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都市近郊輸送と高速輸送について考える
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都市近郊輸送と高速輸送について考える

2017-06-07 10:52
    旅や交通について言いたい放題やるこのブロマガ、今回は輸送体系の話です。

    みなさんは、「近郊」「郊外」という単語を、どのように捉えていますか?
    首都圏JR各線の場合、大体E231/E233系/E531系などが走るところ=近郊区間と捉えて差し支えないと考えてよいでしょう。
    (運賃の「近郊区間」に関してはSuicaの関係からか松本が東京近郊エリアに入るなど違和感がある)
    だいたいの括りとしては、「都市の中心部に対して日帰り・お出掛けできる範囲」と考えられるでしょう。まぁこの定義だと東京に大して静岡ぐらいも入ってしまうので、「都市の中心部に対して通勤できる範囲」と言えばある程度しっくり来ます。
    今回はこの近郊区間の輸送について考えていきます。

    東京の近郊区間はものすごく広いように捉えられていることが多く、西は小田原・熱海・大月、南は君津どころか富津・三浦半島、東は成田・土浦ぐらい、北は高崎・宇都宮ぐらいが範囲に入ってきます。概ね、関東平野=首都圏と言ってもある程度差し支えはないでしょう。
    これほど広い都市圏を持ち、都市圏人口は世界一と言われています。
    そして、首都圏の凄いところは、都市圏内の旅客流動が激しいことにあります。
    平日夕方に走る下り「湘南ライナー」が何本もあることから分かるように、専用列車を何本も仕立ててもちゃんと需要があるのです。
    そして平日朝の中央快速線上り。並行私鉄・並行各駅停車・オールモノクラス10両編成がありながら2分に1本走っても満員電車だらけ。

    田舎の人間からすれば、「混雑ひでぇ」と思う一方、「この人たちどこ行くんだろう?」という疑問さえ持ってしまいます。
    日本の近郊輸送の特異さはこれだけではなく、それに特化した私鉄がいっぱいあるのにその私鉄ですら輸送人員数で世界有数レベルがたくさんいるのです(京王・小田急・東急など)。

    日本の、特に首都圏の近郊輸送は「変」と言われても仕方が無いところがあるようにも感じられますが、実は世界的に見たら意外とそういう都市は多いと考えてよいかもしれません。
    よく乗車率がおかしい値になっていることがあるインドのデリー、インドネシアのジャカルタなどです。これらの都市は東京に次いで都市圏人口が多く、京阪神よりも多いとさえ言われます。
    しかし鉄道網の整備がそこまで進んでいなかったので、現在もものすごい乗車率が発生しています。デリー・ジャカルタ版「通勤五方面作戦」の出番だと言えそうです。
    (実際、デリーはデリーメトロの整備が進んでいますが、都市圏人口からしてまだ足りない)

    現在、この両国をはじめ、高速鉄道を売り込もうとしていることが取り沙汰されていますが、高速鉄道よりもこうした国が欲しがっているのは、近郊輸送なのではないかと考えています。
    高速鉄道はまだ航空機で代替が可能な上に損益分岐点がかなり高いことが挙げられますし、日本の東京-大阪や東京-名古屋、東京-仙台のような旅客流動が多すぎて困るような区間は世界的にも希少であることを認識しなればならないと思います。
    それこそ、せっかく作った高速鉄道が大赤字・・・なんてなったら目も当てられませんし。

    しかし、近郊輸送鉄道はそうではありません。理由は「代えが利かない」からです。鉄道の強みは、以前のブロマガでも紹介したとおり、大量に輸送が出来ることにあります。特に、鉄道がないと大渋滞が起きる区間にはとても有効といえます。もし、京王のような運転体系を導入して、2~3分程度間隔運行などとし、車両も冷房完備のしっかりしたものを売り込めば、かなり評判も上がると考えて良いと思います。路線の導入コストや需要予測からいってもこちらのほうが、ハードルが低く、日本の運行技術が生きてくると言ってもよいかもしれません。
    また、大都市圏の渋滞対策の抜本的解決手段に使えるため、地方行政支援としても有効な手立てと言えます。
    実際、台湾には日本製の車両が都市間鉄道・近郊輸送どちらにも大量に導入され(一部は現地生産)、その威力を発揮しているようです。
    しかも一部の自強号(日本でいう特急列車)が北陸特急並みに速かったりしますが・・・。

    一方、都市間高速輸送もいろいろ考え物です。東京-大阪は飛行機だけでは足りないほどの流動があるため新幹線が欠かせませんが、それほど旅客流動がないと高規格在来新線を作って代替としてしまうほうが有効なパターンが多いように感じます。
    実際に、鳥取~姫路・岡山の高速ルートとして建設された智頭急行がこれに該当します。特急列車の速度は130km/hに留まっていますが、姫路で新幹線に接続し、乗換ロスタイムなしで大阪・京都・岡山に行けてしまいます。乗換によるロスタイムの考慮は大事な要素で、多少遅くても直通したほうが結果的には速くなる区間もあります。
    特に新幹線が新大阪に行ってしまう大阪の場合は「スーパーはくと」が直接大阪に乗り入れる恩恵がなかなか大きいでしょう。「はまかぜ」が大阪発着なのも、新幹線接続は姫路で済ませれば良いということの裏返しととれます。
    実は北陸新幹線の敦賀開業も、私は消極的です。富山が金沢開業で微妙になったのも、直通特急がなくなって金沢乗換となり、その乗換が面倒だったりしたためです。敦賀開業すると、福井~大阪で必ず乗換が必要となり、結果的に時間短縮せずただ手間と料金が高くなるだけではないかと危惧しているのです。しかも敦賀開業のアカンところは、福井~名古屋でもこれが成立してしまうところ。
    意外と乗換の手間や時間というものを考えると、直通特急のほうが効果が大きかったりする気がします。実際、金沢・富山-新潟・長岡は流動が切れてしまいましたし。
    そもそも、敦賀開業後はどうするのでしょう?
    米原~敦賀だけでは特急が走るには短すぎます(現行でも46km、特急30分前後、各駅停車50分前後)。リレー快速でも走らせるのでしょうか?それとも新快速が通過運転し途中停車駅が長浜だけのものができたり?
    湖西線も近江舞子-敦賀間に通過駅がある列車はどうするのやら。こっちは特急残りそうですが・・・よくわからない状況となっています。

    山形・新庄・秋田~東京の「こまち」「つばさ」もこの例に該当します。在来線の拡張だけで済ませましたが、新規に新幹線を建設するよりも費用は抑えられましたが、直通することによって、乗換にかかる時間を短縮したところは大きいと思ってよいでしょう。

    そして、どれだけ努力しても乗換にかかる時間を短縮しづらいもの・・・それが飛行機なのです。どうしても空港と都市が離れています(伊丹や福岡など一部除く)し、保安検査場や荷物預けの手順などに手間が多く、空港間の移動時間以上に余計に時間がかかりやすいのです。
    これを、私は「総合移動時間」と呼んでいます。
    鉄道は一部(北陸新幹線富山や東海道新幹線新大阪など)を除き、多くは街の中心部に駅があります。繁華街まで徒歩圏内のパターンも多いです。しかし、航空交通はそうもいかず、大手町・丸の内・八重洲・日本橋から直接出発する新幹線や高速バスに対し、わざわざリムジンバスなどで羽田空港に移動し、そこから航空機で移動し、目的地の空港からまたリムジンバスか何かを使わなければなりません。福井や鳥取、高知のように鉄道側にも乗換がある場合はまだいいですが、山形や広島、秋田などは航空機にとってあまり条件が良いとは言えません。
    一方、航空便搭乗にかかる手間があったとしても、鉄道が乗換をたくさん要したり、単線で速度が遅かったり、遠回りしたり、物理的に路線がなかったりする路線は航空便が絶対優位に立ちます。
    羽田-釧路(遠回り)、羽田-那覇(ない)、羽田-出雲(単線)、伊丹-宮崎(乗換)などが該当します。
    特に羽田-那覇は航空会社どうしで競い合っている感じの区間ともいえます。
    高速鉄道整備に効果があるのは、一定区間ごとに大都市があり、その各区間で旅客流動がある区間ともいえそうです。2地点間輸送に特化した航空機には出来ない、各地点間輸送ができるところも鉄道の強みです。
    北陸新幹線なら、富山-金沢は代替手段が多いですが、大宮-金沢、大宮-富山、大宮-長野、長野-金沢、長野-富山が全て1本整備で効果あり・・・というところもポイントです。

    それから、航空便には意外な特技があります。
    一定距離以上になると、一見大回りなルートが突然経済的になることです。
    これは、羽田空港や新千歳空港、那覇空港などがハブ空港となっており、乗り継ぎに適した構造となっているためです。一部の航空会社(JAL、ANAなど)では手荷物を預ける二度手間がないパターンもあり、単なる2区間の移動だけでは測れないメリットを孕んでいることがあります。
    例えば、小松-羽田-新千歳がこれに該当します。直行便も飛んでいますが、1日1往復しかなく機材が小さいのでこのルートをよく使います。
    もっと言えば、手前の三沢や青森、秋田も航空羽田乗り継ぎの選択肢に十分入ります。
    北に行くのに、わざわざ南の空港に行く・・・という、へんな話ですが、これが航空便の特徴でもあります。
    実際、羽田空港はそうした利用を前提に設計されている側面が強く、乗換専用改札もあり、また小松-羽田-新千歳を利用したときは同じ行程の利用者がひとりだけではなく数人いたことがそれを証明しているといえます。

    ただし、その正反対を行ったサウスウエスト航空みたいな会社もあるので、どれがビジネスとして成功なのかはわかりません。しかし、利用者の立場から実際にどれを使おうか考えるときに、航空便と鉄道、高速バス、船舶それぞれの一長一短を比較して旅行日程を組むことによって、旅行がより楽しく面白くなると思います。

    まずはいろいろ試してみると面白いかもしれませんよ。

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