世の中の事象はメディアが報じれば存在するし、報じなければ存在しないこ

とになっている。リアルとバーチャルの境界線というが、しょせんその境目

はメディアによって作られている。

ネットの発達により、かえって情報が希釈され、現実がみえにくい。メディ

アというフィルターは逆機能を果たし、ますます何が起きているのか判断が

難しくなっている。

東京五輪を巡る汚職事件は新たな展開を見せている。

昨年夏、元電通で組織委員会理事の高橋治之容疑者が逮捕され、積み上げで

1億円超の贈収賄事件にまで発展した。高橋容疑者に払われた1億円超の原資

の一部は税金である。現在は司法の場に移っているが、この事件のスキーム

は、スポンサー企業からのキックバック(資金還流)という典型的な贈収賄

にあった。

『週刊SPA!』の連載では、筆者はそれら一連の事件を「スポンサールート」

と名付けて、毎週報じ続けたが、とにかく反応が悪い。なぜか。答えは簡単

だ。スポンサーにメディアが含まれているからだ。