学問のすすめ、福澤諭吉より~政府と国民の関係~
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学問のすすめ、福澤諭吉より~政府と国民の関係~

2020-03-02 21:44

     日本国民は、日本国に住み、起きて寝て食べて、といったことは自由にやる権理がある。そしてその権理がある以上、それに対する義務というのがなければならない。
     われわれは国民としての責任を尽くし、政府は政府としての責任を尽くして、お互いに協力しあい日本全体の独立を維持しなくてはならない。
     一国全体を整備し充実させていくのは、国民と政府とが両立してはじめて成功することである。
     内側に政府の力があって外部には国民の力があって、内外それぞれ反応して、その力のバランスをとらなければいけない。

     国家の政治を運営するのは政府で、その支配を受けるのは人民なのだが、これはただ便宜的にそれぞれの持ち場を分けているだけの話。
     一国全体の面目にかかわることとなれば、国民が、国を政府にのみまかせて、これを側で見物しているだけというのでは道理が通らない。
     ただ政府の働きにまかせて放っておいたならば、国の独立というのは一日ももたないだろう。
     政府はといえば、ただ命令する力があるだけなのである。諭したり、手本を示したりというのは、民間でやることである。
     だから、われわれが、まずしっかりと自分たちの立場に立ち、学術を教え、経済活動に従事し、法律を論じ、本を書き、新聞を出すなどして、国民の分を越えないことであれば、遠慮なくこれらを行い、法律をかたく守って正しく事に対処する。

     また、国の命令がきちんと実行されず、そのために被害をこうむったならば、自分の立場をおとしめることなくこれを論じて、政府に鋭い批判をする。
     古い習慣を打ち破って、国民の権理を回復させることが、いま現在、至急の要務なのだ。
     われわれが民間で目的としているのは、物事が上手くやれるということを示すことにあるのではない。ただ、世の中の人間に、官に頼らないあり方を知らせようとしているのである。

     「世の中の事業は、ただ政府のみの仕事ではない。政府も日本の政府であり、国民も日本の国民である。政府を恐れてはいけない、近づいていくべきである。政府を疑うのではなく、親しんでいかなければならない。」という趣旨を知らしめれば、国民もようやく向かっていくところがはっきりし、上はいばり、下は卑屈になるという気風も次第に消滅して、はじめて本当の日本国民が生まれるだろう。


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