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  • Daily PLANETS 2021年5月第3週のハイライト

    2021-05-14 07:00

    おはようございます、PLANETS編集部です。

    今朝は今週のDaily PLANETSで配信した4記事のハイライトと、これから配信予定の動画コンテンツの配信の概要をご紹介します。

    コロナ禍をめぐる高校野球の裏側から、お笑い芸人・高佐一慈さんによる日常のエッセイ、アフリカ屈指のカオス大国ナイジェリアの非正規市場の実態に迫るルポ、さらに加藤るみさんによる今年度アカデミー賞関連のお薦めまで、さまざまな記事をお届けました。

    初夏の陽射しの爽やかな季節、PLANETSのコンテンツでお楽しみいただければ幸いです。

    今週のハイライト

    5/10(月)【連載】文‌化‌系‌の‌た‌め‌の‌野‌球‌入‌門
    なぜ「甲子園の土」はメルカリに出品されたのか? “野球留学”とあきらめの構造|中野慧

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    ラ‌イ‌ター・‌編‌集‌者‌の‌中‌野‌慧‌さ‌ん‌に‌よ‌る‌連‌載‌『文‌化‌系‌の‌た‌め‌の‌野‌球‌入‌門』‌の‌第‌7回‌「‌なぜ『甲子園の土』はメルカリに出品されたのか? “野球留学”とあきらめの構造」をお送りしました。‌
    コロナ禍に「甲子園の土」がメルカリに出品されていることが非難されましたが、それは「高校球児は甲子園に向かって一心不乱に努力するもの」というイメージあってのことでした。しかし、実際に甲子園を視野に入れたうえで高校野球に取り組めるのは、幼少期から硬式球に触れるなどして本格的なトレーニングを積んできた一部の選手であることがほとんどです。
    あくまでも「部活動」の一環として野球をプレイする大多数の高校球児と、甲子園を視野に入れ、時には私立高校の宣伝戦略にも利用される「野球エリート」との違い、その問題点を浮き彫りにしていきます。


    5/11(火)【連載】誰にでもできる簡単なエッセイ
    願掛けに対する躊躇|高佐一慈

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    お笑いコンビ、ザ・ギースの高佐一慈さんが日常で出会うふとしたおかしみを書き留めていく連載「誰にでもできる簡単なエッセイ」。
    今回は、寅さんこと渥美清が訪れたことで知られる小野照崎神社にまつわるエピソードです。この神社に「とある願掛け」をしに行こうと考えている高佐さんですが、いざ足を運ぼうとするとどうしても躊躇せざるを得ない、ある理由があったようです。


    5/12(水)【連載】インフォーマルマーケットから見る世界──七つの海をこえる非正規市場たち
    第5回 ナイジェリアのカオスを生き抜くコンテンツビジネス|佐藤翔

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    国際コンサルタントの佐藤翔さんによる連載「インフォーマルマーケットから見る世界──七つの海をこえる非正規市場たち」。新興国や周縁国に暮らす人々の経済活動を支える場である非正規市場(インフォーマルマーケット)の実態を地域ごとにリポートしながら、グローバル資本主義のもうひとつの姿を浮き彫りにしていきます。
    今回は、大西洋を南下しギニア湾の奥側に面するナイジェリアで発展するインフォーマルビジネスの背景と実像に迫ります。石油産業を中核にアフリカ屈指の経済大国へと成長しつつある一方で、政治的・軍事的には不安定で、佐藤さんが訪れた地域でも群を抜いて治安が悪いというナイジェリア。そんな環境のもとで生まれてきた新たなコンテンツ産業のクリエイティビティとは?


    5/13(木)【連載】映画館(シアター)の女神 3rd Stage
    サブスクで観れる、加藤るみが選んだ2021年アカデミー賞作品ベスト3|加藤るみ

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    加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第16回をお届けしました。
    先月、ついに発表された2021年アカデミー賞。今回はアカデミー賞関連作品の中から、るみさんのおすすめをサブスクリプションサービスで観られる作品に限定して3本選んでもらいました。
    いまだ解決の兆しが見えないコロナウイルス問題ですが、るみさんは今回紹介する作品を通して、自宅での鑑賞ならではの楽しみも見つけられたようです。


    これからの動画配信予定

    5/20(木)19:30~ 遅いインターネット会議
    不良会社員のススメ2021|合田ジョージ

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    現在PLANETSでは、「遅いインターネット」計画の一環として、評論家・宇野常寛が政治からサブカルチャー、ビジネスからアートまで、さまざまな分野の講師を招きながら、世の中の流れと近すぎない、しかし離れすぎない中距離の問題設定で参加者と共に思考していくオンラインイベント「遅いインターネット会議」の生放送を(ほぼ)毎週火曜日の夜にお届けしています。

    次回の放送は5/20(木)、テーマは「不良会社員のススメ2021」です。

    長引くコロナ禍の影響もあって、テレワークを中心に多くの人々が働き方の見直しに直面した現在。加えて、副業を通じた新しい働き方、自己実現のあり方にもますます注目が集まっています。

    今回のゲストは、大手メーカー勤務からスタートアップまでの幅広い経験を重ねて「ゼロワンブースター」を創業し、数々のコーポレートアクセラレーションに取り組む合田ジョージさんです。

    企業で働きながら面白いことがやってみたいけれどなんだかくすぶってしまっている方、これから新しいことにチャンジしたい方、必見です。

    生放送のご視聴はこちらから。

    それでは、よい週末をお過ごしください!

  • サブスクで観れる、加藤るみが選んだ2021年アカデミー賞作品ベスト3|加藤るみ

    2021-05-13 07:00
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第16回をお届けします。
    先月、ついに発表された2021年アカデミー賞。今回はアカデミー賞関連作品の中から、るみさんのおすすめをサブスクリプションサービスで観られる作品に限定して3本選んでもらいました。
    いまだ解決の兆しが見えないコロナウイルス問題ですが、るみさんは今回紹介する作品を通して、自宅での鑑賞ならではの楽しみも見つけられたようです。

    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage
    第16回 サブスクで観れる、加藤るみが選んだ2021年アカデミー賞作品ベスト3

    おはようございます、加藤るみです。

    3度目の緊急事態宣言の発令が決定(執筆時:2021年4月現在)し、映画館も次々と休業発表がありました。
    今年もアカデミー賞の発表が終わり、アカデミーで話題になった作品を"今この時"に観れない現状がとても苦しいです。
    早く、この状況が収まりますように。
    ただただ、それを願うしかありません。

    しかし、緊急事態宣言も3度目となれば、私も自粛ライフの楽しみ方に関してはプロ級です。
    映画に海外ドラマ、釣具をいじいじ、着ない服をメルカリに出品、無限にやることがあるのです。
    それに、このコロナ禍でネットショッピング力がグンと上がり、海外のサイトで買い物することも増えました。
    最近は、アカデミー賞で監督賞を獲った、クロエ・ジャオのTシャツをゲットしたので、ぜひ自慢させてください。

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    映画界で活躍する女性たちのネームTシャツを販売している、「Girls on tops」というイギリスのサイトから購入しました。
    他にも、グレタ・ガーウィグTやアネット・ベニングTなど、映画好きなら気づいてくれるであろう、ナウいTシャツが沢山あります。
    海外のアパレルはサイズ感がいつも心配なんですが、XSでちょうどピッタリ着れてこの上ない感動でした。
    テンション上がるものを着ることって大事ですね。
    なんだか唐突にお買い物紹介になってしまったので、ついでにもう一つ紹介させてください。
    続いては、地元・岐阜の名産品のお取り寄せグルメです。
    飛騨高山に「キュルノンチュエ」という燻製品などおつまみの名店があるんですが、お店のイチオシでもある白かび熟成の乾燥ソーセージがめちゃくちゃ美味しくて、私、大ファンなんです。

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    ソーセージというより、サラミのようで、白かびの芳醇な香りと、背脂の甘みのコクが上質で、岐阜が誇る、ぜひとも食べてもらいたい逸品です。
    お酒は飲まない私ですが、このソーセージとジンジャーエールをお供に、映画を観るのが幸せの極みです。
    これがあるだけで、かなりリッチな映画タイムになります。

    さて、今回は、そんなソーセージをかじりながら配信で観た、アカデミー賞関連のオススメサブスク作品を3本紹介したいと思います。

    まずは、1本目。
    Netflixオリジナル作品『ラブ&モンスターズ』です。

    色々あって巨大化した昆虫や爬虫類に支配された世の中で、ヘタレな青年が生き別れの彼女に会いにいくサバイバルコメディー。
    これ、ポスタービジュアルからC級(笑)の匂いがプンプンだったんですが、蓋を開けたら大正解な『ゾンビランド』('09)的A級コメディでした。
    こちらは受賞ならずでしたが、今回のアカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされています。

    モンスターだらけの世界になって以降、地下壕のバンカーで7年間生活をする青年ジョエル。
    ジョエル以外のバンカーの仲間たちは、みなカップリングしていて、独り身はジョエルのみ。戦闘員としても使い物にならないヘッポコなため、仲間たちにスープを給仕する万年料理担当になっています。
    そんなジョエルが、世界滅亡前に付き合っていた愛する彼女に会いにいくため、外の世界に出ることを一大決心する……。

    この物語、終始軽妙なテンポで進んでいくのが、とっても気持ちが良いです。
    まさに、痛快、爽快。
    絶望的な世紀末であるのに、主人公ジョエルの他人事のようなおちゃらけたナレーションから始まるのも、『ゾンビランド』さながらの作りになっていて、"モンスター版『ゾンビランド』"と名付けたくなるような既視感がありました。


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  • ナイジェリアのカオスを生き抜くコンテンツビジネス|佐藤翔

    2021-05-12 07:00
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    国際コンサルタントの佐藤翔さんによる連載「インフォーマルマーケットから見る世界──七つの海をこえる非正規市場たち」。新興国や周縁国に暮らす人々の経済活動を支える場である非正規市場(インフォーマルマーケット)の実態を地域ごとにリポートしながら、グローバル資本主義のもうひとつの姿を浮き彫りにしていきます。
    今回は、大西洋を南下しギニア湾の奥側に面するナイジェリアで発展するインフォーマルビジネスの背景と実像に迫ります。石油産業を中核にアフリカ屈指の経済大国へと成長しつつある一方で、政治的・軍事的には不安定で、佐藤さんが訪れた地域でも群を抜いて治安が悪いというナイジェリア。そんな環境のもとで生まれてきた新たなコンテンツ産業のクリエイティビティとは?

    佐藤翔 インフォーマルマーケットから見る世界──七つの海をこえる非正規市場たち
    第5回 ナイジェリアのカオスを生き抜くコンテンツビジネス|佐藤翔

    はじめに

    ナイジェリアは西アフリカに位置する、人口2億人を超えるアフリカ有数の地域大国です。西部のプロテスタントのヨルバ人、東部のカトリックのイボ人、北部のイスラームのハウサ人が三大民族として扱われ、その他にもたくさんの民族が居住しています。GDPは2000年代まで約20兆円とされていましたが、2014年に再計算が行われ、約50兆円と、いきなり南アフリカを超えるアフリカ最大の経済大国となりました。これを見てナイジェリアのポテンシャルを評価するか、それとも統計のいい加減さに呆れるかは人次第だと思いますが、石油産業が発達するとともに最近はエンターテインメント産業のような新産業が成長し、発展を続けているのは事実です。

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    ▲ナイジェリア、ラゴスのストリートの写真。筆者撮影。

    日本でナイジェリアと言うと、1970年代のビアフラ戦争で飢餓状態に陥った子供たちのイメージや、詐欺メールの代表格である「ナイジェリアの手紙」など、残念ながらネガティブな印象が根強くあります。最近のニュースでも、ボコ・ハラムが学生を誘拐した(出典)だの、刑務所を武装集団が襲撃して1,800人が脱走した(出典)だの、ヘビが教育機関の金庫にあった現金約1,000万円を吞み込んだという証言が出た(出典)だの、あまりポジティブなニュースが出る国ではありません。

    実際、現地の治安はとても良いものとは言えず、ビジネスにおいても、インフォーマルマーケットがフォーマルマーケットを圧倒している状況です。一方、海賊版の流行やインフラの致命的な不足をものともせず、インフォーマルマーケットに即した形でコンテンツ産業が映画産業を中心に急速な発展を遂げており、インフォーマルビジネスの壮大な実験場ともなっています。

    今回は、アラバ・インターナショナルなど、現地のインフォーマルマーケットを取材した筆者の知見に基づき、ナイジェリアのインフォーマルビジネスがどのようなものになっているのかを、コンテンツ産業を中心に見ていくことにします。

    ナイジェリアの治安の「格」

    皆さんは治安の悪い国というと、どのような場所を思い浮かべるでしょうか? 麻薬組織、ギャングや武装ゲリラが蠢くフィリピンでしょうか? 警察に十分な予算が割かれず、マフィア同士が白昼堂々銃撃戦を繰り広げているブラジルでしょうか? それとも2chのテンプレで有名な南アフリカのヨハネスブルクでしょうか? 私はこれまで五大陸の様々な国を訪れてきましたが、現地ユーザーの事情を可能な限り知るために、フィリピンのスラムに訪問したこともありますし、ブラジルでは違法ゲーム改造工場に踏み込んだこともあります。ヨハネスブルクの夜のダウンタウンを一人で歩く羽目になったこともありますし、ポンテタワーへ入り込んだこともあります。

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    ▲ポンテタワーの写真。筆者撮影。

    もちろん、戦争状態にある国々など、ここに書いたような場所よりもはるかに危険な場所へ行かれた方々は探せばいくらでもいらっしゃるでしょうが、平和な都市を歩くコンテンツ産業の一マーケッターに過ぎない私個人の感想を言わせてもらえば、各国に赴き、フォーマルマーケットとインフォーマルマーケットの双方を調査する中で、これまでの人生で最も治安が悪いと感じたのはナイジェリアです。以下、ナイジェリアの治安の悪さの「格」の違いを、英国内務省が発行している「国別背景情報:ナイジェリア」(出入国在留管理庁による日本語訳あり)をベースに、簡単に説明させていただきましょう。

    ナイジェリアの武装組織と言えば世界的にもよく知られているのが、イスラーム原理主義勢力とされるボコ・ハラムです。ナイジェリア北東部にあるボルノ州を中心に出没し、地域住民や軍人に対して襲撃や誘拐事件を多数引き起こしている彼らが、並外れた暴力集団であることは論を俟ちません。しかし、ボコ・ハラムの影響力はナイジェリアの北東部、チャドなどとの国境周辺地域に限定されており、ナイジェリアにおける数ある武装勢力の一つに過ぎません。

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    ▲アフリカ戦略研究センターより、ナイジェリアの治安上の脅威分布図。(出典

    ナイジェリア東部のカメルーンとの国境沿いにはカメルーンの分離主義者が徘徊しています。ナイジェリア南東部の石油採掘地域では、ニジェール・デルタ解放戦線が大暴れしていた時代があり、今でもその残党が出没します。ナイジェリア東部のイボ人居住地域では自警団が大きな治安上の脅威となっており、自分たちに従わない人間を超法規的措置でリンチにし、殺す事件が多数発生しています。ナイジェリア北西部のニジェールなどとの国境沿いには越境強盗団が出没し、強盗・殺人事件が多発しています。都市部ではアワワ・ボーイズやワン・ミリオン・ボーイズのようなギャングが存在します。

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    ▲治安当局に逮捕されたアワワ・ボーイズ(出典

    また、日本の全学連系セクトを彷彿とさせる「学生秘密結社」の存在は、都市部では重大な治安上の脅威となっています。様々な大学で秘密結社が結成され、抗争と分派を繰り返す中で、その多くがカルト化していきました。ナイジェリアの学生カルトのルーツとなったとされるのは、1953年にユニバーシティ・カレッジ・イバダン(現在のイバダン大学)で結成されたサークル、「パイレーツ協会」です。このサークルはのちにノーベル文学賞を受賞する詩人、ウォーレ・ショインカ氏のイニシアチブで結成され、当初は部族主義と植民地根性からの離別、騎士道時代の復活という気高い目的で作られたものでした。アメリカによくあるギリシア三文字クラブのアフリカ版と考えていただけると、わかりやすいかも知れません。しかし、ウォーレ・ショインカ氏がナイジェリアから離れ、様々な事件を経るうちに当初の目的は忘れ去られ、秘密主義のカルトに変貌していってしまいました。

    大学当局はカルトを大学から追放しようとしましたが、それはかえってカルトの広域化、他大学発祥のカルトとの間の縄張り争いの激化を招きました。私がナイジェリアに訪問していた時に読んだ新聞でも、AiyeというカルトとEiyeというカルトが縄張り争いで銃撃戦を行い、無関係の警備員が犠牲になった、という記事を読みました。AiyeやEiyeのほかにも、バイキングス、バッカニアーズ(海賊)、黒い斧/ネオ黒人運動、KKK協会(もちろんアメリカのKKKとは別)、アイスランダースなどの組織が知られています。

    ナイジェリアが危険なのは陸だけではありません。ギニア湾は世界有数の海賊出没地域です。ナイジェリアでは、経済成長のスピードに港湾の整備が追い付かず、税関の非効率もあって、数か月にわたって船舶が順番待ちのためギニア湾で停泊させられることが珍しくありません。ポール・コリアーの「収奪の星」という本によると、1970年代には入港に数ヶ月、場合によっては数年かかることを逆手に取って、安く粗悪なセメントを積んだ老朽船を停泊させて滞船料をむしり取るやり口が横行し、沖合に停泊する多数のセメント船は「セメント無敵艦隊」などと現地人に揶揄されていたそうです。この状況は半世紀経った今も大して変わっていないようで、ナイジェリア近海に停泊している船が海賊の恰好の餌食になっています。

    海賊と言っても、ナイジェリアの海賊は世界的に有名なソマリアの海賊とは「ビジネスモデル」が全く異なります。ソマリアの沿岸を高速で走る船を拿捕し、身代金を獲得するのが目的のソマリア海賊は軽武装で高速の船を使いますが、ナイジェリア海賊は停泊している船に襲い掛かり、積み荷ごと船を奪ったり金品を奪ったりするなど、強盗を行うのが目的ですので、重武装が特徴となっています。現地の民間軍事会社の方にヒアリングしたところ、民間軍事会社のビジネスとして海賊対策の警備が重要な事業となっているとのことでした。全世界の海賊事案の4割がギニア湾で発生しているということもあって、外務省も強く注意を促しています。

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    ▲ナイジェリアの海賊。(出典

    このようにナイジェリアの数ある危険な勢力の上位に位置し、最も良く武装し、最も危険なのが腐敗した警察官や軍人です。「民間人が夜にタクシー待ちをしていたらいきなり警察官に射殺された」「賄賂を拒否したら警察官に超法規措置で射殺された」など、ナイジェリアのメディアを探せば恐ろしい事件は枚挙にいとまがありません。私もナイジェリアに滞在する間は何度となく警察官や役人に賄賂を要求されたり銃を向けられたりしたものでした。

    世界で「活躍」するナイジェリア人ネットワーク

    ナイジェリアのカオスぶりの一端をご理解いただけたかと思いますが、興味深いのはナイジェリア人の海外における活動が盛んになっていることです。

    欧州の例を挙げると、イタリアでは先に挙げたナイジェリアの学生カルトであるEiyeがマフィアと協力し、イタリアの売春婦を手配していると言われています。ル・モンド・ディプロマティークに2018年に掲載された論文では、フランスにおけるナイジェリアの売春組織について記述しています。この論文によると、渡航前に売春組織が売春婦候補となるナイジェリア人女性に対して呪術的な儀式を行ったうえで呪物を渡しているそうで、彼らとの契約を破ると祟りが起こるということで組織の言いなりにならざるを得ない人が多くいたとのことです。

    アジアにも中国や日本にかなりの数のナイジェリア人が進出していることが知られています。広州のある地域にはアフリカ系住民の集住地区が存在し、スマートフォンをはじめとして様々な商品の貿易を行う人々が居住しています。ここにおいてナイジェリア人は大きな勢力となっているようです。もっとも、近年のコロナ禍においては中国政府当局が違法滞在者の取り締まりを強化したため、こうした地区におけるナイジェリア人の活動は縮小しているようです。

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    ▲広州のアフリカ系移民集住地区の写真。筆者撮影。

    日本におけるナイジェリア人移民は1990年前後から増加したと言われています。東京、特に六本木で呼び込みやドアマンなど、夜の仕事に従事している人が多いとされています。例えば、川田薫氏による「盛り場「六本木」におけるアフリカ出身就労者の生活実践」という論文においては、世襲制の伝統的宗教の預言者の家に生まれたイボ人が、神のお告げで日本に行き、風俗店を経営するに到るなど、日本に在住するナイジェリア人の多種多様なライフストーリーが記されています。この論文によると、日本に在住するナイジェリア人は、ヨルバ人・ハウサ人と並ぶ三大民族の一つであるイボ人や、エド州に居住するエド人が多いようです。もっとも、六本木のストリートで就労している黒人は、日本人から出身地を聞かれても、日本人のアフリカに対するネガティブなイメージや関心の低さを懸念して、アメリカなどと回答する人が多いようですが……。

    コンピューター・ビレッジとアラバ・インターナショナル

    さて、このような状況にあるナイジェリアにおいて、インフォーマルマーケットはどのような構造になっているのでしょうか?


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