私とジョー・サンプルの音楽との出会いⅠ
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

私とジョー・サンプルの音楽との出会いⅠ

2014-09-16 05:52
    訃報:ジョー・サンプルさん75歳=クルセイダーズ(毎日新聞 2014年9月13日)より

    ―フュージョン音楽の草分けで、1970年代以降のジャズやブラックミュージックの発展に大きく寄与したアメリカのピアニスト

    ―叙情詩的で透明感のある都会的なサウンドと、パワフルなファンキーサウンドを自在に操る音楽性で、30年以上トップクラスの人気を維持した

    ジョー・サンプルが亡くなって本当に残念だ。
    1月の来日公演がキャンセルになって、まさか…とは思っていたが本当にこうなるとは。R.I.P.

    ジョー・サンプル -wikipedia-

    もともとクラシック畑だった私の音楽嗜好を劇的に広げてくれたのは、彼の作品――1枚のソロアルバムだ。
    中学生の頃、親父の書斎のCD棚にあった、髭面の黒人が岩場に跪いている、おやっ?と思わせるCDジャケット。
    興味本位で再生、リズミカルな序奏で惹きつけられ、直後、メロディで虜となった。
    「Carmel(渚にて)」





    透明感のある洗練されたピアノ、他方ファンキーなリズム。
    アドリブでみせる舞い踊るようなフレージング。
    美しいピアノを引き立てる、控えめでいて要所要所を外さないリズム隊、
    コードカッティングの妙――バッキングギター。

    ひとたび聴いて美しいと感じる音楽が、そこにあった。

    私自身の音楽嗜好にマッチしていた面もあるのだろう――当時ひたすらにホロヴィッツ(※1)を愛聴していた私にとって、一瞬一瞬を花火のように美しく散らすという共通点でもって、このフュージョンアルバムは容易に受け入れられたのだ。

    後々になって知ることだが、この髭面の男性は「クルセイダーズ」というフュージョン・バンドのキーボード奏者で、この「渚にて」は、3枚目のソロ・アルバム、不動の名盤であった。
    ついでにいうと、B'zの松本孝弘とグラミー賞を共同受賞したギタリストのラリー・カールトンもこのクルセイダーズに参加しており、ライブ映像ではカールトンとサンプルの競演を堪能できる。


    さて、「3枚目」のソロ・アルバムと聞けば、「1枚目」「2枚目」を聴きたくなるのは当然である。
    ここで告白せねばならない。つい最近まで、1枚目のソロ・アルバムについて、「タイトルすら知らなかった」ことだ。「渚にて」が2枚目のソロ・アルバムだと思い込んでいた。ググれば3秒で分かることを…
    あえて弁明するならば、1枚目のソロ・アルバム「Fancy Dance」はレコードのみで廃盤されてそこそこプレミアがついている希少盤な上に、ピアノパートにサンプルの香りが漂っているとはいえ、内容が、ピアノトリオ編成の端正なジャズなのである。
    ジョー・サンプル的な音楽かといえば、いささか異論がある。

    そういう意味で、ソロアルバム第2弾「Rainbow Seeker(虹の楽園)」が、真のソロ・アルバム第1弾と言えるのではないだろうか。





    アルバムタイトルの1曲目「Rainbow Seeker」
    「ようこそ!この盤は僕の独演会!さぁ、ショータイムだ!」と言わんばかりの、わくわくするような前奏ののち、ロマンチックな主題、シンコペーション、そしてどこまでも飛翔するようなコード展開!はじけるようなアドリブ…!



    緩急経たアルバム4曲目「Melodies of Love」は、どこかで耳にしたことがある哀愁を帯びたメロディ…

    …実は、坂本龍一がそっくりな曲を書いてるんですね。映画「the Sheltering Sky」のサントラより。

    もちろん坂本龍一の曲が後出ですが、パクったとか盗作したとかそういうわけではなく、「Melodies of Love」そっくりに作れという注文に難渋して教授が開き直ってこれを書いたとか、そもそもシェーンベルグの12音以前の作品にそっくりな旋律があってそれが源流だとか、諸説あります。

    以上2枚のソロ・アルバム「Carmel」「Rainbow Seeker」は、収録曲が全曲、名曲であり、お気に召したらアルバムを購入して鑑賞されることをお勧めしたい。





    3枚目のソロ・アルバム「Voices In The Rain」――よく耳を凝らせば、このアルバムが前の2枚とは毛色が違うものと判る――は、楽器数が圧倒的に増え、ストリングスが前面に出ている。あまつさえゲストヴォーカルを迎えた歌曲すらある。

    この変化は、アレンジ力が大幅に上がったと好意的にとらえるべきだが、同時に彼特有の、内省的な、抒情的なピアノが鳴りを潜める結果になっている。だが曲は、素晴らしい。
    私のお気に入りは「Eye Of The Hurricane」雨上がりの澄んだ空気を吸い込むようである。


    この頃から、興味の対象が、ジョーサンプルのソロ作品からクルセイダーズに移っていくのだが、ソロアルバムとしてもう1枚、「The Hunter」がお気に入りである。

    叙情的というよりは、キャッチーな曲が多い。メロディ・メーカーである。(了

    (もしかしたら後編「クルセイダーズ編」に続く)


    ※1 ウラディミール・ホロヴィッツ -wikipedia- :所謂、ピアノの魔術師。レコード芸術 2012年 06月号 歴代ピアニストランキング 1位


    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。