マル激!メールマガジン
5金スペシャル映画特集:映画がコミカルに描けば描くほど際立つ絶望と向き合う
2026/02/04(水) 20:00
マル激!メールマガジン 2026年2月4日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド (第1295回)
5金スペシャル映画特集
映画がコミカルに描けば描くほど際立つ絶望と向き合う
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最近コメディ映画があまりヒットしないのは、現実が映画以上にコミカルになっているからなのかもしれない。
月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。今回は前半で衆院選のマル激的争点を、後半でコメディではないのに笑うしかない題材を描いた映画とドラマを取り上げた。
今回の選挙で高市首相は、自身が総理大臣を務めることの是非や、日本維新の会との連立政権が目指す政策について国民に信を問うとしている。メディアは消費税や社会保険料の引き下げの是非など、庶民の懐に入るおカネの話ばかりに終始しているが、それは高市政権の争点隠しに手を貸しているだけだ。実際、自民党の総裁選直後に取り交わされた自民党と維新の会の連立政権合意書には、経済財政政策や社会保障政策以外にも、日本という国の形を根幹から変えることになる従来路線の大規模な変更も多く含まれている。
高市首相がこの選挙の意味は維新との連立の信を問うことだと述べ、選挙で信任を受ければそれらの政策を「力強く実現していく」と断言している以上、連立政権合意書に挙げられた政策がこの選挙で本来問われるべき争点でなければならないはずだ。今回のマル激の前半では連立政権合意書の中身を厳しく検証した。
後半の映画・ドラマ特集では、次の3作品を取り上げた。
・『エディントンへようこそ』(2025)アリ・アスター監督
・『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(2025)久慈悟朗監督
・『プルリブス』(2025)ヴィンス・ギリガン監督
アリ・アスター監督の『エディントンへようこそ』は、コロナ禍のニューメキシコ州エディントンという架空の田舎町を舞台にした作品だ。マスク着用をめぐる対立をきっかけに、保安官ジョー(ホアキン・フェニックス)はエディントン市長選に出馬し、現職のテッド(ペドロ・パスカル)と争うことになる。古き良きアメリカというトランプ的な世界観と、BLM運動や巨大企業のデータセンター誘致といった民主党的な世界観が対立し、登場人物同士の会話はまともにかみ合わない。
やがてジョーの妻やその母は陰謀論に飲み込まれ、家庭は崩壊し、最後は予想外に暴力的な展開へと突き進む。
『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』は、武田一義氏の漫画を原作とするアニメーション映画。1944年9月15日から約2カ月半にわたり、パラオ南西部ペリリュー島で続いた「ペリリュー島の戦い」を題材にしている。主人公たちは極限状況の中でなんとか生き延びようとするが、戦争での死を美しく飾り立てる矛盾や、最後には仲間同士で殺し合うにいたる狂気に直面する。アニメだからこそ、戦争の残酷さを実写で真正面から描くよりも、戦争の本質的な問題点が冷静にはっきりと理解できる作品だ。
『プルリブス』はApple TV制作のドラマシリーズだ。ニューメキシコ州アルバカーキで暮らす小説家のキャロル・スターカ(レイ・シーホーン)が、ほとんどの人類が集合意識化してしまった世界を元に戻そうと奔走する。自我を失うことへの抵抗と、孤独には抗いきれない人間の弱さがよく描かれた秀作だ。
3作品はいずれも、あえてコミカルな表現が用いられているところがあるが、それは人間の営みが持つ滑稽さへの皮肉でもあり、描かれているテーマはどれも重い。衆院選を前に、政権の手のひらでメディアが踊らされ、その手のひらで人々が踊らされている現状を見つめ直す契機ともなり得る内容だ。
衆院選と3つの映画・ドラマ作品を題材に、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・衆院選のマル激的争点
・『エディントンへようこそ』に見る近代社会の虚構
・『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が問う戦争の本質的な問題点
・完全に平和なディストピアを描いた『プルリブス』
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■ 衆院選のマル激的争点
神保: 今日は今年初めての5金企画となります。前半では選挙の話をしたいと思いますが、後半は映画・ドラマを3本用意しています。今回の映画・ドラマは総じてどういう作品ですか?
宮台: 楽しい映画ではありません。コミカルにやっている部分もありますが、それでも重いなと。
神保: 人間が実際にやっていることがコミカルだという。逆に大問題なんですよね。今の選挙を考えると、見る人が見ればコミカルに重いですね。
今回の選挙について気をつけて報道を見ていましたが、僕からするとメディアは完全に政権の手のひらの上で踊らされているように見えます。今井尚哉さんが政権にいますし、今井さんの下で安倍さんのスピーチライターをしていた佐伯耕三さんも呼び戻されています。高市さんはもともと安倍シフトでしたが、安倍さんのやり方をそのまま真似しているのにメディアはまんまと乗っています。それはバカだからなのか、あるいは得だから分かっていて乗っているのか、区別がつかなくなっています。
安倍さんのやり方は経済問題をとにかく前面に出すことでした。どの世論調査を見ても有権者の一番の関心事はお金の問題で、景気や消費税といったものです。そこを前面に出しながら、後ろでは国の形を変えるような路線の変更をするんです。安倍政権では集団的自衛権の行使容認や共謀罪など、色々とやりました。しかし前面には経済問題が出てくるのでそれに注目が集まってしまい、メディアもそれに乗ります。
高市さんは今回まさにそのやり方をしています。今回は消費税が議論の的になっていますし、「責任ある積極財政」を謳っています。これも大事です。大事じゃないと言っているわけではありませんが、有権者の目がそこに向いている間に実は何をしようとしているのかを、なぜここまで見ずにいられるのかが分かりません。
自民党が行った選挙の情勢分析調査の結果があります。最初は1月4日~8日、その後は1月21日~25日に行われました。それぞれの選挙区についてA、A-といった形でどれくらい優勢かまで含めて全てランク付けしたもので、かなり詳細に選挙区ごとの情勢分析をしています。選挙が始まるとこうした情報は報道できなくなるので貴重な情報だと思います。
1月21日~25日の調査では、自民党が小選挙区で177、比例代表で65、合計242となっていて単独過半数を超えています。これに維新を合わせると279になり、過半数を46も超えます。1月4日~8日の調査では、自民党は小選挙区で199を取るとなっていました。トータルでは自民党と維新で295を取るということで、高市さんが解散に踏み切る前提になったのはこの数字だったということです。自民党だけでも過半数を取れるという結果を見て今がチャンスだと判断したんです。
その後に中道改革連合ができたことで、トータルでは23減りましたが、これが現状です。中道改革連合が全然浸透していないことや、公明党の創価学会票が必ずしもそちらに入っていないというのはあると思います。これはある意味で当たり前です。これまで公明票は自民党に入っていて立憲はついこの間まで敵だったので、突然今回からこちらに入れろと言われてもすぐにそうならない人が出るのも分かりますよね。
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