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【新連載】
更科修一郎 90年代サブカルチャー青春記
〜子供の国のロビンソン・クルーソー
第1回「湾岸・有明」
【毎週第4水曜配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.10.26 vol.719

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今朝のメルマガは〈元〉批評家の更科修一郎さんの新連載『90年代サブカルチャー青春記~子供の国のロビンソン・クルーソー』の第1回をお届けします。90年代――「オタク」文化がまだ、アンダーグラウンドだった頃、出版業界に潜り込んで働き始めた更科さんが見た時代の風景、サブカルチャーの記憶を辿ります。


▼プロフィール
更科修一郎(さらしな・しゅういちろう)
1975年生。〈元〉批評家。90年代以降、批評家として活動。2009年『批評のジェノサイズ』(宇野常寛との共著/サイゾー)刊行後、病気療養のため、活動停止。2015年、文筆活動に復帰し、雑誌『サイゾー』でコラム『批評なんてやめときな』連載中。


■第1回「湾岸・有明」

 九月の終わりに有明の東京ビッグサイトを訪れたのは、病み上がりの暇潰しで、朝の七時に珍しく目が覚めたからだ。
 2009年までの肩書きは批評家だったが、『サイゾー』で連載していた宇野常寛との対談の終盤に体調を崩し、単行本『批評のジェノサイズ』の刊行と同時に倒れた。
 不幸中の幸い、重篤ではなかったが――ようやく快復し、日常的に外出可能になったのは2014年だ。
 しかし、批評家の看板は降ろしているから、やることがない。
 以来、たまに東京を歩いては、暇を潰している。

 新宿で乗り換え、りんかい線の国際展示場駅を降りたのは九時で、駅前広場では『スリランカフェスティバル2016』が行われていた。
 朝食を取っていなかったので、ランプライス(バナナの葉で包んだカレー味のナシチャンプルー/炒飯弁当)でも食べようかと思ったが、飲食ブースは開始前だった。仕方なく、ビッグサイト内のコンビニでおにぎりを買った。
 ビッグサイトと言えば、夏と冬のコミックマーケットだが、もう十年以上、訪れていないので、朝イチの光景に戸惑っていた。
 とはいえ、1996年の開場当時には閑散としていた周辺施設もかなり整備され、隔世の感もある。晴海の東京国際見本市会場と比べれば、設備は最新でトイレ不足に悩むこともなかったが、大型ホテルや国際会議場が併設されていた幕張メッセやパシフィコ横浜と比べると、ビッグサイトはやっぱり「地の果て」という印象があった。


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