• このエントリーをはてなブックマークに追加

今なら、継続入会で月額会員費が1ヶ月分無料!

  • 「田原総一朗のデマはたちが悪い」小林よしのりライジング Vol.326

    2019-08-20 17:3078
    150pt
    72fb1ce34d59e15889f7d5df6d4dc68b237d894c
    第326号 2019.8.20発行

    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

    【今週のお知らせ】
    ※「ゴーマニズム宣言」…8月4日に開催した第83回ゴー宣道場「皇室と憲法における平和主義」のゲストには、本人の強い要望で田原総一朗を招いた。田原の日頃の発言などを考慮し、田原が興味を持ち、意見を述べたがりそうな論点を準備していたのだが、田原はテーマを無視した脈絡のない話や自慢話をするばかりで、全く議論にならないまま終わってしまった。さらに田原は、看過できないたちの悪いデマを言ったのだ。生産性のない、マウント合戦に過ぎない「激論」の時代はもう終わりだ!!
    ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…香港では、中国本土への容疑者の引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案の完全撤廃を求める抗議デモが続いている。この香港でさらなる大反発を招き、抗議活動がますます先鋭化するだろうと囁かれているのが、先月5日に中国当局が発表した政策方針「粤港澳(広東省・香港・マカオ)大湾区建設に関する3カ年行動計画」だ。この中には、「2020年までに香港で『社会信用評価システム』を導入する」という計画が含まれている。監視社会そのものである「社会信用評価システム」、それは決して対岸の火事ではない!!
    ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!消費税廃止は保守とは相反する思考では?夏休みの宿題、直ぐ終わらせるか最後にやるか、どっち派?最近の前川喜平氏をどう見てる?永井豪作品で感動したものは何?問題のある議員の意識を変える方法ってあるの?邦画がハリウッド作品より優れている点とは?…等々、よしりんの回答や如何に!?


    【今週の目次】
    1. ゴーマニズム宣言・第337回「田原総一朗のデマはたちが悪い」
    2. しゃべらせてクリ!・第283回「みんな元気にてんでバラバララジオ体操ぶぁ~い!の巻〈前編〉」
    3. 泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第136回「中国・社会信用評価システムと監視社会への警戒」
    4. トッキーの「オドレら正気か?公開生放送in大阪」告知!!
    5. Q&Aコーナー
    6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    7. 編集後記




    ab6578d287ec649d68d48f2d8f5d8f6d8afc91ee

    第337回「田原総一朗のデマはたちが悪い」

     ゴー宣道場は10年目に突入し、前回で83回を数えたが、前もって用意していたテーマについて、ほとんど議論できないままに終わってしまったという事態は、これが初めてだった。

     8月4日に開催した第83回ゴー宣道場のゲストには、本人の強い要望で田原総一朗を招いた。
     テーマは「皇室と憲法における平和主義」と設定し、以下のような議題について話し合う予定だった。
    「昭和天皇は平和主義者だったのか? ならば戦争責任はなかったのか? なぜ戦後どこかの時点で、退位されなかったのか?」
    「上皇陛下は戦争の反省を使命として慰霊の旅をなさったのか? それは国政に関わる行為にならないか? 日本国として大東亜戦争を反省することにならないか?」
    「現憲法は本当に平和主義なのか? 沖縄基地は米軍の兵站ではないのか? イージス・アショアは米国を守るためではないのか?」
    「イラク戦争の反省をなぜ日本人はしないのか? イラン戦争が勃発したら、日本はどうなるのか? 言論は戦争を防ぐことができるのか? ジャーナリズムは権力の監視になっているのか?」
     いずれも田原の日頃の発言などを考慮し、田原が興味を持ち、意見を述べたがりそうな事柄を絞り込んだつもりだった。
     ところが、田原はテーマを無視した脈絡のない話や自慢話をするばかりで、全く議論にならないまま、無駄に時間が流れてしまった。

     中でも特に困ったのが、田原が事実に反する発言を平然とすることだった。
     田原は「左翼はもういないよ!」「いま護憲派なんかいない!」と言い放った。
     何を根拠にそんな断言ができるのか全くわからない。田原の認識においては、日本共産党は「いない」ことになっているのだろうか?
     いないどころか、ゴリゴリの左翼も護憲派もまだたくさんいて、立憲民主党に食い込んでいる。だから枝野幸男代表も「立憲的改憲」を全く言わず、護憲一辺倒になってるんじゃないか!
     この日の第2部には参院選に立民から立候補して惜敗したフリーアナウンサーの安田真理が登壇したが、その日、彼女のツイッターにはこんな罵詈雑言が殺到した。
    「バカウヨの元凶となり、ヘイトの元凶となり、歴史修正主義を蔓延させた、女性蔑視、韓国蔑視の小林よしのりとの関係を断つべき」
    「山尾倉持の改憲論に簡単に乗ってしまうところに立憲の危うさを感じる。与党と同じだ」
    「もうこれだけで立憲民主党の支持をやめていい話」
    「あなたにがっかりした」
     これらのコメントをした人々のツイッターの書き込み内容には、「共産党支持」「天皇制反対」「レイシスト反対」「アイヌヘイト反対」「ネトウヨを罵倒する」「アホウヨはブロック」…などの言葉が散見された。
     これこそ100%左翼じゃないか。極左じゃないか!
     呆れたことに、田原が言った「左翼はいない」がデマであることは、その日のうちに証明されてしまった。

     天皇退位については、わしが「天皇退位させないっていうのが安倍首相だったんだから。それをこっちがねじ込んだんだよ、退位させるように」と言うと、田原はムキになったように「こっちがねじ込んだなんてんじゃない。圧倒的国民が退位って言ったんだよ。小林さんが言ったからじゃない。僕も安倍に直接言ったよ!こんなもんやんなきゃダメだと。安倍もそのとおりだと思うと言ったよ!」と言い返し、ゴー宣道場の功績を完全否定した。
     田原は控室で、SPA!の『ゴー宣』もFLASHの『よしりん辻説法』も読んでいると言っていた。
     だったら、ゴー宣道場がなければ退位は実現しなかったという事実を描いた『ゴー宣』第44章「退位を阻止しようとした者たち」(SPA!4月30日・5月7日号)も読んだはずだ。
     にもかかわらず田原は、圧倒的国民の声があったから自動的に退位が決まったかあるいは自分が安倍に直言したから実現したかのように言ったのだ!
    「圧倒的国民の声」は大前提だが、世論調査の結果が即、政権によって実現されたら、「間接民主制」の否定になり、「直接民主制」ならば「独裁制」に限りなく近くなる。田原は「圧倒的国民の声」を受けて、軍部が戦争に邁進していった事実に、まだ正面から向き合っていない。学習能力というものがないのだろう。
     しかも残念ながら、安倍は圧倒的国民の声に反して、政府の有識者会議に退位反対論者ばかり呼んで、退位を妨害しようとしていた。それは紛れもない事実である。 
  • 「山本太郎のポピュリズムは大衆迎合ではない」小林よしのりライジング Vol.325

    2019-08-13 19:3073
    150pt
    72fb1ce34d59e15889f7d5df6d4dc68b237d894c
    第325号 2019.8.13発行

    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

    【今週のお知らせ】
    ※「ゴーマニズム宣言」…今回の参議院にともに議席を得て、政党要件を満たした「れいわ新選組」(れいわ)と「NHKから国民を守る党」(N国)を一緒くたに論じる動きが出てきた。「所詮は衆愚の選択のたまものである」「かなりポピュリズム的な政党だ」というが、そもそも「ポピュリズム」の観念も時代によって大きく変化している。れいわとN国の決定的な違いとは何か?
    ※泉美木蘭の小説「正しい宗教のつくり方」…鶴見佑子の日課は、スマホで溶田宗泰のツイッターやフェイスブックをチェックして、日々の社会問題に関する溶田の見解を確認することだ。諸友学園問題について、溶田先生はどういう見解なのだろうか?私は正しい知識もなく、何が正しくて、何が間違っているのかを自分で判断できない人間なのだ。溶田先生から、正しい見解をすべて勉強しなおさなければ…!!
    ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!日本会議の影響力ってそんなに大きいものなの?「(天皇の)生前退位」という言葉は不敬、不適切?「オドレら正気か?IN大阪」は小4の子供も楽しめるイベント?「表現の自由」「芸術」をどう考えるべきか?自民党の小泉進次郎議員をどう見ている?6歳男児からおぼっちゃまくんに可愛い質問!この酷暑の中、高校野球をやる意義はある?日韓関係が改善した未来ってくるの?…等々、よしりんの回答や如何に!?


    【今週の目次】
    1. ゴーマニズム宣言・第336回「山本太郎のポピュリズムは大衆迎合ではない」
    2. しゃべらせてクリ!・第282回「夏空の下!イルカに乗った少年少女とカメ乗りぽっくん!の巻〈後編〉」
    3. 泉美木蘭の小説「正しい宗教のつくり方」・第3回「正しい答えが欲しい」
    4. Q&Aコーナー
    5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    6. 編集後記




    e94e51e587b8e425a114e619b1be2770c6dda675

    第336回「山本太郎のポピュリズムは大衆迎合ではない」

     案の定、ともに今回の参議院に議席を得て、政党要件を満たした「れいわ新選組」(れいわ)と「NHKから国民を守る党」(N国)を一緒くたに論じる動きが出てきた。
     れいわとN国は全然違うということは、ここではっきりしておかなければならない。

     週刊新潮(8月8日号)は「衆院選に100人擁立をぶち上げた!『山本太郎』を台風に育てる慄然『衆愚の選択』」という記事を組み、れいわをN国と一緒に扱って「参院選で生まれた新しい芽は、所詮は衆愚の選択のたまものであるということか」と書いた。
     そして「月刊Hanada」編集長の花田紀凱は産経新聞(8月3日)のコラムでこの記事について、「ここで、『か』は不要。衆愚の選択そのものではないか」と評している。
     ネトウヨ愚民の雑誌を作っている編集長のくせに、自分を衆愚のひとりとは思いもせずに、上から評論しているのには笑わされる。
     れいわの躍進は衆愚の選択ではない。
     N国の方は衆愚の選択の極致である。
     その違いも見抜けないのでは、その目はフシ穴である。

     そもそも山本太郎には、参議院議員としての6年間の実績に対する信用があり、今回ネットで急に人気が出ただけのN国とは決定的に違う。
     山本のイラク戦争や消費税、原発などに関する発言を見て行くと、具体的な国家像といえそうなものが垣間見える。
     山本が国会で、イラク戦争の際に自衛隊が米兵をファルージャまで運んだじゃないかと追及するのを見たが、あれは素晴らしかった。そこには、アメリカに追従して侵略戦争にまで加担するような日本ではいけないという国家像があり、それはわしと全く一緒だ。
     消費税廃止の主張は、消費を増やすことによって経済を回していこうという資本主義の考え方であり、これもわしと考えが同じだから支持できる。消費税を財源に、国税で社会保障をやろうというのはむしろ社会主義的なのだ。

     また原発反対には、原発事故によって国土を喪失してしまったという思いがあり、それもわしと同じである。
     しかも原発問題について天皇陛下(当時)に山本が渡した直訴状は、毛筆縦書きで、使用する紙の質も正式なものだったらしく、これは単なるパフォーマンスではできない。もしかしたら山本は、かなり保守的な人間なのかもしれない。
     陛下がその後「私的ご旅行」で、足尾銅山の鉱毒被害を明治天皇に直訴しようとした田中正造の記念館を訪れ、その直訴状をご覧になったのは、明らかに山本の直訴状にお応えしてのことだろう。

     小沢一郎が開いた皇統問題の勉強会にわしが呼ばれた時にも山本は来ていて、れいわでは女性天皇・女系天皇を認める方針を明言している。
     さらに、憲法については護憲派ではないらしい。
     全部が理想的に備わった政党なんか出てくるわけがないのだ。ある程度具体的に共感できる国家像を持っていて、なおかつ身障者など社会的弱者を助けようという感覚もあり、バランスが取れているという判断でわしは支持した。
     それを、地上波に乗らず、ネットで人気が出たからというだけの理由でN国と一緒に扱っては絶対にいけない。

     もっとも、日本が韓国に対する輸出管理を強化したことに対して、山本が「『なめられてたまるか、ぶっ潰してやれ』という小学校高学年くらいの考え方はやめましょうって話なんですよ」「大人になろうぜってことなんですよ」などと言っていたのはいただけない。これはまだリベラル左翼な気分から抜けきっていないのだろう。
     国と国との約束を守らない韓国をこのまま甘やかすことこそ、大人の態度ではない。大人の態度=甘やかす態度ではない。むしろ韓国のためを思えばこそ、厳しくすべき時には厳しくしなければいけないのだ。
     こういう感覚が残っていてはまだ全幅の信頼を置くわけにはいかず、用心して見ておく必要があるということは前提として、以下の論を進めていく。

     評論家の東浩紀は、「れいわ新選組ってかなりポピュリズム的な政党だと思うんです。つまり、『現実に実現できないかもしれないけど、そうなったらいいな』という口当たりのいい政策を使い、かなり劇場型政治を演出して、一気に浮動層をかき集めることがポピュリズムだとしたら、今回のれいわ新選組はまさにそう」と批判した上で、「ここでポピュリズムに巻き込まれないでほしいなと僕は思っています」 と警告を発している(J-WAVE『JAM THE WORLD』7月22日)。 
  • 「N国党に『公』はない!」小林よしのりライジング Vol.324

    2019-08-06 19:55137
    150pt
    72fb1ce34d59e15889f7d5df6d4dc68b237d894c
    第324号 2019.8.6発行

    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

    【今週のお知らせ】
    ※「ゴーマニズム宣言」…今回の参院選で「NHKをぶっ壊す!」のひとことをひたすら繰り返して、何の間違いか1議席を獲得してしまった「NHKから国民を守る党」(N国党)。なにしろ比例代表で約84万票を獲得、公職選挙法に規定された政党要件である「得票率2%以上」まで満たしてしまったのだから尋常ではない。このような現象が起きた背景には何があるのか?
    ※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…今月1日、リクルートキャリア社が運営する新卒者向け求人情報の最大手サイト「リクナビ」が、就職活動のためにサイトに登録していた学生の個人的なデータから、「内定を辞退する確率」をAI(人工知能)で予測し、そのデータを学生本人への十分な説明なしに、大手メーカーなど企業38社に販売していたことが判明した。なぜこんなことが起きたのか?そして「労働」とは何なのか?
    ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!吉本騒動に関して宮迫と松本に感じた不信感とは?画力の研鑽を積んだのはいつ?京アニの事件に関して、京アニ側にも落ち度があったという意見をどう思う?市井紗耶香氏が落選した原因は何?立憲民主党とは距離をおいて、山本太郎議員と接触するのはどうですか?イギリスのEU脱退はどうなる?あいちトリエンナーレでの企画展中止をどう思う?…等々、よしりんの回答や如何に!?


    【今週の目次】
    1. ゴーマニズム宣言・第335回「N国党に『公』はない!」
    2. しゃべらせてクリ!・第281回「夏空の下!イルカに乗った少年少女とカメ乗りぽっくん!の巻〈前編〉」
    3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第135回「リクナビ内定辞退データ販売と、メイヨーの予言」
    4. Q&Aコーナー
    5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    6. 編集後記




    dd97c7c671d722d2e43cdd17be68744911521150

    第335回「N国党に『公』はない!」

     以前から選挙のたびに奇矯な「泡沫候補」は出てきた。
     それはただ、普段は決して表には出られないような奇人変人を見て、笑っておけばいいだけのものだったはずだ。
     ところがそれが国会に1議席でも占めてしまうとなると、話は全く変わってしまう。

     今回の参院選で「NHKをぶっ壊す!」のひとことをひたすら繰り返して、何の間違いか1議席を獲得してしまった「NHKから国民を守る党」(N国党)が、とにかくイヤだ。
     なにしろ比例代表で約84万票を獲得、公職選挙法に規定された政党要件である「得票率2%以上」まで満たしてしまったのだから尋常ではない。
     そもそもNHKをぶっ壊すって、それが国家にとって何か重要な話か?
     確かにいまのNHKは政権批判を全然しなくなり、メディアの役割を果たしていないとも言えるし、そういう問題に対してはいくら怒ってもいいが、だからといってその組織や団体すべてを潰してしまえとは、そう簡単には言えない。
     わしはNHKには朝ドラなど、別の面では楽しませてもらっている。来年春から朝ドラの土曜日放送がなくなるのは不満だが、それは「土曜日も働け!」というだけの主張であって、そんなことで「NHKをぶっ壊せ」とか言ったらアホである。

     わしがNHKに対して最も腹を立てたのは10年前、「シリーズ・JAPANデビュー アジアの“一等国”」(2009年4月5日)という、台湾に関するとんでもない偏向番組を放送した時だ。
     それは、日本の台湾領有を全て暗黒に塗りつぶした自虐史観そのものの番組で、わしの『台湾論』を完全否定する内容だった。
     日本李登輝友の会によれば、台湾でもこの番組を観た人からの疑問の声が相次ぎ、若い世代の間でも「僕のおじいちゃんは日本大好きなのに、あの番組は変だよ」「NHKはどうしてこんないい加減な番組を日本人に見せるのだろう」と話題になったという。
     しかしそれでもわしは、その問題ひとつでNHKを潰せとは全く思わなかった。朝日新聞の慰安婦報道は酷いものだったが、それだけで朝日新聞を潰せと思わない。それと同じことである。

     一方、この「JAPANデビュー」の件をきっかけに自称保守・ネトウヨ連中は「反NHK」の運動に沸き立った。
     CS放送局(当時・現在はネット配信のみ)の「チャンネル桜」は原告を募ってNHKを相手に「1万人訴訟」を起こし、「NHKの大罪」と題するキャンペーンを展開。日の丸を掲げて「NHK解体」の文字を大きく染め抜いた黒Tシャツを着た一団が、渋谷のNHK周辺でデモ行進を行った。
     その頃チャンネル桜らと共闘していたのが、今回参院議員になってしまった立花孝志だ。
     立花は元NHK職員で、経理の仕事をしていた。2005年に不正経理を内部告発、懲戒処分を受けて依願退職した後はパチプロで食っていたようだが、やがてNHK集金人を撃退したり、NHKの「闇」を告発したりといった動画をユーチューブに次々投稿して反NHK運動を始め、ユーチューバーの走りのような存在になっていた。それでチャンネル桜に呼ばれ、共闘関係になったのだ。

     ところが安倍政権が発足するとNHKは政権忖度メディアになり、自称保守・ネトウヨのNHK攻撃は次第に下火となって、ターゲットは朝日新聞に移っていった。
     それと共に、立花は自称保守・ネトウヨ界隈からは姿を消した。立花は朝日新聞攻撃には全く興味が無く、それどころか、嫌韓・反中とか、慰安婦とか、靖國とか、その他諸々の問題についても一切関心を持たず、やりたいことはただただたったひとつだけ、「NHKをぶっ壊す」だけだったのである!
     そんなわけで立花は「反NHK」の流行がすっかり過ぎ去った後も愚直に「NHKをぶっ壊す!」を唱え続け、2013年に政治団体「NHKから国民を守る党」を設立したのだった。

     しかし、立花はなぜそこまで「NHKをぶっ壊す」ことだけにこだわっているのだろうか?