Obscura/Akroasis
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Obscura/Akroasis

2016-11-06 03:30



    1. Sermon of the Seven Suns
    2. The Monist
    3. Akroasis
    4. Ten Sepiroth
    5. Ode to the Sun
    6. Fractal Dimension
    7. Perpetual Infinity
    8. Weltseele
    9. The Origin of Primal Expression

    ドイツはバイエルン州ミュンヘン出身のプログレッシブ/テクニカルデスメタルバンドの4th。現在はThulcandraでの活動も目覚ましいSteffen Kummerer(Vo/Gt)率いるObscuraと言うと、オールドスクールデス~プログレまでメタルに限らず様々な要素を貪欲に取り込み、暴虐性と知的さを緻密に構築/計算し尽くしたコズミカルな世界観は数多の超絶技巧揃いがひしめくテクニカルデスメタル界隈でも異彩を放っています。その名を知らしめることになった2nd「Cosmogenesis」やテクニック/暴虐性/叙情性の全てにおいてレベルアップを見せた名盤3rd「Omnivium」と着実に成長を遂げるも、Steffen以外のメンバーが依然安定せず、その3rdを名盤たらしめる要因の一つとなっていた名手Christian Muenzner(Gt), Hannes Grossmann(Dr)の両名が脱退、今作からはTom Geldschläger(Gt)とドイツ産ジャズプログレメタラーPanzerballettのSebastian Lanser(Ds)を新たに加入させますが、発表寸前にTomが脱退して現在はRafael Trujillo(Gt)という人物を迎えています。その新生Obscura第一弾となる本作「Akroasis」は透明感のあるアトモスフェリックな浮遊空間×縦横無尽に駆け巡るテクニカル/プログレデスといった仕上がりで、まるでCynicの2nd「Traced In Air」をデスメタル化させた、或いはアトモスフェリック化して化けたFallujahの「The Flesh Prevails」を思い出すような一皮も二皮も剥けた新たなObscuraの姿を披露しています。ちなみに今作は2ndから続く人類のサイクルという哲学的テーマに基づいたコンセプト作品の第3弾で次作で最終章を迎えるのだとか。

    CynicライクなヴォコーダーのクリーンVo要素や変則的なドラミングと流麗なギターが彩るインストパートを従来のObscuraサウンドにアクセントとして上手く挟み込んだ1. Sermon of the Seven Sunsを始め、曲冒頭からメロデスらしいストレートな疾走が高揚感を煽り、プログレらしく目まぐるしい展開をしつつも、今まで以上にメロディックなフレーズを盛り込んだ即効性の高めの3. Akroasis、怒涛のアグレッションでもって攻めに攻めまくる前半~しっとりとした静寂を織り交ぜたプログレデス方面のアプローチが濃くなる後半と静と動の対比が見事なまでに打ち出された4. Ten Sepirothなどのアルバム前半からして、明らかにプログレに寄せてきてることが分かるが、所狭しと縦横無尽に暴れるテクデスパートも何ら劣って聴こえることはなく、むしろその技巧の数々には眩暈を起こしかねないほどにスリリングで目が離せないほど魅力的。後半に入ってからもその勢いが盛り下がることなく、豪胆でデスメタリックなリフによるどっしりとした曲ながらも時折Cynic的なミステリアス風味を加えて荘厳な雰囲気を纏っていく5. Ode to the Sun、スピード感溢れるアグレッシブなテクデス路線からプログレ要素が増していく4.タイプな6. Fractal Dimension、パワメタ/スラッシュ系のザクザクした刻みリフが新鮮さを運び込み、ドラマティックなギターやコーラスで爽やかな風を吹かす7. Perpetual Infinity、そして本作の実質ラストを飾る8. WeltseeleはOpethやAlcestが用いる暖かなアコースティックギターの弾き語りから始まり、変則的なテクデス~ミドルまで緩急を付けながら流転を繰り返す前半→ストリングスによる神聖な雰囲気でしっとりムードに包まれる中盤→中東的エスニックなフレーズやシンフォニックな味付けでスケール感で高めながら怒涛のプログレデスへと急展開する15分超えのエピック過ぎる大曲で、終盤はソレら全てが混然一体となって押し寄せる様は若手スラッシュ急先鋒Vektorにも迫るものを感じます。というかコレ聴いた時点でベスト入りが決まったのは言うまでもない。ボートラの9. The Origin of Primal Expressionはその急性な楽曲の疲労感を癒してくれるかのようなメロウなアコギインストでこれもまた良し。

    プログレッシブ方面へと大きく舵を切ったサウンドの変化に関しては、少なからずメンバーチェンジによる影響が見られるが、今作を聴いた後ならSteffenの人選が強ち間違いじゃなかったことを認めざるを得ません。勿論、そういうアプローチは以前からもありはしましたが、ここまで寄せてくるのはちょっと想定外でした。新加入の各プレイヤーの技量も前任者に勝るとも劣らぬ凄腕揃いで、本作のクオリティの向上に十二分に活躍してる。同時にリフのキャッチーさやメロディックさにも磨きが掛かっており、忙しい展開の連続であっても非常に聴き易くてテクデス入門にも打ってつけだと思います。その反面、「Cosmogenesis」時ほど爆走に次ぐ爆走って畳み掛けるようなシーンはかなり少なめで、そういうブルータルなサウンドを求めると肩透かし喰らいそうな感は否めませんが、アトモスフェリックな美しさやスペイシーな浮遊感、プログレッシブな凝った展開に惹かれるリスナーであれば是非チェックしてほしい名作です。


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