カモフラージュフード|高佐一慈
お笑いコンビ、ザ・ギースの高佐一慈さんが日常で出会うふとしたおかしみを書き留めていく連載「 誰にでもできる簡単なエッセイ 」。 今回の舞台はスーパーマーケット。レジ打ちの店員さんに商品を見せるときにどうしても考えずにはいられないことについて綴っていただきました。
高佐一慈 誰にでもできる簡単なエッセイ 第28回 カモフラージュフード
何かいい手はないかと、さっきからずっと考えている。
僕の横をいろんなお客さんが通り過ぎる。ビールとお弁当をカゴに入れた仕事帰り風の会社員、カートの下にトイレットペーパーを入れた年配の御婦人、お酒やおつまみを大量に買い込んだ仲良し学生3人組。それぞれが各々の列に並んでいく。 僕はといえば、レジより少し手前にあるパン売り場でさっきからずっと棒立ちだ。僕の持つレジカゴには、じゃがいも一袋、人参一袋、玉ねぎ一袋、牛肉300g、カレーのルー一箱が入っている。 こんな状況は今日が初めてではない。今までに何度も訪れた。そして何度も歯を食いしばりながらレジに並んだ。しかし、なんとか今日で終わりにしたい。そのためにスーパーの店内で、軽やかなBGMが流れる中、さっきから...