Blenderについて
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Blenderについて

2018-04-01 21:19

    1.はじめに―あるいは注釈―

    久しぶりの投稿になります。まず断っておかなければならないのですが、この記事はBlender機能やCGについての講座ではありません。

    文字通り”Blenderについて”の自分が持っている知識を書き連なってみよう、という記事になります。

    また、この記事で書かれている内容は間違っている箇所があるかもしれません。
    というのも、CG業界に関わらずBlenderという名前のソフトがあることしか知らない方向けにソフトの説明をする際、しばしば(これってソースのある知識だったっけ……?)と自分に自身がなくなることが多々あるからです。
    ですので、改めて自分でまとめて整理してみようと思い筆を取りました。
    間違っている、もしくは情報源不明の箇所ついて知見がある方はドンドン指摘してもらえるとありがたいです!

    2.Blenderとは?

    Blender公式サイトであるBlender.orgからの引用を織り交ぜると、Blenderとは3D機能をメインとしたフリーのオープンソースソフトウェアです。
    ここで言われているフリーの意味は無料ではなく、誰でもどんな目的でも永遠に自由に使うことが可能という自由のフリーです。それに内包する形で無料で使えるようになっています。

    唯一ライセンスで禁止されている点はBlenderに関するプログラムの入手を制限することになります。(注:販売が禁止されているという旨の記載をしていましたが、間違いの指摘を頂いたため改稿しました)
    アドオン等販売は行っても良いですが、Github等で公開して誰でも入手可能なようにする必要があります。これらの詳しい記載はライセンス項目で読むことができます。また、これに関する議論はこちらで確認することが可能です。

    もちろん公式にお金を支援することも可能です。公式サイトのトップをスクロールするとすぐ支援金を歓迎している記載が出てきます。この辺の支援周りの話は詳しく後述しますが、決してお金を支援すべきという意図はないことは先に明言しておきます。
    ユーザーの在り方も自由なソフトです。わざわざ言う必要はないかもしれませんが、念の為。

    3.Blender公式

    よく自分はBlender公式という言葉を使うのですが、厳密に言うとこの辺はもう少し複雑だったりします。

    本来は歴史や成り立ちから詳しく紐解いた方が良いのですが、冗長になりそうなので公式サイトの該当ページをリンクしておきます。気になる方はどうぞ。元々は商用ソフトウェアでした。

    まず、最高責任者として生みの親であるTon Roosendaalが居ます。人となりを知りたい方は大手BlenderチュートリアルサイトであるBlenderGuruで受けていたインタビューが濃密でしたので紹介しておきます。この方です。

    彼がBlenderのオープンソース化に当たってBlender Foundationという団体を設立しました。そのまんま財団という言葉が当てはまる存在になります。
    その財団の活動の一環として支援金を集めてアーティストを雇いElephants Dreamという作品が作られました。オープンムービープロジェクトの先駆けです。
    その反響を得てアムステルダムに開発者とアーティストが同時に働けるスタジオであるBlender Instituteが設立されました。

    ここから、このスタジオがBlender開発の中心となっています。スタジオがどんな雰囲気なのかはオープンムービー最新作であるAgent327のメイキングで分かるかと思います。本編はこちら。猫飼ってますよこのスタジオ。

    働いている開発者もアーティストも一流で、開発者の方は博士号持ちがたくさんいる!程度の見識しかなくてお恥ずかしいのですが、アーティスト側は元ピクサーやLEGOムービーでアニメーターやっていた方などがごろごろ居ます。
    基本的には作品制作と開発が結びついていて、例えばTears of Steelではトラッキングと実写合成機能強化が行われたり、もうすぐ公開予定のHeroではグリースペンシル機能をスタジオ制作に使えるよう機能開発が進められています。(Heroは制作がスペインのPepelandと少し特殊なのですが、後述します)

    これもあって、Blenderはコンポジットや動画編集までこなせるようになっています。ちなみにテクスチャ制作やコンセプトアートでは同じくオランダで開発されているOSSのKritaが使用されています。こちらもとても良いソフトなのですが日本での知名度が薄いのが少し悲しいです……。
    閑話休題

    よくBlenderはユーザビリティが悪いという評価を目にしますが、個人的にはここまでアーティストに寄り添っているソフトは他にないと思っています。
    とはいえ初心者向けというわけではなく、元々Blenderを使える人の為のソフトになっている感は否めないですが。この辺はBlender2.8以降で改善していく予定です。

    もちろんBlender Institudeだけで開発を行っているわけではなく、開発に関わっている方は世界中に居ます

    また、毎年アムステルダムではBlender ConferenceというBlenderの世界規模のユーザーミーツアップが開催されています。Blenderに関する様々なことを発表し合う会で、講演動画はこちらの再生リストで年毎にまとめられています。


    4.Blenderへの支援

    Blenderへの支援の仕方は様々です。Blender開発に参加する・バグ報告を行うといった技術的関わりであったり、Blender作品を公開したり、翻訳を行ったり、チュートリアルを作ったり、質問に答えたり、何でしたらBlenderの紹介をするだけでも支援になります。「Blenderはイイゾ!」
    しかし今回は、お金についての支援を詳しく記述していきたいと思います。
    Blender公式に金銭的支援を行う方法はいくつかあります。

    一つは、Blender.orgの寄付ページからです。PayPalや仮想通貨などでも寄付を行うことができます。こちらで誰が寄付を行っているのか・総額どのぐらいか・基金はどのような用途で使われるのか確認できます。AMDを筆頭に様々な企業・個人がスポンサーとなっています。

    二つ目は、Blender Instituteが運営しているBlender.cloudの有料会員になることです。こちらのサイトではオープンムービープロジェクトのレポートや上質なチュートリアルが揃っています。無料会員でもある程度は閲覧が可能ですが、オープンムービーで作られたBlenderファイルなどは有料会員登録することでダウンロードできるようになります。先述した通りBlender Institudeで働くアーティストは実力者ばかりのため、これで月額9.9ユーロはかなり太っ腹です。

    三つ目は、公式グッズ販売ストアで買い物をすることです。Tシャツやアート本等が販売されています。BlenderCloudの有料会員登録もこのストアを通して行います。最近だとロケットUSBで利用した方も多いかと思います。

    他にもBlenderMarketなどの売り上げの一部を公式に還元しているサイトを利用することでも遠回りですが資金支援になります。この辺からは細かくなるので割愛。寄付者一覧から確認できるサイトが該当します。

    また、特殊な場合に改めて支援金募集を行うときもあります。2月に行われたCodeQuestがそれに該当します。後述しますが、個人ではロケットUSBを買うことで支援できました。

    ちなみにオランダはOSSに明るい国で、支援も豊富という知識をどこかで聞いた覚えがあるのですが、いかんせん情報源が見つからず眉唾です。この当たりご存知の方がいれば是非ご教授頂ければと思います。

    5.Blenderを仕事で使う

    公式が運営を行っているBlenderNetworkではオンライン上で仕事のマッチングが行われています。個人・企業別に年会費を払うことでBlender開発者やBlender認定トレーナーをはじめとした世界中のBlender使いと公的なやり取りを行うことができるようになります。規約はこちら。

    また、実際に仕事で使用された事例はBlender.orgのユーザー利用例でもまとまっています。NASAにもBlender使いが!

    Blenderを使用している映像スタジオ単位では、公式へ支援も行っているTangent AnimationNimbleCollective等があります。Tangent Animationは100人規模でMAYAを使用していた状態からBlenderへ移行しました。

    制作を通してBlenderを発展させている方々も居ます。先述したスペインのPepelandでは代表のDaniel M lara氏グリースペンシル開発を推進していたり、MAD Entertainment作品制作を通してRigify強化を行い、公式に還元していたり、DF VFXとして活動されているDennis Fassbainder氏はFracture Modifier BranchFlip Fluid addonのプロデュースもされていたりします。
    他にもメキシコ・インド・ベトナムなどのスタジオで導入している情報は得ていたのですが、スタジオのお名前を失念してしまいました……。情報あればお待ちしています。

    個人やスタジオ単位でワークフローが完結したり、CGを新導入したりする際にBlenderが使用される傾向にあるようです。日本も以前と比べてBlenderを仕事で使う方が増えたかと思いますが、おおよそ同じ傾向だと感じています。


    6.Blenderのこれから

    現在Blenderの最新バージョンは2.79b、2018年の残りは2.8シリーズのリリースへ向けて開発が集中しています。2.8では先述したグリースペンシルの強化やリアルタイムエンジンであるEEVEE(Extra Easy Vertual Environment Engine)の実装、他にはレイヤーシステムや依存グラフといった根本的なデータ構造の改善に"Blender101"というユーザー毎にUIを最適化するシステムなどをメインターゲットとしています。他にも、先述したFracture Modifier Branchを公式統合する動きもあります。

    2.8シリーズは一つの完成形としての3.0の前段階として、よりプロダクション利用しやすいように開発されていくそうです。ゆくゆくはEverything Nodeといってモディファイア・コンストレイント・パーティクル等もノード制御可能にしていくなどの計画があります。

    詳しい内容は定期的に進捗報告されている記事動画がありますのでこちらをどうぞ。

    このように、ここ数年の動向と比して2.8開発は2.4から2.5へバージョンアップしたときのような大掛かりな開発となっています。
    まずは夏のSIGGRAPHへ向けてベータ版の公開を目指し、4月から世界中に散らばるメイン開発者をアムステルダムに集めて集中開発を行うCode Questの実行が予定されています。このために募集した寄付はロケット販売が2850個越え、スポンサー企業も先述した会社さんたちを始めIntelなども名乗りを上げました。このための新しいオフィスも決まったようです。

    開発中の2.8はデイリービルドとして公式からダウンロードが可能です。こちらの特設ページではEEVEEを使用したデモファイルもダウンロードできます。

    7.終わりに

    つらつらと書いていたら思っていたよりも長くなってしまいました。ほぼ自己満足のための記事となってしまいましたがここまで読んで頂きありがとうございました。
    今回はあえてチュートリアルサイトやコミュニティサイト等の情報は省いて、普段日本語ではあまり触れられていない情報を中心にまとめてみました。
    はじめに書いた通り間違っている点・有益な情報などありましたら教えて頂けますとありがたいです。書き忘れや訂正は都度更新していければと思います。


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