• グローバル・グリーン・ニューディールの読書感想文

    2020-03-19 20:49


    グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う
    Jeremy Rifkin (原著), ジェレミー リフキン (著), 幾島 幸子 (翻訳)

    単行本: 307ページ
    出版社: NHK出版
    言語: 日本語
    ISBN-10: 4140818107
    ISBN-13: 978-4140818107
    発売日: 2020/2/25

    ■概略
     ニューディール政策とは1930年代にルーズベルトが世界恐慌を克服するために行った、政府が市場経済に積極的に関与する一連の経済政策をいう、またケインズの理論と多々共通している、「グリーンニューディール」はルーズベルトのニューディール政策にちなんで、大局的な視点に立ったインフラの転換に政府が関与すべきと主張する。
     グリーンニューディールは、石油、石炭、天然ガス、ウラン鉱石の採掘資源エネルギーから地熱、太陽光、風力、水力の自然エネルギー(再生可能エネルギー)への大転換を「インフラの革命」と銘打って提起する。
     また、石油化学製品などの採掘燃料産業文明(本書では化石燃料産業文明)からバイオ由来の素材などゼロ炭素技術、再生可能エネルギー、循環型社会、共有型経済を利用した新しいグリーン産業文明へのシフトを提案する。
     グリーンニューディール事業はアメリカの全電力を再生可能エネルギーへの転換に伴う、IOTインフラ、エネルギー供給網、建造物、移住環境、自然エネルギーを動力とする電気自動車、交通インフラ改善、エネルギー効率増大、グリーン技術の研究開発、職業訓練と広範囲におよぶ第三次産業革命となる。
     第三次産業革命は通信手段、動力源、運搬機構の三つの要素を変革し21世紀の社会と経済を変えようとする、また激化する環境災害の対応力を高める、それには大量の新規雇用を期待できる。
     グリーンニューディールのインフラ構築には、あらゆる産業領域が関わる、通信、ケーブル、インターネット、電子機器、エネルギー、輸送、建設、製造部門、食品、農業などだ、これらはグリーン経済への移行が必要になる。

    ■感想文
     グリーンニューディールのような採掘燃料エネルギー依存と採掘資源産業依存からの脱却は今後主要な政治議論になる、環境保護やCO2削減の目的以上にアメリカ資本主義とグローバル化がもたらした貧富の差拡大に対する不満の受け皿としてグリーンニューディールは支持を得ると予想される。
     バーニーサンダースやアレクサンドリア・オカシオコルテスなどが推進するだろう、MMT(現代貨幣理論)とグリーンニューディールの融合は非常に興味深い。
     昨今のアメリカ社会では、レント(キャピタルゲイン、不労所得)による所得の収奪や労働分配率の低下による貧困化と社会的な分裂が起こっている、そういった不満が追い風となりグリーンニューディールは台風の目になると思われる。
     本書は、キラキラした利点や効能を陳列したカタログであり、グリーンニューディールを売り込むことを目的としている。
     グリーン黙示録を語り脅かして、どさくさに紛れてグリーン思想家に権能を与える仕組みを構造や制度などへ滑り込ませようとしている。
     グリーンニューディール思想には既存の採掘燃料エネルギー依存や採掘資源産業を先駆して拒絶否定することで選民的または優越的なアイデンティティを獲得できる宗教的な魅力がある。

    ■電気インフラを中央集権型から分散型へ移行
     グリーン・ニューディールの要はインフラだ、その根幹であるブロードバンドやビックデータ、デジタル通信、限界費用ほぼゼロのグリーン電力、"再生可能エネルギーを電源とした"自動運転電気自動車、そして接続点のように結ばれた排出ゼロの発電貯蔵設備を備えた建物が、それぞれの地域で構築・拡大され、すべての地域をまたいでつながり、世界中に広がっていく必要がある。
     グリーン・ニューディールを構築する第三次産業革命では、すべての建物はIOT(オンラインの端末やセンサー機器等)の網目構造に埋め込まれた接続点やネットワークとなる、接続点としての建物はすべてIOTのインフラにつながり分散データセンターとして、自然エネルギーの小さい発電所や電力の貯蔵所として、経済活動を管理し、動力を提供して輸送の拠点としての役目を果たす。
     建物はデジタル化されたインフラによって繋がるノードとなる、それは壁で囲まれた受動的な旧来の私的空間ではなく、自然エネルギーの発電と貯蔵を管理する電動化された動的な空間であり、建物は幅広い経済活動を移住者の裁量によってお互いに共有する能動的な存在となる。

    ■日本での利点
     気候変動による気候災害への対応力を強化できる、省エネルギー化、エネルギー源の分散、採掘資源依存から脱却できる、エネルギーの多様化、採掘資源依存からの脱却は政治的独立を高める。
     グリーンニューディールの地域で自前エネルギー源の確保と発電設備の分散化の着想は有効であるように思われる。

    ■グリーン銀行
     財務省証券を発行し銀行へ資金を提供し、銀行がグリーンインフラ事業に資金提供したりグリーンインフラへの転換を活発にするための、「融資や融資保証、債務の証券化、保険、元本保証型の資金運用、その他資金調達支援やリスク管理」を提供する。

    ■社会的責任投資
     投資判断を下すにあたって果たすべき法的責任を規定、短期利益の最大化から長期的な全体を考慮した経済的福利を考慮する。
     投資の意思決定にあたっては、短期的な収益とは関わりなく、その影響を考慮しなければならない、将来の世代のために、より持続可能で公正で平等な社会を築くために用いられるようにする。再生可能エネルギーなどへの社会的責任のある投資に切り替えるように促す。

    ~以降は酷評~

    ■グリーン黙示録「人類に未来はない」
     二世紀以上にわたって化石燃料埋蔵物に頼っていきてきた私たちは、この先もあらゆることが可能で、代償を払う必要もほとんどない未来が無限に続いていくという誤った感覚にとらわれていた。
     自分の運命は自分でコントロールでき、人類は地球から好きなだけ奪ってもいいと思い込んでいたのだ、この惑星で起きることには必ずエントロピーのツケが伴うことを理解していなかった。
     だが今や、気候変動というツケの支払い期限が迫っている、気候変動によって初めて自分たちが「絶滅危惧種」であることを思い知らされている、この人類を大量絶滅へと向かわせる激甚化する気候事象は人類をかつて経験したことのない共通の絆で結ぼうとしている。
     新たな現実にどう適応するかで、私たちの種としての運命は決まる、手遅れになる前に生物圏意識へたどり着けるという希望をいだこうではないか。
     グリーンニューディールは今や地球上を覆い、年々激化している異常気象に抗って、人類が生き延びる希望をもたらしてくれるものなのである。
     自分達の筋書き通りの生活をして、自分達の設計したグリーンニューディールという自分たちが妄想する経済社会デザインの「ノアの箱舟」に乗れと脅す、いわばグリーン黙示録である。

    ■国家有機体説、主体思想とグリーンインフラ思想の共通点
     国家有機体説とは人々が有機体のように繋がって、有機的統一体として一つの国家を構成するという考えかた、国家とは倫理的、精神的有機体であり生命体であるとする。
     主体思想はマルクスが提唱した理論と似たところがある、組織や社会全体が世界に対して主人としてふるまうべく、集団が、頭脳(指導者)、神経(党・エリート)、手足(労働者・民衆)、が一体となって社会政治的生命体を形成することが必須とされる。(参考著書:なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか)
     本文要約:~中略~孤立したプロジェクトを結びつける「神経系」がグリーンインフラである、この新しいグリーンインフラは新しく生まれ変わった国や地域コミュニティで構成される「国家身体」となる。
     グリーンインフラはコミュニケーションテクノロジー、エネルギー源、移動輸送を運営し管理し動力を供給する、コミュニケーションテクノロジーは「経済的有機体」を監視し調整し管理する「脳」にほかならない、移動輸送は「手足」の延長であり、建物は「皮膚」である、~中略~このようにグリーンインフラは巨大な「技術的有機体」にたとえることができる。

    ■専門家視点から発生するおぞましい社会観念
     計量経済学による専門家視点からの社会観念は、狭峡で貧困な人間モデルと仮定の経済合理性を、そのまま社会に適用させ人間を貧困な社会モデルに押し込んだ、このおぞましい一連の経済変革により貧困で狭峡な人間を社会は量産することになった。
     それと同じようにグリーンニューディール思想も専門家視点から社会変革を提起し、技術的に「こうできるから」又は「こうしたいから」、当然社会(旧来の文化や生活や暮らし)は改革されるべきだという提案を強要強制してくる、それは恐らくおぞましい結果をもたらすだろう。
     技術や時間などの必要性や目的からの必要性が生じた場合、その要求によって、人々の暮らしを自由に強要強制して変えるべきだろうか?それが許されるのは、民主的な手続きを踏み民主的な負託を得て国民が合意した場合のみだ。
     専門家というのは人々の意思を無視して、民主的な合意を形成する議論を飛ばしたがる性分がある、専門家が夢想するグリーンニューディールのカタログプランが前提ではなく、最も重要なことは国民の合意であり、グリーンニューディールは単に手段である。
     グリーン黙示録のレトリックを使うのだろうが、実際は地球温暖化や環境災害や温室効果ガス削減などの真偽や効果などどうでもいい、採掘資源エネルギー産業というピラミッドを作るか、自然エネルギー産業というピラミッドを作るかの違いだけで、いずれにせよ人間は何らかのピラミッドを作るのだから、重要なのはどちらを国民が支持し合意するかである。

    ■持続の可能性レトリック
     「国の借金、国民一人当たり数百万の借金、政府債務のGDP比率」のキャッチフレーズは政府財政の持続可能性を問題にしているが、グリーンニューディールも同じように「地球温暖化、核廃棄物、環境汚染、気候変動、自然災害の激化」のキャッチフレーズは地球生物圏の持続可能性を問題にする。
     借金は将来の世代への付回しと同じレトリックで、地球温暖化はまだ生まれてない世代にツケが回るという厳粛な事実として主張する、これに異を唱える者は非道徳ということになる。

    ■最も困難な側面
     「EUの経験からいえば、建物群を全面的に改修することは・グリーン・ニューディールを実施するうえで最も困難な側面の一つであり、日々の生活や仕事のパターンを中断されることに対する社会的・心理的な拒絶反応を克服するための確固たる決意を必要とする。」
     障害になるのは技術的、物質的、化学的、時間などの問題ではなく、旧来の人間的、社会的、精神的、心理的な軋轢が問題である、遺棄される資産に生活、文化、社会的価値観についても考慮されるべきであり、採掘資源産業の座礁資産よりも遥かに重要なのは人々が積み重ねた文化である。

    ■グロテスクなはらわた
     「エネルギー性能の最低基準を定めることには、基準に満たない建物の所有者の名前が公になる、その物件の市場価値が下がるなど、さまざまなメリットがある。」
     これは住民の意思を尊重せねばならないセンシティブな問題であるにもかかわらず、それを自分達の意に沿わない庶民の事情を無視し「メリット」と表現するところにグロテスクなはらわたが透けて見える。
     社会的な変革を強要し強制する方法は改修対象の建物や住居に法的な拘束力を持つ基準を設け、基準に満たない建物の所有者を吊るし上げて批判するという、共産主義者が好きそうな見せしめ(看板を首に掲げられ大衆の前へ引きずり上げられる)を好む。

    ■ピア・アッセンブリー
     住民がメンバーとなり直接民主主義による政治組織を提案する、その政治組織はプロジェクトや構想などを法律、指令、計画の形にする最終的な責任を負う。
     提案する組織は理由はともあれ「世代をまたいで交代させる」らしい、いうなれば世襲制度による、グリーン思想指導者又はグリーン特権階級又はグリーン血統を創造しようとしている、組織はもはや宗教であり、これではグリーン思想派(多数派)の専制になってしまう。

    ■欧州委員会EUと中共の親和性
     中国の一帯一路を喧伝賛賞して売り込んでくる、一帯一路グリーン版の指針をダウンロードして読ませようとする、中国経済規模の国際比率は上がり続けるので無視はできない。
     グローバルグリーンニューディールによってEUと中共は融合を深める、グローバルグリーンニューディールはエネルギー相互依存を促進するので国境を越えたエネルギー相互依存の深化はグローバル自由市場の経済的相互依存と共に国連平和主義(相互依存による平和主義)と結びつく。
     欧州委員会EUと中共の共通点は、どちらも行政テクノクラート(専門官、官僚)であり、どちらも専制的政治体制であり、どちらも集団指導体制であり、どちらも国家という枠組から抜け出してはいるが枠組みがあることで組織が維持されている、そういった共通点がお互いのエリート貴族的特権意識やリベラル選民意識に共鳴し共感を醸成するのかもしれない。


  • 広告
  • PROGRESSIVE CAPITALISM(スティグリッツ)経済書籍の感想

    2020-03-08 10:07


    スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM(プログレッシブ キャピタリズム): 利益はみんなのために
    Joseph E. Stiglitz (原著), ジョセフ・E. スティグリッツ (著), 山田 美明 (翻訳)
    単行本: 470ページ
    出版社: 東洋経済新報社 (2019/12/20)
    言語: 日本語
    ISBN-10: 4492315233
    ISBN-13: 978-4492315231
    発売日: 2019/12/20

     トランプ批判、保護主義叩き、グローバリゼーション信仰、国連平和主義信仰、親中、以外は良い、トランプ批判と保護主義叩きになると多少非論理的と思える。
     全体的にはトランプ流経済政策(非競争・富裕層優遇など)からの大転換を提案する、それは新たな社会契約から始まる、そして今では手の届かなくなった中流階級の生活を誰もが目指せるようにする進歩的政策を提案する。
     企業が市場支配力を高めることで効率的な競争を阻害している点、金融化の害悪、貧困の連鎖、成長の鈍化、イノベーション経済への移行、経済力と政治の関係など多岐、経済政策の大転換は政治改革から始まる。

    ■抜粋
     ・レント(不労所得)と成長の鈍化について
     国民所得のパイは、労働所得、資本所得、その他に分類できる。このその他の大半を、経済学者は「レント(不労所得)」と呼ぶ。地代、天然資源から得られる利益、独占による利益、過剰な知的財産(特許権や著作権)から得られる利益も、「レント(不労所得)」と考えられる。
     労働所得とレント(不労所得)との間には大きな違いがある、労働者は働けば働くほどパイの規模は拡大する、完全市場では、労働者はこの労働に対する見返りとして、パイに追加された分の所得を受け取る。
     それとは対照的にレント(不労所得)は、パイ全体の規模を増やすようなことを何もしてないのに多大な所得を受け取っている、これはつまり、本来であればほかの人の手に渡っていたであろう所得を受け取っていることになる。
     独占についても同じことが言える、独占企業の力が増せば、それだけ多くの超過利益(独占によるレント)を手にできる、だがこの場合にはパイが縮小するおそれがある、市場の独占支配は競争を阻害することで富の創造の基盤となる良質な経済活動を阻害する、それに加え独占企業が市場支配力を行使するため生産を制限し、その製品の供給を減らすかもしれないからだ。
     このようにレント(不労所得)は、成長や効率の向上に役にたたないどころか、害になる場合もある。

     ・新たな社会契約の必要性「共通地盤の崩壊」
     市場経済(資本主義体制)が国民の性格を変えつつある、少なくともかなりの国民が、以前よりも利己的になりモラルを低下させている、新たなテクノロジーはこの点でもまた、国民一人一人や社会のあり方を変えつつある。
     新たなテクノロジーが、さまざまな形で個人やその相互交流に影響を与えている証拠は山ほどある、例えば集中力が持続する時間が短くなり、十分な時間をかけて難しい問題を解決できなくなった。
     他者との交流も少なくなった、交流するにしても同じような趣味や考え方を持つ人とだけだ、その結果、社会が分裂し誰もが同類の人たちと暮らしている。
     そのような社会では「共通の地盤」を見つけるのが難しくなり、社会的に協力し合えなくなる、すると弱い者いじめが増える。一人ひとりが自分の最悪の部分を表面化させ、社会的な矯正機能が働かない場所でこっそりと行動を起こす。
     うわべだけ見れば他者との交流は増えているかもしれないが、社会的な交流の質や豊かさは劣化している。
     いまでは、国民の間で分断・対立が広がり、国民それぞれがまったく異なるレンズを通して世界をながめ、「もう一つの真実」まで主張している。
     その結果、政策的な合意を形成するのも、成長可能な政治を実現するのも、次第に難しくなっている。本書の中心テーマは、こうした事態を改善することにある。
     ※【もう一つの真実とは、例えば「温室効果ガスが気候変動に関係している証拠を、認めるか認めないか」「アメリカンドリームはあるかないか」「トリクルダウン理論」「ポスト・トゥルース(事実が重視されず、感情的な訴えが政治に影響を与える事態)」などの問題と思われるが本文では明確には指定されていない】
     

     ・学習する社会が知識経済やイノベーション経済の成長となる
     知識経済やイノベーション経済の要となるのが、研究である。基礎研究が知識を生み出す。知識は「公共財」であり、誰もがその恩恵を受けられる。だが、公共財に関する経済学者の基本的な知見によれば、市場の力だけでは公共財は十分に供給されない。
     したがって研究(特に基礎研究)には大々的な公共投資が欠かせない、知識の発展を支援する教育制度についても同様である。
     大学が経済成長に欠かせない役割を果たしていると考え、公的支援を行うのが普通だ。
     不動産投機(レント不労所得)により成功を収めた個人はいるだろうが、それにより成長を成し遂げた大国はいまだかつてない。
     国の富と個人の富を混同してはいけない、投機(レント不労所得)の奨励は研究や教育を妨げるものでしかない、レントシーカーがレント(不労所得)という形で私物化している国民所得や国富の割合は、不相応なほど多い。
     ※【スティグリッツは知的財産権保護を弱めることをそそのかすが保護主義の私は懐疑的】

     ・市場の力だけでは社会的公正や機会の均等を保障できない
     政府には、社会的公正を促進する重要な役目がある、誰もが暮らしていけるだけの所得を手に入れられるようにすること。
     機会の均等を保障すべく、若者が両親の所得や教育レベルや社会的地位などに関係なく、必要な公共財(教育など)によりスキルを身につけ、そのスキルに見合った適切な仕事につけるようにする。
     国の富と個人の富を混同したレトリックを利用したり、企業や個人が市場支配力を行使して、過剰なほどの利益(所得)を持ち去ることのないようにすることが重要になる。

     ・豊富な団体や機関の相互関係
     政府が提供するインフラや、公的支援を受ける大学や研究機関から生まれる知識を利用すれば、民間企業が展開できる。
     実際のところ、民間企業はこれまでにさまざまなことを成し遂げてきたが、あらゆる知恵を生み出したわけでもなければ、社会の問題に対するあらゆる解決策を提供してきたわけでもない。
     民間企業の利益は政府や非営利の大学や研究センターが提供する土台の上に成り立っている。
  • 自律的貨幣製造論

    2020-03-07 11:08

     銀行制度に規定され政策金利と準備金比率によって中央銀行が制御するものの、民間市場が自律的な取引活動によって、貨幣を創造し貨幣を消滅させている。
     民間市場の自律活動である、銀行貸出(信用創造)で貨幣を製造し、またその債務返済で貨幣を消滅させている、つまり民間市場に流通する貨幣の総量は民間市場の自律活動で増減することになる、ただし政府支出でも流通する貨幣は増加し徴税によって減少する。


     民間市場に流通する貨幣の総量は民間市場の自律活動で増減するが、貨幣流通量の上限は準備金比率で決定され、下限は政府支出合計総額から税金合計総額を引いた額で決定される、国内だけで考えると貨幣流通量の下限額は概ね国債合計残高であろうと推測される。
     中央銀行は貨幣流通量の増減を制御するために国債オペレーションと日銀当座預金貸出金利などで政策金利の操作を行う。


     民間市場における貨幣の流通量は日本政府又は日本銀行によって決定されず、自律的民間活動によって貨幣は創造され流通し消滅している、こうして貨幣の流通量が増減する、これは「自律的貨幣製造」といえるのかもしれない。
     民間市場は政府から支出されたパイを単純に奪い合っているのではなく、民間市場は自らの活動によってパイを製造し流通させ消滅させている。