COCシナリオ「寡婦葬送」
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COCシナリオ「寡婦葬送」

2016-03-01 09:00
  • 1

このシナリオについて

改変等自由です。使用報告も必要ありません。お好きに使ってください
不明な点などはコメントで突っ込んでいただければ改訂します

・探索者作成について

フレーバー程度の戦闘があるシティシナリオです。
推奨技能:三種の神器+説得


・シナリオの真相

市村早苗はおめがみさまの巫女の末裔で、彼女の自宅の敷地内にある蔵にはかつて彼女の祖先が弱体化させ封じた黒き仔山羊が封じられたままになっていた。
彼女は夫と妊娠中の子供をほぼ同時期に亡くすという悲劇に見舞われ、不定の狂気状態に陥っていた。
狂気がようやく小康状態まで回復したころ、彼女は何かに導かれるように蔵の掃除を思い立ち、それまでずっと足を踏み入れないでいた蔵に立ち入った。そこで彼女は仔山羊の封印を解いてしまう。
仔山羊は市村早苗に使役される関係となり、早苗の言うことは基本的に従う。初めはその様相に気味悪がっていた早苗も、自分のうしろを雛鳥のようについてくる仔山羊に愛着を覚え始める。あるいはそれは、亡くした家族の代替でもあった。
しかしそうして彼女たちが暮らし始めてしばらくして、市村荘に水鳥と名乗る男がやってくる。彼は同時期に市村荘に滞在していた遠藤と意気投合し、ふたりは地元の民間信仰について調べていた。
そして水鳥はおめがみさま(シュブ=ニグラス)の祭壇のありかを見つけてしまう。そして降り悪く、祭壇の周辺をうろついていた仔山羊と鉢合わせた。突然現れた怪物に恐慌状態に陥った二人は仔山羊に襲い掛かり、仔山羊もまた、自らが殺されそうになったことで逆に水鳥を殺してしまう。その死体を自身の身体に取り込むさまはまるで食べているかのようだっただろう。
仔山羊がいないことに気づいた早苗が裏山に来た時にはすでにすべてが終わったあとで、襲われた跡が生々しく残った仔山羊に駆け寄った彼女に対して生きのこった遠藤は狂気の中でとっさに彼女たちの関係を理解し、「お前は母親になんかなれない」と言い放った。
早苗はこのことを深く後悔し、仔山羊を本来いるべき場所へ帰そうとする。そしてその場所として彼女が考えたのが、おめがみさまのもとだった。おめがみさまの巫女の末裔である自分の家に封印されていたのだから、仔山羊はおめがみさまのこどもなのだろうと考えたのだ。
そしてそれからおよそ1年後、早苗が仔山羊をおめがみさまのもとに帰そうとしている3日前に探索者たちがH市にやってきた。


0.導入

探索者たちは友人から、自分の友人が言っていることについて調査してほしいという依頼を受ける。
これを了承すると、友人は遠藤という男と引き合わせるよう取り計らってくれる。


1.遠藤との会話

探索者たちが待ち合わせの場所に行くと、遠藤と彼の婚約者である須藤が既に来ていた。
遠藤はあきらかに何かに怯えているようなそぶりをするが、探索者たちが話を聞き出そうとすると婚約者には別の場所に行ってほしいと口にする。このとき、婚約者に同行する探索者がいる場合は「婚約者の証言」を参照。
遠藤に話を聞くと、下記のような情報が手に入る。

■遠藤の証言
  • 昨年、自分はA県H市のとある集落に滞在していた
  • その町で、同じように旅をして回っていた男と出会った
  • 彼は水鳥といって、様々な民間信仰について調べていると言っていた
  • その地域にも古い民間信仰があり、自分も物珍しさから調査に同行していた
  • その信仰に関わりのある施設を探しに山に入ったあとの記憶がない
  • 山で倒れている自分を発見したのは地元の消防団で、その時滞在していた民宿の主人が捜索してくれるよう頼んだらしい
  • 山で発見されたのは自分だけで、同行していたはずの水鳥は見つからなかった
  • その後の記憶は曖昧で、当時のことを思い出し始めたのは最近のことだ

探索者がそれ以上の情報(特に、水鳥がいなくなった時の状況)について尋ねると、彼は突然大声を出して取り乱すだろう。
言動は支離滅裂だが、このとき「あの影」「自分を呑みこもうとする」「あの時と同じように」といった言葉を断片的に聞き取ることができる。


■婚約者の証言
  • 昨年、彼はひとりで旅に出ていた
  • 目的地も告げずに旅に出るのはいつものことだったので特に気に留めていなかった
  • しかし、A県の病院に彼が搬送されたという連絡を受けたときは驚いた
  • 自分もすぐに病院に向かったが、そのときまだ彼は混乱していて、自分に「お前は母親になんかなれない」ということを言った
  • あとからその時のことを尋ねてみても彼は覚えていないようだったから、自分に向けた言葉ではないとは思っている

このとき婚約者への〈心理学〉に成功すると、彼女は本心から遠藤を心配していること、しかし病院でかけられた言葉に少なからず傷ついていることがわかる。


2.探索へ

こののち、探索者たちはA県へ向かうことになるだろう。
移動手段は特に問わないが、A県に向かう日は新月の2~3日前にするのが望ましい。
また、探索者がA県に入る前に情報を得ようとする場合は以下の通り

・A県H市について
A県では有数の都市。漁業と工業が盛ん
・水鳥が調べていた民間信仰について
「おめがみさまについて」を参照

A県H市(の、M地域)には遠藤たちが泊まっていた民宿以外に宿泊施設はない。
そのため、探索者たちはこの民宿に宿泊することになる。
宿泊先以外の探索個所は以下の通り

・市立図書館

おめがみさまに関する書物等を探すことができる。
「M村の信仰と災害」「絵本『そう太としるしの木』」参照
図書館にたむろしてる子どもたちは裏山で肝試しをしようという話をしている。裏山は神隠しに遭うから入ってはいけないという子供がからかわれている。
これに話しかけると、神隠しの情報が手に入る。「神隠しについて」参照
図書館司書に民宿に泊まっているという話をすると、興味を持ったような視線を向けられる。さらに民宿についてはなしを聞こうとすれば、彼女は民宿の女将についての情報を教えてくれる「女将の過去について」参照

・コンビニ

探索者が望んだものはだいたい手に入る。

・裏山

登山道に沿って散策する場合には〈ナビゲート〉等のロールは必要ない。
探索の際、〈幸運〉ロールを振って失敗した探索者は木々の影に巨大な獣の影を見かける。(0/1)のSAN値チェック
また、〈目星〉に成功すると獣の爪痕のようなものをみつける。
登山道から外れる場合は〈幸運〉ロールを振り、全員が失敗した場合は仔山羊と遭遇。
「しるしの木」(森の中でもひときわ古い巨木)を探す場合は、〈ナビゲート〉に成功する必要がある

しるしの木:森の中でもひときわ古い巨木で、根元に大きなうろがある。これは、仔山羊を押し込むことも可能なサイズである。
うろの中には三つ重なった逆さの鳥居のマークが彫られている。この中央は門になっており、はるか外宇宙とつながっている。この門のマークを覗きこみ、門の向こうの世界を見てしまった場合、SAN値チェック(1/1D8)
門は常時開け放たれた状態となっており、鳥居のマークに触れれば通り抜けることができる(MPとPOWは消費する。消費値は9)

3.民宿の探索

探索は1か所につき30分を基準とする。
民宿では朝食と夕食を用意するので、昼食は探索者が各自手に入れる。
民宿の消灯時間は23:00だが、特に騒いだりしなければ時間を過ぎても部屋の中では行動可能。また、早苗に話を通しておけば夜間の外出も可能である。
民宿内の探索については、外と1Fについては問題なくできる。
2Fの探索については、基本的に早苗は2Fにいるので留守を狙わなければならないこと、万が一探索中に早苗に鉢合わせた場合のリスクを探索者に伝えておくこと。
理想的な流れとしては、1~2日かけて2F以外の探索を行い、新月前夜に2Fの探索を行うことである。
探索中に仔山羊と鉢合わせ、仔山羊を倒してしまった場合、その死体をよほどうまく隠さない限り早苗がその死体を見つけ出し、恐慌状態に陥る。このとき探索者がそばにいる場合は悲鳴などが聴こえてくるだろう。
そして探索者が仔山羊を殺したと知った場合、彼女は探索者に襲い掛かってくる。
早苗を殺してしまった場合、逮捕エンドとなるので注意。

黒き仔山羊
STR:27
CON:14
SIZ:28
INT:25
POW:6
DEX:14

HP:21
MP:6
DB:2D6

触肢 80% 踏みつけ 40% 2D6+DB
忍び歩き 60% 森の中に隠れる 80%
火器装甲 1ポイント
ショットガンのダメージ 最低値
目撃したことでのSAN値チェック(1D3/1D10)

※通常の黒き仔山羊のステータスの6割ほどに弱体化させている。PLが少ない場合、戦闘技能を持っている探索者が少ない場合はさらに弱体化させてもよい
※仔山羊は探索者が攻撃をしてこない限り自ら攻撃することはなく、攻撃手段もより成功率の低い踏みつけのみである。これは、仔山羊が人間と関わることを避けようとしていることによる。

市村早苗(31)
STR:8
CON:10
POW:12
DEX:12
APP:12
SIZ:9
INT:14
EDU:11

HP:10
MP:12
SAN:30

経理 60% ライフル 40% 製作(料理)60% 運転 30%
※猟銃は元は夫のものだったが、死後も形見として持っておきたかった早苗が自身も狩猟免許を取り保管している。


民宿「市村荘」

・畑:何の変哲もない普通の畑。
〈目星〉動物などに荒らされた跡はなく、またその対策も取っていないように見える。

・蔵:壊れかけの南京錠がかかっている。裏に回ると、外壁の一部が壊れていてそこから出入りできることがわかる。

・蔵の内部
1階と2階に別れている。
1F:棚と長持ちがある。
棚:〈目星〉骨董品や道具類が特に整理することもなく置かれている
長持ち:〈目星〉細長い袋(日本刀)と1冊の本を見つける。本の表紙は故意に消されたような跡がある。「古い本」参照
2F:古い家具を解体したような木材が置かれている

・ヤギ小屋
子ヤギが1匹いる。女将に尋ねると名前はユキだと教えてくれる

1F
民宿の屋根裏には黒き仔山羊が住み着いている。1か所探索を終えるごとにKPは探索者の〈幸運〉でロールすること。複数人で探索を行っている場合は全員が〈幸運〉に失敗したとき、運悪く仔山羊が天井を突き破り探索者たちの前に姿を現すだろう。

・3つの部屋
探索者が泊まる部屋。ここには特に情報はない。

・食堂
探索者たちが食事をとる部屋。
〈目星〉家具にこすったような傷がある。ペットを飼っているとつきそうな傷だが、ペットというには大型の動物を連想させる。

・厨房
女将が朝食と夕食を用意する
〈目星〉家具にこすったような傷がある。ペットを飼っているとつきそうな傷だが、ペットというには大型の動物を連想させる。

・男女別の風呂と洗面所
ここには特に情報はない。

2F

早苗の住居スペース。こちらでは原則的に仔山羊と遭遇することはない。

・寝室
ベッド、ローテーブル、姿見、クローゼットがある。
ベッド脇のサイドテーブルには亡くなった夫の写真が飾られている。
クローゼット:〈目星〉天袋から猟銃と弾薬と狩猟免許(早苗のもの)を発見する

・書斎
本棚、PCデスクがある
本棚:〈目星〉古書をみつけることができる。タイトルはなく、表紙は一面が真っ黒に染められている。〈アイデア〉成功で、この本の表紙が血液で染められていることがわかる。SAN値チェック(0/1)「血染めの本」参照
PCデスク:〈目星〉「早苗の日記」を見つけることができる。


4.不審な物音

1日目の夕食後、探索者たちは全員〈聞き耳〉を振る。
成功した者は、天上から何かが這いまわるような音を聞く。
この音について早苗に尋ねると、山からタヌキなどの獣が降りてきて民家に入り込んだりしているらしい、と教えてくれる。
このとき、すでに畑についての情報を手に入れている探索者がこのことを尋ねると、彼女は「そうですか?うちも結構被害に遭っているんですよ」と苦笑して答える。〈心理学〉に成功すれば彼女が嘘をついているとわかるだろう。

探索者が屋根裏を探索しようとした場合、こちらも〈幸運〉ロールで仔山羊と遭遇するか判定するとよい。遭遇した場合、狭い屋根裏では戦闘を行うことは不可能だろう。また、仔山羊も全力で探索者から逃げようとする。


5.夢

1日目の夜、探索者の一人(選び方は問わない)は夢を見る。それは、蛇のような蔓のようなものに巻き付かれるというものだ。探索者が起きることを望めば、〈CON×5〉ロール成功で起きたことにしてよい。
またこのような得体のしれない夢を見たことでSAN値チェック(0/1D3)
2日目以降も選ばれた探索者は同じ夢を見、その都度SAN値チェックが発生する。
夢を見る探索者は1人に限定させず、また日によって変えても良い。
これは仔山羊を倒すまで続く。PLに危機感を覚えさせ探索を促すための演出。


6.新月前夜

新月の前夜(探索が進まないようなら、毎夜ということにしても良い)、早苗は突如姿を消す。
探索者たちはこの時に2Fの探索を行っても良いし、早苗を探しに行っても良い。
早苗を探しに行く場合、山以外の場所では彼女の居場所の手がかりを得ることはできない。
山に早苗を探しに行く場合、PLから特に提案がない場合は〈ナビゲート〉成功で儀式の準備をしている早苗を見つけることができる。
早苗はしるしの木から歩いて10分ほどの距離の場所にいる。しるしの木をすでに見つけていて、そこに探しに来た場合は〈聞き耳〉-20成功で何かを掘り返すような音を聞き取ることができる。その音を頼りに進んでいけば早苗を見つけることができるだろう。

早苗を見つけた場合、彼女は慌てた様子で探索者たちになぜここにいるのかと尋ねてくる。
仔山羊を倒していた場合は、その死体が祭壇の上に捧げられているだろう。
探索者が早苗を糾弾するようなことを言うと、「あなたたちに邪魔はさせません!」と逆上して襲ってくる。


7.早苗の説得

早苗にシュブ=ニグラスの召喚はやめて、それ以外の方法で仔山羊(またはその死体)を返すよう説得し成功した場合、彼女はその通りにする。
RP次第で〈説得〉ロールに補正を与えても良い。
【考えられる代案】
・門から仔山羊を帰す
・早苗に仔山羊に元いた場所に帰るよう命じさせる


8.新月の日

早苗の説得ができないまま新月の夜を迎えた場合、シュブ=ニグラスが召喚される。H市一帯は炎に包まれ、探索者たちも火災に巻き込まれ死亡する。(時間切れエンド)
探索者がシュブ=ニグラスを目撃した場合、SAN値チェック(1D10/1D100)


エンディング

・早苗の説得に成功し、仔山羊を生きたまま帰す
ベストエンド。
・早苗の説得に成功し、仔山羊の死体を門から返す
グッドエンド
・早苗の説得に失敗、仔山羊を門から返す
ノーマルエンド
・時間切れ。シュブ=ニグラスが召喚される
バッドエンド。クリア報酬なし

クリア報酬

  • 探索者の生還 1D6
  • 早苗の生存 1D3
  • 仔山羊の生存 1D3

【資料】

■「おめがみさま」について
  • A県H市(旧M村)の一部の地域で信仰されている
  • 五穀豊穣、子孫繁栄の神とされており、特に子宝を望む女性は「おめがみさま」を参拝するとよいと言われている
  • 「おめがみさま」という呼び方は女性器の俗称から来ていると考えられる
  • いわゆる金精様や古代ローマのファルスのように、男性器のみ、あるいは男性器と女性器の両方を祀る例は国内外問わず多く見られるが、女性器単独での信仰は極めて珍しい

ここからクリティカル情報
  • 「おめがみさま」は現在では地域に根付いた守り神のような存在となっているが、かつては社とご神体、そして「おめがみさま」の声を民に伝える巫女がいたと言われている。
  • 巫女による儀式も行われていたと思われるが、時代が下るにしたがってそれらは形骸化し、人々の記憶から失われ、「おめがみさま」という信仰の対象だけが残った

■「M村の信仰と災害」

M村では古くから土砂災害に見舞われてきた。
村民はそれをおめがみさまの怒りと見なし、供物をささげるなどの儀式を行っていたとみられる。
また、災害をおめがみさまの祟りとして伝承にも残した。
現在でも地元住民の中には大雨が降ると「おめがみさまが降りてきた」と表現するものもいる。


■「神隠し」について

M村では昔から人や家畜が突然いなくなることがあり、おめがみさまの神隠しであるといわれていた。
神隠しはおめがみさまが現世に下りてくるための門の周辺で起こると考えられており、その門の付近は聖域とされ、みだりに入ってはならないとされていた。


■絵本「そう太としるしの木」

むかしむかし、あるところにそう太というわんぱくな男の子がいました。
そう太はお母さんのいいつけをちっともまもりませんでした。
お父さんにしかられてもまもりませんでした。
いもうとのめんどうをみなさいといわれても、あそびにいきたいのでまもりませんでした。
まきをわりなさいといわれても、あそびにいきたいのでまもりませんでした。
そう太はじぶんがいいつけをまもらなくても、お父さんかお母さんがかわりにやってくれることをしっていたのです。

あるとき、お母さんがそう太にこういいつけました。
「おめがみさまのしるしのあるところに行ってはいけないよ。おめがみさまにつれていかれてしまうから」
おめがみさまにつれていかれたら、にどともどってこれなくなってしまうからね、と。
みっつかさなったさかさのとりいの、おめがみさまのしるしもおしえてもらいました。
「おめがみさまのしるしをみつけたら、すぐにはなれてにどとそのちかくにいってはいけないよ」
しんけんなかおでお母さんはそう太にいいつけました。

つぎの日、そう太はおめがみさまのしるしをさがしはじめました。
おかあさんのいいつけをまもるつもりなんて、そう太にははじめからなかったのです。
それに、みっつかさなったさかさとりいのもようを見てみたいともおもいました。
けれど、むらじゅうさがしてもおめがみさまのしるしはみつかりませんでした。
きがつくとあたりはくらくなりはじめていました。
そう太はむらのじんじゃのうらにある山の中にいました。
ざわざわと山の木々のはがかぜでなり、まるでおおきな生きものののようです。
そう太はきゅうにふあんになってかえろうとしましたが、おひさまはあっというまに山のかげにかくれてしまいます。
まっくらになった山の中で、そう太はおそろしくてうごけずにいました。
そのとき、そう太はすこしはなれたところに大きな木があることにきがつきます。
大きな木のねもとには、たいていうろがあるものです。そのうろの中でなら、よるをこせるかもしれません。

そう太は急いで大きな木のところに行きました。
大きな木のねもとには、そう太が考えたとおりに大きなうろがありました。
そう太がふたり入ってもよゆうがあるほど大きなうろです。
その中にそう太はしゃがみこみ、じっとしていることにしました。
よるの山はおそろしく、さすがのそう太もこりていました。
あさになって山を下りたら、きっとお父さんとお母さんにこっぴどくしかられることでしょう。
でも、もうにどとおとうさんとおかあさんのいいつけをやぶったりなんかしない。
そう太はそう考えました。

うろの中はふしぎとあたたかく、そう太はすこしだけほっとします。
おちつくばしょを見つけてあんしんしたせいでしょうか。
そう太は、うろの中でぼんやりとひかるものをみつけました。
ひかるものはうろのうちがわにはりついています。
いえ、はりついているのではなく、かかれているのです。

すみでかかれたかのようにはっきりしたもようが、ぼんやりとひかりかがやいていました。
そのもようは、みっつかさなった、さかさのとりいをえがいていました。


つぎの日のあさになっても、そのつぎのあさになっても、そう太はいえにかえってきませんでした。
おとうさんとおかあさんはそう太のゆくえをほうぼうさがしましたが、さいごまでそう太は見つかりませんでした。
むらの人は口々にこういいました。そう太はおめがみさまのかみかくしにあったのだと。
おめがみさまにつれていかれたのだと。
おめがみさまにもらわれていったのだと。

おしまい。


■女将の過去について

数年前に結婚していた。夫婦仲は近所でも有名なほど良かった。
しかし3年ほど前に地元の消防団所属だった夫が土砂災害に巻き込まれなくなってしまう。
その上、その時ちょうど妊娠したばかりだった女将は子供を流産してしまったらしい。


■古い本

〈日本語〉成功で30分、失敗で2時間かかって読み込むことができる。
おめがみさまの「門」に関することが書かれた本。常識の範疇からかけ離れた知識に対しての恐怖でSAN値チェック(1/1D6)
また、「門の発見」「門の創造」の呪文を習得することができる(どちらか片方でも可)
・門の発見
呪文の使い手は1ポイントのMPと1D3のSAN値を喪失
この呪文でできることは門を発見することだけであり、門を開ける・閉める・通ると言ったことに関しては力を貸してくれない
・門の創造
詳細はルルブ参照


■血染めの本

〈日本語〉成功で2時間、失敗で4時間かかって読み込むことができる。
おめがみさまの召喚に関する知識が書かれた本。神の招来の知識に触れてしまったことでSAN値チェック(1D6/1D10)
シュブ=ニグラスの招来/退散の呪文を習得することができる
・シュブ=ニグラスの招来/退散
呪文の使い手は1D10のSAN値を喪失する
神格が到来した場合はその分のSAN値も喪失する。
祭壇を清めるためには200SIZ分の血液を石に振りかける必要がある
女神を招来するたびにさらに40SIZ分の血液を注ぐごとに成功率が20%上昇
仔山羊1体ごとにさらに10%上昇


■早苗の日記

(亡夫からプレゼントされた)10年日記。2010年からつけられているが、2012年(夫が亡くなった年)の分はまるまるページが破り捨てられている。
(2011年まで)時事ネタに触れつつもとくに当たり障りはない日常の記録。その時々に夫との惚気が挟まるリア充日記
(2013年から)

04/11
久しぶりに日記を書く。
今まではそれどころじゃなかったから…
日記を書いてみたらどうですかと言われてはいたけど、今まではなかなかそんな気にならなかった。
でもたぶんもう大丈夫だと思う。

04/12
今日蔵の掃除をしていたら、蔵に床下収納があることに気がついた。
ほとんど蔵には入ったことがなかったから、気付かなかったのも当たり前だけど。
蔵の床上には簀が敷かれていて、さらにその上に簀子があった。
今になると、どうして簀子や簀をどけてまで掃除をしようとしたのかわからない。
まるで何かに呼ばれてるみたいな…ううん、あまり難しいことは考えないようにしよう。お医者様にもそう言われているし。
とにかく、今まで見えていなかった床に、床下収納の扉があった。
ずいぶん長いこと放置されてたのは見てわかったけど、扉の縁を塞ぐみたいにたくさんの紙を貼った跡があったのはどうしてだろう。
今日は床上の掃除だけで手一杯だったから、明日は床下収納の掃除もしないと…きっと年代物の埃まみれなんだろうなぁ。

04/13
あれは、なんだったんだろう。
ロープの塊みたいな…でも足がついていて、いくつも口があって…
あれはなんだったんだろう。

04/14
やっぱり悪い夢じゃなかった。
今日蔵に行くと、昨日見た化け物が今日もいた。
あの床下収納の中に、置物みたいに埃をかぶっていた何か…よくわからないもの。
動くから多分生き物なんだと思う。でも、こんな生き物私は知らない。
宇宙人か何かだって言われた方がまだ理解できる。
あれはなんなんだろう。

04/15
あれ…黒い塊はずいぶん衰弱しているみたいだ。
なんだかかわいそうになって、冷蔵庫にあったものをいろいろ与えてみたけど何も口にしようとしない。
宇宙人だから地球の食べ物は食べないのかな…
そう思っていたら、最後に与えた鹿肉(隆さんの知り合いの猟友会の方にもらった)をようやく食べてくれた。
やっぱりお腹が減っていたみたいで、すごい勢いで食べていた。
宇宙人は生肉しか食べないんだろうか。

04/16
買ってきた鶏肉を黒い塊にあげてみた。食べてくれた。
それだけのことがなんだかすごくうれしくなる。
少し体力も回復したみたいで、蔵の中を歩き回っていた。
私の腰くらいしか背丈がないから、まるで小さい子が歩き回ってるみたいでかわいい。

04/17
朝起きたら家の中にあの子が入ってきていたのですごくびっくりした。
蔵の壁が壊れているところから出てきたみたい。
私のうしろをついてあるいて、なんだか雛鳥みたいでかわいいけど…
宇宙人が外をうろついたら人になんて言われるかわからない。
もしかしたらどこかに連れていかれて解剖、なんてことにもなるかも…
絶対に外に出ないように言いつけたけど、理解してくれたかしら。

04/20
私の話は理解してくれてるみたいで、あれから家の外には出ていないみたい。
でも、なんだかずいぶん大きくなったような…
もう私の身長より大きくなってる。

06/30
成長はそろそろ止まったみたい。それでも私よりずっと大きいことに変わりはない。
普段はどうやってるのかわからないけど屋根裏に隠れてるみたいで、家の仕事も手伝ってくれるし助かってるけど…このままでいいんだろうか。
でもあの子がいなくなったら私はまた一人になってしまう。
…それはいや。

(中略)

2014/08/22
どうしよう。
どうしよう、どうしたらいいんだろう。
何が起きたか整理するために日記を書くことにした。
どうしてこうなったのかわからない…ううん、わかっている。わかってるけど、結論はまだ出したくない。

先週から、民宿に2組お客さんが来ていた。どちらも男性の一人旅。ふたりは意気投合していたみたいだった。
蝋燭沢さんと水鳥さん。
ふたりには謝っても謝りきれない。私の判断が甘かった。
水鳥さんがおめがみさまについて調べてるって知った時点で、もっと警告しておくべきだったのかもしれない。
でも私もそのときは知らなかった、あの子がおめがみさまのしるしの木を探しに裏山をうろついていただなんて。
ふと姿を見せなくなることはあったのに、どうしてもっとあの子に目を配っておかなかったんだろう。民宿が忙しかったなんて言い訳にならない。
あの子と暮らし続けると決めた時点で、私はあの子に対する全責任を負うと決めていたのに。
でもきっとあの子も必死だったんだ。
だって自分が殺されかけたんだから。
でもそもそもふたりとあの子が接触さえしなければこんなひどいことは起こらなかった。ふたりが熊よけの鈴を持っていってくれれば、あの子の方からふたりをさけたはずだ。
いろんな悪いことが重なってしまった…。
あの子を見たふたりが驚いてあの子を襲ったのも、襲われたあの子が逆に水鳥さんを殺して食べてしまったのも。
蝋燭沢さんはかろうじて無事だったけどひどく錯乱していた。
それでもあの子を探しにきた私があの惨状であの子に駆け寄ったとき、あの人は私とあの子の関係に気づいたんじゃないだろうか。
とても頭のいい人に見えたし、そうでなければあんな言葉は出てこないだろうから。

「お前は母親になんかなれない」

彼の言うとおりだ。私には母親の資格なんかない。
あの子から目を離して、大変な事態を起こしてしまった。

でも、それでも、まだ迷っている。
だってあの子は、私の愛しい、可愛い、大切な、子どもみたいなものなんだから。

【マップ類】

※参考程度に。実際に使用するときは書き直し推奨













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長編シナリオまとめお疲れ様でした いつかやってみたいですな
47ヶ月前
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