きょう(9月7日)、アルゼンチンのブエノスアイレスでのIOC総会で2020
年夏の五輪開催都市が決定する。

 決戦までの残ったのは東京、マドリッド、イスタンブールの三都市。東京に
決まれば1964年以来2度目、マドリッドとイスタンブールならば初開催と
なる。

 前回、コペンハーゲンでのIOC総会、東京は二回目の投票で落選した。しか
も一回目の獲得票よりも数を減らす(マイナス2票)という失態を演じ、招致
活動の問題点が多く指摘された。

 一方で、当選を果たしたリオデジャネイロは、ルーラ大統領、メイレレス中
央銀行総裁、サッカーの王様・ペレ、テニスのクエルテンをデンマークでの総
会に送り込んで、最後の訴えを繰り広げた。2回目、3回目と投票を重ねるご
とに票を増やし(20票ずつ)、最終的にはダブルスコアでマドリッドを退け
た(34票差)

 2位になったマドリッドは、フェリペ皇太子とサッカー界の若きスター、ラ
ウルを会場に送り込んだ。しかも、ラウルはメディアセンターまでやってきて、
世界中から集まって来た記者たちにサインを書き続けるサービスまでしていた。

 シカゴは、オバマ大統領が夫妻でコペンハーゲン入りした。またプレゼンで
はシカゴ出身の歌手などが積極的に参加して、華やかさを演出していたが、一
回目の投票で姿を消した。

 4年前、IOC総会の取材で現地コペンハーゲン入りしていた私は、結局、東
京がいったい何をどうしたかったのか、皆目、見当がつかなかった。

 オリンピックを呼びたいのか、観光都市としての東京をアピールしたいのか、
アジアでしか通用しない日本人の歌手を宣伝したいのか……。

 果たして、東京の内向きのキャンペーンは改善されたのだろうか? 投票開
始まであと半日を切った。

 今回、私は最大のライバルであるマドリッドの地から、投票結果を見守る。



 Daily NO BORDER用にこの草稿を書いていた直後、マドリッドの落選が決ま
った。

 市中央部の独立広場に集まったマドリッド市民の大半はあっという間に帰途
に着き、残った者たちからは怨嗟の声が聞こえた。

 なにしろ3回連続、計4回目の落選である。少なくとも12年分の期待が一
瞬にして砕け散ったのである。残念という言葉では片付けられない悲哀が広が
るのも無理ない。