A Winged Victory For The Sullen/Atomos
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A Winged Victory For The Sullen/Atomos

2015-04-05 19:39



    1. Atomos I
    2. Atomos II
    3. Atomos III
    4. Atomos V
    5. Atomos VI
    6. Atomos VII
    7. Atomos VIII
    8. Atomos IX
    9. Atomos X
    10. Atomos XI
    11. Atomos XII

    イタリア北部エミリア=ロマーニャ州ボローニャにて結成されたエレクトロニカ/アンビエント/モダンクラシカルユニットの2nd。アンビエント/ドローンの有名バンドStars of the LidのAdam WiltzieとSofia Coppola監督「Marie-Antoinette(2006)」のスコアを担当、アメリカ人ピアニストとしてソロでも活躍するDustin O'Halloranの二人からなるA Winged Victory For The Sullen。そんな芸術肌な二人によるErased Tapes RecordsとKrankyからリリースされた本作「Atomos」はRadioheadのThom Yorkeの振り付け担当で知られる英国ロイヤルバレエ専任振付師Wayne McGregorのスコアの為に書き下ろされたものだそうです。エンジニアには彼らを結び付けるきっかけとなった人物Francesco Donadello(元Giardini Di Miro)が前作同様に担当し、ベルギーのブリュッセル、ドイツのベルリン、そしてAlcest「Shelter」やVampilliaの1stフルなどでお馴染みとなったポスト(Sigur Rós)界隈での最重要地ことアイスランドのGreenhouse Studiosの三か所でレコーディングされている。

    本作は11曲の(ウチのキーワードの一つでもある)「Atomos」という組曲から編成されており、冒頭の1. Atomos IからTim Heckerあたりを彷彿とさせる今にも消えてしまいそうなくらいに儚げで、時にシリアスさも交えた繊細なポストクラシカルを基調とした清廉なアンビエント大曲を披露するのだが、2. Atomos IIではたおやかなストリングスを導入した格調高き深遠なる音の美しさにハッとさせられる。Dustinの奏でるシンプルながらも心に響き渡る美しいピアノの旋律に耳を奪われる3. Atomos III、そして静から動へとポストロック的な展開でもって深い叙情性を持たせた神々しさすら漂う4. Atomos Vまでの流れは完璧で前半のハイライト的ナンバーでもある。これまでの美しきアンビエントを基本としつつもOPN的なエレクトロ要素を加えた近年の音響/ニカシーンと共振し合う5. Atomos VI、波のような音の揺らぎがまるで生きているかのようなリアルな世界観に息を呑む6. Atomos VII、胸を締め付けるようなシリアスな感覚、そして緊張感を持って迫りくるサウンドの重圧感に圧倒される7. Atomos VIII、アンビエント空間の間に流れるメランコリーな淡い儚さがゆったりと染み渡り、安らかな感動を呼び起こす8. Atomos IX、細切れになったノイズやミニマルな感覚もある9. Atomos X、浮遊感を持ったストリングスにエモ―ショナルかつ艶やかなピアノが鳴り響く10. Atomos XI、そして深みのある荘厳なシンフォニーに昇天不可避な11. Atomos XIIまで彼らの創作意欲が注ぎ込まれた極限のモダンクラシカルを展開、安らかで静かな感動を聴き手にもたらしてくれる。

    「ポストクラシカル×アンビエント×エレクトロニカ」という組み合わせは今となっては言うほど珍しいものではなく、OPN/Ben Frost/Tim Hecker/Jon Hopkins等様々なニカ/音響系アーティストが試みていること。そしてウチでよく取り扱うポストプログレ提唱kscope所属のアーティストなんかもモダン/クラシカル方面へと足を踏み込んでいる。しかし俄然本格派な彼らの音を聴いてしまうと、それらですらお遊びに聴こえてしまうほどの普遍的な美しさや心が洗われるような神秘性を放っており、こういうのを真の芸術作品と言うのだろうとふと思ってしまった次第。それはヴァイオリンやヴィオラなどからなる重層的なストリングスの繊細な肌触りからしても一目瞭然で、ソコに静謐なアンビエントやエレクトロが混ざり合うことで素晴らしい相乗効果をもたらし、ヨーロピアンな至福の世界観を作り上げている。とにかくこの心が洗われるのと同時に満たされる感覚はいつまでも続いてほしい願望が凄くて、我ながら今作をベスト選出しなかったの後悔してるほどです(後で書き換える予定)。


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