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  • 男と酒器|井上敏樹

    2021-10-28 07:006時間前
    550pt
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    平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。今回は、最近敏樹先生がハマりはじめたという骨董について。盃に映った空を眺め、敏樹先生は何を思うのでしょうか。
    「平成仮面ライダー」シリーズなどで知られる脚本家・井上敏樹先生による、初のエッセイ集『男と遊び』、好評発売中です! PLANETS公式オンラインストアでご購入いただくと、著者・井上敏樹が特撮ドラマ脚本家としての半生を振り返る特別インタビュー冊子『男と男たち』が付属します。  詳細・ご購入はこちらから。

    脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第67回
    男 と 酒 器      井上敏樹 

    まず、謝罪したい。以前、私はこのエッセイで骨董好きな人間を批判した事があった。無責任だ、と。自分勝手だ、と。その私が近頃すっかり骨董にはまっているのだ。思えば小学校の頃、通信簿に必ず無責任だ、協調性がない、と書かれた私である。運命は決まっていた、と言えるかもしれない。もっとも私の場合、酒器と食器に限定されているので、まだまだ初心者のレベルである。本当の数寄者は日々使う道具を越え、ただ見て楽しむだけの鑑賞美術を愛するものだ。仏像とか掛け軸とかだ。そしてそういった鑑賞美術品は酒器よりもずっと高価である。おそろしい。大体、骨董という漢字自体、分解すると骨に草、重なるである。不気味だ。

    さて、骨董を始めると、まず誰もが決まって陥るジレンマがある。真贋問題である。たとえば苦労して手に入れた壺があったとする。前々から望んでいた平安の壺である。ういやつういやつとばかりに日々撫でたり摩ったり、一緒に風呂に入ったり抱いて寝たりと愛を捧げたその愛器が、ある日、有名な目利きに贋物である、と断ぜられたとする。この場合、どうするか。真贋などどうでもいい、たとえ偽物であっても好きなものは好きなのだ、という態度は一見、爽快のようだが、所詮めくらの開き直りである。骨董好きなら自分を恥じる。おのれの眼の低さを恥じ、捧げた愛を恥じる。二度と壺と床を共にする事はなく、押入れの奥に放り込む。評論家の小林秀雄も骨董好きで名高いが、かの良寛の掛け軸を壁にかけ、来客がある度に鼻高々に自慢していた。そんなある日、やって来た良寛の研究者が偽物である、と断罪ー次の瞬間、小林は愛刀の一文字助光で掛け軸を両断した、という。これが骨董好きの姿勢である。妥協のない姿勢である。


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  • 人間はなぜAIにキャラクターを欲望するのか|三宅陽一郎

    2021-10-27 07:00
    550pt
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    今朝のメルマガは、PLANETSのインターネット番組「遅いインターネット会議」の登壇ゲストによる自著解説をお届けします。
    本日は、ゲームAI開発者として知られる三宅陽一郎さんをゲストにお迎えした「人間はなぜAIにキャラクターを欲望するのか」(放送日:2021年1月19日)内で紹介された、『人工知能が「生命」になるとき』について。
    アカデミズムの場で語られるような、人間の知的機能の再現を追求する「人工知能」と、ポップカルチャーの中でイメージされるキャラクター的な「人工知能」との間には大きな乖離が存在します。両者を掛け合わせるには何が必要なのか、そしてそれは、未来社会にどのような変革をもたらすのでしょうか?
    実践的なゲームAIのアルゴリズムの開発手法を説いた先頃刊行の新著『戦略ゲームAI解体新書』と併せてご覧ください。
    (構成:徳田要太)

    人間はなぜAIにキャラクターを欲望するのか|三宅陽一郎

    ゲームAI開発者として数々のゲームタイトル制作に携わりながら、人工知能研究者としても活躍する三宅陽一郎さん。
    2020年12月に刊行された『人工知能が「生命」になるとき』(PLANETS)では、東洋思想をもとにした三宅さん独自の視点から、単に機能を果たすものではなく「生命」としての人工知能のあり方について語られています。
    本稿では、「人間はなぜAIにキャラクターを欲望するのか」という切り口から、本書のポイントについて詳しく解説していただきます。

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    三宅陽一郎
    人工知能が「生命」になるとき
    PLANETS/2020年12月16日発売/ソフトカバー 304頁

    【目次】
    第零章 人工知能をめぐる夢
    第一章 西洋的な人工知能の構築と東洋的な人工知性の持つ混沌
    第二章 キャラクターに命を吹き込むもの
    第三章 オープンワールドと汎用人工知能
    第四章 キャラクターAIに認識と感情を与えるには
    第五章 人工知能が人間を理解する
    第六章 人工知能とオートメーション
    第七章 街、都市、スマートシティ
    第八章 人工知能にとっての言葉
    第九章 社会の骨格としてのマルチエージェント
    第十章 人と人工知能の未来──人間拡張と人工知能

    「生命」としての人工知能

    自分は人工知能を作る側の立場にいるのですが、ただ単に技術的に作るのではなく、一度「人間とは何か」とか「社会とは何か」といったことを哲学的に考え、そこから持ち帰ったものをエンジニアリングするという形を取っています。知能のあり方を深く探求して遠くを目指すようなスタンスで開発を続けてきたのですが、その試みはこの5、6年、『人工知能の哲学塾』という一連の書籍で展開してきました。それに加えて、「次の人工知能のステージとは何か」についてさらに具体的に突き詰めたいという問題意識もありました。

    このことを考えるために、私は「東洋」と「西洋」という二つの対立軸をあえて持ち出しております。もちろん東洋と西洋といっても単純にそれらが対立するというわけではありませんが、人工知能というものの姿を具体的に浮かび上がらせるための例として、「東洋思想の中にある人工知能のエッセンス」と「西洋思想の中にある人工知能のエッセンス」を方法論的に対立させているというわけです。例えば、単純にいうと、西洋の人工知能は機能的で東洋の人工知能は存在的。つまり東洋の考えでは人工知能は「いかに存在するか」と問うということです。このようなものを人工知能とあえて区別して「人工知性」と呼んでいます。

    つまり「人工知能」と「人工知性」というものを方法論的に対立させて、東西の人工知能の対立の先にあるものを掴むことが私のビジョンの最終到達点なわけです。そのための青写真として、「人工精神」や「人工生物」と呼ばれるものの研究が形になっていますが、私は存在であり、機能でもある、すなわち一つの「生命」であるような人工知能を作りたいということです。

    「人間」と「人工知能」の関係

    「人間」と「人工知能」と言ったとき、人工知能は、基本的には人間をリファレンスします。もちろん動物とか昆虫を参照しても構わないのですが、実は西洋の人たちにとってそこの境目は厳密で、人間と人間ではないものを明確に区別します。

    「人工生命」といえばどちらかというと、虫や鳥などのさまざまな生命を模倣するものですが、「人工知能」というものは人間をリファレンスとして知能の構築を目指すということが、その発祥の時代から求められています。そのためにはまず人間というものを深く突き詰めて、人間の中の意識構造や無意識構造をデジタルな形で理解し、それを人工物である機械の上に再現しましょう、というところから出発しており、そしてそれを考えることは人工知能と人間の間の相互作用や、コミュニケーションについて考えることにもなります。

    ただ、一般に人工知能と人間同士のコミュニケーションというと、言葉やサインなどが持ち出されますけれど、実は人間同士でも無意識のレイヤー、あるいはボディータッチといった非言語の領域にもさまざまなレイヤーのコミュニケーションがあります。

    人工知能も人間との関係を築こうとすると、実は単に言葉だけでコミュニケーションを行うのでは不十分で、上述したような無意識をも含めたさまざまなレイヤーのコミュニケーションが必要になってきます。

    「知能」とは何か

    では「知能とは何か」を改めて問うと、身体と意識からなる階層構造としてモデル化することができます。まず世界というものがあって、身体がそれを知覚することで我々はこの世界に住み着いているということが、現象学で有名なメルロ・ポンティによってよく言われていることです。つまり我々の存在のあり方は、実は身体がいかに世界に根ざしているかによって定まるということです。
    例えば植物の場合はすごくわかりやすいですよね。根があってそれが大地を掴むことで存在し、その上に幹があり葉がある。人間も実は身体というものでこの世界に深く棲みついていて、それが知能の形を決めているということです。身体が得た知覚の集積として頂点に存在するのが、意識というものになるわけです。


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  • 【本日開催】間違いだらけの働き方改革をリモートワークの時代に「私」を主語にしてゼロからやり直す|坂本崇博(リアル開催&生中継あります)

    2021-10-26 07:00

    おはようございます、PLANETS編集部です。

    (ほぼ)毎週火曜日の夜に開催中の「遅いインターネット会議」。今月から有楽町のコワーキングスペース・SAAIでのリアル開催が復活しました!

    本日開催のテーマは「働き方改革」です。

    PLANETSチャンネルなど各スタンドでは生中継もありますが、気になる方はぜひ会場へ遊びに来てください。

    10月26日(火)19:30〜
    間違いだらけの働き方改革をリモートワークの時代に「私」を主語にしてゼロからやり直す

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    2019年から関連法が施行された「働き方改革」。その流れは、コロナ禍による在宅ワーク化を経て、半ば強制的に達成されつつあるようにも見えます。けれども、形ばかりの労働時間短縮を至上命題化した取り組み方の多くは、本来の目的である生産性の効率化と働く人々の幸福の増進とは必ずしも結びついていないかもしれません。

    そんな現状を鑑みながら、一人一人が快適でやり甲斐を実感でき、企業としての業績にもつながる、本当の意味での「働き方改革」とは? 
    新著『意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革』を今秋に出版予定の、コクヨ・働き方改革PJアドバイザーの坂本崇博さんをお招きし、その極意を徹底的に洗い出します。

    ▼登壇者プロフィール
    坂本 崇博(コクヨ株式会社 ワークスタイルイノベーション部 働き方改革PJアドバイザー、一般社団法人日本健康企業推進者協会 顧問、合同会社SSIN 代表助言家、特定非営利活動法人MCEI 理事)
    2001年 コクヨ入社。働き方改革ソリューションの立ち上げ、事業化に参画。残業削減、ダイバーシティ、イノベーション、健康経営 といったテーマで、調査分析や制度・仕組みづくり、研修、アウトソーシングの推進まで幅広くサポート。2021年には、国家公務員の働き方改革推進チームに参画するとともに、政府への働き方改革に関する提言書作成にも貢献。

    司会:宇野常寛(評論家・PLANETS編集長)
    1978年生まれ。評論家として活動する傍ら、文化批評誌『PLANETS』を発行。主な著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)、『遅いインターネット』(幻冬舎)ほか多数。

    ▼タイムスケジュール
    19:00 開場・受付開始
    19:30 開演(オンラインで配信開始)
    21:30 終演、解散

    新型コロナウイルス対策のため、お早めのご来場にご協力ください。
    開演後にご来場の場合は、SAAIのエントランスドア(10階・エレベーターホールを出てすぐ)が閉まっています。
    エントランス付近にスタッフがおりますので、お声がけください。

    ▼場所
    SAAI Wonder Working Community
    東京都千代田区有楽町1-12-1新有楽町ビル10階
    JR「有楽町駅」より徒歩1分、東京メトロ有楽町線「有楽町駅」直結
    10階までエレベーターでお上がりください。エレベーターをおりると、すぐSAAIのエントランスが見えてきます。
    アクセスはこちら

    ・会場参加をご希望の方はこちらからお申し込み下さい。
    https://slowinternetmtg211026.peatix.com/view

    ・PLANETSチャンネルでは生中継もあります。
    (タイムシフト・アーカイブあり)
    https://live.nicovideo.jp/watch/lv333887295

    ・来週以降の「遅いインターネット会議」について詳しくはこちら。
    https://slowinternet.jp/slowinternet_mtg/

    ☆合わせてお楽しみください☆
    これまで坂本さんが登場したPLANETSのコンテンツはこちら。

    『PLANETS vol.10』
    https://amzn.to/3b0xolb

    2018年刊行の本誌では、「[シリーズインタビュー]この人と始める〈これから〉のはなし」に坂本さんへのインタビューが掲載されています。
    表面的な仕組みだけを変え、言葉のみが空回りしがちな「働き方改革」を自分事としてとらえ、100社以上の支援を行ってきた坂本さんにその理念を言語化していただきました。

    遅いインターネット会議
    ワークスタイルから社会を変える|坂本崇博×新野俊幸
    放送日:2020年5月12日(火)
    https://www.nicovideo.jp/watch/so37157730

    ▼出演
    坂本崇博(コクヨ・働き方改革PJアドバイザー/合同会社SSIN 代表助言家)
    新野俊幸(退職代行「EXIT」代表取締役社長)
    宇野常寛(評論家・PLANETS編集長)
    ファシリテーター:得能絵理子

    「働き方改革」という言葉がブームになって随分長い時間が経ちました。しかしこの国のワークスタイルは、企業社会は、本当に変わったのか。「働き方」「やめ方」のプロを交えて、サラリーマンの働き方から社会を変えるための作戦会議を行いました。

    NewsX
    “自分の働き方改革”で世界は変わる|坂本崇博
    放送日:2018年11月20日
    https://youtu.be/OeldPJwsaEs

    宇野常寛が火曜日のキャスターを担当していた情報番組「NewsX」。本放送回のテーマは「“自分の働き方改革”で世界は変わる」。
    コクヨ株式会社働き方改革プロジェクトアドバイザーの坂本崇博さんをゲストに迎え、行政の指導のもとで形骸化しがちな「働き方改革」を乗り越え、個人単位で会社との生産的な関係を築いていく方法について考えました。

    ☆イベント登壇のお知らせ☆

    ・2021年11月〜1月(全3回)にかけて、NHK文化センター梅田教室のオンライン講義に宇野常寛が登壇します。
    すべてオンラインで全国どこからでも受講できますので、興味のある方はぜひチェックして下さい。

    「サブカルチャー論講義~戦後アニメーション(とその周辺)の精神史」
    https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1238120.html

    『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』『風の谷のナウシカ』そして、『新世紀エヴァンゲリオン』。戦後日本の「オタク」的な文化の中心にあったアニメーションは何を描いていきたのか。「戦争と性」という主題の発展から、情報環境の変化に対する対応まで、アニメの「中」と「外」を往復するアニメ批評の決定版的な講座を目指します。

    第1回(20年11月12日 19:30〜):戦後日本にとってアニメーションとはなにか
    第2回(20年12月10日 19:30〜):巨匠たちの遺産と進化
    第3回(21年1月14日 19:30〜):虚構の敗北した時代に、アニメーションのできること


    ・10/31(日)13〜16時まで、神保町ブックフリマに出店します。
    「読書人」(https://dokushojin.com)さんにお声がけいただきまして、同じブースで雑誌『モノノメ』を販売させていただくことになりました。編集長の宇野常寛が滞在していますので、ぜひお立ち寄りください。

    ほかにもユニークな出版社さんが多数、10/30(土)〜31(日)にかけてブックフリマに参加しています! 詳細はこちらから。

    PLANETSの出店はリンク先の地図「6」番の、「読書人」さんブースです。
    GoogleMapはこちらから。


    それでは、本日も良い一日をお過ごしください!