Floating Points/Elaenia
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Floating Points/Elaenia

2016-06-12 21:57



    1. Nespole
    2. Silhouettes (I, II, II)
    3. Elaenia
    4. Argenté
    5. Thin Air
    6. For Marmish
    7. Peroration Six


    UKはマンチェスター出身、現在はロンドンを拠点に活動するプログレッシブ/エレクトロニカ/アンビエント/テクノ系ミュージシャンの1st。2015年におけるテクノ/エレクトロニカ系等の代表的な作品を挙げると、Aphex Twinの正統後継者とも呼び声高いOPNの傑作アルバム「Garden Of Delete」が群を抜いて素晴らしかったことが記憶に新しいが、某店にてOPNやArcaにFlying Lotusと言った秋の電子系特集即ち「Warpの宴」のお隣にひっそり陣取っていたのが、Sam ShepherdことFloating Pointsの1stフル「Elaenia」であった。彼はプロデュース/コンポーザーとしての姿からDJまでこなす類稀なる才能の持ち主で、UCL (University College London)にて神経科学の博士号を取得した経歴も持っている。その大学在籍中にリリースされたEP「Shadows」も評判が良い作品の一つらしいのだが、LP媒体に拘る彼の性質のためか現在でもCDリリースされておらず手を出すには中々に敷居が高かった。そのため新たに立ち上げた自主レーベル「PLUTO」から満を持してリリースされた今作で初めて彼の音楽に触れる機会を得たわけですな。

    彼の作り出す音楽はエレクトロニカ/テクノに分類されるものとは少し違い、Jaga JazzistやHarbartのようなエクスペリメンタルジャズの素養があったり、所々で挟まれる壮麗なクラシカル風味の味付けに加えてニューディスコやソウルまでも網羅した幅広いアプローチを持たせているのが特徴で、抒情詩と言っても過言ではないドリーミングでシネマティックな世界観は只々美しいに尽き、圧倒的な洗練度を誇っています。壮麗なシンセサウンドを展開し、繊細で透き通った電子空間を作り上げていく冒頭曲1. NespoleからまるでThe Fieldを聴いてるかのようないつまでも漂っていたいあのループ感に襲われる。しかし、ホントに凄いのは三部構成の大曲2. Silhouettes (I, II, II)で、オーケストラ編成の美麗なストリングスをバックにレトロな電子音を散りばめながら時にリズミカルに、或いはジャジーで渋い味わいを加えながら表情豊かに展開していく様はハッと陶酔するほどにエレガンスで最早Progressive-Electronicの境地と言ってもいいくらいに高いアート性を見せつけている(この曲だけでもベストに食い込むほどのインパクトがあったほど)。暗闇の中を彷徨い続ける光る発行体が美しい光彩を描いていくPVにも思わず惹き込まれます。Tim Heckerを彷彿とさせる仄かにノスタルジックで色褪せた温かみを持ったアンビエントナンバーの3. Elaeniaやニューディスコ風味のスペーシーなシンセが夢心地な空間に広がっていく4. Argenté、気泡のような音を放つミニマルなテクノビートが新鮮な5. Thin Air、更に本作のアートワークを抽象的に描いているらしい6. For MarmishもFlying Lotusの最新作「You’re Dead」にも共鳴するような優美なジャズトロニカで非常に心地よいサウンド。そして躍動感のあるリズムセクションにより熱量を上げていく恍惚的な7. Peroration Sixもお見事。ラストはブツ切りの形で終わるのだがそれもまた印象的で聴き終えた後の余韻も堪らない。まるで映画音楽のような世界観が終始耳の奥底で鳴り響いているような感覚は後にも先にも初めてかもしれない。そんな本作は2015年を代表する電子アルバムの内の一枚に違いなくて、当然去年のベストにも選出させて頂きましたね。


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