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「レミングたち」角洋介監督 インタビュー
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「レミングたち」角洋介監督 インタビュー

2021-11-28 12:00

    東京インディペンデント映画祭・第1弾
    東京神田神保町映画祭スタッフによる推薦作品を配信いたします。

      

    いつも応援ありがとうございます。東京神田神保町映画祭スタッフの向日水ニャミ子です。こんにちは。向日水ニャミ子です。 今回は去年の応募作の中でも強く印象に残っていた『レミングたち』という映画をご紹介します。

     

    皆さんは映画のタイトルにもなった「レミング」という動物をご存知でしょうか?レミングは北極近辺に生息するネズミの一種。

    近年まで海に飛び込み集団自殺すると信じられていました。でも、それは間違った情報でレミングたちは自殺とは反対に「生きる」ために海に飛び込むのです。

    夢中になれることがない、自分で何も選ぶことができないと嘆く主人公の翔。翔は物語のなかで困難を抱えながら懸命に生きる登場人物の姿に勇気づけられ、等身大の自分のまま精一杯生きることを始めます。

    監督からインタビューの事前アンケートで映画「レミングたち」の覚書というnoteの記事を送っていただきました。その中には映画をつくる経緯となった病のこと、長期入院中の心境、映画に関わった出演者やスタッフへの想いが綴られていました。

    制作経緯には角監督が大病を患ったことで、「生きること」について考えたこと。
    映画に出てくる人物や、リアルに関わった出演者スタッフにも「レミング」のエピソードがリンクしていることを知り映画での感動がさらに増します。

    今回のインタビューを通して、物語に繋がるバックストーリーを知れたことがとても嬉しくもあり、この作品を推薦させて頂きインタビューをすることができたことが誇らしいです。

    この記事を観た人に少しでも興味を持って頂き、より多くの人に『レミングたち』を届けられるきっかけとなれば幸いです。



    角 洋介(すみ ようすけ)プロフィール

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    1993年生まれ、福岡県北九州市出身
    九州大学芸術工学部画像設計学科卒

     

    大学時代に同期と映像製作団体Move(現:STUDIO MOVES)を立ち上げ、主に撮影監督として多くの自主制作に携わる。Los Angelsに1年間の留学、Cinematographyについて学んだのち帰国。現在は東京を拠点に主に撮影部として活動している。
    https://yosuke58fl.tumblr.com/

     

    東京インディペンデント映画祭「レミングたち」29分 監督:角洋介

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    <あらすじ>
    東京で暮らしている翔は、希死念慮に囚われていた。
    そんな時、妹・渚が事故に遭ったという知らせを受け、急ぎ故郷へと帰る。 足が動かなくなってしまった渚はそれでも夢を諦めず懸命に生きようとしていた。
    翔は渚との交流の中で"生きること"について考え始める。

     

    <キャスト>
    岡崎森馬、高田歩、斉藤陸、大門嵩、大山真絵子、湊凪



    視聴期間:12/5(日)~12/11(土) 
    https://sp.nicovideo.jp/watch/1637618703
    ※期間以外は表示されません       
    ※登録料(550円/月)



    ▼角洋介監督インタビュー▼

     『レミングたち』を制作するきっかけをお聞かせください
    2019年夏に思いもかけず、心臓の病が見つかり命の危機を感じる大手術を受けました。
    もし発見が遅れていたら、半年ほどで突然倒れてそのまま死んでいたかもしれない…助かっても重い障害が残った可能性もあったそうです。

    転機というか…そのことを映画に残さなければいけない気がして、入院中から少しずつ脚本を書き始めました。心臓の大動脈弁の置換手術ということで2ヶ月の入院生活はほぼベッドの上で過ごしていたので、「生きること」について存分に思いを巡らせる時間がありました。

    何故、自分は生きているんだろう?と問いかけ…この映画を撮ることで「ほんの少しだけ何かが変わるかもしれない」という希望と何とか糧にしたいという思いがありました。

    この映画を撮ることで自分の中の壁を壊したいという気持ちがあったのだと思います。

    僕にとってはレミングが海に飛び込むような、生きていくために必要な挑戦で誰のためでもなく自分のために撮りました。だから身を削って協力してくれた皆には心から感謝しています。

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    普段は撮影監督をされているとのことですが、監督作品は何作目ですか?監督と撮影監督ではどんなところが違いますか?

    えーっと、いつからカウントするか悩みますが…学生のときのはとてもお見せできるものではないので、それを除くと3作品目ですかね…。

    撮影監督の立場であれば監督の”何をしたい”というイメージをどのように具現化して行くか、問題解決・デザイン的な

    思考に専念できるのですが、自分が監督をやるとその”何をしたい”の根っこの部分を決めないといけないですから…本

    当にしんどいです。終わった後はもう二度とやりたくないって思うんですけど、気づけばまたやりたくなってしまう…それが映画の怖いところですね。

     

    そうなんですね(笑)中毒性みたいなものでしょうか?また監督をやりたくなってしまう理由はなんでしょうか?

    そうですね。やっぱり作品を通してコミュニケーションがとれることが嬉しいですね。

    僕は人とのコミュニケーションが苦手で…でも映画を見てくださった方から、良くも悪くも御意見や感想をもらえたりすることがあると、また監督をやりたいと思います。

    作品を通じてコミュニケーションが成立することが嬉しくて、また映画を撮りたくなるんだとと思います。

     

    これまでも脚本はご自身で書かれていたのでしょうか?最初の着想は?
    いままでは10分以内の短い作品が多く、どちらかというとドラマよりは映像表現に重きを置いていたので、今回は手探りながらチャレンジしました。

    まず最初に飛ぶイメージがありました。登場人物の3人それぞれに、当時あり得た自分の選択肢を重ね合わせました。生きる意欲を失っていたとしたら、突然に自分が目指すものへの手段を失ってしまっていたら、実際に死んでしまっていたら。。主題歌になったイトウナホさんの『誕生』と『心電図』曲を聞きながら、イメージを広げていきました。
    あとはどうしても海へ行きたい、というのがありました。

    以前撮影で行ったことがある静岡県の海が、イメージにしっくりくるので、その周辺でロケ地を固めていきました。

    カメラマンをやっているからなのでしょうか…撮りたいイメージを先行して考えたように思います。試行錯誤でしたがキャストの皆さんと話す中で徐々にキャラクターのイメージも固まってきて、何とか書き上げることができました。

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    音楽とても素晴らしかったです。主題歌は書き下ろしかと思っていたのですが、脚本よりも先にあったとは…!?イトウナホさんとは以前からお知り合いだったんでしょうか?

    じつはイトウナホさんとは僕の病気が発覚する少し前に運命的な出会いをしました。

    偶然twitterに流れてきたライブ映像で、初めて曲を聴いたときは言葉にできないくらいの衝撃を受けました。音楽に疎い自分が仕事以外でライブに行くことは滅多にないのですが、思い切ってライブハウスまで足を運びました。

    この日に買って帰ったCDの中に挿入歌『誕生』とラストの『心電図』という曲が入っていて、長期入院中の僕と重なるところもあり、励ましてくれた音楽です。

    レミングたちの脚本を書いているときも、撮影の準備をしているときも、撮影の移動中もずっと聴いていたので、心の中では勝手に主題歌に決めていました。

    もしダメだと言われたショックが大きい気がして、撮影がすべて終わってから、正式にオファーさせていただきました。



    出演者、スタッフについて関係性や出会いについて、noteの記事に丁寧に書かれているのを拝見して、とても暖かいものを感じました。驚いたのは、驚いたのは渚役の高田歩さんは入院中に担当されたにお世話になった担当の看護師さんだとかということです。医療従事者として日々患者さんと接しているからこそできるお芝居もあったのでしょうか?

    そうなんですよね。高田さんに血圧を測ってもらっていました(笑)。

    病室で冗談っぽく、いつか一緒にレッドカーペットを歩けたらいいですね、なんて話してましたね。

    高田さんからはリハビリで徐々に体が動くようになって嬉しい様子を見せる患者さんのことを聞いたり、看護師としての経験、日々患者さんと向き合うからこそ出せる説得力がありましたね。

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    けして弱音をはかず笑顔で困難に立ち向かう渚役、すごくハマってました。主演の岡崎森馬さんに一番最初の声をかけられたということですが、今回とても大きい存在だったんではないでしょうか?

    はい、この作品には彼の優しさが必要だと思ったので、まっさきに声をかけました。

    高田さんは今回が映画初出演ということで、

    僕も監督としては不慣れな中、どのように本番に向けて臨めばいいか苦心していたのですが、岡崎森馬さんがリードしてくれました。後から聞いた話なのですが、読み合わせの場以外でもほぼ毎日のように時間を作っては寒空の下、公園で2人で練習に励んでくれたらしくて、そうやって2人は兄妹としての関係性を作り上げてくれました。

     

    主人公・翔についてのキャラクターについて、煙草を吸って咽るしぐさがありますが、どのような意図があったのでしょうか?

    翔には希死念慮があったので、自分の身体を痛めつけるような行為として、煙草を用いました。夢や目標もなく自己肯定感が低い、何かを自分で決められない、とても不器用な人間として描いています。

     

    なるほど、入院患者の大地さんの影響も兄妹にとって大きいように感じました。

    魅力的な俳優陣が揃った見事なキャスティングですね。

    ありがとうございます。斉藤陸さんは、本当に横顔が格好良くて実に映像映えする俳優だなと感じます。彼にはロサンゼルスで出会って以降、

    「メンタルスケッチ」「露光時間」「ブラックホールに願いを!」など、STUDIO MOVESの作品にも数多く出演していただいています。

    森馬くん、そして高田さんの2人は今回初めて一緒に作品を作るため、じつは正直なところ、3人目として陸さんに出演をお願いしたのは現場で僕が安心感を得るため、という理由もあります。

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    撮影当日のエピソードがあれば教えてください

    あまり余裕がなかったので撮影当日の記憶があまりないんですよね…。

    そう言えば、2ヶ月の入院生活を終えてすぐ、とりあえず「何でもいいから何か撮りたい」と思って撮った『みさきへ』という2分の短編があるのですが、その作品が佐田岬ワンダービューコンペティションで佳作賞をいただいて、その副賞としてカメノテ200手がクランクイン前日に届きました。ナマモノなので初日が終わって皆で食べたのですが、功労者の大山さんは2日目以降の参加で、召し上がっていただけず…申し訳ないなことをしました、、すみません。

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    お気に入りのシーンは?

    兄妹の海辺のシーンですね。兄と妹が入れ替わって会話をするシーンが気に入っています。
    とくに渚の「どうせなら思い切り飛べばいいじゃん」という台詞。
    あれを言わせたかった…というか僕自身が誰かに言ってほしかった言葉なんだと思いまます。

     

    映画を撮りはじめたのは大学時代に現在も一緒に活動されている渡邉聡監督との出会いがきっかけとありますが、渡邉聡監督は角監督にとってどんな存在ですか?

    そうですね…渡邉君と出会ったことが僕の映画人生の始まりですね。

    当時、彼が制作していた「HEAVEN FOR STRANGERS」に誘われるがまま参加しました。

    「手伝ってくれない?」と言われて、深く考えずに引き受けたら出演者としてでした。

    太平洋戦争にて戦没した零戦パイロットの役です。エキストラかと思ったらけっこういい役でした。それから彼と一緒に映像製作団体Move(現:STUDIO MOVES)を立ち上げ、主に撮影監督としてコンスタントに作品をつくるようになり、現在に至ります。

    彼は生まれたときから映画監督を目指しているという男です。

    彼の映像表現への哲学、愛情は本当に勉強になります。特にカット割りの妙が素晴らしいと思います。これはお世辞抜きに、監督として心から尊敬しています。これからも彼はメジャーシーンを見据えていますし、彼と渡し合えるような撮影監督になりたいと思います。

     

    角監督もメジャーシーンを目指しているのでしょうか?

    ありがたいことに撮影助手の仕事で大規模な現場にも入らせていただくこともあり、とても勉強になるのですが一方で規模が大きくなるに従ってクリエイティブな要素を決めるのにも手順が煩雑になりがちで、監督として作品に携わるのであれば少数での気心の知れた仲間とつくる作品が良いなと思ったりもします。


    渡邉聡監督『ブラックホール願いを』のクラウドファンディングがすごい勢いですね!?

    ありがとうございます。僕たちも267%達成っていうのは正直驚いていて…。本当に感謝しかないです。出演者も多く、ロケーションに長崎県の軍艦島や茨城県のKEKを使用したり、特撮にも力を入れていて、渡邉監督作品として、STUDIO MOVES作品として、応援してくださっている皆様の期待を裏切らない良い作品になるようめいっぱい尽力したいと思います。来年中には形にできると思いますので、心に留めておいてくださると幸いです。

    渡邉聡監督『ブラックホール願いを』予告編
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    これから映像、映画制作を志す人へメッセージをお願いします。

    そうですね…僕なんかが言えるような立場ではないと思いますが、、まずは興味を持ったことはやってみることでしょうか。何でもいいから一本完成させてみて、人に見せれば何かが始まるかもしれません。


    貴重なお時間頂きありがとうございました。

     




    向日水ニャミ子 
    プロフィール

    8fa0b5c1cf0ca936d142f3d7ed6c76f540a7a788
    詫び錆び、余韻、構図と音フェチ。
    バックトゥザフューチャーして、ネバーエンディングストーリーな妄想癖のある南方系の雑食中年女。
    コミック原作邦画多め、生と死がテーマになっていたり、地味めなファンタジー作品を好む傾向。
    親からは「オマエの頭には“666”の文字が刻まれている」と恐れられていた。繰り返し見る映画「ヴィタール」「奇蹟の輝き」「空気人形」「美女缶」「下妻物語」「コンセント」
     

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