「ブルガリアといえばヨーグルト」に感じる違和感
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「ブルガリアといえばヨーグルト」に感じる違和感

2019-10-21 20:58

    「ブルガリアといえばヨーグルト」という言葉をよく耳にしますが、それは本当なんでしょうか。




     確かに、ブルガリアのスーパーマーケットに行ったとき、多種多様なヨーグルトがあり、山羊乳や羊乳を使った商品も販売されていました。希少なバッファロー乳を使ったヨーグルトもあるそうです。



    とあるメーカーの商品。乳脂肪分が0.1%, 2%, 2.8%, 3.4%, 4.5%とバリエーション豊富。

     ブルガリア料理に目を向けても、ヨーグルトを使った冷たいスープ・タラトール(таратор)やヨーグルトを使ったサラダ・スネジャンカ(снежанка)などがあり、その他の料理にも調味料としてヨーグルトが投入されることがあります。ヨーグルトに塩気を効かせてドリンク状にしたアイリャン(айрян)は夏の暑い時期にピッタリな飲み物です。


    アイリャンについて、2003年以前に刊行された正書法辞書にはアイラン(айран)が正式な名詞であると載っていましたが、市販商品にはайрянと表示されており、2004年に正書法辞書の側が改定され、айрянという表記に改められたそうです。[тур.]はトルコ語起源という意味。




    ソフィアのレストランでいただいたタラトール(右)。キュウリやクルミ、ディルとのコンビネーションが絶妙。


     ブルガリアとヨーグルトの関係は確かに深く、ロシアの科学者メチニコフがブルガリアのヨーグルトに関する研究論文を発表したり、ブルガリアの科学者の研究成果によって乳酸菌の名前にも「ブルガリア」が付いています。

    しかし、多くの人がそこまで考えて「ブルガリアといえばヨーグルト」と暗唱しているとは思えません。明治乳業の製品の影響なんだろうと思います。

    なおブルガリアに限らず、トルコやバルカン半島全域でヨーグルトはよく消費されます。


    他の乳製品にも注目して欲しい


     ヨーグルトに限らず乳製品の種類は豊富です。白くて塩辛いフレッシュチーズのシレネсиренеや黄色いセミハード系チーズのカシカヴァールкашкавалは必須食材です。牛乳製と羊乳製があります。シレネの方は、ギリシャ産フェタチーズと近いので、日本国内でも代用食材が手に入ります。




    白くて豆腐みたいなのがシレネ、黄色いのがカシカヴァール。



    個人的には、シレネを使用したパイのバーニツァбаницаがブルガリアの食べ物の中で一番好みです。この冷凍バーニツァ、日本でも取り扱って欲しい。


    ちなみに、私の参加したタルノヴォのブルガリア語セミナーのホテルでは、ヨーグルトは一度も食卓に上りませんでしたが、カシカヴァールは形を変えつつ多様&大量に使用されていました。羊乳製のカシカヴァールには濃厚な風味があります。



    こちらは「羊乳、山羊乳、水牛乳とその製品」という書籍。ハードカバー。 牛乳製以外の乳製品にフォーカスを当て、栄養成分、製造法、利用法を紹介している。



    続いて、「ブルガリアといってもヨーグルトしか思い浮かばない」方にとっては衝撃かも知れないトリビアですが、、


    ブルガリアではヨーグルトという単語は使わない


     「ヨーグルト」という単語は日本語にもなっていますし、英語ではYogurt、ロシア語でもЙогурт、世界の大部分の国で通用する言葉です。

    しかしブルガリア語には、そのような単語はありません。



    困ったときのブルガリア語大辞典тълковен речник、そこにあるべきヨーグルトという単語は、無い。


    ブルガリア語でヨーグルトを表す言葉はキセロ・ムリャコ(кисело мляко)、酸乳と書いてヨーグルトを表します。

    なぜブルガリアだけ「ヨーグルト」という単語を使わないのか?
    意外とブルガリア人もこの理由について明確に説明できる人は少ないようです。ヨーグルトという単語がトルコ語を起源とするため嫌われたという説も目にしましたが、ブルガリア語にはトルコ語起源の単語は他にも山程ありますからね・・・。他には、トラキアの言葉を起源とする説や、そもそもキセロ・ムリャコとヨーグルトは別物であり製法も異なる、というそれはそれで興味深い説もありました。

    いずれにしても、ブルガリアでヨーグルトという呼び方はメジャーではありませんので、それも標記の違和感の一つにつながっている気がします。


    日本人が想像しているヨーグルトと違う?


     日本のヨーグルトはほぼ水と言う人もいます。生乳をほとんど使用していなかったり、ほとんど砂糖水な商品もよく見かけます。某有名企業の製品も・・・(以下自重)。一方で、ブルガリアではヨーグルトは無糖で食べるのが普通です。



    蛇足ですが、国内外のヨーグルトを食べ比べた中で、個人的推しは中央製乳株式会社の「渥美半島プレーンヨーグルト」。酸味強めで、ヨーグルト通向き。豊橋駅カルミアや愛知県内の農協スーパーで購入可能。他に同社の製品で「渥美半島ソフトヨーグルト」「どうまいヨーグルト」もあるがそちらは加糖。



    そもそも一番の違和感は


     「ブルガリアといえばヨーグルト」と言うのは良いにしても、それだけだとブルガリアについて何も知らないのと変わりません。それなのに「ブルガリアといえば」と語っている感が違和感につながるのだと思います。ブルガリアという国は、勉強すれば勉強するほど興味深いです。食文化だけでも上記の乳製品のほか、ハチミツやハーブティー(ビルコフチャイ)も種類豊富で奥が深いです。ボザ(боза)という独特の発酵飲料もあります。最近ではブルガリアに自生し、コムギの原種ともいわれる古代小麦アインコーン(ヒトツブコムギ)лимецも注目され始めています。ブルガリアではパンも美味しいんですよね。一部の商品は日本にも輸入されています。→Zidoヴィーガンクラッカーヴィーガンビスケット
     自分は音楽に興味があってブルガリアに行ったので、ブルガリアの音楽や楽器についても次回書きたいと思います。

    リンク:ブルガリア産商品紹介ブログ ー ブルガリア産食品
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