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conaさん のコメント

更新お疲れさまです。
お話し読んでるととてもイメージしやすくてシーンごとに頭に浮かんでくるので本当に読むのが楽しいです!続きがとても気になります…!次回も楽しみにしてますね (*´▽`*)
No.10
101ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
どうも、執事です。 先週に引き続き冬コミで頒布されますアンダーバー星オリジナル小説、 「スペースオペラアンダーバー」 今週も本文を少しだけ大公開致します!!! 早速本文掲載を始めたいと思うのですがその前に。 先週、公開致しましたエピローグ( http://ch.nicovideo.jp/underbar/blomaga/ar928230 )内に登場しました少年少女の名前は、 集(しゅう) 花(はな) と、読みます。 以上を踏まえまして今週もチラ見せ本文を楽しんでお読み頂けましたら幸いです。 それでは、どうぞ! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1.もやしっ子、世にはばかる   「うんこで笑えない奴は――――人生を十二割、損してる」  穏やかな温かい風が吹き込む学校の教室で、周囲から浮いてしまう事を気にせずに机の上へ立って雄弁を振るう一人の眼鏡をかけた少年の姿があった。 「なんで子供の頃はくだらない事であんなに笑えてたんだろうって、不思議に思った事は誰でも一度はあるはず」  学校指定のチェックのズボンに緑のパーカーというスタイルの少年――集の言葉に、机を囲んでいた如何にも。といった見た目のオタクな男子生徒たちが次々に同調の声を上げていく。彼らの後押しを受けて集の演説はどんどん熱を帯びて調子を上げていった。 「それは何故か……ずばり、僕たちが子供の頃に持っていた楽しむ心を、極めて大切な心を、いつの間にか無くしてしまったからだ!」  教室内の一角に生じた特殊な熱気へ向けて、もれなく女子生徒からはドン引きの視線が一心に注がれていたが、そんな事は彼らにとってどこ吹く風。 「子供にはどんな事でも楽しいと思える感性がある。だから、うんこでだって涙が出るくらい笑う事が出来る。だからこそ、僕たちに必要なのは、笑える物が届くのを待つ事じゃない。笑おうと努力する、いつも笑顔でいようと努力する事が大切なんだ!」  高らかに行われた宣言へ惜しみないオタク男子たちからの拍手が湧き起こった。語り終えた集は自分を囲むスタンディングオベーションに満足気なご様子。  本当はかなり良い事を言っている気がしなくもないのだが、それを覆い隠して有り余る彼らの異様な熱量と『うんこ』というワードの破壊力が周囲の女子から避けようのない反感を買っていた。  さらにたちの悪いことに集のオタク男子たちへ向けた演説はこれで終わらない。 「笑顔でいようと努力する事、つまり全てを楽しもうとする事。人生を楽しむ上で一番大切な事はこれだけと言い切っても過言ではない!」  齢十七歳にして人生を語る少年の言葉にオーディエンス(オタク男子たち)はどんどん引き込まれていく。 「だからこそ! うんこで! そして、おっぱいで! そう、おっぱいで。おっぱいで 幸せを感じて何が悪い!」 「そうだ!」 「いいぞ!」 「もっと言ってやれ集!」 「おっぱいで楽しんで何が悪いんだー!」 「安藤集はここに声を大にして言いたい。見てしまう我々が悪いのではない。それだけおっぱいというものが、最高なのだと!」  集は良い事を言っている風に初めから長々と主張と見解を述べていたが、要は一言でまとめてしまえば『おっぱい最高』これだけを主張したかったらしい。  室内にいた女子生徒たちの嫌悪の視線が最高潮に達していく中で、机の上に立っていた集はふと、廊下側の教室の端っこで自分たちのバカ騒ぎには目もくれず、黙々と読書に励んでいる少女の姿を見つけた。  彼女は今年の四月から転校して来た生徒でクラス内でもクールビューティとして一目置かれている。転校初日に男女問わずたくさんの人間が声をかけたのだが、少女にとっては人間とのコミュニケーションよりも本と対話する事の方が大切だったようで、声をかけた全員が玉砕し、やがて彼女に声をかける人はいなくなった。 ――――つい、先ほどまでは。 「高乃さん!」  机から飛び降りるや否や、オタク男子たちをかき分けて少女――高乃さんへ向かって行く集。 「あの、良かったら僕と――――」  集が高乃さんへ何かを伝えようした矢先、教室のドアが突然に荒っぽく開かれる。 「一緒、に……」  大げさに肩を揺らしながらこちらも見た目が如何にも。といった不良集団の登場で彼の言葉は尻すぼみに消えてしまった。 「さっきからギャアギャアうっせえんだよ! 騒いでる奴誰だ、コラァ!」  不快な高音を含んだ金切り声を上げて不良の一人が掃除ロッカーを蹴り飛ばす。既に今ので騒音の最大値としては集たちの演説を軽く超えているのだが、本人たちがそれを気にするはずもない。 「何だテメエら……さっきまで騒いでたくせに静まりやがって。騒いでたのはどいつだって聞いてんだよ!」  二回目の咆哮に驚くほど自然な動作でオタク男子たちが揃って集を指さす。 「お、お前ら! なんて薄情な」  オタクたちが口々に「許せ……」「これは必要な犠牲だった」「お前のことは語り継ごう」などと別れの言葉を集へ告げている間に、先ほどから暴れていた不良生徒が集へ近付き彼の胸ぐらを掴み上げていた。 「さっきまで騒いでたのはテメエか?」 「そうとも言えますしそうでもないかもしれません」 「あァ? テメエ舐めたこと言ってっと」  含んだ物言いをした不良生徒は次の瞬間に相手を掴んでいた両腕を思い切り引いて、鼻と鼻の頭がくっついてしまいそうな程の距離まで集の身体を引き寄せる。 「二度と学校に来れねえツラにしちまうぞ……?」 「…………ダサい」 「あァ⁉ 今、言ったのは誰だおい!」 「わたしですけど」  静かな動作で読んでいた本を閉じ、全く臆した様子も見せずに不良の男と向かい合う高乃さん。大きな瞳と形の良い唇を有する整った彼女の表情は、怒っているというよりも何者も恐れていない無表情といった方が正確であった。 「テメエ、さっきから一人だけすましてやがると思ったら……良い度胸じゃねえか」 「せっかく読書してたのにアナタのせいで台無し」 「んだとコラァ――――っ?」 容易に怒りの沸点に達した不良生徒は集の胸ぐらから手を離す。だが、高乃さんへ掴みかかろうとしていた両腕は何故か集の胸の前から動かなかった。 「…………良くないと思います」  不良生徒の両手首を自分の胸の前で掴んだ集が少し震えた声で言葉を続ける。 「こういうのは……」 「何してんだ、テメエ」 「女の子には、こういうの……良くないと思います」 「じゃあテメエには良いよな? アァン⁉」  激昂した不良生徒は無理矢理に集の拘束を振りほどくと間髪入れずに何のためらいも無く集へ殴りかかった。 「ボコボコにしやるよ――ッ!」  顔面へ迫る拳に集は何故か焦った様子が見られない。すると、集は滑らかに最低限の動きだけで不良の右腕を躱し、盛大にバランスを崩した不良生徒はそのまま前のめりに体勢を崩してしまった。 「はっ?」  予想外の事に間抜けな声を漏らす不良生徒。至って平然とした様子の集は不良の背後へ回ると、直前まで行っていた世紀の大演説時のテンションが嘘かのように冷静な声で相手の背中へ語りかける。 「女の子に暴力は良くないと思います」 「マグレで避けたからって調子に乗んじゃねえぞ、あァ⁉」  転ぶ直前のような姿勢になっていた不良生徒がもう一度、集へ向けて殴りかかろうとする。  しかし、その暴力は教室のドアを開けて駆け込んできた教師たちの手によって遮られた。どうやら廊下にいた誰かが教室内の騒ぎに気付いて教師を呼んできたようだった。  その場にいた不良生徒たちと一緒に生徒指導室へ来るように指示を受ける集。 教室を出て行く直前に高乃さんを見ると、彼女は既に席へ戻って何事もなかったかのように読書を再開していた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【次回の更新へ続く】
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