった。AR演出も、それまでは曲にまつわるモチーフがふわふわ浮いてるぐらいのものだったのが、急に展開や振りに合わせたものになって、力の入りようが伺えます。会場に観客がいたら、しばらくスタンディングオベーションが鳴り止まなかったでしょう。


    最後のパートはやっぱり『OTAHEN アンセム』。

    ひと昔前のアイマスライブなら大ブーイングを受けていたであろう、地下アイドル由来のコールのオンパレード。歌詞もまあひどいしうんこだし、曲の間ずっと爆笑していました。最近は「シンデレラのライブはLVとかで何やってるか把握するぐらいでいいかな」と思っていましたが、これのコールをやるためだけに現地狙ってもいいかなと思えるほどの破壊力でした。この後の『絶対特権主張しますっ!(Long Intro Ver.)』まで余波で面白くなっていました。全くひどい曲だ。そしてそれをやり切る星希さんもすごい。



    ・気になった点/今後の配信ライブに望むこと

    そんなこんなで基本的にはすっかり楽しんだわけですが、気になるところもやはりちらほらありました。

    これはもう仕方のないことではあるのですが、有観客ライブと比べると、体験としてはやはり劣ってしまうというのは間違い無いでしょう。

    まずライブの楽しさとはどこにあるかを考えると、大きくステージそのものによるものと、大勢が集まって皆で大きい音を聴いて、声を出したり体を動かしたりして一体感を得たりする「場」によるものがあると思います。

    前者のステージについては、今回の配信ライブでも、有観客ライブのそれと同等の楽しさを表現できていたと思います。

    しかし、後者の「場」としての楽しさは、実際に集まることができない以上、どうしても大きく減じてしまいます。そして、皆でコールをしたり、キャラに合わせたサイリウムを振ったりといった、その「場」としての楽しさこそが魅力であるアイマスライブにとって、それは大きなマイナスと言わざるをえないでしょう。

    もちろん、今回の配信もその点をカバーする施策は色々と行われていましたが、やはり「場」としての楽しさを再現するには至っていなかったと思います。

    選んだ色のサイリウムがスクリーンに反映されたり、打ったコメントが流れたりするのも、ラグがあったり、実際に体を動かしたり声を出したりするような身体性が伴わないため、その画面を見てもイマイチ実感はわきません。

    それから地域ごとに分かれたコメントを表示するのも、「ツアーのようにうんぬんかんぬん」みたいな説明がなされていましたが、絵面は全く変わらないし、ライブ時のコメントに地域性などさして出るわけもなく、正直全く上手くいってなかったと思います。こういう理屈だけで考えた頭でっかちな演出は、これまでのライブでもよく見られるいつもの感じですが。

    またコメント周りの頭でっかちな演出で言うと、「最後の曲」が終わってキャストが無言で退場した後、「いつもならアンコールするくだりだけど、今日はどうするんだろう?」→「ああ、コメントでやるのね」と、演出意図を忖度しながらコメントでアンコールに入る、大変シュールなくだりがありました。これに近い空気をミリオン6thの「CGの客席が映る」→「あっ歓声あげるのか」って歓声をあげるくだりでも感じたのですが、作りたい画(今回なら「アンコール」の文字が並ぶ画面)があるのは分かるんですけど、そのために忖度を強要する形になっているのは本末転倒な気が。

    ただそれもこれも、本来予定されていた有観客の状態で、その場の反応込みあれば、拍手とかで間が埋められるのでそこまで違和感は目立たなかったかもしれません。まあこんな状況なんだから、どのパターンでも違和感ないように準備しておかないのかとも思いますが、一応用意した上でのコレと言う可能性も高い気がします。


    配信用の演出では、もうひとつARを使ったものがありました。

    これは先にシンデレラの24時間配信でも披露された演出で、今回も人のいない客席を埋めて賑やかすのには役に立っていましたし、曲によってはしっかり演出たりえていたと思います。

    ただ、映像にアニメーションを重ねるという意味では、これまでのライブでもスクリーン上でダンスに合わせてハートが出たり、凝ったフレームを付けたり、背景を映したスクリーンの前にキャストを立たせたりなどして既にやってきたことで、配信じゃないとできないというわけでもないでしょう。

    今回のARも、概ね曲に関連するモチーフがふわふわ浮いてる程度のもので、正直無くてもさして問題ないものでしたし、ARを見せるためだけに引の画が増えて、せっかくの配信なのにキャストが見えなくなっていたりなど、一部の曲を除いて、あまり使いこなせていない印象でした。

    ARがある程度上手くいっていた一部の曲、具体的には『世界滅亡 or KISS』『OTAHENアンセム』の2曲ですが、これにしたって、今までなら2Dのアニメーションを使ってスクリーン上でやっていたことを3Dでやっただけとも言えるので、ARならではかといえば微妙なところです。

    そもそも現実にバーチャルなものを重ねるAR的試みとしては、その極地であるアイマスMRというものを既にやっているのです。つまりそこを掘っても最終的にはMR的な「キャラクターが見れるステージ」にたどり着いてしまうので、生身の声優さんが出演するライブに対する演出としては、あまり有効ではない気がします。

    これは今回の配信に限ったことではないですが、最近はこうステージ側の完成度を高めようと躍起になるあまり、「場」としての楽しさを疎かにしている気がします。というか、ステージ側だけで完成されすぎてしまうと、観客側の付け入る隙が無くなって「場」としての楽しさはどうしても減じてしまうので、ことアイマスライブにおいては、作り込みよりも「生」感を大事にする方向で行って欲しいものです。先ほども書きましたが、観客を演出を進めるための道具として扱っているところも、ちょこちょこ出てきている気もしますので。


    「配信ならでは」という意味では、ここまで挙げたような有観客ライブで得られる感覚を再現しようとする試みよりは、もっとひとりひとりの体験に根差したような試みの方がいいのではなんてことも、今回の配信を経て思いました。

    例えばカメラを自由に変えられたり、ARの演出とかもある程度コントロールできるようにしたり、みんなで「わー!」っとやるよりは、そうした「自分だけのライブ体験」みたいなものを追求できるようにする方がいいような気がします。

    そうすればその後出るであろうパッケージ版との差別化にもなって、生で見る意義も増してくるでしょうし、他の人の視点を見る楽しみや、翻って自分の見たライブの特別感も上がったりするかもしれません。何よりアイドルマスターはそもそもそうやって自分だけのステージを作り上げるゲームなわけですから、むしろそっちの方向がお誂え向きじゃないでしょうか。システム構築とかは大変そうですが、実現すれば唯一無二の配信ライブになれる気がします。



    ...いつの間にか今回ライブの感想から、未来の話に飛んでしまいましたが、最初にも述べたとおり、総じて今回の配信ライブはとても楽しめました。ただ1日目でお腹いっぱいになりすぎたので、2日目は観ていません(デレのライブは最近ずっとこんな感じ)。

    苦言めいたこともそこそこ書きましたが、ライブはそういうことを書いたり考えたりするのも含めて毎回楽しんでいるので、今回のライブで久々にできて楽しかったですし、何はともあれライブをやってくれたのは本当にありがたいことです。

    願わくば再び前のように大勢集まってライブができるようになってほしいですが、まあ1番早くても来年になってしまうと思うので、それまでに今回のような配信も含め、いろんな形の楽しみが増えれば良いなと思います。今狙ってる?のは765ASのアコースティックライブです(はじめから声を出さないようなコンセプトのものなら、この状況でも安心して楽しめると思うので)。



    ライブの感想を書くのが久々すぎて、なんか散文的になってしまいましたが、今回はこの辺で。



    消灯ですよ。