AniPAFE2019に参加して。その3
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AniPAFE2019に参加して。その3

2019-11-14 00:36
    さてさて、時間がかかり過ぎてとうとう12月になってしまいましたが、流石にこれ以上の引き延ばしは年末へとむけて色々とマズイので、いい加減に終わらせることにしましょう。前回の続きです。


















    二番の終わり、依頼人たちとの関りを通じて、ヴァイオレットがギルベルトの死から立ち直ろうとする所から再開です。正に間奏に入る所ですね。自分はいつも、MADを構成するにあたって、最後のサビ前の間奏は相当に重要だと考えます。見る側に、最後の展開に向けて感情と期待を昂らせ、引き込むにあたって、ここは毎回悩むところですね。間奏が苦手なので削るという人もいるようですが、この曲にとってこの間奏の盛り上がりは全体の構成を考えても相当に重要なポイントです。













    何よりも曲の盛り上がり方、力強さが半端ないので、映像もそれに負けない演出を考えなければなりません。ここはヴァイオレットが精神的に立ち直り、一つの答えを出すまでの過程を描かなければならないので、場面も相当に練って練って考える必要があります。ただでさえ、45秒もある長いパート。逆に言えばここで見る側に心を揺さぶるようなインパクトを与えることが出来れば、MADとしての完成度も比例して上がる筈。なのでここは相当に力を入れたつもりです。













    ヴァイオレットの歩みと共に、時が過ぎ、季節が変化していきます。その中で、ヴァイオレットが関わってきた人々が変化していったように、彼女自身も、受け取った言葉の中から様々な事を学び、成長していきます。















    そもそもの今回のこのMADには、裏テーマとして「人の中で生きるという事」「歩み」というものを設定しながら構成していました。ただ兵士として敵を殺戮するマシーンでしかなかった一人の少女が、少佐と出会い、人間としての感情を知る。その後も様々な人と関わり、その中で思い悩みながらも一歩一歩進んでいき、成長し、一つの答えを得る。ヴァイオレットが「歩む」様子は、今回自分の中で最も表現したい事でした。結果、EDで季節の流れとともに歩んでいくヴァイオレットのシルエットを使う事は自然と決まりました。ノンクレジット素材でスタッフロールが本来在った筈の場所には、これまでヴァイオレットが関わってきた人々の姿を映し、ヴァイオレット自身の視点でもって関わってきた人々の姿を、彼女が受け取ってきた言葉の一つ一つを、ゆっくりと丁寧に描写する。これによって、視聴者側にも正にヴァイオレットと一緒に彼女の歩みを振り返り、彼女が受けてきた言葉を一緒に感じてもらう事ができたのではないかと思います。


















    「ありがとう」六連発。他人への感謝の言葉と言うのは、人として生きる上で、最も大切な
    物だと思います。何より、受け取った人間にとっての最大の肯定です。例え言った側がそこまで大きい想いを持っていなかったとしても、受け取る側にとって、これほど喜ばしい、自身の価値を見出させてくれる言葉は他にありません。ヴァイオレットは、自ら歩む中で沢山の「ありがとう」を受け取って来ました。その言葉を受け取るに見合うだけの事を成し遂げ、確かに積み重ねてきました。間奏の中でもここはかなり重要なパートであり、恐らく視聴者側にとってもここで感情の波がピークに来るところなのでは無いかと思います。当然意識して構成しているとはいえ、自分でも作っていて涙ぐんでしまったので、その想いが見る人たちにも伝わったのだとしたら嬉しいですね。














    ホッジンズ社長の言葉は、ヴァイオレットだけではなく、かつて戦争に関わり、多くの人間の命を奪ってきた彼自身にも当てはまる事でした。過去は無かったことに出来ない、それでも、新たに道を歩むことはできるのだと。戦いの世界だけではない、彼女自身が確かに歩んできた道を、救ってきた人々の心を、自分の中で消す必要も無いのだと。「生きていても、良いのだ、と」









    "ヴァイオレット・エヴァーガーデン"、その名に相応しい生き方をしても良いのだと。

    いやー、この9話のシーンは作品に取っても正に一つのクライマックスというか、屈指の名場面であり、ここで終わっても良いんじゃないかってくらいの完成度なのでここに持ってくるまでの構成はとにかく頭をひねりました。あえてここでは、直接視聴者に「言葉としての」ヴァイオレットの名を耳に刻んでもらうために、台詞字幕は入れていません。演出として、それが正解だと思いました。ちなみにこのシーンは原作小説には無くて、実は完全に京アニオリジナルなんですよね。ギルベルトの死を知る展開も全然違いますし、彼女が立ち直る過程も全く違うのですが、これは本当に京都アニメーション様の演出力の高さを再確認させられました。


    間奏部分について、音声抽出ソフトの歌声りっぷを使って、サントラBGMを用いて大量の必要な台詞を抜き出す作業はなかなかに大変でしたが、ここを表現するにあたって絶対に手は抜けなかったので、この間奏部分だけで二週間くらいかかりましたね。それだけに、自分でも納得できる出来になったのではないかと思います。そして間奏が終わり、再び歌詞が戻ってくるので、ここの切り替えは実に重要です。間奏部分は台詞を挿入するために歌の方の音量は少し下げてありますが、ここで視聴する側に歌に意識を戻してもらう為にも、ここの音量変化は結構色々考えて最適と思われるパターンを試行錯誤した結果こうなりました。"ヴァイオレット・エヴァーガーデン"の名が呼ばれ、そして音量が元に戻る。見る側の感情もここで一気に引き戻してから更に盛り上げる。5:00前後の曲の展開は、実際褒めて下さる方もいらっしゃったので、演出としてここもうまくいったのではないかなーと思います。もちろん、この曲の持つ力が本当に素晴らしかったからだというのが大前提です。














    「あなたが笑ってる、その理由が私だったらいいのにな」


    この歌詞は、この曲を語る上でも最も重要なフレーズだと思います。ある意味ではエゴ丸出しであり、歌っている主観の女性にとっての、心からの、むき出しの感情そのものです。原作におけるヴァイオレットというキャラクターが、果たしてそこまでの強い感情を秘めているかどうかは、もしかしたら当てはまらないのかもしれません。けれど、この歌で作ると決めた時に、自分が最も表現したいと思ったのは、正にそこでした。一人の人間としての、一人の女性としての感情の爆発。強すぎるとも言える想い、愛の発露。自動手記人形サービスの仕事を通じて関わってきた人々の笑顔が、自分が歩んできた結果生まれたものだとしたら、それは本当に喜ばしい事であり、愛する「あなた」が笑っている理由が、自分だったらどんなに嬉しいだろう。そんな、本当に「女性らしい」強い感情を、ここで表現したかったのです。














    サムネにもなっている、「その理由が私だったら」の部分ですが、ここはわかる人にはわかる通り、ヴァイオレットのTV放送前の特報PVの映像を使わせていただいてます。







    どうしても映像としてヴァイオレットの感情を歌詞になぞらえて表現するうえで、このPVのシーンは使いたかったので、カラーレイヤーを重ねてPVの字幕を隠した上で歌詞を挿入しています。見た目のバランス的には割と上手くいったかなと思いますが、ここも結構試行錯誤していますね。クレジット隠し、字幕隠しでこういった手法を用いる人は結構いるのではないかと思いますが、さすがに一文字ずつ消すといった手間はかけられそうになかったので今回はこういう見せ方になりました。結果的に動画のサムネに相応しい感じのカットとなったので、そこは結果オーライですね。と言うか、このシーンで歌詞を画面に大きく出しても違和感が無いようにするために、これまで歌詞をセンターにおく表現をしていたという意図も実はあります。もしここまでに歌詞を一切出していなかったら、ここで突然PV字幕を隠すためだけに歌詞を大きく見せることに違和感が出るのは避けられなかったかと思われます。なので、これまであえて歌詞を前面に押し出す構成にしていたのも、ここの部分をより強調する為だったりするのです。言葉遊びや、より感情を表現するという意味での中央歌詞ドーンでもあるにせよ、一番はここでのPV文字隠しに、いかに違和感なく視聴者の感情を引き込むことができるか、という意図によるもの。実は結構序盤から構成を意識して、そういう見せ方をしてるのでありました。
















    「あなたが流す、その涙のわけも」、このシーンでもこれまで関わったキャラクター達の涙を流すシーンを入れている訳ですが、お気づきの方もいらっしゃる通り、劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝のキャラクターも含んでいます。これはMADを作っている途中で外伝を見たのでどうしても使いたくなったという事もありますが、ヴァイオレットと関わった人々を描写する上で、イザベラとテイラーの二人も含めたいと思ったからです。時系列的には少々おかしくなってしまうものの、表現したいこと、込めたいと思う物がある以上、全て注ぎ込もうと思い、ここでゲスト的にご登場いただくことにしました。ちょっとしたサプライズでもありますね。







    そしてヴァイオレットにとっての「あなた」は、依頼を通じて出会った人々を駆け抜けた上で、やはり最終的にギルベルト少佐に辿り着きます。彼女にとって笑っていてほしい、涙を流す理由であってほしい相手は、やはり唯一無二の存在である彼でしかないのです。

















    ヴァイオレットとギルベルトが、互いに感情を高め、ぶつけ合い、時には笑顔を、時には涙を見せる描写を、細かく交互に繋いでいくことで、この後の展開に向けて見る側の気持ちもシンクロさせていきます。全ては、あの言葉の為に。














    藤川千愛さんの心からの叫びがヴァイオレットの想いと重なり、そして彼女の心を揺り動かし、彼女を縛り付けることとなった、そして人生を変えてしまった言葉が浮かび上がります。


    「愛してる・・・」


    ある意味で呪いとも言えるこの言葉ですが、曲の切れ目にこの言葉を音声で入れる事。その為に動画の冒頭で、最終回のタイトルをあえて左半分だけ見せて視聴者に引っ掛かりを持たせたこと。全てが、ここを表現するための伏線であり、構成です。ここでのギルベルトの言葉により一層のインパクトを持たせ、ヴァイオレットにとっての重みを持たせるために。







    ・・・と、本当は一気に最後まで走りたいのですが、記事として長くなりすぎているので一度ここで切ります。次は間を開けずに書いておりますので、もう少しだけお待ちください。MADについて最後まで振り返った後で、今回のAniPAFE2019についての結果を受けての想いや、気になった作品等についても語ることができたらと思ってします。それでは少しだけお待ちを!!また次回!!



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