【見学レポ】JAXA相模原キャンパス特別公開2019(中編)
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【見学レポ】JAXA相模原キャンパス特別公開2019(中編)

2019-11-30 20:30
    前編は→コチラから
    後編は→コチラから


    10時に開場。第4会場の研究・管理棟(1)へレッツゴー。

    2019年11月2日(土)に行われたJAXA相模原キャンパスの特別公開の見学レポの中編です。

    まとめたらとても長くなってしまったので、前・中・後編になりました。3分割です。
    中・後編では私自身が行った質問と回答、見学したブースの写真と雑感を紹介します。


    今年、2019年のJAXA相模原キャンパスの特別公開は、例年の夏開催ではなく11月開催でした。春になっても開催のアナウンスがなかったので、今年は無いかもしれないと不安でした。


    昨年(2018年)夏の特別公開は残念ながら、私が唯一行ける日が台風12号で中止になってしまったので、今年の開催が無かったら3年間もおあずけを食らうとこでした。おのれジョンダリ

    例年の2日間開催から1日だけの開催だったものの、開催してくれただけでもありがたいです。関係者の皆様に感謝を。



    見てきたもの一覧

    1:火星衛星探査計画(MMX)
    2:超小型探査機OMOTENASHI
    3:「はやぶさ2」のリュウグウ探査
    4:木星探査: ひさき から JUICE へ (ミニ講演会を聴講)
    5:深宇宙探査技術実証機DESTINY+
    6:天文衛星と新しい衛星計画
    7:エネルギーから宇宙を拓く
    8:人工衛星の熱制御技術
    9:小型月着陸機SLIM

    ざっくり9種類のブースについて紹介。中編では上記1~5を取り上げます。


    2019年11月2日10時、私にとっては2年2ヶ月ぶりの相模原キャンパス特別公開がスタート。

    開幕直後、まずは火星衛星探査計画MMXのブースへ直行。

    MMXについて初めて知る人は、こちらの動画をぜひご覧ください。

    MMXは私の推しの探査計画でもあります。MMXの深い情報は、以下のブロマガ記事にも書いているので、MMXのことをより深く知りたい方はご覧ください。

    【講演会レポ】火星衛星サンプルリターン計画(JAXA MMX計画)―はやぶさ2の次にくるもの―(前編)
    https://ch.nicovideo.jp/yamagon/blomaga/ar1772998
    【講演会レポ】火星衛星サンプルリターン計画(JAXA MMX計画)―はやぶさ2の次にくるもの―(後編)
    https://ch.nicovideo.jp/yamagon/blomaga/ar1777184


    1:火星衛星探査計画(MMX)


    MMXのブースには、MMXについての事がまとめられたポスターや、MMX探査機のレゴブロック(機体色が黒の古いデザイン)などが展示されていました。最初にスタッフの方から紙を手渡され、パンフレットかなと見てみると、パンフレットと一緒にMMXについてのクイズ用紙がありました。「100点満点で素敵な景品がもらえるよ」とのこと。
    待ってましたこの時を!!さっそく回答へ。

    全部で10つある問題のうち、8つは答えがすぐ浮かび、一応ポスターで合ってるか確認。残り2つはポスターを見て答えを探しました。

    MMX推しの一人として、間違えるわけにはいかないと使命感を勝手に感じながらスタッフの方に答え合わせをしてもらいました。答え合わせ第一号でした。
    結果は…全問正解キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


    まあまあ手ごたえのあるクイズでした。



    特別公開でもらったパンフレットとステッカー。こうした配布物は嬉しいですね。使うのが少々もったいない

    景品はMMXのステッカー(↑写真右下)。これは嬉しい!!最高の記念品になりました。

    多幸感に包まれながら、気になるMMXのポスターを撮影。


    2019年のMMXポスター。MMX探査機の画像はMLIが金色の新しいデザインになっている。

    この後はしばらくの間、Twitterで募集していた質問の回答を集めに行き、午後になり再びMMXのブースへ。その時にはブース中に人だかりができていました。


    午後2時ごろのMMXブース。打ち上げ前の探査機でありながらこの大盛況!しかし…

    大盛況でとても嬉しかったのですが、よく観察してみると、クイズの回答を集めるために人々がポスター前に群がっている状態。なるほどクイズの問題の大半は、ポスターを見ないと普通の人は知らないようなことばかり。ポスターに書かれている答えも見つけやすいとはいえず、(答えの位置を表すシールはあった)結果としてクイズを解くのに時間がかかり、いつまでたってもポスター前に人がいるという状態。本当に混んでいました。
    クイズと景品は非常に面白いやり方だとは思うのですが、お世辞にも回転率が良いとはいえないなと。
    MMXのスタッフに探査についての質問をしに行ってみましたが、人込みのおかげで動くのが大変でした。

    MMXについての質問と回答を以下に記します。

    Q:MMX探査機の色が、黒色から金色に変わったのはなぜ?
    A:金色はまだ確定ではない。金色と黒色は導電性が違うので、まだ判断はしてないと思う。現在はどちらともありえる。
    機体内部の色は黒。発熱機器があるので、ふく射率を上げるために黒色になる。外側が黒にしろ金色にしろ、役割は同じ。断熱の機能を持っている。それが導電性があるかどうかの違い。黒が電気を通す。

    Q:着陸の時に塵が舞い上がると思うんですけど、それの影響を考えた時、導電性はあったほうが、それともないほうが良い?
    A:静電誘導で付く場合、どっちにしろ付く。黒か金色のどちらがいいかはわからない。塵が付くことは前提で考える。今後どこかのタイミングで、外装の判断をする。早めに。4年後の直前ギリギリの判断はない。


    黒い姿だったMMX探査機が、今年になると金色の姿になっていたのでびっくりしました。その理由について聞いてみましたが、まだ金色の姿は確定ではないとのこと。続報を待ちたいところです。


    2:超小型探査機OMOTENASHI


    アメリカの超大型ロケット「SLS」で打ち上げられる日本の超小型探査機「OMETENASHI」と「EQUULEUS」(オモテナシとエクレウス)。OMOTENASHIのポスターを紹介。


    SLSの打ち上げが何年も遅延しているのがなんとももどかしい。

    OMOTENASHIは、月への着陸を目指す超小型探査機。着陸といっても、軟着陸と思いきやそんなことはなく、セミハードランディングで月面にたたきつけられる探査機。なので電装品は衝撃で壊れないようにエポキシで隙間なく固めて搭載するとのこと。

    現在の打ち上げ予定は2020年11月。


    3:「はやぶさ2」のリュウグウ探査


    はやぶさ2の探査成果をまとめたポスターが展示されていました。


    はやぶさ2のSCI運用時の観測写真。今まで見たことの無い光景の数々…。

    ポスターを見ながら(こんなことがあったなぁ)としみじみ思いながら振り返ると、なんと、はやぶさ2のSCI(衝突装置)担当の佐伯先生がいらっしゃるではありませんか!
    私は若干上ずった声で、SCIのライナが見事良い位置に命中してホッとしたことを伝え、さらにいくつかの質問をしました。快く答えてくださり、とても嬉しかったです。

    ・SCI(衝突装置)担当の佐伯先生への質問
    Q:SCIを今後のミッションで使用する、といったことは検討しています?
    A:まだ直接の検討などはない。海外の方からは引き合いがあったりはする。何分物騒な物なので。(笑い)これでやり方が確立されたので、似たようなミッションがあればそのまま積んでもいいかなと思う。

    Q:佐伯先生はMMXに携わったりしますか?
    A:今のところはわからない。まだはや2が1年残っているので。

    (この後、帰還後のはや2について質問。その質問内容と回答は前編に。)

    ・イオンエンジンを研究している学生さんへの質問

    Q:改良が進んだ現在のμ10の推力はどのくらいですか?
    A:もう論文が出ているので大丈夫なので申し上げると、今は12mNくらい。はやぶさの時は8mNで、はや2のときは10mNだった。

    Q:改良型μ10の寿命はいかほど?
    A:寿命の評価は難しいところ。数万時間稼働するので、連続耐久試験をするだけで何年もかかってしまう。なのではやぶさ・はや2のイオンエンジンから抜本的に変えられないというところがある。過去の遺産を引き継いで、変えられるところは変えてやっている。
    はやぶさで壊れた中和器は、故障への対策を加えた改良版がはや2に載っている。中和器の耐久試験は打ち上げ前から今も続けている。

    Q:はやぶさ2が地球に帰還した後、イオンエンジンはあと何年動かせそう?
    A:地球についたらはやぶさ2ごと燃え尽きちゃうかも…

    Q:もしそのまま飛び続けるとしたら?
    A:ほかの機器にもよるので未知数。イオンエンジンとしては全く問題ないと思う。

    リュウグウでのミッションを終えたはやぶさ2。あとは帰るのみになりましたね。

    復路もイオンエンジンが完走するよう、応援しています。ありがとうございました。



    4:木星探査: ひさき から JUICE へ (ミニ講演会を聴講)


    ・「ひさき」からJUICEに続く木星圏探査~ミニ太陽系の探査~ 山崎 敦ひさきPM(プロジェクトマネージャー)

    講演を聴講。内容をざっくりと紹介します。



    ・木星と「ひさき」
    木星には磁気圏がある。木星磁気圏は強力かつ巨大。木星に一番近いところを周るガリレオ衛星のイオは、ずっと強い木星磁気圏の中をくるくるくるくる回っていて、木星磁気圏の外に出ることはない。木星から遠くを周るカリストは、木星磁気圏のしっぽの中に出たり入ったりしており、常時磁気圏内にいるわけではない。

    木星磁気圏の中を周るイオを現在観測しているのが、衛星「ひさき」地球周回軌道から木星とイオを見ている。さらにNASAの木星探査機「ジュノー」が木星の周回軌道から磁気圏やプラズマなどの観測などを行っている。
    「ひさき」のチームは、ひさきとジュノーの観測結果を使って木星近傍の観測を行っている。

    ・ガリレオ衛星について
    エウロパは表面が氷で覆われていて、地下には海が存在すると考えられている。その地下の水は間欠泉のように噴き出すことがある。地下海には生命が存在する可能性もある。イオの火山と噴火もエウロパの地下海と間欠泉も同じ潮汐力によるもの。


    イオやエウロパと比較すると影が薄い気がする衛星、ガニメデ。磁場の存在が特徴的とのこと。

    で、木星の衛星ガニメデは、エウロパのように地下海の存在が確認されている衛星だが、一番重要なのが、「磁場が存在する」ということ。地球のように、内部に液体鉄のコアがあるので、磁場か形成されている。磁場を取り巻きながら、木星の周りを回っている。これを観測したいのが、JUICE(木星氷衛星探査機ジュース)
    ところで、なぜ磁場があると良いのか。磁場があると、オーロラがある。ガニメデのオーロラは地球よりも低緯度で観測できる。
    磁場の関係を調べていって、木星系の中で磁場とプラズマの相互作用を調べるのがJUICEの目的の一つになっている。

    JUICEは2022年6月に打ち上げられ、2029年、今から10年後に木星に到着し、探査を行う。2032年には磁場がある衛星ガニメデを周回する。


    探査機JUICEは磁力計やプラズマ粒子計測機を搭載して木星、ガニメデへ向かう。そして木星磁気圏とガニメデのオーロラの関係を解き明かそうというわけだ!!

    講演を聴いて、木星氷衛星探査機JUICEがなぜガニメデを周回して詳細な探査を行うのか、理由がわかった気がしました。
    講演では、打ち上げから6年になるひさきの木星圏の観測成果も見ることができました。ひさきの活躍を知れて嬉しかったです。

    講演終了後、質問コーナーがあったので、ふと気になったことについて、質問してみました。

    Q:JUICEが木星に到着したとき、一緒にひさきも観測できればいいなと思ったのですが、ひさきは今後、どれくらい運用が可能ですか?
    A(山崎PM):ひさきの設計寿命は、実は1年でした。そこから頑張って今6歳。小学1年生くらい。
    ひさきの軌道は特殊で、高度1000kmを周回している。ひさきの軌道はISSや地球観測衛星などに比べて高度が高いため、放射線の影響を受けやすい。ひさきのCCD(観測装置ではなく、スタートラッカーと、視野ガイドカメラ)が放射線に弱いので、ダメージを受けて使用できなくなってしまう。このCCDは姿勢制御に必要なものなので、劣化が進むと惑星に観測装置の視野を向けることが難しくなり、最終的に衛星の寿命になる。JUICEが到着する2029年、あと10年は、さすがにもたないだろう。
    ひさきの観測装置のディテクターは、CCDよりも放射線による影響は小さい。なので、ひさきがコントロールを失わないところまで観測を行いたい。

    とのことでした。ひさきの高度は1000kmで、大気による軌道減衰がないため長期の運用が可能かなと思っていましたが、高度が高い分、放射線による影響でCCDの劣化が進み、運用寿命を迎えてしまうようです。


    宇宙科学探査交流棟に浮かぶ衛星「ひさき」の模型(中央)。ひさきは後ろの「はやぶさ2」よりもずっと軽い小柄な衛星だ。

    講演のタイトルに「ひさき」からJUICEに続く木星圏探査とあるように、ひさきはJUICEと一緒に観測するというよりは、ひさきがもたらした成果や謎が、JUICEに繋がっていくということなんですね。JUICEとのひさきの関わりを知ることができて、ひさきのことをもっと好きになりました。


    5:深宇宙探査技術実証機DESTINY+


    個人的にすごく気になっている探査機「DESTINY+」。ブースで直撃質問をたくさんしてきました。

    DESTINY+については、こちらの情報スライドをご覧ください。

    2019年9月に作成したもの。


    展示されてあったDESTINY+の模型。機体上部についている双眼鏡のようなものがダストアナライザ(DDA)

    ・イオンエンジンの研究を行っている方への質問
    Q:この模型は探査機デザインの最終版?
    A:最新版ではあるが、確定ではない。まだ設計を検討しているので、どこに何が配置されるかは変わる可能性がある。


    DESTINY+の構想と実証する工学技術について。

    Q:開発で一番難しそうなところはなんですか?
    A:工学的ミッションで言うと、太陽電池と熱制御とイオンエンジンが新しく挑戦しようとしている技術。なぜ熱制御が入っているかというと、まずイオンエンジンがものすごい熱を出す装置で、はやぶさ2の場合はイオンエンジンのノズルの中に太陽光が入らない姿勢なのに対し、DESTINY+はスパイラル軌道上昇の際、イオンエンジンのノズルの中に太陽光が入ってしまい、熱がさらに増えてしまう問題がある。そのために、熱をより強く逃がす展開式のラジエーターを搭載する。宇宙空間で熱を逃がすというのが工学的に難しい。
    実はスパイラル軌道上昇もチャレンジングで、イオンエンジンをはやぶさやはやぶさ2よりも長い時間噴射しないといけないのが難しい。

    Q:イオンエンジンについてはどうか?
    A:DESTINY+に搭載するイオンエンジンははやぶさ2の改良型で、推力がアップしているのでより早く速度が上がるし、比推力はそのまま据え置き。

    イプシロンで低い軌道にしか投入できなくても、深宇宙探査ができるという意味で、ある意味イオンエンジンの新しい可能性を実証するのがDESTINY+。H-IIA、H3ロケットを使わなくても、小型で安いイプシロンロケットでも、イオンエンジンを使えば深宇宙探査ができるっていうのを実証する。DESTINY+が成功すればこういった探査機がどんどん上がる可能性が出てくるのが魅力の一つ。



    DESTINY+のフェートンフライバイ観測について。このポスターは流れがわかりやすいですね。

    ・DESTINY+の探査機システムを担当している方への質問

    Q:DESTINY+がフェートンをフライバイするときは、 通信しながら観測を行い、撮った写真をすぐ送ってくるのか、それともフライバイの時は観測に集中して、写真をメモリに記録しておいてフライバイ後に写真を地球へ送信するのか、これは?
    A:鋭い(笑い)。残念ながら、観測データを通信するには、指向性のある大きなアンテナ(HGA)が必要になる。通信レートの早い大きいアンテナを使えればいいが、DESTINY+が撮像するときは姿勢をフェートンに集中したいので、アンテナを地球に向けるのは難しい。
    実際にフライバイ撮像を開始する時間、ポスターにあるように最接近7.2時間前が通信の限界。これ以降になると細いレートでしか通信できないので、画像を下ろすことは原則しない。撮像し終わった後に、姿勢を変えて(アンテナを地球に向けて)、画像を下ろしていく。

    Q:7.2時間前だとフェートンの画像はどんな感じになりますか?
    A:この時点だと1ピクセルくらいだといわれている。

    Q:フェートンの形がわかるのは、フライバイが完了した後?
    A:そうなると思う。ただフライバイ前に数ピクセルくらいの画像は見ておきたい。DESTINY+が誤った方向を見ているかもしれないから。カメラを向けた星が別の星やゴミだったら大変なことになる。可能な限り人目で確認はしたいが、シーケンスには限界がある。数ピクセルくらいの画像を下ろした後は、あとは探査機が自動で。おまかせになる。


    DESTENY+のカメラ、TCAPとMCAPについて。TCAPは内部に駆動鏡を備えており、フライバイ時に小惑星の姿を捉え続けることができる。

    Q:
    観測装置の開発状況はどうですか?
    A:駆動鏡(TCAP)の試作をしている最中だと聞いている。

    Q:過去の探査機のヘリテージを活かしている観測装置はありますか?
    A:TCAP(小惑星追尾望遠カメラ)については新規開発だったと聞いている。

    Q:探査機の開発で一番難しいところは?
    A:探査機システムを担当する視点でいうと、やはり質量。イプシロンで打ち上げられるのも"売り"の一つだが、ロケットの能力が低いので、イオンエンジンを使うといっても電力が必要になり、大きな発生電力が必要でSAPも大きくなり、観測機器も載せるとなると質量にどうしても響いてくる。
    打ち上げ能力の中に探査機の質量を収めるのが大変。今は入っている。
    もちろんフライバイ撮像も難しい技術だと思う。自動でやらねばいけない。一番の悩みはやはり質量。


    DESTINY+について、資料には載ってない貴重な生の情報を得ることができました。固体ロケットとイオンエンジンの組み合わせの探査機は、あの「はやぶさ」以来ということで、私はDESTINY+に特別な視線を向けています。ぜひとも探査が実現してほしいと思っています。


    中編はここまで。

    後編は近日公開予定。もうしばらくお待ちください。

    前編は→コチラから
    後編は→コチラから

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