乙武さんvs.レストラン騒ぎからわかった常識の多様性『科学者のニュースの読み方』vol.25
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

乙武さんvs.レストラン騒ぎからわかった常識の多様性『科学者のニュースの読み方』vol.25

2013-05-23 09:00
    『科学者のニュースの読み方』vol.25
    ■乙武さんvs.レストラン騒ぎからわかった常識の多様性

     タイトルの件、筆者の解釈でまとめると「車椅子使用者であることを伝えずに予約したレストランに行ったら、対応できないと言われてしまい、Twitterで店名を出して愚痴ってしまった」ったというシナリオ。まとめ方が誤っているといけないので、慎重に状況把握したい方は乙武さんとレストランの発信を探しに行ってください。
     さて、この一連のことに対して、人々のなんと多様な意見が飛び交うことか。

    [1] 障害を理由に入店を断るなど信じられない。
    [2] レストランが予約連絡先の近くに「車椅子の方はその旨伝えてください」と書かないのが悪い。
    [3] 対応できない店があるのは仕方ない。車椅子を使っていることくらい予約時点で伝えるべきだった。
    [4] 店の名前を出してまでTwitterで不満を漏らすものではない。

     他にもありそうですけど、ざっとこんなところでしょうか。ちなみに[4]は論点が[1][2][3]と異なるし、本記事の趣旨に沿わないのでおいておきます。筆者の感想はどれか選べと言われたら[3]かなというところですが、[1]や[2]を選ぶ人がいたところで特に噛みつこうとも思いませんし、[1]や[2]の人に噛みつかれる筋合いもありません。みな各人の当然の感覚に従った意見だからです。

     2択ではない意見が出てくるという時点でこれは0か1かのありなしの話に加えて、1か10か100かのような程度の問題でもあります。判断基準で整理するならば、下のようになります。

    [a]どれだけ障害者の事情を察せるか
    [b]どれだけ障害者をサポート可能か
    [c]どれだけ障害者をサポートするか

     身近に車椅子が欠かせない生活をしている人は、[a]に優れ、[b]の備えもあり、[c]することが多い。一方車椅子で困っている人と生活などしたことがない人は、[a]が苦手で、[b]の準備ができず、[c]しようがない。
     ただし、前者が常に正しいかと言われればそんなことはありません。後者を前者にするのは容易ではないからです。説明のとおり、[a]があって[b]があって[c]があるので、[a]から始めなければいけないわけで、例えば[b]と[c]の必要性だけ必死に説得してもわかってもらえないのです。ではどうやって[a]を上達させるかというと、本人もしくは身近な人が障害者である生活を経験しないといけないのですが、当然必要ないのにするわけがないし、強制するのもおかしい。

     経験というものが人間の数と環境の数の掛け算だけあるのですから、多様な常識が発生して、分布があって当然なんです。ちなみに、前回投稿の記事とも要点は似ているので未読の方はご参照ください。

     ところで、スロープが完備された施設が増えていることや車椅子のスペックが上がっていることなどの影響で、人々は困っている障害者に遭遇する確率は下がっていきますよね。これって前述の[a]ができる人が減っていくことにつながるので、おそらく障害者をフォローするかどうかの常識は徐々にフォローしない方向にシフトしていく気がします。障害者は自分たちの不便をわかってもらうために必要なアピール活動が大変になるのではないかという程度には察せても、どうしたらいいかさっぱりわからない[a][b][c]すべてできないな筆者でした。

    ■円周率や気体定数のような自然科学の無理数

     学生の演習問題の解答を採点していて、ひと昔前に円周率を「およそ3」で教えることへの多くの人からの反発が激しかったのを思い出しました。いろいろな反対理由があったという程度の記憶ですが、私が反対した理由はかなり珍しいほうだったことも覚えています。それは有効数字です。有効数字とは、信用できると判断される桁まで表された値です。わからない方は具体例が出ているWikipediaの説明を見るといいです。
     円周率のような自然科学で使う無理数を桁数多く覚えることには意味があって、それを用いた計算結果の有効数字に影響を与えないためです。直径実測が10.01mの円周はπ=3.14とすると31.4mですが、π=3.1415とすると31.45mと1桁正確さが高まります。
     今回これをピックアップしたくなった原因でもある気体定数も同様です。元にする値が4桁で与えられているのですが、R=8.3J/K molで計算した結果これが有効数字を決定して2ケタで結果が出てくるのはたいへんもったいない。R=8.314J/K molで計算すれば4桁のままになるのでこちらのほうが正確さが高まります。
     どうせよく使う値は自然と頭に入るわけですが、こういう意味合いもあるんですよという話でした。

    Y. Izutsu / みもそ
    Twitter: mimoso4
    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。