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「トリンタ」高野亜沙美監督 インタビュー
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「トリンタ」高野亜沙美監督 インタビュー

2022-01-16 12:00

    東京インディペンデント映画祭・第1弾

    東京神田神保町映画祭スタッフによる推薦作品を配信いたします。


    女優・演出、東京神田神保町映画祭のスタッフをしております平野綾子(ひらのりょうこ)です。大分の山の中で育った私は、小さい頃からケーブルテレビで外国の映画に慣れ親しみ、特にダルデンヌ兄弟やクラウス・ハロ、ラースフォントリアー監督に影響を受け、エンターテイメント映画よりも淡々と描かれた映画を好んで見ていました。それは私が16歳の頃から俳優の人生を生き始め、映画を見る時に「その状況の時にその人はどう行動をとるか」という部分に興味があったからだと思います。

    今回私がお勧めする映画は高野亜沙美監督の「トリンタ」です。
    推薦させていただいた理由は、一言では言い表せないような登場人物のキャラクターが、大変魅力的だったからです。

    幼少期の体験から心を閉ざし、やっていることはとても酷いことなんだけれど、天真爛漫で憎めない女性。そして異性からモテなさそうなんだけれど、一途で大きな愛をもって女性へ接する男性。その二人が織り出すストーリーと、一言では言い表せないキャラクター設定をどうやって思いついたのか?モデルはいたのか?是非その点をインタビューで掘り下げ伺いたいと思いました。


    高野亜沙美(Asami Takano)プロフィール

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    社会人経験を経て芸能事務所へ所属。主に舞台を中心に女優として活動。

    2008年初舞台出演、その後60本以上の舞台に出演。

    2011年にて舞台脚本デビュー。

    2015年にコントユニット”三文姉妹”を結成し、お笑いライブや賞レースに参加。

    2019年にオリジナル脚本「トリンタ」にて初映画監督デビュー。

    現在は外部の舞台出演、脚本提供、主催公演にて脚本・演出等を行っている。

     


    「トリンタ」38分16秒 監督:高野亜沙美

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    <あらすじ>

    舞台は茨城県の田舎町「茨城町」

    普通の家庭ですくすくと育っている少年“優”。

    ある日、学校の帰り道で大人の本を拾う。

    人気のない小屋で隠れてそれを見ていると、同級生の“愛”に見つかってしまう。それをきっかけに二人は距離を縮めていく…。

    その後、優は愛に対し、一図に想いをつのらせるが、家庭環境が複雑な愛は、優の優しさに冷たくすることでしか応えることができないでいる。

    愛の母親の死をきっかけに再会する二人。

    そして二人はあの日封印した""あるもの""を探し出す…。



    <キャスト>

    永田紗茅 かまくらあや 

    高野亜沙美 小野了【特別出演】

    津久井瑠音 大石結愛 立原翔空

    水野絵理奈 増田将也 杉田麻由香 山田健介 

    咲麻あさ実 菅野めぐみ 西宮詩葉 賢茂エイジ

    寺田ムロラン 大島淳 大津小夏 木津桃花

    古生泰大 深田祐来 山下真礼 吉川一哉 

    遠藤俊司 冠仁 堤裕子 真加藤沙織



    早速なのですが、キャラクター設定はどうやって思いつきましたか?詳しくお聞きしたいです。

    主人公の女の子は愛情表現が上手くできない女性っていうイメージが漠然とありました。普通の家庭ではなく、親からの愛を受け取れず、愛に飢えている女性が人を愛することに臆病になっていたり、愛に枯渇し、相手を信用できないからこそ、許してくれる人がいたらどこまでも酷いことをしてしまう。それを思いついた発端は忘れてしまったんですが、私自身がとても我が儘でして、私に寄せたわけではないですが早い段階でイメージとしてありました。

     

    この映画の冒頭で「この映画はある女性の人生の30分間を描いた」とありますが、その女性を幼少期から60歳まで描こうと思った動機はなんだったんでしょうか?

    実はこの映画のテーマというのが、「昨今のSNSでの人のつながり」っていうのがあります。家族や友達、恋人とか、その人と会ってる時間でしかその人の人生を垣間見ることはできないじゃないですか。でもそれってあくまでも一つの側面であって。さらにSNSは、より一つの側面で断片的な情報を受け取ることが増えているなぁと思っていて。

    それをテーマに書きたいって思った時に、一人の人生が何十年もある中で、その人と実際触れ合っているのって例えばたったの30分しかないかもしれない。この映画を見てくれた方は30分間の映像の中でこの女性の人生をどう受け取るのか。というのをテーマにしたかったんです。

     

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    男性のキャラクターも不器用で冴えない感じが大変面白かったのですが、オーディションで探されたのでしょうか?またモデルになったような人はいたんですか?

    子役の子達は、お友達の子どもたちに出演してもらいました。私が茨城県出身なので地元で撮りたいと思っていたのですが、全く演技経験がない友達の子供たちに「映画撮ろうと思うんだけど演技やりたい?」って聞いたら主人公の男の子と女の子2人とも「やりたい!やりたい!」って言ってくれて。高校生役をやってくれた男の子は茨城大学の大学生で、オーディションをさせていただきました。大人になってからの男性は、ご縁がありまして友情出演という形で出演していただきました。

    男性のキャラクターのモデルも実はいます。これは初めて言うんですが、中学生の頃の同級生です。いつかその人のことを書きたいなとずっと思っていました。実は彼の方が家庭環境が複雑だったりして、どんな人にも優しさを注ぐ人でした。

    小学校の頃の女の子の演技が、演技をしていないところで醸し出す天真爛漫な部分が大変魅力的でした。その子も演技経験が無い知り合いのお子さんだったんですか?またその子との関係性や距離感なども伺いたいです。

    そうなんです、親友の娘さんで。私はその子から”あちゃ”って呼ばれてるんですけど、私は舞台役者で演技をしてるって言ったら「演技に興味がある」と言っていたので「じゃぁ出なよ」と、出演してくれることになりました。私との距離感も近いと思います。本当に小さい頃からその子と会っていました。その中で、この子だったら無意識の中でこの状況をわかってもらえるんじゃないかというのがありました。

    撮影の時スタッフさんとも仲が良く、和気あいあいとしていて、彼女が伸び伸びとできるような環境を作ってくださったと思います。彼女の良さをどれだけ引き出せるかということを、キャストさんやスタッフさん、みなさんが協力してくださったと思います。泣くシーンも永遠とずっとカメラを回してて、本当にしつこくやらせていただいたんですけど、彼女もガッツがあるので食らいついてきてくれました。ずっとカメラを長回ししている状況で、「一緒に泣こう!」と私と一緒に2人で声を出しながら号泣してました。

    映画で特に印象的に残っている部分が、高校生の時に中絶費用を全然関係のない男の子からせびった後、海の中に入って無邪気に遊んでるシーンです。やっていることはとても酷いんだけど、女の子のピュアな部分と映像も綺麗でとても印象的でした。深い闇と強い光を同時に感じたシーンだなと。

    あの場所実は沼なんですよ。涸沼っていう私の大好きな場所なんですけど。キャンプ場にもなっていて、沼って言っても湖のような綺麗な場所なんですけど。小さい頃は母親と一緒に潮干狩りなど遊びによく連れて行ってくれていました。

    言い方は悪いかもしれませんが、水子のことを扱っているので、水にまつわるシーンにしたかったんです。純粋な部分、そして罪悪感を水に流したいという気持ち。忌ま忌ましいことなんだけど、綺麗なシーンにしたいというのはありました。

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    監督ご自身についてもお話を伺いたいです。経歴を拝見させていただきましたが、一回社会人を経験されてから芸能事務所に所属されたということですが、俳優を目指そうと思われた動機のようなものはあったんですか?

    父親が昔映画俳優をめざしていたのですが、結婚したので諦めたんですね。そしてある日、父が失踪しまして。未だに見つかっていないんですけど。最後に父に会った時は、自分が何も頑張っていない状況だったんですよ。私は父のことが凄く好きで尊敬していたのでそれが凄く心残りで。進学校にも行かせてもらって、父の会社を継がせたいと期待をされてたのにフラフラしていたので。何か私が頑張っている姿を届ける方法ってないのかなと考えた時に、父が昔目指していた役者というものと、メディアに出るようなものがあればいつか届くのではないかと思ったのがきっかけです。

    映画のようなストーリーですね。凄いなぁ。貴重な体験をシェアをしてくださりありがとうございます。それでは最後に、見てくれている人にメッセージなどあればお願いいたします。

    SNSや人間関係でもそうなんですけど、その人と接していてイライラする時にその人の人生の側面だけではなくて、奥行の部分も想像出来たらもっと人に優しくなれるのではないかなというのがこの作品を撮りたいと思ったきっかけでした。

    この主人公の女性の人生、30分間をご覧いただいて何を感じて受け取るか。そして、見ている人にとっても人生の30分という時間を共有しているので、その時間の中で登場人物の人生について色んな事を想像してもらいたいなと思います。


    本日は色んな事を深くお話してくださってありがとうございます。インタビュー記事を読んでくださっているみなさま「トリンタ」のオンライン上映を楽しみにしていてください!






    インタビュー・文:平野綾子(ひらの りょうこ)
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    16歳の頃からお芝居を始める。その頃、家のケーブルテレビでダスティン・ホフマンの「トッツィー」を見てかなり衝撃を受ける。影響を受けた女優はシャーリー・マクレーン、ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット。今、井上ひさし原作の「父と暮せば」をアメリカでアメリカの俳優と上演するために奮闘している。

    影響を受けた映画/「ディアハンター」「ヤコブへの手紙」「タクシードライバー」「ゴッドファーザー」「素晴らしき哉、人生!」

     

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