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山田玲司のヤングサンデー 第85号 2016/5/23
ズートピアと童貞処女問題
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前回「選択肢が増えるほど、人は選択をし難くなる」という話をしたけど、この「可愛い子だらけ」「イケメンだらけ」のメディアを観て生きてきた日本人の若者が「普通の人」ばかりの日常生活の中で「最高の相手」を選ぶのは大変だとは思う。
ディズニーにピクサーの「ジョン・ラセター」が入ってから、ディズニーはもうかつての「古城の役人みたいな集団」ではなくなりました。
どうにも日本人はリアルなSEXをしなく(できなく)なってきたので、この国には「いい年をした童貞処女があふれている」らしい。
そんな話は正直な所どうでもいいんだけど、この「いい年した童貞さん」が言う「僕はあえてしないんです」とか「もう3次元はあきらめました」とかいう「童貞の主張」が面白いのはわかる。
多分そこには「猛烈な自意識対リビドーの泥沼戦争」が生み出した「洗練した自虐的開き直り」があるからだろう。
「その時期」が長くなればなるほど「熟成した自意識防衛理論武装」になるので面白い仕上がりになっていく。そこまではいいんだけど、そういうのを経験者が「上から目線」で面白がっている、という風潮も感じる。
これもまた「なんだかなあ」という感じだ。
そもそも性生活なんてそれぞれ自由に(合意の範囲内で)やっててくれればいいし、本人が「一生ソロでいい」と望んでいるなら、「SEXしないとダメな奴だ」なんていうバブルの頃みたいな同調圧力なんていらない。
とは言え、本音を言えば「いい相手といい感じで出来るならぜひ経験したい」というのが大半だろう。
なぜ日本人に童貞処女が激増しているのか?
前回「選択肢が増えるほど、人は選択をし難くなる」という話をしたけど、この「可愛い子だらけ」「イケメンだらけ」のメディアを観て生きてきた日本人の若者が「普通の人」ばかりの日常生活の中で「最高の相手」を選ぶのは大変だとは思う。
現実にはアイドル並の美少女やイケメンなんかほとんどいないし、いても大抵は「誰かのもの」になっている。
そんなこんなで「アイドル並の相手」をモノにするには、高学歴で金持ちで、見た目が良くて有名でなければならないのだ、なんて思い込みが生まれるわけです。
実際はそういう「スペック」なんか関係なく「素敵な相手」をモノにしている人が多いんだけど、そうなると問題は「自分の人格の問題」になってしまって、いよいよ逃げ場がなくなるんで、彼らはそこは認められません。
ブサイクな男が可愛い女にモテていると「どうせ金持ちだから」とか「有名人だから」とか言って心の平穏を保とうとするので、その浅い理論武装がまた「面白く」見えてしまうんですね。
そんな話をしていたら、ディズニーの最新作「ズートピア」に1つの回答がありました。
ズートピアが解く「呪い」とは?
ディズニーにピクサーの「ジョン・ラセター」が入ってから、ディズニーはもうかつての「古城の役人みたいな集団」ではなくなりました。
内部を見てきたわけではないけど、別格になったのは作品を観ればわかる。
シュガー・ラッシュも素晴らしかったし、アナ雪もベイマックスもかつてのディズニー作品と比べて圧倒的にいい。
何が良くなったかと言えば、ラセターのおかげで「作家個人の想い」が作品に反映されるようになったところだろう。
ディズニーは1940年代から50年代の価値観から抜け出せなかった。古き良きアメリカと言えば聞こえはいいけれど、その多くは白人中心で、封建的、排他的な構造も見られた。
第1期ディズニー改革では、CGを導入した技術革新で、映像的な進化はしたのだけれど、作品は「美女と野獣」や「ライオンキング」などでテーマはまだまだ「いつものディズニー」の枠を出ていなかったように見えた。
ところがここ数年の第2期改革ではそのテーマからして大きく前進している。
シンデレラが「女の幸せは王子(ハイスペック男)との結婚だ」という刷り込みをしたのを、「アナ雪」で開放し、今回の「ズートピア」ではピノキオで描かれた「狐は嘘つき」という刷り込みを開放している。
ラセターは旧世代がかけた「呪い」をアニメーションという魔法の力で解こうとしているように見える。
今回のズートピアのテーマはズバリ「多様性って最高」というものだった。
時代は不寛容で、多様性よりも小さな村の仲間意識に向かっていこうとしているけれど、ラセターチームは真っ向から「違いを受け入れて仲良く暮らすのって最高なんだ」と言っているのだ。
今回の「呪い」は違いのある相手に対する偏見と恐怖、思い込み、などで、それを克服するって話だ。
そもそも捕食関係(敵対関係)にあるウサギと狐が、互いを理解してバディになるのだ。
これは「男女関係」にも完全に当てはまる。
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