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広い建物で無線を生かす-無線LANをブリッジしよう
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広い建物で無線を生かす-無線LANをブリッジしよう

2014-10-26 02:13
    我が家は7LDKである。
     田舎乙。

    ■いきさつ

     さて、我が家は7LDK+作業場という割と面倒な環境にあり、パソコン5台以上、無線接続機能つきゲーム機はPSPにPSVitaにDS(DSって無線通信できたよね?)にPS3にPS4、iPhone携帯地上デジタルチューナーに至るまでとりあえずインターネット接続できる機械がウンザリするほどある。だいたい弟のせい。
     ここで問題になるのが無線LANの電波強度である。家の真ん中あたりに光終端装置があれば別に良いのだが、よりによって我が家は私の部屋(建物の一番カド)に光終端装置がついている。(厳密にいえば業務用光終端装置が一階の同じ位置にあるが業務用なので家庭用には使わない)
     私の部屋にアクセスポイント(AP)を設置すると、一番離れたリビングでは電波が届かない、というのが割と普通にある。リビングに置いたPS3でダウンロードを行うと、ISDN128k並みの速度しか出ないのだ。しかもしょっちゅう電波が切れる。APを買い換えたものの(丁度IEEE802.11b,gからaが登場しnDraftに移行する時期だった)、それでも、ハイパワータイプなのに電波が届かなかった。

    ■ケーブルの取り回し→電波の取り回しへ
     どうしようかと散々悩んだ。
     壁を通して階下にAPを置くという手法もあったのだが、それをやると今度は弟の部屋で電波が足りなくなる。鉄筋とか石膏ボードとか、最近の建材は電波に優しくないのだ。
     一時期はやったPLC(電力線搬送通信、コンセントでインターネット接続するやつ)も導入しようか悩んだものの、費用も高いうえに電化製品からのノイズもあり、さらに帯域が圧倒的に不足するため、これも見送った。

     ふと、取替え終わって電源を切られ、寝転んでいたAPを見た。
    「有線接続ならハブとして機能させられるのになー」
     なんて口走って、(無線LANでブリッジできればいいのになー)と、昔を振り返る。学校や企業ではとにかく物理接続、それこそNTサーバでドメイン管理して(現在ではこれも既に廃れた技術である)、とりあえずハブでガンガン経由させて通信するのが主体だったからだ。

     ピンときた。
     スタンドアロンにしたノートパソコンを1台用意し、使い古したAPに接続し、ネットワーク接続を細かくチェックしてみたところ、その機能は存在した。
    「APブリッジ」

    ■APブリッジでケーブルレスなネットワークへ
     さて、肝心のAPブリッジとはどういうものか。簡単に説明しよう。無線LANが主流ではなかった時代、大量の機器をネットワークに接続させるにはこんな感じで接続していた。

    →終端装置→ルーター(or NTサーバ)→ハブ→使用端末(PC)

     この時代では下手をすると学校や企業ではNTサーバがルーターの代わりもしていた。ハブなんて下手すりゃ何十台も経由していた。しかし時代が変わってくると無線LAN技術も進歩し、(イコール)記号の部分が無線になった。

    →終端装置→ルーター使用端末(PC)

     ただし、この方法ではルーターの周囲、数十メートルしか通信できない。困った困った。イケてる会社は、

    →終端装置→ルーター→ハブ→中継無線親機使用端末

     なんてこともしていた。ハブを経由しているので有線マシンも使えるし、無線機器のある部屋では無線親機を設置すれば無線も使える。けど機械増えすぎじゃね?(ここまでやるなら自分だったら有線接続してる誰かのマシンの無線機能をオンにして中継させる)
     ということで本題、APブリッジを使って無線通信をする。

    →終端装置→ルータールーター(ハブとして利用)使用端末

     この仕組みの良い点ひとつめ、終端装置と接続しているAPルーターと、ハブとして利用しているルーター(便宜上本稿では ハブAP と呼ぶ)の間にLANケーブルが不要だという点である。今回のケースの場合、使い古したルーターが「ハブAP」となる。APルーターとハブAPは有線のかわりに無線接続でネットワークを構成する。
     良い点ふたつめ、ハブAPからは無線も有線もとれる機種によって違うかもしれないが)。今回の場合、ハブAPは有線出力だけではなく無線出力もしているため、APルーターの電波が届かない場所であっても、ハブAPの電波が届く範囲にあれば、無線機器はそこそこの速度で通信することができるのだ。有線出力にも対応しているので、ハブにLANケーブルを接続すれば無線機能のない機器もインターネットに接続できるのである。
     良い点みっつめ、ハブAPはコンセントと電波があれば何処でも設置できる。APブリッジしたハブAPから、さらにハブAPへ、という感じのリレー(中継とか、あるいはトランシーバを使ったことがある人なら「レピーター」という表現が分かりやすいか?)をすることができる。
     極端な使い方をするなら、

    →終端装置→APルーターハブAPハブAPハブAPハブAP使用端末

     なんて滅茶苦茶なこともできる。ハブAPのあるエリアなら、どの中継点でも無線通信が可能だ。但し、携帯電話の基地局のようにAP間でうまくハンドオフ(渡る)ことができるかどうかは不明。(SSIDを統一すれば出来るかもしれないが、近隣局と干渉するかも)
     
    ■家が広いなら使うべし。
     そんな訳で、我が家では古いルーターをハブモードにしてハブAPとして利用している。親機(APルーター)は私の部屋、子機(ハブAP)は階下の玄関先である。これで、家の中ならどこでもネットワークに参加できるようになった。
     今使わなくてもいい。例えば将来自分の家を買った後、電波の飛びが悪いからといって壁に穴をあけてLANケーブルを引き通すという涙の出そうな作業をする前に、こういうことができるということを思い出せればそれはそれでいい。(私は実行してしまったが)
     壁にホールソー(穴開け器具)やドリルで穴を開けなくても、廊下の天井付近でもいいし洗面台の余ったコンセントを使ってもいい、数千円の出費で家の壁に風穴を開けずにネットワーク強化が出来るのだ。

    ■オフィスでも活用できる!
     オフィスで出費を抑える方法としても、この方法は良い。同じフロア内の中継は勿論だが、ビルで上下階直近の場所なら、たぶんぎりぎり通信可能。
     もしオフィスで無線通信機器が無くても、例えばWindowsなら「ブリッジ通信」や「ネットワーク共有」という機能を活用すれば似たようなことができる。ハブAPをパソコンにやらせてしまう、という方法だ。これなら親機を買い足す必要がない。
     必要なものは「無線LANが使えるが、ネットワークにはLANケーブルを差し込んで接続しているコンピュータ」である。ややこしい? つまり、無線LAN機能を使っていないコンピュータだ。使っていない無線LAN機能を「親機」扱いにして通信することができるのだ。
     但し、どちらの方法を使うにしてもネットワーク管理者がネットワークを管理しているなら、必ず承認を得ること。そういう場合、後者では手元にあるコンピュータには管理者権限が無い状態でログインしている可能性があるからだ。前者の場合、台数をきっちり決めて管理しているところに新しく参加させるとローカルIPアドレスが不足したり、他の人の分のIPアドレスを使ってしまったり、下手するとIP重複という深刻な問題を引き起こす。
     また、外部から簡単に接続できてしまうということはセキュリティ上のリスクが急増する。だから管理者の許可は必要だし、管理者が居ないとしてもセキュリティ対策はきっちり押さえておかないとかなり危険だ。

    ■手順・ポイント
     基本的には取扱説明書に書かれている。そのため、ここでは大雑把な説明のみに留める。親機はAPルーター、子機はハブAPである。
    ・無線親機と子機で使うアクセスキーを統一する。ハブAPが何台あっても原則共通。
    ・無線チャネルを決定する。親機・子機ともに統一。
    ・親機でAPブリッジを使う設定をする。
    ・子機はルーターモードではなくハブモードにして、APブリッジを有効にする。
    ・親機や子機に、互いにブリッジ先のMACアドレス※を入力する。

    ※MACアドレスとは、01:23:45:67:89:abとか01-23-45-67-89-abといった0から9とaからfからなる機器固有IDのこと。ちなみにMACアドレスは理論上70超個割り当て可能なため、意図的にMACアドレスを変更しない限り重複することはまずない。

     ポイントとして、
    ・子機親機ともに設定時には有線接続するのが非常に良い。
    ・子機親機ともに本体設定アクセス用パスワードは標準のものから変更すること。(無線接続するときのセキュリティキーのことではない)
    ・子機はルーターモードにしない。IPアドレスは親機で一括管理する。但し同一ネットワーク・サブネットマスク内に (254-ハブAPの数)台以上同時接続する場合はこの限りではない。これ以上の台数を接続する必要がある管理者なら、こんな記事を読む必要は無いだろう。

     基本はこれだけである。自宅の無線LANくらい自分で管理できる、という人なら説明書を読みながら上記に注意して作業を進めれば、比較的簡単に構築可能。

    ■最後の注意書き
     これは無線LANを語るときに必ず説明することなのだが、無線LANは国内でちょっと特殊な扱いを受けている。特殊というか特例を受けている、と表現すべきかな。
     実は無線LANの特定チャネルは、屋外での通信が禁止されている。全部ではないけれど。例えばIEEE 802.11gとIEEE 802.11bは屋内外どちらでも使用できるが、だいたいセットになっているIEEE 802.11aとかIEEE 802.11nは屋外で使用できない周波数帯が含まれている。うっかり屋外で使うと電波管理法違反になる。庭先でnやa規格の通信をするのは、本来はいけないのだ。よく覚えておこう。建物間で通信をしたいなら、屋外用レピーターを購入しましょう。

     また、無線LANは電子レンジで使っている周波数と干渉する帯域を使っている。親機・子機ともに、電子レンジから最低1mは離した場所に設置したほうが良い。時折、オーディオ機器やテレビにも影響するので、こちらにも注意されたし。


    ■おまけ・付録
     都市部や団地などで無線LAN接続が途切れてしまう、という話をよく聞く。過去の仕事先の上司から散々解決を頼まれた話だ。
     これは他の家や部屋、オフィスから出る通信が混ざること(混信)によるもの。残念ながら解決方法はまだない。無線LANは特定周波数域の特定のチャンネル幅に通信が集中するうえ、昨今では規格の違う電波も同時出力し、さらには拡散通信(スペクトラム拡散)という方法で速度を搾り出している。簡単に言うと「使えるところは全部使おうとしている」である。(厳密に言うと、拡散通信は実は電波障害緩和のための手法)
     周波数ホッピングという手法もあるのだが、それ以上にマンションやアパート等の密集地点では各々が無線機器の通信出力をフルパワーにして帯域の奪い合いをしているため(これみよがしにパワー勝負をするメーカーも悪い)、しょっちゅう切断されたり速度が落ちたりする。対策としては、親機の通信チャネルを特定の1チャネルのみにするとか、利用者で協議して送信出力を皆で下げるようにすれば解決できる問題だ。

     ところで、無線LAN規格であるIEEE 802.11シリーズにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴がある。難しくないので覚えておくと便利かもしれない。(ちなみにBluetoothなどはIEEE 802.15という系統で、無線LANではなく無線PAN(パン、Pはパーソナルのこと)と呼ぶ。

    無印……国内では目にする機会はもう無いだろう。
    11b……遅い。屋外OK、障害物に割りと強い、電子レンジが天敵。互換性◎。
    11a……そこそこ速い。屋外NG、出た当初は「障子紙すら抜けない」ほど障害物に弱かった。nが出ていよいよ見捨てられた。互換性△。障害物なしの直線(直視範囲)には強い。
    11g……そこそこ速い。屋外OK、障害物にはそこそこ。互換性◎でbとgは仲良し。そのため電子レンジに弱い。
    11j……今のところ触ったことがない。aとgと同じ位の速度らしい。免許が必要。一般家庭では使えない。もし売っていても買っちゃ駄目。
    11n……現時点で最速。屋外NG、障害物に強く電子レンジが敵、互換性○。
    11ac/ad……最新規格で通信速度が桁違い。ただ、規格上の周波数帯域からして壁や障害物には弱いと想定される。見える範囲で高速通信するタイプと思われる。
    一部のチャンネルでは屋外も使える
    a/b/g/n対応ならレンジや障害物に強いほう。b/g/nだと周波数帯域の問題でレンジや障害物に弱くなる。

     では、どのルーターを購入すれば良いor速いのか。
     対応する規格を確認すればよい。a/b/g/n/ac/adという6種類が一般に出回っているもので、古いものも含めればこんな感じである。
    ↓対応
    b/g……都市部・マンション・アパートでは原則避けるべき。通信遅いけど郊外なら屋外でも使えて互換性も◎
    b/g/n……都市部・マンション・アパートでは避けたほうが良いかも。屋外× 互換性◎
    a/b/g……地雷。但し郊外では問題なく使えると思われる。屋外× 互換性 ○
    a/b/g/n……現在の理想。但し接続する機器がn対応していないとa/b/gと同じ。屋外× 互換性◎
    ac/ad/n……最速だがac/adは接続機器が少ない。iPhoneは4/3GS、PSP、PS3とか使うなら避けるべき。屋外×(adだけなら屋外OK)
    a/b/g/n/ac/ad……全部のせ。夢のような機材で発売されているならば現時点でベストの選択かもしれない。互換性◎、但し電波特性と使う機器のことをちゃんと理解して使い分けないとフルスピードで運用できないと思われる。屋外×
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