現代金融理論・現代貨幣理論「MMT」到来前夜、日本経済予習⑭本当に税金は必要か?
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現代金融理論・現代貨幣理論「MMT」到来前夜、日本経済予習⑭本当に税金は必要か?

2019-04-29 08:11

    通貨発行者の政府から見た貨幣制度の目的は政府部門に資源を動かすことであり、その達成のために利用される通貨に対する需要を創造することが租税の目的である。
     政府が租税を必要とするのは、歳入を生み出すためではない、通貨の利用者たる国民が、通貨を手に入れようと、労働力・資源・生産物を政府に売却するように仕向けるためなのだ。
    (MMT現代貨幣理論入門 L・ランダル・レイ より)

    ■徴税権
     徴税権は政府の金融資産
     政府の課す租税は強制である

    ■租税法律主義
     
    「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」(憲法第84条)
     ⇒法律によらなければ、国家は租税を賦課徴収できず、一方、国民は租税を負担することはないことをいう。
     (国税庁HPから抜粋)

    ■憲法条文
     日本国憲法 第七章 財政 第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

    ■税の三原則(国税庁の主張)
     
    社会の構成員として、税を広く公平に分かち合っていくため、「公平・中立・簡素」を原則とした税の制度としています。
     1.公平の原則

     経済力が同等の人に等しい負担を求める「水平的公平」と経済力のある人により大きな負担を求める「垂直的公平」があります。
     近年は、「世代間の公平」が重要となっています。
     2.中立の原則
     税制が個人や企業の経済活動における選択を歪めないようにします。
     3.簡素の原則
     税制の仕組みをできるだけ簡素にし、理解しやすいものにします。
    (税の三原則 国税庁HPから抜粋)

    ■応能負担原則(憲法第二十五条・第二十九条など)
    租税は各人の能力に応じて平等に負担されるべき、という租税立法上の原則。
    ①高所得者には高い負担、低所得者には低い負担を課す。
    ②同じ所得でも、給与所得などの勤労所得と利子・配当・不動産などの資産所得とでは、質的に税負担能力が違うので、前者には低負担を、後者には高負担を課す。
    ③健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵す課税を許さない。

    ■関係法令
     第二十五条【生存権、国の生存権保障義務】
      1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
      2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

     第二十九条【財産権の保障】
      1 財産権は、これを侵してはならない。
      2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律(民法第一編)でこれを定める。
      3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

    ■納税の義務は法律によって課せられる
    ①日本貨幣の需要を発生させる「租税が貨幣を動かす」
     日本貨幣でのみ納税させることで国内で日本貨幣の流通動機を与える。

     日本貨幣の需要を発生させることで国民へ日本貨幣所有動機または貯蓄動機を与える、貨幣の需要が増えるためインフレ圧力になる。
     政府が納税義務を法定すると、その唯一の支払い手段である通貨に対する需要が生み出されます。徴税のおかげで、通貨に相応の経済的価値がもたらされる。
     租税を課して徴収する政府の能力が制約を受けると、政府は自国通貨でのモノ・サービスを購入調達する支出能力を限定されてしまい、自国通貨に対する国内の需要も同様に限定されてしまう、すなわち政府が資源を動員する能力が限定されてしまうことを意味する。

    ②所得の再分配(所得税・相続税など)
     資本主義は金融資産(所得や貯蓄)の格差と偏在が必然に生じる経済方式です、そして金融資産(所得や貯蓄)の格差と偏在は経済成長を阻害する、この阻害を排除するため金融資産(所得や貯蓄)の再分配が必要になる。
     所得格差が拡大するとジニ係数が上昇する、0.5以上になると暴動の増加や治安が悪化するといわれる、災害大国の日本でジニ係数が普段から高いことは非常に危険である。
     ジニ係数とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標
    ③行動の抑制(消費税など)「租税は総需要を減らす」
     インフレ抑制をするため、消費に税を掛けて消費行動を抑制する(需要を減少させる)
     逆に減税をすれば行動を推進することになる
     空気や水の汚染、喫煙飲酒や賭博、ぜいたく品や輸入品の購入といった、思わしくない行動を抑止する、すなわち悪行のコストを引き上げる。
    ④ビルトイン・スタビライザー
     (所得税や法人税などの累進課税制度と雇用保険による失業等給付などの社会保障制度)
     経済用語で自動安定装置。景気変動を財政が自動的に調節するように作用すること。景気がよくなれば所得の増大により税収も増え、財政が黒字となり景気過熱を抑制する。
     逆に不景気の時は、税収も減り、社会保障費の支払いが増えるため財政は赤字となって景気を支える仕組。
     なお法人税は売り上げ全体ではなく所得に対してかかる。
     「理想を言えば、税収入は順景気循環的に動く、景気拡大時に増加し、景気後退時に減少するのが最もよい。」(MMT現代貨幣理論入門 L・ランダル・レイ 引用)
    ⑤財源の確保
     政府の歳出は税収によって制約されない
     そもそも、政府が国民から税を徴収するためには、国民が自前に通貨を保有していなければならない。
     では、国民はその通貨を何処から手に入れたのでしょうか?言うまでもなく、通貨を発行する政府からです。
     ということは、政府は徴税する前に支出して、国民に通貨を渡していなければならないはずです。
     国民に通貨を渡す前に、徴税することはできないからです、つまり政府支出が先にあって、徴税はその後だということになります。
     (奇跡の経済教室~戦略編~ 中野剛志)
    ⑥貨幣価値の調整すなわち物価の調整(インフレ率の調整)
     デフレを阻止し、経済成長にとって望ましいマイルドなインフレを維持する手段
    ⑦インフラなど国益にかかるコストを分離し直接負担させる
     特定の公的プラグラムのコストをその受益者に割り当てることである、高速道路の利用者が利用の対価を負担する通行料のようにガソリンに課税する。

    ■税収入の不安定要素
     ・納税者が自発的に納税する現制度では税収を不安定にさせる(確定申告)
     ・タックスヘイブン等で納税を回避される
     ・議会から課税免除を手に入れる
     ・企業の売り上げ、国民所得が増減すると税収も増減する
     ・本当のお金持ちは租税を払わない

    ■円の信認
     国債の残高が増えすぎたり、円が増えすぎれば「円の信認」が失われ、円の価値が暴落するリスクがあると論じられているが、それは、債務が増えたから等の理由では起こりえない。
     政府の徴税機能が崩壊したり、国民が政府そのものに対して反逆して納税をボイコットする等、貨幣の価値を保障している「徴税を巡る国家体制」が失われた時にはじめて、「円の信認」が失われるのである。(MMTによる令和「新」経済論 藤井 聡 から引用)

    ■債務ヒエラルキーの崩壊(負債ピラミッド構造)
     上位①通貨(政府貨幣) 中位②銀行貨幣(銀行預金) 下位③非金融部門の負債
     債務ヒエラルキーは強固な統治制度(特に税制)を持つ国においては、納税手段である通貨が最上位となり、その次に中央銀行制度を通じて一定の保護・管轄を受ける銀行負債(銀行預金)が位置し、その下に非金融部門の負債が信用度順に並ぶというピラミッド構造になります。
     政府による通貨制度・税制の運用(中央銀行制度の運用も含む)を通じて、通貨(政府貨幣)を頂点とする債務ヒエラルキー構造が確立される。
     これは当然のことながら、政府統治自体の不安定化、何らかの原因による経済体制・生産体制の急速な瓦解などが生じれば、既存の債務ヒエラルキー構造が崩壊することも十分にあり得る。
     たとえば、経済的失策や内戦などの結果として、実物生産体制や通貨制度・税制が崩壊してハイパーインフレをきたした国ではしばしば「ドル化」という現象が起きます、米ドルを頂点とした債務ヒエラルキーが「再形成」されることになる。
     (図解入門ビジネス 最新MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本 望月慎 (著) 引用)

    ■租税廃止による無税国家は本末転倒
     租税廃止による無税国家化によって租税手段としての裏付けを失い、それ自体の物質的消費価値もない紙切れあるいは電子データとなった発行通貨が、~中略~循環的理論によって流通することは成り立ち得る、ただ、このような不安定な需要に支えられた貨幣が、負債ピラミッドのトップで共通単位として機能するとは考えにくいでしょう。
     そもそも政府は、本来実物徴税で資源調達が可能であるところ、わざわざ通貨発行と回収というワンクッションを挟んで金融財政制度を構築しているわけです。
     その目的の一つは、最上位の決済手段を安定供給することによる決済の安定化であり、この決済の安定化という本来的目的と、無税国家志向は、必然的に矛盾をきたしてしまうことになります。
     無税国家は、一時的には可能だとしても不安定であり、決済安定化という通貨発行の目的と矛盾してしまう。
     (図解入門ビジネス 最新MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本 望月慎 (著) 引用)

    ■貨幣経済と課税
     貨幣経済(資本主義と言ってよい)の問題は、そもそも課税が失業者(租税を支払うために貨幣を探し求める人々)を生み出すことである。
     これを現代のほぼ完全な貨幣経済(単に食べたり、テレビを見たり、携帯電話をいじったりするために貨幣を必要とする経済)に拡大適用すれば、(租税を支払うためだけに限らず)誰もが貨幣を探し求めるということになる。
     そうだとすれば政府の租税によって生み出された失業問題を民間部門に解決させることはまったく愚かな行為である。
     (MMT現代貨幣理論入門 L・ランダル・レイ より)

    ■政府債務を解決する為の緊縮策は誤った策
     いかなる収入も誰かの支出によるものだから、国全体でみれば総所得は総支出と完全に一致する。
     だから、国内の個人や企業みんなが支出を切り詰めているときに、政府までもが倹約に走るようなことをしては絶対にいけない。
     そんなことをすれば、総支出が激減して、国民所得が激減し、財務省に入る税収も激減する。
     国民所得の減少が続けば、既存の政府債務も支払えなくなる。
     (黒い匣密室の権力者たちが狂わせる世界の運命 ヤニス バルファキス 引用)

    ■再分配より事前分配を
     ・富める者や富裕層に課税し、それを徴収することは非常に困難
     ・再分配の仕組みは確立された後に時間と共に弱体化し持続しずらい
     ・再分配は社会的な軋轢が激しい
     ・再分配には労力などのコストがかかる

    実務では政府支出は税収に基づいていない
     予算執行に際し政府短期証券の発行で財源を賄っている、政府支出の後に税収がある。
     つまり、政府支出は税収に先行するので政府支出は税収に基づかない。
     政府支出は税収制約に縛られないとすれば均衡財政(収入が支出と相等しい状態)は無意味になる。
     国の資金調達には、その必要に応じ国債発行、長期借入金、政府短期証券の発行、短期借入金の4方法がある。
     国庫と日銀の受払い業務にて、日銀へ政府短期証券の発行・償還を行う。

     現行の国庫制度の下では、国庫金の受払いはすべて日本銀行本店に設けられている政府預金に集中計理される仕組みとなっているため、政府預金残高は日々の国庫金の受払状況に応じて絶えず変動することとなる。
     こうした変動に対して、無利子の当座預金に国庫金を必要以上に積んでおくと財政に対してその分余計な資金調達コストがかかる一方、逆に当座預金残高が不足する場合には国庫金の円滑な支払いが阻害されることとなるため、国庫大臣(財務大臣)は日々の国庫金の受払いについて予め予想をたて。
     当座預金残高の不足が見込まれる場合には、財務省証券分としてのFB (政府短期証券)の発行等を通じて資金を調達し、必要以上の余剰が生ずる場合には、有利子の国内指定預金(一般口)への組替整理を行う、ことによって、概ね当座預金残高を必要最小限の水準に維持するよう資金繰りを行っている。

    ■消費税の機能と消費税の逆進性
     消費税は、市場におけるマネーの循環そのものに対する徴税であるから、貨幣循環量を直接的に調整するものとして機能する。(MMTによる令和「新」経済論 藤井聡 から引用)
     消費税には逆進性がある、低所得者ほど収入に占める生活必需品の購入費の割合が高いので、高所得者よりも税負担率が高くなる、つまり消費税の「痛み」は、高所得者より低所得者のほうがより強い、これでは痛みを分かち合ったことにはならない。
     みんなが税で痛みを分かち合うようにするには、累進所得税など、収入に応じた税負担率となる税制を採用しなければならないのです。
     低所得者により多くの痛みを押し付ける税制が、消費税です。
     (奇跡の経済教室~基礎知識編~ 中野剛司 から引用)
     消費税は国民消費と国民所得を確実に減らし、「政府債務負担の大部分」、「国内企業の国際競争力向上のしわ寄せ(世界中の労働者による底辺への競争)」、「自国通貨価値維持のしわ寄せ(対内切り下げ)」を間違いなく、国民の最も弱い立場の人々に押し付けるものだ、これがうまくいくことなどありえない、その結果として人道上の危機が引き起こされる。

    ■歳入金に関する業務の流れ図

     代理店が受け入れた資金については、④その代理店の日銀当預から引き落とされ、政府預金へ入金されることで決済される。
     すなわち、政府の歳入は日銀当座預金と銀行預金を両方同額減少させる。

    考察 本当に税金は必要か?
     着目点を「お金」ではなく生産と消費に移すと、納税は生産(供給)でも消費(需要)でもないので時間を無駄にする
     民間経済(実体経済)の主に循環通貨を減少させるので経済成長を阻害する
     国民の金融資産貯蓄形成を阻害する、特に若年層の金融資産貯蓄形成を阻害する
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