自助論(サミュエル スマイルズ)感想文
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自助論(サミュエル スマイルズ)感想文

2019-12-05 22:51


    スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫
    サミュエル スマイルズ (著), Samuel Smiles (原著), 竹内 均 (翻訳)
    文庫: 304ページ
    出版社: 三笠書房; 〔改訂新〕版 (2002/3/21)
    言語: 日本語
    ISBN-10: 9784837972396
    ISBN-13: 978-4837972396
    ASIN: 483797239X
    発売日: 2002/3/21

    ■下記本文一部抜粋してつなぎ合わせてある
    「天は自ら助くる者を助く」自助の精神は人間が真の成長を遂げるための礎である。
     自助の精神が多くの人々の生活に根付くなら、それは活力にあふれた強い国家を築く原動力ともなろう。
     人は、幸福や繁栄が自分の行動によって得られるものとは考えず、制度の力によるものだと信じたがる、だから「法律をつくれば人間は進歩していく」などという過大評価が当たり前のようにまかり通ってきた。
     われわれ一人一人がよりすぐれた生活態度を身につけない限り、どんなに正しい法律を制定したところで人間の変革などできはしないだろう。
     国民全体の質がその国の政治の質を決定するのだ、立派な国民がいれば政治も立派なものになり、国民が無知と腐敗から抜け出せなければ劣悪な政治が幅をきかす。
     国家の価値や力は国の制度ではなく国民の質によって決定されるのである、国民一人一人の人格の向上こそが、社会の安全と国の進歩の確たる補償となるのだ。
     人は専制支配下に置かれようとも、個性が行きつづける限り、最悪の事態に陥ることはない、逆に個性を押しつぶしてしまうような政治は、それがいかなる名前で呼ばれようとも、まさしく専制支配に他ならない。

    ■感想文
     出版から140年以上経っても教科書というのはありがたい、しかし、これを明治の青年たちに広く読まれていたというから驚いた。
     今の教育では考えられないが、明治当時は「学問の心得」の中に国家と私の関係を意識する常識や「志」の中に国家の発展に寄与したい願いがあったのではないかと思う。
     私益に留まらず、公益も視野に入れる高い志を学び得ようとする、「前提」の読者を対象にしている気がする、その前提が上記の抜粋と感じた。
     自助論が国家の発展と国民の発展を目的とするなら国家と個人を結ぶ「前提」が必要になる。

     古人(旧国民)の個性・人格・道徳・国民性・人間像・人間性を新しき国民へ継承、発展させることで国家が存続し繁栄する、その試みは140年以上色あせてない。
     教科書とはありがたい、私のような怠け者を叱責してくれる、怠惰・優柔不断・努力不足・不始末・無節操・無愛想・無分別・無力・悪習をあらためて諌めてくれる。
     道徳的な人間性に照らして諌めたり叱責するような説教は新鮮に感じる、昨今に無く新鮮に感じるのは、前述の「前提」がなく、問題が一個人の中だけに留まれるとすれば責任、課題、義務、尊い目的、高い目標を回避できるからかもしれない。
     怠け者や貧困者に努力不足・勇気不足・意志薄弱・怠惰などと一刀両断するような教説は最近は少ない気がする、もちろん場合や人にもよるが過保護にするより突き放したほうが、当人の為になるかもしれない。
     怠け者や貧困者に誰も何も責任を持ちたくはない、関わりたくもないし、目を背けて避けたほうが得である、しかればその人の為になるか知らないが、叱責などするよりも適当に慰めとけばいいということになる。
     前述の「前提」があることで怠け者や貧困者も国家のまぎれないもない一部になる、しかればその人の為に責任を持ち、関わり、目を向ける、ゆえにスマイルズは叱責し激励する。

     「人間性」についてこの本では具体的な解釈や意味について触れられていない、この人間性に関しては本全体を通して各々形成するしかない、本文では「人間性とは神聖にして犯すべからざるもの」としている、私はスマイルズと「人間性」の意味に隔たりを感じた。

    ■特に気に入った部分の抜粋
     読書から知識を吸収するのは、他人の思想をうのみにするようなもので、自分の考えを積極的に発展させようとする姿勢とは大違いだ。
     読書を自己啓発の手段と思い込んでいる人は多い。だが実際には、本を読んで時間を潰しているだけの話だ。
     よい人間、ひいてはよい国民に高めていけないような学問は、もっともらしく仕組まれた精神の"ままごと"である、そんな学問から知識を得たところで、それはまさしく無知を学ぶことに他ならない。
     われわれは知恵を発達させ、人格を高め、より豊かで幸福で価値ある人生を送るために学ぶべきだ。
     知識は、人生の高い目的をより有効に追求するための活力源でなくてはならない。
     われわれは、自分が「いかにあるべきか」、そして「何をなすべきか」を自分自身で選び取る必要がある。
     単なる読書にうつつをぬかし、他人の人間像や行動をほめたりけなしたりしてそれで満足というのでは困る、すぐれた知識はそのまま自分の生活に反映し、すぐれた思考はそのまま自分の行動に結びつくはずだ。

     スマイルズはかのように読書にふける怠け者の私を一刀両断します。
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