約2か月ぶりに上洛した。正月の京都とは思えないほどうららかな陽気で、

散策している鴨川の岸辺では、上着を脱いでも汗ばむほどであった。

年末に移譲の決まった京都の会社、その後継者である20歳代の若いN君

と、案内とあいさつを兼ねて古都を歩いた。

祇園でのお箸紙とりに、聖護院の寒中托鉢と、短時間ではあったが、すでに

京都の街は私にとって懐かしき場所になっていた。

5年前に立ち上げた新会社は、京都の大学講師で初代社長のIの不正に遭

い、いきなり売り上げの半分を失った。すぐに大阪のH弁護士に相談し、法

的な対応を行うも、出鼻をくじかれて、私の精神はズタズタになった。

京都は相性が悪いのではないか?祈祷やお祓いを繰り返したが、結果は変わ

らない。それはそうだ。京都が悪いのではなく、私が悪かったのだから。会

社経営をするにあたって、決めなければならないことをせずに、Iを完全に

信用し、彼に全権を委譲した私が甘かったのだ。結局、解任し、新しい経営

者を探すことになった。