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記事 24件
  • 月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」6月13日放送書き起こし! ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.621 ☆

    2016-06-20 07:00  
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    月曜ナビゲーター・宇野常寛J-WAVE「THE HANGOUT」6月13日放送書き起こし!
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.6.20 vol.621
    http://wakusei2nd.com


    大好評放送中! 宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。前週分のラジオ書き起こしダイジェストをお届けします!

    ▲先週の放送はアーカイブがございません。今夜の放送もスタジオ生中継をご覧いただけます!

    ■オープニングトーク
    宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。そして松岡茉優さん。今夜も生放送、本当にお疲れさまでした。そして、ごめんなさい。4月からずっと毎週欠かさず、隣のスタジオから見える松岡さんの美しさについて、余すことなく伝えてきたと思うんですよ。でも、今日だけはそれが許されないんです。本当にごめんなさい! 松岡さんもね、同じアイドルオタクならわかってくれるはずです。なぜかというとね、今日はあなたに匹敵する美の持ち主が、僕のすぐ目の前にいるからなんです。だから今日だけは、あなた以外の女性の美しさについて語ることを、許してください。いま、ガラス越しにアイコンタクトしてくれています。
    先月の今頃かな。この番組のスタッフと、6月のスペシャルウィークのゲストを誰にしようかっていう話をしてたんですよね。するとね、当然ある人物の名前が挙がるわけですよ。もう総選挙も近いしね。この番組にも何回か来てもらっていて、慣れていると思うし、何より「宇野さん、そろそろ会いたいでしょ?」みたいな展開になるわけですよ。そして、たぶんスタッフがキングレコードさんかどっかに打診して、じゃあまあ総選挙前の盛り上げでやりましょうかっていう話になるわけですよね。なので、わりと前から、今日はこのゲストたちが来ることを知っていたんですよ。そして、正直に言うとこの1ヶ月、本当にそのことを考えないようにしてきましたね。だってほら考えてもみてください。絶対的な2つの美しさを同時に目の前にした時に、果たしてどっちを選べばいいのか、本当に悩ましいんですよ。

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  • 京都精華大学〈サブカルチャー論〉講義録 第3回 〈週刊少年ジャンプ〉の終わりなき日常(毎週金曜配信「宇野常寛の対話と講義録」)☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.620 ☆

    2016-06-17 07:00  
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    京都精華大学〈サブカルチャー論〉講義録第3回 〈週刊少年ジャンプ〉の終わりなき日常(毎週金曜配信「宇野常寛の対話と講義録」)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.6.16 vol.620
    http://wakusei2nd.com


    今朝の「宇野常寛の対話と講義録」では、京都精華大学で行われた宇野常寛の講義をお送りします。今回からは少年漫画がテーマ。敗戦国のマチズモの否定と〈アトムの命題〉の影響下にある少年漫画は、トーナメントバトルという成熟なき成長の形式を生み出しました。80〜90年代の〈週刊少年ジャンプ〉黄金期とその終焉から、戦後日本人の男性性の内実を解き明かします(この原稿は、京都精華大学 ポピュラーカルチャー学部 2016年4月29日の講義を再構成したものです)。
    毎週金曜配信中! 「宇野常寛の対話と講義録」配信記事一覧はこちらのリンクから。

    前回:京都精華大学〈サブカルチャー論〉講義録 第2回 サブカルチャーから考える戦後の日本【完全版】

    ■戦後日本と男性性の問題
     今回の講義は「少年漫画」がテーマです。みなさん、少年漫画というと何を思い出しますか? 今時の学生だと『ONE PIECE』『NARUTO』『名探偵コナン』といったあたりですかね。『ドラゴンボール』も再編集版アニメを放送しているので馴染みが深いかもしれませんね。
     これらの作品を産んだ週刊少年ジャンプ、週刊少年マガジン、週刊少年サンデーといった週刊少年誌は、発行部数を見れば一目瞭然だと思いますが50年代末から現代に至るまで日本の漫画シーンの中心にあり続けています。老舗の〈サンデー〉はこの10年で大きく部数を減らして潰れかけていますが、〈ジャンプ〉と〈マガジン〉は最盛期にくらべればだいぶ減りましたがまだまだ健在です。ざっというと〈ジャンプ〉が約245万部で〈マガジン〉が115万部くらいかな? これは同じ漫画週刊誌でも〈モーニング〉が約26万部、〈ビッグコミックスピリッツ〉が17万部くらいなので、どれくらい週刊少年誌が大きな存在か分かると思います。そして、これら週刊少年誌の人気漫画はだいたいアニメ化されるので、より大きなポピュラリティを獲得することが多いです。とくに、60年代から90年代まではテレビの支配力が今とは比べ物にならないくらい大きかったので、この時代に子供だった世代は最大の共通体験が少年漫画だと言っても過言ではありません。戦後社会において漫画はある時期からずっと雑誌を基点とした少年少女文化の中核に位置していました。
     そこで出てくるのが、「成熟」をいかに描くかという問題でした。戦後日本では1960年代頃すでに漫画文化が普及していたのですが、多くの場合は少年少女向けの雑誌に掲載されていたことになるのだけれど、それは媒体の対象読者の年齢層的に登場人物の成長を描かざるを得なかったことを意味します。その結果、「成熟」をいかに描くかという問題が戦後漫画の、とくに少年漫画の中核には存在し、その性格を決定づけたと言えます。

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  • 大見崇晴『イメージの世界へ 村上春樹と三島由紀夫』第5回 記憶・神話・イメージ【不定期連載】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.619 ☆

    2016-06-16 07:00  
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    大見崇晴『イメージの世界へ 村上春樹と三島由紀夫』第5回 記憶・神話・イメージ【不定期連載】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.6.16 vol.619
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    今朝のメルマガでは大見崇晴さんの連載『イメージの世界へ 村上春樹と三島由紀夫』第5回をお届けします。T・S・エリオット、ハート・クレインらに代表される〈日常の神話化〉から、高度資本主義社会における〈固有名の記号化〉へ。村上春樹の〈イメージの文学〉はいかにして出現したのか。その文学史的な必然を論じます。
    ▼プロフィール
    大見崇晴(おおみ・たかはる)
    1978年生まれ。國學院大学文学部卒(日本文学専攻)。サラリーマンとして働くかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動、カルチャー総合誌「PLANETS」の創刊にも参加。戦後文学史の再検討とテレビメディアの変容を追っている。著書に『「テレビリアリティ」の時代』(大和書房、2013年)がある。
    本メルマガで連載中の『イメージの世界へ』配信記事一覧はこちらのリンクから。
    前回:『イメージの世界へ 村上春樹と三島由紀夫』第4回 記憶・小説・人間
     村上春樹が自己を投影した語り手を小説に用いることが多い作家であると例証できたとしよう。それでは村上春樹作品中の記憶――そして記憶には付き物である名詞――に議論を戻す。
     ここで取り上げるのは「カティーサーク」である。「カティーサーク」は世界的に有名なイギリスのスコッチ・ウィスキーである。一九二三年に開発されてから世界中で呑まれている。村上作品にも何度も登場するこのウィスキーのために村上春樹は詩を捧げている。

    カティーサーク
    カティーサークと
    何度も口の中でくりかえしていると
    それはある瞬間から
    カティーサークでなくなってしまうような
    気がすることがある
    それはもう緑のびんに入った
    英国のウィスキーではなく
    実体を失った
    ちょうど夢のしっぽみたいな形の
    もとカティーサークという
    ただのことばの響きでしかない
    そんなただのことばの響きの中に氷を入れて飲むと
    おいしいよ
    (村上春樹・安西水丸『象工場のハッピーエンド』所収「カティーサーク自身のための広告)

     世界文学史的には「カティーサーク」の名前が登場した、もしくは重要なものとして取り扱われたのは、「カティーサーク」がブランドとして広まって間もなく詠まれたハート・クレインの詩『橋』(一九三〇)によってだろう。二十世紀前半のアメリカを代表する詩における橋とは、クレインが居住したニューヨークにあるブルックリン橋(当時にして橋としては最長であり、二十世紀アメリカの繁栄を象徴した)であり、「カティーサーク」はクレインが愛飲していたウィスキーだった。

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  • 「動画の時代」がもたらしたアニメ消費の構造転換(『石岡良治の現代アニメ史講義』10年代、深夜アニメ表現の広がり(2))【毎月第3水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.618 ☆

    2016-06-15 07:00  
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    「動画の時代」がもたらしたアニメ消費の構造転換(『石岡良治の現代アニメ史講義』10年代、深夜アニメ表現の広がり(2))【毎月第3水曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.6.15 vol.618
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    今朝のメルマガは『石岡良治の現代アニメ史講義』をお届けします。今回は、アニメ制作のデジタル化や、YouTubeやニコニコ動画など動画サイトの登場によって起こったアニメ消費構造の変化について論じます。
    ▼プロフィール
    石岡良治(いしおか・よしはる)
    1972年東京生まれ。批評家・表象文化論(芸術理論・視覚文化)・ポピュラー文化研究。東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)博士後期課程単位取得満期退学。青山学院大学ほかで非常勤講師。PLANETSチャンネルにて「石岡良治の最強☆自宅警備塾」を放送中。著書に『視覚文化「超」講義』(フィルムアート社)、『「超」批評 視覚文化×マンガ』(青土社)など。
    『石岡良治の現代アニメ史講義』これまでの連載はこちらのリンクから。

    前回:「ノイタミナ的なもの」の発生源(『石岡良治の現代アニメ史講義』10年代、深夜アニメ表現の広がり(1))

    ■オタクのライト化と「動画の時代」の到来
     以上おおまかに語ってきた深夜アニメの流れは、90年代からゼロ年代前半ぐらいまでのアニメについて、現在の視点から遡って見たものになります。なので、リアルタイムの記憶を持つ人からは異論も出るでしょうし、どうしても厳密に語りにくいところが残るので、ある程度の便宜的な指標と考えてください。とりあえず80年代と90年代に大きな力を持ったOVAと、90年代以降に広まった深夜バラエティ番組という、二つの傾向について触れたわけですが、ゼロ年代後半から現在に至るまでの深夜アニメでは、両方が合流した市場を形成しています。
     もう一点、年ごとに見ていくと緩やかな変化に思えますが、今の視点から過去のアニメをざっくりと振り返ると、ゼロ年代の前半と後半ではスタイルが大きく変化していることに気付きます。これはもちろん、アニメ制作のデジタル化による色彩の多様化と、背景の精密化が表現として定着したことが大きな理由となっています。
     それと関連して、YouTubeやニコニコ動画の普及によって顕著になった、オタクのライト化を伴う消費環境の大きな変化も挙げられるでしょう。ゼロ年代前半は、まだまだポストエヴァ&攻殻機動隊を狙った、ロボットアニメやいわゆる「ジャパニメーション」風のアニメが多かったことも、その頃のスタイルの特徴と言えると思います。詳しくは次回「今世紀のロボットアニメ」として扱う予定ですが、オタクのライト化に伴い、ガジェットとしてのロボットの求心力が大きく低下していることは間違いないと思います。一例としては、ゼロ年代のオリジナルロボットアニメとしてのヒット作『コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006-2008)が、ロボットすなわち「ナイトメアフレーム」に興味が薄くても楽しめる作りだったことが挙げられるでしょう。

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  • 音楽フェス、都市型バーベキュー、フリークライミング――〈アウトドア〉は社会をどう変えたのか(アウトドアカルチャーサイト「Akimama」滝沢守生インタビュー・後編) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.617 ☆

    2016-06-14 07:00  
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    音楽フェス、都市型バーベキュー、フリークライミング――〈アウトドア〉は社会をどう変えたのか(アウトドアカルチャーサイト「Akimama」滝沢守生インタビュー・後編)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.6.14 vol.617
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    今朝のメルマガでは、音楽フェスからアウトドアまでを幅広く扱う情報サイト『Akimama(アキママ)』を運営する株式会社ヨンロクニ代表・滝沢守生さんへのインタビュー後編をお届けします。前編のテーマは「アウトドアと音楽フェスの歴史」でしたが、今回は「フェス以降」のアウトドアがどうなっていくのかについて、さらに深掘りして伺いました。
    前編はこちらのリンクから。

    ▲Akimama アウトドアカルチャーのニュースサイト

    ▲Akimamaを運営する株式会社ヨンロクニ代表・滝沢守生さん(写真:編集部)
    ◎聞き手・構成:小野田弥恵、中野慧
    ■フェスのユーザーマッピングと、ブームのゆくえ
    ――いまの日本の各フェスのユーザー層は、それぞれどう色付けできるでしょうか。
    滝沢 出演しているアーティストにかなり依存してますよね。フジロックに行く層は、洋楽好きなロック層ですからちょっと世代は上がりますし、J-POPを聞いているような若い子たちはなかなか参加しづらいかもしれません。
     千葉と大阪で日替わりで開催されているSUMMER SONICは、洋楽も邦楽もメジャーアーティストのおいしいとこ取りができて、しかも都市型。日本で最もユーザーの年齢層の幅が広いフェスだと思います。ただ、会場の半分は屋内ですからインドアです。逆に言えば装備がいらないから参加しやすいんですね。
     それと、洋楽は知らないけど日本人アーティストが好きな若い子たちが一番入って行きやすいのは、茨城県のひたちなか海浜公園で開催されているROCK IN JAPAN FESTIVALですね。日本人アーティストのみのラインナップで、天候もフジロックのように荒れることが少ないので装備もほとんど要らず、トイレ等の設備も整っているので敷居が低い。参加者も、どちらかというと街場のライブにも行くような子たちですね。他にも、中小規模のフェスはどんどん増えています。
    ――そうして成熟してきたフェスブームは今、もしかしたら曲がり角にきているのかなと思ったのですが。
    滝沢 ええ、来ていると思いますね。イベントはすでに飽和状態で、特色を出せなければ淘汰されていくと思います。成功例でいえば「GO OUT JAMBOREE」などでしょうね。ここでやっているのはキャンプインに特化した、おしゃれキャンパーフェスというものです。買い物をメインにしつつ、ラインナップは多くはありませんが、今のフェスの中心にいるような旬なアーティストをブッキングしています。
     昔は「夏フェス」と呼ばれていましたが、実は今、夏にやるイベントってそれほど多くなくて、それよりも、春や秋の方が多いんです。3月から11月の終わりまで、至るところでフェスをやっていますね。
     地方フェスの場合は、全国的な知名度はないけれど地域でちょっと有名な先輩バンドをいっぱい呼んで、自治体とも組んで「地域のお祭り」へと押し上げようとしています。イベントは収支がないと立ち行かないものですが、それだけを追いかけていてもダメで、身の丈にあった規模で、町興しの側面にも気を配りながら時間をかけてファンを作っていくようなイベントは残っていくでしょうね。
     野外フェスは、登山、カヌーなどのアウトドアアクティビティのいちジャンルとしてすでに定着したと思います。一方で、フェスがこれからどれだけ淘汰されるかはわかりません。フジロックだってなくなるかもしれない。けれど、フジロックがなくなったとしても、夏のアウトドアのイベントとして、これからもフェスは供給され続けていくと思います。
    ――アウトドア全般におけるユーザー層もどんどん変化していますよね。登山でも、以前に比べて親子連れをよく見かけるようになったし、フジロックでもファミリー層がぐっと増えてきています。
    滝沢 フジロックは今年で20周年になるので、20年前に二十歳だった人はもう今は40歳。そうなると小学生くらいの子がいてもおかしくない世代だから、そろそろ「じゃあみんなでフジロックに行ってみようか」ということが当たり前に起きる。フェスとファンが一緒に成長して、次世代につながっていく。実は親子3世代で来ている人もいたりして、これは他のフェスでは見られない現象ですね。
    ――家族の恒例行事というか、まるで冠婚葬祭のようなものになり始めていると。
    滝沢 やっぱり、フェスは新しい「お祭り」の形なのかな、と思います。フジロックがあと10年〜20年続けば、もっとトラディショナルなお祭りになる気もしますね。ただ、「アウトドアは不況のときに流行る」とよく言われるので、時代の流れ次第でどう変化していくかはまだまだわかりません。

    ▲フジロックのメインステージである「グリーンステージ」(写真:sumi☆photo)
    ――ちなみにフェスの新たな動きといえば、2015年にお台場で開催され3日で9万人を動員した「ULTRA JAPAN」のような試みもありますよね。
    滝沢 今は世界的にEDMブームですから、遅かれ早かれああいった流れは日本にも必ず来ると思っていましたし、「ULTRA」のような音楽イベントは今後もっと大きくなる可能性はあると思います。ただ、EDMフェスは「踊る」という機能に特化したもので、そこにはアウトドア的なペーソスがもともとないですから、EDMとアウトドアが結びつく可能性は低いんじゃないかな、と思います。
    ――なるほど。当初、アウトドアと音楽という2つのジャンルが「フェス」という旗印のもとに合流することで大きなムーヴメントになっていったと思うのですが、その2つが今また分かれようとしている――「ULTRA」のようなEDMフェスの隆盛は、そのことを象徴しているのかもしれないですね。

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    ■オープニングトーク
    宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。そして松岡茉優さん、今夜も本当に生放送お疲れ様でした。いま、松岡茉優さんが僕にTシャツを誇っているんですが、そのTシャツはなんですか? 「がんばって、いきまっしょい」? 『がんばっていきまっしょい』って昔の田中麗奈の映画? あっ、モーニング娘。ですか! ごめん、俺AKB派だからさ(笑)。はい、いま茉優ちゃんにすごくにらまれました。これだけ毎週この時間に心を通わせてきた、僕と松岡茉優さんの間に、ハロプロオタ対AKBオタの決定的な、ベルリンの壁、ATフィールドが張られましたね。人間関係ってこうやって壊れていくんですね。僕が『がんばっていきまっしょい』ネタがわからなかったがために、一瞬で崩壊するんですね。しかも微妙に間違え方がおっさんくさいというね。昔、田中麗奈ちゃんが出ていた、同名のボート部映画があったんです。覚えておいてください。
    今日はね、僕の旅行記みたいなところから始めようかなと思います。実は、今日の午前中まで僕はアメリカのシリコンバレーにいたんですよ。この番組でもおなじみの、チームラボの猪子寿之さんのお供として、木曜日の「スッキリ!!」が終わった後に、その足で向こうに行っていたんです。なぜかと言うと、ちょうど今、チームラボの大きい展覧会がシリコンバレーでやってるからなんですよ。その展覧会は現地でもすごく話題になっていて、ジョブズの奥さんが来たりとか、ITセレブの人たちがいっぱい来たりとかしているんですね。それでシリコンバレーの起業家たちの間で「チームラボのエキシビジョン見たか!?」「おう!」みたいな状態が続いているんですよ。会期も半年ぐらい伸びて、今年いっぱいくらい催されることになったんですね。実は企画段階のところから、猪子さんに「宇野さん! シリコンバレー来てよ!」みたいなことをずっと言われていたんですよ。僕もロサンゼルスに遊びに行ったことはあるんだけれど、シリコンバレーには行ったことがないから、1度くらい行ってみたいなとずっと思っていたので、いい機会だと思って取材を兼ねて行ってきたんです。

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  • 【特別対談】國分功一郎×宇野常寛「哲学の先生と民主主義の話をしよう」後編(毎週金曜配信「宇野常寛の対話と講義録」) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.615 ☆

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    2016.6.10 vol.615
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    今朝のメルマガでは、政治論集『民主主義を直感するために』(晶文社)を刊行したばかりの哲学者・國分功一郎さんと本誌編集長・宇野常寛の対談後編をお届けします。後編で議論されるのは、言語の射程距離の変化と、カリフォルニアン・イデオロギー以後の国家に残された役割。そして、人間にとっての「言葉」の機能の本質とは?
    毎週金曜配信中! 「宇野常寛の対話と講義録」配信記事一覧はこちらのリンクから。
    ※本記事は、4月26日に放送されたニコ生の内容に加筆修正を加えたものです。

    【発売中!】國分功一郎『民主主義を直感するために (犀の教室)』晶文社
    ▼プロフィール

    國分功一郎(こくぶん・こういちろう)
    1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。高崎経済大学経済学部准教授。専攻は哲学。著書に『暇と退屈の倫理学 増補新版』(太田出版)、『近代政治哲学』(ちくま新書)、『統治新論』(共著、太田出版)、『来るべき民主主義──小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』(幻冬舎新書)、『ドゥルーズの哲学原理』(岩波書店)など。英国キングストン大学での留学を経て今年4月に帰国し、政治論集『民主主義を直感するために』(晶文社)を刊行。
    ▼放送時の動画はこちらから!
    http://www.nicovideo.jp/watch/1462950394
    放送日:2016年4月26日

    ◎構成:中野慧
    本記事には、前編と中編があります。
    ■「言葉」で語られる公共性はどこまで有効なのか
    國分 ここまで政治の現状の話をしてきましたが、もうちょっと抽象的な未来の話もしてみたいと思います。宇野さんは言葉に関わっていてITにも関心があるわけですよね。で、ここまで話してきたことにも関連するんだけど、最近俺は、「もしかしたら、人間は言葉を喋らなくなるんじゃないか?」ということを考えているんです。いまは「密度の濃い」言葉が機能しなくなっている一方で、LINEとかではスタンプでコミュニケーションが取れているわけでしょう?
     イタリアの哲学者のジョルジョ・アガンベンが、去年出した『身体の使用──脱構成的可能態の理論のために』(みすず書房、2016年)という本のなかでけっこうショッキングなことを言っていた。近代以降、言語が人間の思考を規定するということがずっと前提になってきたが、それがいま消え去りつつあるって言うんです。俺は割とそれに驚いた。
     去年の夏にアガンベンの集中講義に出席して、彼と直接話をする機会があったんだけど、酒の席で彼は「人間は世界中でBad Languageを喋っている」って何度も言っていた。その後、彼の本を読んでそのことを思い出したんだよね。人はもう言葉と呼べるものを話さなくなりつつあるってことなんじゃないか。
     でも、よく考えてみれば、俺らが日常的に話している言葉って、密度が濃いものでも、深みがあるものでも何でもない、記号でしょ。「ああ、宇野さん、どうもどうも」とか、「だよね」「じゃあ、またね」とか。それは別に堕落したコミュニケーションじゃなくて、コミュニケーションというのはそういうものなんじゃないか。
     哲学の分野では、密度が濃い、深みのある言葉について、「言語のマテリアリティ(唯物論性)」なんて言い方をしてきた。言葉自体がゴツゴツした物質として存在しているというイメージですね。でも、そういうイメージって所詮はここ100〜200年の夢物語に過ぎなかったんじゃないか。もしそこで学者たちが夢見ていたものを「言葉」と呼ぶならば、まさしくアガンベンが言うように「言葉」は消え去りつつあるんじゃないか。
     だとすると、今日の話の前提には「言葉を届ける」ということがあったと思うんだけど、いったいどうしたらいいのかと途方に暮れてしまうわけです。さっき宇野さんは「言葉よりもモノとかスペックのほうが射程が長い」と言ったわけだけど、本当にそういうことが起こりつつあるかもしれない。宇野さんはAIにも詳しいと思うけど、AIも無関係ではない。漠然とした話なんだけど、どう思います?

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  • 現実を目指して疾走するフィクション――フューチャーカーとジャパニーズ・メカデザイン(根津孝太『カーデザインの20世紀』第11回)【毎月第2木曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.614 ☆

    2016-06-09 07:00  
    550pt
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    現実を目指して疾走するフィクション――フューチャーカーとジャパニーズ・メカデザイン(根津孝太『カーデザインの20世紀』第11回)【毎月第2木曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.6.9 vol.614
    http://wakusei2nd.com


    今朝のメルマガではデザイナー・根津孝太さんの連載『カーデザインの20世紀』をお届けします。前回のコンセプトカーに引き続き、未来のイメージを担う架空の車、フューチャーカーのデザインを取り上げます。日本で独自に発展した未来のメカデザインが行き着いた意外な場所とは? リアルとフィクションが互いに影響し合って醸成されたデザインたちについて語ります。
    ▼プロフィール
    根津孝太(ねづ・こうた)
    1969年東京生まれ。千葉大学工学部工業意匠学科卒業。トヨタ自動車入社、愛・地球博 『i-unit』コンセプト開発リーダーなどを務める。2005年(有)znug design設立、多く の工業製品のコンセプト企画とデザインを手がけ、企業創造活動の活性化にも貢献。賛同 した仲間とともに「町工場から世界へ」を掲げ、電動バイク『zecOO (ゼクウ)』の開発 に取組む一方、トヨタ自動車とコンセプトカー『Camatte (カマッテ)』などの共同開発 も行う。2014年度よりグッドデザイン賞審査委員。
    本メルマガで連載中の『カーデザインの20世紀』これまでの配信記事一覧はこちらのリンクから。
    前回:「今ここ」を未来にするタイムマシン――憧れを顕現するメディア、コンセプトカー(根津孝太『カーデザインの20世紀』第10回)
    前回は、未来を描き出す車として、コンセプトカーをご紹介しました。斬新なデザインが幾つも生まれてきたことは前回語った通りですが、こうした車両も、全くのゼロから生み出されたわけではありません。
    人間はいろいろなものを目にして成長していきます。特に「デザイナーになろう!」と志す人は、やはり「あの日見た憧れのマシン」を作ろうとするものです。その憧れのマシンは、何も現実に存在する車両とは限りません。フィクションの中にしかない車両だって、憧れの対象になります。フィクションの車が現実の車に影響を与え、そして現実の車がまたフィクションの車に影響を与える。そんな相互作用の中で自動車の文化は育まれてきました。
    そこで今回は「未来を描き出す車」のもうひとつの側面として、フィクションに登場するメカと、そのデザイナーたちについて語ってみたいと思います。
    ■工業デザインが醸し出すリアリティ――シド・ミード
    未来のデザインということで言えば、一番に名前が挙がるのはやはりシド・ミードでしょう。シド・ミードはもともとフォードに在籍していたカーデザイナーでしたが、やがてその未来的なデザインが注目され、SF映画などに参加するようになっていきます。劇中に登場する車両をデザインするだけでなく、同時に都市の景観から小道具まで、ありとあらゆるもののコンセプトデザインを手がけるようになりました。シド・ミードは、自分のことをカーデザイナーではなく「ビジュアル・フューチャリスト」と呼んでいます。そんな肩書きを名乗っている人、他に聞いたことがないですよね(笑)。「未来を創り出す」卓越した力を持ったデザイナーとして、僕にとっても憧れの存在でした。
    有名なのは、リドリー・スコットが監督し、1982年に公開されたSF映画の金字塔『ブレードランナー』への参加です。また同じく1982年に公開された、CGによる斬新なビジュアルで有名な『トロン』でも、メカデザインだけでなくサイバースペースのコンセプトデザインも担当しています。

    ▲『ブレードランナー』に登場する警察車両「ポリススピナー」のコンセプトアート。陸上を走行する際は前部が展開し車輪が出現する。(出典)

    ▲『トロン』に登場する「ライトサイクル」のコンセプトアート。劇中ではすべてCGで描かれた。(出典)
    シド・ミードのデザインは、なぜそれほど人の心を掴んだのでしょう。シド・ミードが登場するまでのフィクション世界の乗り物のデザインは、『スター・ウォーズ』が代表的です。『スター・ウォーズ』のメカはオリジナリティ溢れる素晴らしいデザインの宝庫ですが、どこかファンタジックで大らかなところがありました。『スター・ウォーズ』の宇宙船や戦艦は細かいディティールがたくさんあることが印象的ですが、これは大まかな形を決めた後、タミヤの戦車などのプラモデルを大量に買ってきてパーツをどんどん貼り付けることで作られたと言われています。つまり形状のユニークさに重きが置かれていて、必ずしも機能的なリアリティは重視されていなかったのです。

    ▲『スターウォーズ』に登場する宇宙船「ミレニアム・ファルコン」のプロップ。独特な円形のフォルムはピザから発想されたと言われる。細かいディティールが巨大さを演出しているが、それぞれの機能は必ずしも明確ではない。(出典)
    対してシド・ミードが『ブレードランナー』でデザインしたパトロールカー「ポリススピナー」は、「未来にはこんな車があってもおかしくない」と思わせる説得力があります。警察車両らしいパトランプにマーキング、前回もご紹介したランチア・ストラトスゼロなどのコンセプトカーを彷彿とさせるボディ、情報を効率的に表示するコックピットのコンソール、走行時に接地している車輪が飛行時には引き込まれるギミックなど、プロダクトとして機能をデザインする発想に溢れていることが、リアリティに繋がっているのだと思います。

    ▲ポリススピナーのインテリアデザイン。説得力のあるディスプレイもさることながら、窓の外に映る渋滞の風景も、現実と地続きのリアリティを感じさせる。(出典)
    1960年代の未来観は、とても素朴で夢見がちなものでした。SFの未来像というと、塔のような高層ビルのあいだをUFOのような車が飛び交い、人々はみんなツヤツヤしたタイトな服を着ている、というステレオタイプがありますよね。60年代あたりに描かれていた未来像は、こうした現実と切り離された異世界のようなファンタジックなものが一般的でした。

    ▲60年代に未来生活を描いたアメリカのアニメ『宇宙家族ジェットソン』。ステレオタイプな未来イメージの典型。(出典)
    前回もご紹介したコンセプトカーたちは、こういった未来のイメージを具現化する役割を果たしました。「工業社会の発展が輝かしいユートピアに繋がっている」と多くの人が思っていた時代だったわけですね。しかし、1970年代以降にアメリカをはじめとした先進諸国はベトナム戦争やオイルショックを経験し、夢ばかりを見てもいられなくなります。こういった時代背景から、徐々にファンタジックな未来のデザインは退潮していきました。

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  • 位置情報ゲームの展開と『Ingress』(中川大地の現代ゲーム全史)【毎月第2水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.613 ☆

    2016-06-08 07:00  
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    位置情報ゲームの展開と『Ingress』(中川大地の現代ゲーム全史)【毎月第2水曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.6.8 vol.613
    http://wakusei2nd.com


    今朝のメルマガは『中川大地の現代ゲーム全史』をお届けします。今回は『コロニーな生活』『Foursquare』『セカイカメラ』といった位置情報ゲームの勃興と展開、そして『Ingress』が持つ批評的意義を論じます。
    ▼執筆者プロフィール
    中川大地(なかがわ・だいち)
    1974年生。文筆家、編集者。PLANETS副編集長。アニメ・ゲーム関連のコンセプチュアルムックの制作を中心に、各種評論・ルポ・雑誌記事等を執筆。著書に『東京スカイツリー論』(光文社)。本メルマガにて『中川大地の現代ゲーム全史』を連載中。
    第11章 デジタルゲームをめぐる地殻変動/汎遊戯的世界への芽吹き
    2010年代前半:〈拡張現実の時代〉本格期(7)
    前回:PCオンラインゲームが行き着いた「脱・戦争」競技のかたち 〜『League of Legends』『World of Tanks』『艦隊これくしょん』〜
    ■位置情報ゲームの勃興と展開
     各種のモバイルゲームにあって、〈拡張現実の時代〉が理念の表現から端的な実態へと近づいていくプロセスを実感させたのが、携帯型デバイスの位置情報を活用するコンテンツであろう。具体的には、GPSなどで取得した現実の地理空間の写像となる情報をベースに、デジタル合成したテキストや画像などの情報を重畳させていく、いわゆるロケーションベース型のAR技術を応用するタイプのゲームである。AR関連の研究者コミュニティにもインパクトを与えた2007年のジュヴナイルSFアニメ『電脳コイル』で描かれたような、「電脳メガネ」をかけると現実空間に重なる電脳上の〝もうひとつの世界〟が見えるようになるという描像は、この種の技術の延長線上に外挿されていると言える。

    ▲『電脳コイル』(出典)
     『電脳コイル』の世界では、劇中の設定年代よりも10数年遡る古い方式で現実空間とリンクされた電脳空間での怪異が物語の軸線を形成していたが、位置情報を用いた国産ゲームの実際の試みも、すでにガラケー全盛期の2000年には始まっていた。この先駆となっていたのが、基地局からの位置情報を利用したJ-PHONEのエリア別情報配信サービス「J−スカイ ステーション」の提供コンテンツ『クリックトリップ』および『誰でもスパイ気分』だ。
     前者は、ユーザーの移動距離に応じて双六式に日本各地を旅するというもので、都市生活者の通勤・通学時の移動を仮想的な旅行に見立てることで、退屈な日常活動の意味をささやかに異化せんとするシンプルな発想のゲーミフィケーションである。
     後者は、プレイヤーがスパイとなって対立する諜報組織の2陣営に分かれ、エリア内を指示通りに移動することによってボスから与えられる任務を果たし、他陣営と競うというもの。言うなれば、携帯電話を仮想の組織からの通信手段に見立ててプレイヤーに虚構の立場を与えることで、現実空間のエリアで普段とは異なる能動的な行動を促すという、ちょっとしたARG(Alternate Reality Game:代替現実ゲーム)的な性格を帯びたゲームである。
     利用できる位置情報の精度やアプリとしての視聴覚演出、ユーザーコミュニティの規模や認知度など、ごく萌芽的なものではあったものの、以後の位置情報ゲームの基本的な方向性は、すでにこの2タイトルに備わっていたとも言えるだろう。
     位置情報ゲームを黎明期から発展普及期へと導いたのが、03年に馬場功淳が個人での提供を開始した『コロニーな生活』(05年に『コロニーな生活☆PLUS』とリニューアルし、08年よりコロプラ社の運営に移管)や、地図検索サービスMapionが05年に開始した『ケータイ国盗り合戦』といったフィーチャーフォン向けモバイルゲームであった。

    ▲コロニーな生活(出典)
     『コロニーな生活』は、ユーザーの移動距離に応じて仮想通貨「プラ」が蓄えられていき、これを消費することで画面上に描画されるスペースコロニー内に農場や貯水池などの施設を築き、人口を増やして発展させていくことを目指すという簡易な都市造成SLGである。ユーザーの現実空間での移動に仮想の意味や価値を付与していくという発想は『クリックトリップ』同様だが、日常的な移動から非日常的な旅行へという距離から距離への単純な置き換えだった先行作に比して、本作ではこれを通貨化することで、移動とは直接関係のない別のゲームデザインの原資へと変換した点が白眉となっている。これはちょうど、のちに一般化する「スタミナ制」のソーシャルゲームが〝時間〟によってプレイ権を回復していく仕組みであるのに対し、これが〝距離〟に紐づけられているという図式だ。
     一方の『ケータイ国盗り合戦』は、日本全国を旧国名単位で300〜600のエリアに分割し、訪れたエリアで現在地測定することで「国盗り」できるという趣向の陣取りを骨格にしたゲームである。位置情報の活用法が線的な距離で示させる一次元の数値ではなく実際の地理平面とリンクしているという意味では『誰でもスパイ気分』の延長線上にあり、さらに日本全国の制覇を目標にしている点で、日常移動の読み換えというよりは実際の国内旅行に付加価値を与えるスタンプラリーに近い。
     この両作が牽引役となり、携帯電話キャリア固有のサービスという枠組みではなく、マルチキャリア対応の汎用タイトルとして提供されたことで、位置情報ゲームの裾野は徐々に広がってゆく。同時代的に普及していたSNS型のコミュニティサービスやソーシャルゲーム的なゲームモード等を拡充させつつ、地域観光や町おこしに関連する企業や店舗等とのタイアップにも発展。リアルな移動の敷居の高さゆえにソシャゲほどの規模感には遠く及ばないものの、サラリーマン層などに熱心なファンを獲得し、2010年代にはそれぞれ100万人を超えるユーザー数を獲得するに至っている。
     一方で、GPSとGoogle Mapのような高精度の地図アプリを標準搭載したスマートフォンが普及するのに対応して、海外では2009年、位置情報と連動するコミュニケーションサービス「Foursquare」が登場。これは公共施設や飲食店など、他のユーザーが「ベニュー」として登録した特定のスポットに足を運んで「チェックイン」することで、得点や「バッジ」と呼ばれる報償が与えられ、さらにTwitterやFacebookなどの汎用SNSのアカウントと連動して現在地の情報を友人たちとリアルタイム共有することができるという概要のソーシャルサービスである。
     言うなればFoursquareは、『ケータイ国盗り合戦』的な陣取り対象となるエリアの解像度をスポット単位まで高精細化し、かつユーザー自身が作成できるようソーシャル化しつつ、実生活に密着するライフログ記録システムとして位置ゲー的な方法論を導入したゲーミフィケーションの応用事例として、位置づけることができるだろう。
     同じく09年には、日本の頓智ドット社が、スマートフォンのカメラを通じて画面上に映し出される風景に様々なテキストや画像、音声といった「エアタグ」を付加して共有することのできる、本格的なロケーションベース型のARアプリ「セカイカメラ」の提供を開始。〈拡張現実の時代〉を文字通りに体現する無償サービスの登場は、ITデバイス好きのアーリーアダプター層などを中心に大きな衝撃を与えた。
     このベースシステムを利用した「セカイアプリ」シリーズとして、同社は2010年、現実風景に重ね合わされる爆弾を解除するという趣向のマルチプレイゲーム『ばくはつカブーン!』や、モンスターを探しだして倒していくオンラインRPG『セカイユウシャ』といったARゲームタイトルをリリース。フリーミアムのアイテム課金型ソーシャルゲームに倣ってのビジネス化を図ってもいる。

    ▲セカイカメラ(出典)

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  • 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第9回「混沌を混沌のまま進化させたい!」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.612 ☆

    2016-06-07 07:00  
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    猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第9回「混沌を混沌のまま進化させたい!」【毎月第1火曜配信】
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    2016.6.7 vol.612
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    今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第9回です。今回は、5月27日に公開された新作「Graffiti Nature」について。この連載で話してきたことの集大成とも言える作品の内容とは、どんなものなのでしょうか。議論は近代の表現とは違う、人間のコントロールを離れて動きまわる作品の世界観が生む楽しさについて踏み込んだものとなりました。
    ▼プロフィール
    猪子寿之(いのこ・としゆき)
    1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。
    47万人が訪れた「チームラボ踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、大河ドラマ「花燃ゆ」のオープニング映像、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet 20th Anniversary」など。2016年はカリフォルニア「PACE」で大規模な展覧会を予定。
    http://www.team-lab.net
    ◎構成:稲葉ほたて
    本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。
    前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第8回「新しい音楽の遊び方!」
    ■3月からシンガポールではじめた常設展
    猪子 今年の3月12日から、チームラボは、シンガポールの「アートサイエンス・ミュージアム」という場所で「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」(以下、FUTURE WORLD)という常設展をはじめたんだよね。そこで5月27日に「Graffiti Nature」という新作を公開したので、今日はその話をするね。

    ▲2016年3月12日より、チームラボは、シンガポールの「アートサイエンス・ミュージアム」で常設展「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」をオープン。

    ▲同年5月27日、同常設展にて新作「Graffiti Nature」を公開。
    基本的には「お絵かき水族館」と同じで、お客さんにワニやカエル、蝶や花を描いてもらって、それをプロジェクションするものなの。
    ただ、これまでの作品には、その作品が飾られる明確な「場所」があったんだけど、今回はその明確な範囲がないんだよね。特定の場所に絵が出るのではなくて、通路とか床とか「FUTURE WORLD」の全体の他の作品に使われていない場所に自分の描いた絵が出て行く。
    宇野 面白いね。展示スペースの大きさはどのくらいなの?
    猪子 「FUTURE WORLD」全体は、1500平米くらいだから、かなり広いんだよ。でも、現実的にはまだ「FUTURE WORLD」の真ん中辺り中心に広がっているんだけど、いずれ範囲を全体まで広げていきたいし、ミュージアムの外までも広げていきたい。
    宇野 これって「Flutter of Butterflies Beyond Borders / 境界のない群蝶」みたいに、鑑賞者の振る舞いに反応するようになっているのかな。
    猪子 そうだね。動物たちは基本的に、人にぶつかると逃げていくんだよ。でも例えば、じっとしていると、周囲に花が咲き始めたりして、逆に、踏むと散っていくの。花が咲くと、そこに蝶が集まってきて増殖し始めたりもするのね。つまり自分が描いた絵の蝶が増えていく。で、またその蝶を、カエルが食べて増殖する。食べられると自分の絵の蝶はいなくなってしまう。さらに同じように、そのカエルをトカゲが食べたりする。
    宇野 その世界の中に食物連鎖があるんだね。この世界に存在するものは全部お客さんが描いたものなの?
    猪子 クジラ以外の動物は、花も含めて全部そう。そうやって、自分の描いた絵が食物連鎖の中で捕食されることもあれば、繁殖することもあるわけ。たぶん僕は個体より、状態とか現象が好きなんじゃないかな。

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