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明治の巨大怪獣
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明治の巨大怪獣

2014-06-26 12:06

    明治の巨大ヒーロー」の続き。


    巨大怪獣が出てくる日本の特撮は素晴らしい。それではそんな怪獣たちは、どこから来たのだろうか?


    ゴジラから怪獣の特徴を考えてみると、次の4つを挙げることが出来る。

    1. 特殊能力を持つ
    2. 近代兵器が通用しない
    3. 自然界に存在しない姿をしている
    4. 存在する理屈、やって来た理由がある
    (C)TOHO CO

    巨大な鯨や妖怪やお化けとの格闘は、幕末に浮世絵で描かれている。



    歌川国芳


    ただし鯨は自然界に存在する生物であり、これを怪獣と呼ぶのは厳しい。お化けは恨みを晴らすという理由はあるが、実体を持たないのだから怪獣ではない。それなら妖怪はというと、彼らは存在する理由も登場する理屈も持っていない。妖怪退治は、もともとそこにいたものに、ヒーローが遭遇するというようなパターンがほとんどである。

    これが明治だとどうなるのかといえば、実はあまり代わり映えしない。しかし巨大怪獣に関して、明治時代になんら進歩することなく、江戸と同じ感覚で人々が過し続けたというのは理屈に合わない。

    そんなわけて探してみると、明治44年に巨大怪獣として象が登場している。
    大力無双後の宍戸源八郎 玉田玉秀斎 大阪講談小説出版協会 明治44(1911)

    宍戸源八郎という怪力の武士がロシアに渡り、エリザベス女王の前で、象を一本背負い(正確には二本背負い)で転がした後に、寝技を決め日本刀で一刀両断にしている。この作品に出てくる象は、次のような特徴を持っている。

    1. 体重は550kgある
    2. インドで捕まえたものである
    3. 宍戸源八郎を殺すために登場した
    4. 鼻を使い相手を取って投げるという特技を持つ

    巨大怪獣にかなり近い特徴を持っているが、残念ながら象は自然界に存在している。これをゴジラのご先祖だととするのは少々難しい。ただし鼻を使い相手を投げるという特徴が加えられているという事実は、明治に巨大怪獣が発生する可能性はあったと判断できる材料になるだろう。

    ところで日本の巨大ヒーローの元祖として加藤清正を紹介したことがある。清正が巨大ヒーローであるならば、彼の敵も巨大怪獣であるはずだ。

    それなら清正の物語に、
    巨大怪獣が出てくるのかというと、もちろん出てくる。その名も穆々牙(ぼくぼくが)である。


    穆々牙というのは文禄の役の際、朝鮮軍が対清正兵器として出してきた切り札である。

    穆々牙は何を食べて育ったか、身の丈が九尺五寸あったということだ
    加藤清正 田辺南鶴 今古堂 明治三四

    と描写されるように、その身長は287センチ、加藤清正より大きい。人間の身長の限界が274.32センチらしいので、最早怪獣だと言っても良いだろう。武器は巨大な蛇矛、日本の武将にとっては珍しい武器でもある。

    1. 朝鮮軍の秘密兵器である
    2. 異国の武器蛇矛(じゃぼう)を使う
    3. 動物ではないが人間の限界を超えた不思議な怪物である
    というように、かなりゴジラや巨大怪獣たちに近い特徴を持っている。

    ゴジラを完全に倒すには「オキシジェン・デストロイヤー」を使うよりほかない。それで穆々牙はというと、清正が三尺五寸の堅烏帽子型の手細工の兜をかぶることでしか倒すことが出来ない。身長227センチの清正が100センチの兜をかぶることにより、穆々牙の身長を超える。自分より巨大な巨大な人間を見たことがない穆々牙は、その姿を見て恐怖のあまり逃げ出してしまうという理屈である。

    もちろん穆々牙は人間であるから、ゴジラと直接つながっているわけではない。しかし明治の三四年には、すでに巨大怪獣を作ることが出来る要素はあったのだというお話である。
    明治の怪人」へ続く。

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