インコヒーレント・テクストだから産んだ熱量と今後
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インコヒーレント・テクストだから産んだ熱量と今後

2016-03-17 23:45

    現実とは個々によって違うものである。事象(ものやこと)に対してどう受け止めるかは、個々人で違うものである。カントも言うように事象(ものやこと)それ自体の存在証明はできないが、人間の認識が現象を構成するということなのだ。つまり、見えている世界・物語はそれぞれ違って見えているのであろう。

    「インコヒーレント・テクスト(Incoherent text)辻褄の合わない物語」という言葉がある。佐藤健志氏と中野剛志氏の対談を纏めた『国家のツジツマ 新たな日本への筋立て』という本で知った概念である。これは単なる支離滅裂ではない。面白いが、辻褄の合わない物語になっている。前半と後半で違う物語になっていることがある。そういうものを指す時に使われる。で、『国家のツジツマ』では近代日本に接続して、語っていくのであるが、ヲタでもある「HKT」に結び付けられるものだと感じた。それについて少し語らせていただきたいと思う。

    HKTには「全員野球」というのは九州ツアーの頃に語られていた言葉であり、それは物語としてヲタに共有されていた。メンバーにも共有されていたものだと思う。それは九州ツアーでのセットリストに示されたメンバー起用が革新的であり、他のグループとの違いであったからこそ認識されたものであり、私がHKTを好きになった大きな理由はこれであった。

    幻想であったとしてもそう取れるものがあったものがあったのは事実だし、「全員野球」という言葉が存在していたこともその証左であろう。選抜の流動性だったり、推され干されの非明確化であったりしたことが、HKTを誇ることが出来る理由であったと言えるのかもしれない。それに付属してメンバーが辞めない、メンバーの仲が良いということが語られていた。

    しかし、全国ツアーからその全員野球という幻想が幻想でしか無いことが明確に示された。僕は全国ツアーというものが与えた影響はかなり大きいと思っている。散々僕はこれについて書いている(ブロマガ「全員野球とは何なのか?主力と控えの役割~2008年の巨人と九州ツアーでのHKT~」「【HKTへの提言】選抜中心主義ではチームが崩壊する~選抜と非選抜、役割と居場所~」「冷戦から熱戦へ」、ぐぐたす「顕教の全員野球と密教の選抜中心主義」など)。イデオロギー(価値観)が揺さぶられたことであったろうし、物語が変わったと受け止めざるえなかったのだろうと思う。逆に言えばだからこそ「裏ドラ」とも言われた全国ツアーの裏で行われていた劇場公演の熱量が生まれたのではなかろうか。選抜に対する「劇場」という物語が生まれ、そこに熱量が発生したといえるのかもしれない。

    明治座もその裏で劇場公演が行われ、「裏ドラ」だけではなく、チームを超えてメンバーが出演する「チーム間アンダー」も行われ、その「劇場」という物語に定期的に熱量が与えられたのだろうし、選抜総選挙2015の速報などはその熱量を示すものと言えると思う。

    逆に言えば「選抜」との対立構造でしかなかったことの限界を示したとも言えるもかもしれないと振り返ると思えて来たりもする。しかしそうでなければ今の劇場公演はなかったし、もっと言ってしまえば今のHKTは無かったといえると思う。

    だからこそその熱量を産んだ場であったホークスタウンにある劇場が移転する時に様々なことが言われたんだろうし、また物語が変わることへの不満もあるのではないだろうか。また、イデオロギーの母体もあった劇場公演の数が減ることへの不安もあるのだろうと思う。

    物語が変更になり、辻褄が合わなくなることで、摩擦が熱量を発した1度目の変更。2度目の物語は何を生むだろうか?劇場移転発表の時の地元を中心とするヲタの叫びを「ダメなものだ」とする意見もあるが、あれもまた熱量である。言わば何かしらの事象に対して反応できるというのはヲタが自分の中に物語やイデオロギーを持っている証だし、それがあるからこそ熱量を発せれるのだろう。それがなくなればHKTのコンテンツとしての熱量は大きく下がるだろうし、地元を中心に私は明らかに下がりつつあると思う。

    それに対する何かしらの対応が見たい。

    映画においてもそうだが「インコヒーレント・テクスト(Incoherent text)辻褄の合わない物語」も作品が面白いからこそ許されるものである。作品として面白くなければ単なる支離滅裂の物語となり、批評にも値しないものになってしまう。

    HKTもコンテンツとしての面白さを維持しなければそうなってしまうのかもしれない。そうならないためにもHKTは一手一手を大切に打たなければならないのだろう。でなければ地元を中心に下がっている熱量がますます下がることになりかねないと思う。

    やま、拝


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