マル激!メールマガジン 2025年11月5日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド (第1282回)
5金スペシャル映画特集
故レッドフォードが描いたアメリカという物語
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月の5回目の金曜日に特別番組を無料でお送りする5金スペシャル。今回は、9月16日にこの世を去った映画界の巨星、ロバート・レッドフォード特集をお送りする。
 今回取り上げたのはレッドフォード監督、出演の5作品。
・『大統領の陰謀』(1976)出演 神保推薦
・『大いなる陰謀』(2007)監督・出演 宮台推薦
・『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)監督 神保・宮台推薦
・『モンタナの風に抱かれて』(1998)監督・出演 宮台推薦
・『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』(2013)出演 神保推薦
 『大統領の陰謀』は、1972年のニクソン政権下で起きた民主党本部盗聴事件に端を発するウォーターゲート事件の真相を追求したワシントン・ポストの2人の記者を描いた実話の映画。ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)とカール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)が数々の難問に直面しながらも地道な取材を続け、最後は大統領の関与まで暴く20世紀ジャーナリズムの金字塔を築いた。地道な取材、情報源の秘匿、NPOとの協力など、ジャーナリズムの基本に関わる論点が随所にちりばめられている。
 『大いなる陰謀』はレッドフォードが監督と出演を兼ねた作品。アフガニスタンでの新たな軍事作戦をめぐり、上院議員、ベテラン記者、大学教授、そして学生がそれぞれの立場で葛藤する物語。大統領の座を狙うアーヴィング上院議員(トム・クルーズ)は、アフガニスタンでの新たな軍事作戦の情報をベテラン記者ロス(メリル・ストリープ)にリークする。その一方で、マレー教授(ロバート・レッドフォード)は、かつて教え子を戦地に送り出した罪悪感に苦しむ。
 『リバー・ランズ・スルー・イット』は監督としてのレッドフォードの代表作の一つ。1910~1920年代のアメリカ合衆国モンタナ州の美しい自然を背景に描かれたある家族の物語。厳格な牧師の父に育てられた兄ノーマンと弟ポールは、幼い頃からフライ・フィッシングを通じて深い絆を結ぶ。しかし成長するにつれ、真面目な兄と自由を求める弟の人生は少しずつすれ違っていく。
 『モンタナの風に抱かれて』は、事故で心身ともに深い傷を負った少女と、その母と、少女の愛馬を救おうとするカウボーイの物語。ニューヨークで暮らす少女グレース(スカーレット・ヨハンソン)は乗馬中の事故で片足を失い、愛馬は暴れ馬になってしまう。少女の母はグレースを連れて馬を癒す能力を持ったカウボーイのトム・ブッカー(ロバート・レッドフォード)を訪ね、グレースと母、そしてトム自身も大自然の中で心を回復していく物語。
 『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』は出演がレッドフォードただ1人、台詞もほぼ皆無という珍しい作品。インド洋をヨットで航海していたある男(レッドフォード)が、海上を漂流していたコンテナに衝突してヨットに穴が開き浸水したのを手始めに、ありとあらゆる災難に見舞われながら、驚異的な抵抗力でそれを一つひとつ、黙々と乗り越えていく様が延々と描かれる。そして、無線は壊れ、水や食料も底を尽き、万策が尽きた時、思わぬところから救世主が現れる。まさに現代版ヨブ記と呼ぶべき作品だ。
 今回の5金映画特集は、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が選んだロバート・レッドフォードの5つの名作について、両氏がそのテーマやそこにあるメッセージが何なのかなどについて議論した。

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今週の論点
・日米首脳会談と日本の土下座外交
・『大統領の陰謀』『大いなる陰謀』に見るアメリカという物語
・モンタナを舞台に描かれた『リバー・ランズ・スルー・イット』『モンタナの風に抱かれて』が示すもの
・現代版ヨブ記というべき『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』
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■ 日米首脳会談と日本の土下座外交
神保: 今日は5回目の金曜日ということで、映画特集になります。今回は、9月16日に89歳で亡くなったロバート・レッドフォードの特集です。数えてみたところ、レッドフォードの監督作品や主演作品は20本以上観ていました。色々なテーマで撮られていますし、特に晩年の作品はイーストウッドと並べて考えると面白いと思います。

宮台: アメリカという国の物語が何なのかがよく分かる作品が多いですね。

神保: 既に見たことがある人はもう一度見てほしいと思います。今回取り上げる作品は全て改めて見ましたが、やはり良く、モンタナを舞台にした2本の映画は特に素晴らしい。ただそのモンタナは政治的にはディープレッドステートなのですが。彼の作品は本当におすすめで、これを観ないのは非常にもったいないと思います。

 今日取り上げる作品は、『大統領の陰謀』(1976)、『大いなる陰謀』(2007)、『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)、『モンタナの風に抱かれて』(1998)、『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』(2013)の5つです。レッドフォード作品はたくさんあり、そんなに映画を見ない人でも1本くらいは見たことがあるかと思います。

 映画の前に少しニュースに触れると、今週はトランプ大統領が日本に来ました。そして今、高市首相はAPECで韓国に行っており、習近平さんとの会談がちょうど終わって記者会見をしている頃なんです。

 それにしても高市政権のアメリカへの接し方というのは異常だと思います。土下座外交のような外交スタンスで臨んでしまったと。日本はアメリカに安全保障も経済も依存していますが、何か要求されたときにそれはダメだと言えるような関係性が見えないということがまず1つです。

 そして、もう1つはテレビを中心としたメディアの報じぶりです。例えばNHKは米大統領専用機のエアフォースワンが羽田に着陸するところからずっと生中継。大統領専用ヘリコプターのマリーンワンに乗り換えて羽田から赤坂プレスセンターまで飛んでいくところは、そのすぐ上をメディアの5機のヘリコプターが追いかけているんです。その後も地点ごとにカメラと中継車を配置して、皇居に入るところまでリレーで生中継していましたが、いったいどんな偉い人が来たらそんなことをするのでしょうか?