「ベッキー不倫事件」に続いて「甘利大臣秘書口利き疑惑」、『週刊文春』の快進撃が続いている。

と、そこへ「清原逮捕」のニュース。これも実は一昨年3月『文春』が疑惑を報じたのがキッカケだ。

その他にも「ASKAの覚醒剤使用」「佐村河内盗作」……。「SMAP解散騒動」だって昨年『文春』がメリー喜多川副社長を直撃インタビューしたのが発端だ。

それにしても『週刊新潮』を除いて他の週刊誌が、まったく精彩がない状況のなかで、なぜ『文春』だけがこれほどスクープを飛ばし続けるのか。

ぼくは「今や『文春』は磁石のような雑誌になっている」と言っている。「磁石のような雑誌」、そう、ネタが向こうから飛び込んでくるのだ。

たとえば誰かが内部告発なり、特ダネを売ろうと思ったりした時、内部告発者がまず考えるのは、どこで発表したら、いちばん効果があるか、相手にダメージを与えることができるかということだろう。 特ダネを売ろうと思ったら、どこに売ればいちばん高く買ってくれるかということを考える。

と、なると結局『文春』が選ばれることになってしまうのだ。

お断りしておくが、特ダネの謝礼、『文春』といえども、それほどの額を払うわけではない。だいたい、想像している額とマルがひとつ、つまりヒトケタ違うと考えていただければいい。取材謝礼ならせいぜい5000円から1万円。

ぼくの経験で言うと、スクープネタの場合でも最高に払ったのが100万円だ。オウム真理教坂本弁護士一家殺害事件に関するスクープ写真数点が知人を通じて持ち込まれ、200万円というのを100万円に値切って買ったが、警視庁で確認するとニセモノとわかった。

『文春』がスクープを連発できる、もうひとつの理由は、今の厳しい出版状況の中で、『文春』はいまだに少しは余裕があることだろう。

つまり、何人かの記者を遊軍的に長期取材にあたらせることができる。

長期取材しても、必ずスクープが取れるとは限らない。取材費も莫大にかかるし、他誌にはできないのだ。

チームを作って何ヶ月も取材し、結局モノにならなかった時の徒労感も大きい。

そういうことに耐えて『文春』はスクープを連発しているのだ。


花田紀凱



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