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山本寛 アニメを愛するためのいくつかの方法 第4回 そこには確かに「いくつもの片隅」があった-『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
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山本寛 アニメを愛するためのいくつかの方法 第4回 そこには確かに「いくつもの片隅」があった-『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

2020-01-07 09:40
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    【お詫びと訂正】1月7日7:00公開しました内容に関して、編集部のミスにより、一部原稿が不完全な状態で配信を行ってしまいました。読者の皆様には深くお詫びを申し上げるとともに、改めまして記事を再配信いたします。(1月7日9:30)
    アニメーション監督の山本寛さんによる、さまざまな作品の分析を通じてアニメの深奥にある「意志」を浮き彫りにする連載の第4回。今回取り上げるのは、現在公開中の『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。2016年公開の『この世界の片隅に』ではカットされた重要な原作エピソードを新作シーンとして入れ込み、「別の映画」として再構成した本作の成否は、長年の原作ファンであり、2016年版映画も破格に評価していた山本さんの目には、どのように映ったのでしょうか?

    2019年10月、韓国の富川国際アニメーション映画祭に拙作『薄暮』(2019)がノミネートされ、招待されて行ったら、偶然にもレセプションパーティにて、名誉賞を受賞された片渕須直監督と同席になった。
    大変緊張した。
    お会いするのは二回目だったが、覚えてくださっていたようだ。
    僕の岡田斗司夫さんとの対談(ニコニコ生放送「岡田斗司夫×山本寛『どうなるアニメ業界!?10月クライシスから宮崎駿復活まで、とことん語るSP』」)も観てくださっていたらしい。

    ならば、と思い、完成間近の『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(2019)の話を振ってみた。
    「敢えて切ったところを戻すとは、プレッシャーじゃないですか?」
    「いやいや、あれは別物なんだよ」
    「別?」
    「僕は『この世界の片隅に』とは別の作品として作ってるんだ!」

    別かぁ……?
    ちょっと、釈然としなかった。

    で、先日『(さらにいくつもの)片隅に』を観た。
    今回はこの不世出の名作に傷を付けぬよう(笑)語ってみたいと思う。

    まずは、やはりと言っては何だが、新作部分は原作で描かれなかったところそっくりそのままだった。
    現時点で詳細な分析はできないが、1コマたりとも撃ち漏らしてないのではなかろうか。
    徹底した「原作準拠」、これについては後で語る。

    そして、これもまたやはりと言っては何だが、長い。
    2時間47分は長い。
    その長さを感じさせる理由はもう一つあって、新作部分の編集のテンポ感が、旧作部分にくらべてゆったり遅いのだ。
    だからひとつなぎで観ると妙にちぐはぐだ。同じ映画なのに二本の作品を観せられている気分になる。


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