お勧めの本【黒い匣 (はこ) 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命】
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お勧めの本【黒い匣 (はこ) 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命】

2020-01-25 21:23


    黒い匣 (はこ) 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層
    ヤニス バルファキス (著), 朴 勝俊 (翻訳), 山崎 一郎 (翻訳), 加志村 拓 (翻訳), 青木 嵩 (翻訳), & 2 その他

    単行本: 592ページ
    出版社: 明石書店
    言語: 日本語
    ISBN-10: 475034821X
    ISBN-13: 978-4750348216
    発売日: 2019/4/19

     反緊縮派や反増税派それ系の人たちが絶賛してたので読んでみた、確かに絶賛されるべき本だった。
     ギリシャの財政破綻と財政再建は沢山の教訓を得られる、反緊縮派や反増税派であれば、ギリシャの悲劇から学ぶところは大きい、とにかく読んで損はない。
     不安な所は、当該書籍の主張をすべて信じる必要は勿論ないものの、読者の思想によっては主張することが肯定しづらいこともある。
     欠点として国内中央銀行・国内市中銀行・ユーロ・ECB・EU・IMF・EFSF・トロイカなどの機関や組織の役割と関係性と各種財政手続き方法が難解でわからない、何か簡単な図解がほしかった、また、共通通貨ユーロ・関税同盟・ユーロ的財政制度・ユーロ的貨幣制度を一般的に知っていることが前提になるので、これも日本とギリシャの違いについて解説がほしかった。

     余すことなくこの書籍を楽しむには日本政府とユーロ加盟国の違いについて、中央銀行(最後の貸し手)・主権通貨(自国通貨)・国債償還・国債の借り換え処理・マクロ経済学・政府短期証券・銀行取付などのある程度は知識が必要だと思った。
     著者の新しい提案である、永久国債・GDP連動国債・ゼロクーポン国債などのスワップ案は非常に興味深かった。
     ギリシャの財政主権・財政制度・財政規律・貨幣制度の大部分が違う日本でもギリシャと同じような緊縮・プライマリーバランス黒字化・増税・民営化・対内切り下げ(自国の労働力を他国に対して切り下げる)・賭博推進・構造改革(誰も構造改革の意味を知らない)・労働者権利破壊・メディア荒廃・人間軽視の誤謬・貧困者の人道的危機が猛威を奮っている理由やヒントを少なからず示唆する内容だった。
     政治や経済の話だけでなく歴史的なスーパーブラックボックスの物語と、またその洞察力はとても素晴らしい!

     「・・・・こうした洞察は有益ではあろうが、私が本書を書いた動機はもっと深いものであった。私自身が経験した個々の出来事の背後に、普遍的な物語がみえた。
     それは、非人道的で目に見えない権力関係のネットワークが創り出した残酷な状況に翻弄されることになった人間には、いったいどんなことが起こるのか、ということである。
     本書には「善人」も「悪人」も登場しない。むしろ、自分で選択したわけではない状況下で最善を尽くそうとしている人たちが登場人物である、私が出会い、本書に描いた人々は、正しい行動をしていると信じていたが、全体として彼らの行為は大陸規模の災いをもたらした。
     これは正真正銘、悲劇の題材ではなかろうか。ソフォクレスやシェイクスピアの悲劇が、物語れている出来事がまったく古くさくなってしまった現在においても私たちの共感を呼んでいるのは、こうしたテーマのせいではなかろうか。」

    2020/02/08追記

    わたしたちを救う経済学──破綻したからこそ見える世界の真実
    ヤニス ヴァルファキス(著)
    単行本(ソフトカバー): 448ページ
    出版社: Pヴァイン
    言語: 日本語
    ISBN-10: 4909483349
    ISBN-13: 978-4909483348
    発売日: 2019/7/17

     ブレトンウッズ体制、アメリカの貿易赤字化による資本収奪体制、欧州版ブレトンウッズ体制、共通通貨ユーロ体制など歴史や経緯が内容の大部分で、日本経済も大いに関係がある。
     ブレトンウッズ体制とヴォルカーのウォリック演説は衝撃的内容だった、現日本の経済状況と日本の地位がなぜこうなっているのかを考えるとカチっと嵌る。
     ヤニス ヴァルファキスの歴史と経緯に対する洞察力は経済学に留まらず広く物事の示唆に富む。
     欧州でのナチズムやファシズムの復活と広がりに対して警告をしているが、日本も民族主義や国家主義などが台頭するのもそう遠くは無いと思われる、経済学は民主主義を救うのか?破壊するのか?・・・・。

     貧弱な非独立国家は貿易黒字に固執する、自国の貿易黒字はそれと同額の貿易赤字が他国にある関係性を作る。
     貧弱な非独立国家は他国との信頼関係または均衡関係を築けず、国際関係に対する恐怖と不安と焦りが貿易黒字を渇望させる、それは自国の独立性に自信がなく何らかの依存関係を脅迫観念に囚われて構築しようとする意図があると思われる。
     外貨や主にドルを山のように溜め込んでも使い道は限られている、非独立国家が資源(環境破壊も含む)と労働力を消費して生産輸出した物質的な実益は赤字国が享受している、「巨額を貿易赤字にできる」というのは独立国家としてそれだけの自信と絶対的な力があるんだろうアメリカは。
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