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気が狂いそうである。
僕は幻を見ているのか?いや、そんなことはないはずだ。
今、ここ数年続いている深夜アニメ隆盛の中、また一つ飛び抜けて素晴らしい作品が誕生したというのに、僕の周りでは評判はおろか、話題にもほとんどのぼっていない作品があるのだ。
今期夏アニメとしてはじまった『ガッチャマンクラウズ』である。
『モノノ怪』『C』『つり球』などを手がけた中村健治監督の最新作であり、老舗アニメーション会社タツノコプロによる、『ガッチャマン』の“最新作”である。
しかし、この作品。放送時間が『ダンガンロンパ』『恋愛ラボ』といった他の話題アニメと重なってしまっているだけでなく、なんと放送区域がほぼ関東に限定され、さらに唯一全国どこでも視聴できるネット配信が「日テレオンデマンド」(※1)の翌週金曜日、木曜日のみの短期間限定配信なのである。
これじゃ田舎の中高生は気づかんて…
せっかく大人気女優・剛力彩芽さんの出演する実写映画もやってるんだから全国区放映にすればいいのに…。ともかく、そもそも賛否両論飛び交う前に、視聴できてない人が多すぎるのである。
そして、もうひとつの不幸。

どうやら、この作品。そのあまりのテーマの斬新さと特殊なデザイン、濃すぎるキャラクター性のせいで、
「こんなのガッチャマンじゃない!!」
と怒り心頭のおじさまたちが大量発生してしまったのだ。(典型例がここのクロスレビューとかね→http://getnews.jp/archives/386741)
そりゃ、これを『ガッチャマン』の現代版“リメイク”作品と捉えるならば大失敗の作品ですよ。まず、みんなガッチャマンの着ているマントのGスーツじゃないし、「科学忍法火の鳥!」みたいな呼び声も今のところないしこれからかも出そうにないし、大鷲の健とか、白鳥のジュンみたいな呼び名もない。時代も舞台もストーリーも全然違うのだから。
だけど、この『ガッチャマンクラウズ』を、『ガッチャマン』の”最新作”と捉え、今現代になぜ過去の名作の名前が呼び戻されることになったのかという意義を考えれば、この作品は非常に深いテーマ性をもった作品なのだ。
だって、そう断言しないことには僕の気が狂いそうだからだ。
もしかして、僕だけがこの作品を面白いと感じているのか?
もしかして、僕だけがこの作品を視聴しているのか?
もしかして、僕のTVだけが、みんなが視聴している『ガッチャマンクラウズ』と違うのか?
だから、ここから3ポイントくらいにしぼって、今放映中の『ガッチャマンクラウズ』について紹介し、僕が決して幻を見ているわけではないことを証明していこう。
1.舞台は”震災後”の日本、立川

この物語の舞台は東京の立川。
住んでいる人であれば必ず目にしたことのあるだろうモノレールや公園、書店までかなり再現されている。僕のTwitterのフォロワーさんの中からも、「自分が勤めてる店が出てる!」という声があったので、かなり現実の立川に即した設定にしていることは明らかだろう。

さらに、この物語の中でも”震災”が起こったことになっている。
直接的な呼び名はされていなかったが、災害の時にSNSが活躍した、被災地に贈り物をしようといったセリフが入り込んでいたことからも、あの東日本大震災を間違いなく意識している。
これまでも、震災に対するメッセージとして発せられた作品は出ていたが、ここまで具体的に、震災後というのを意識した深夜アニメは、この『ガッチャマンクラウズ』が始めてだろう。
つまり、この物語が、非常に今を生きている僕らの現状を意識して作られている作品であることは間違いない。
2.巨大SNS『GALAX(ギャラックス)』でつながった人々がアップデートする世界

この物語のキーとなるのは、『GALAX(ギャラックス)』という巨大SNS。
アメーバピグのような可愛らしいデザインがなされたSNSで、立川だけでなく日本中で普及しているらしい。
このSNS、しかし現実にあるSNS以上に発達した仕組みだ。
何か生活の上で困ったことがあると、SNS上の誰かに相談することができ、身近にGALAXの使用者がいればマッチングして、すぐに来てもらうことが可能。
さらに、このSNSの母体となっているAI「総裁X」に質問を投げかければ、日常の情報や、悩み事のマッチングまでしてもらえる。相談された悩みを解決できれば、ミッションコンプリートで得点が入る仕組みである。
FacebookやLINEといった日常の生活に根付いたSNSのさらに発展的なバージョンといえる。
ただ、注目すべきは、この悩みを解決して世界をアップデートしていくという仕組みが、他人への善意と信頼なしには成り立たないシステムであるということだ。
アニメの随所には『世界をアップデートするのはヒーローじゃない。僕らだ。』という看板がたてられており、多くの人達の善意と信頼によって、世界を少しずつよくしていく、アップデートしていくという思想の元に動いていることがよく分かる。
だが、この『GALAX(ギャラックス)』滅茶苦茶キナ臭いのだ。
物語中の登場人物がほぼ疑い無しでこのSNSに依存している姿を見ると、不気味で不安になってしまう。
そんな善意が担保として運営されている場所に悪意が入り込んでしまったら?
もし、みんなの善意があらぬ方向で突然不幸な事件を起こしてしまったとしたら?
さらに、この思想がヒーローという個別の存在が人を救うという思想と対立してしまったら?
それを匂わせるような展開がいたるところに散りばめられており、目が離せない。
3・濃すぎるガッチャマンの主人公・一ノ瀬はじめちゃん

なんなんだ!この娘は!!
放映中思わず声を漏らしてしまった。
その個性的すぎるキャラクターに目が離せなくなってしまうのだ。
最近の可愛いけど視聴し終わった瞬間に名前すら思い出せなくなる凡百の女性キャラのレベルではない。この一ノ瀬はじめという主人公キャラは、あまりに破天荒だ。
・ガッチャマン専用の大切なノートをデコる。
・存在は秘密のはずのガッチャマンについて、母には簡単に告げる。
・同学校の生徒に簡単に正体を明かそうとする。
・「なんか違うんすよー」と言いながら敵と戦わず、逃がす。
感情をうまく言葉にするのが苦手なのか。天才すぎるのか。
考えながら思いついたことを説明せずすぐに行動にうつしてしまうために、周囲のキャラクターは混乱させられっぱなし。
しかし、そんな行動にも彼女なりにちゃんと考えた理屈があることが明らかになっていくのだ。
行動や言動からうかがい知れるのは、彼女がモノの見方の多様性を重視しているということだ。何気なくある一般常識や慣習にはとらわれず、自分の判断で考え行動する。
だから、『『GALAX(ギャラックス)』を持ち前の機転でうまく活用する一方、「こんなのはケータイの充電が切れればおしまい」と軽く言ってのけたりする。
よくあるヒーローにありがちな自分の正義に頑な姿勢や熱意というものはまるで見えない。
だけど、モノの見方を変えることで世界の素晴らしい一面に気づいたり、他者の気持ちを窺い知ろうとする心をもっていたりする。
果たして、こんな新しいヒーローが、”敵”に対してどのように立ち向かっていくのか?そもそも、立ち向かっていくのか?全く目が離せない。おっぱいもデカイし。

まとめ・つねに視聴者の想像の上をいく作品
ここまで長い文章書いていながら、まだ書き足りないことは山ほどある。
他人の心に秘めた悪意を具現化してしまうベルク・カッツェの登場
まだ明かされ切れていない他ガッチャマンの能力
そもそもガッチャマンとはなんなの?
女装少年るいるいの考える”革命”とは?
彼の使用する”クラウズ”とは?
ジョーさん死亡フラグ立ちまくってるけど大丈夫?などなど…
こうしたことについては、今度また全て完結したあとで考察・批評含めた文章にしよう。
実はこれを書く際に、ライターたまごまごさんの『ガッチャマンであってガッチャマンでない「ガッチャマンクラウズ」の大胆な試み』という記事を読んだのだけど、3話までの中身を元にした原稿であったために、4話からの大きな展開からは外れてしまっていたのだ。こうしたことは、たまごまごさんだけでなく、他のブロガーの記事などにも散見されていて、みんな大体予測して書いた結果が外れるという傾向が見られた。
これは、各ライターさんのせいでは決してなく、作品の想像力がこちらの想像力を完全に超えていってしまっているからといえるだろう。
だから、今後もこの作品には裏切られることになるだろう。先ほどまで書いていた説明が、砂塵になってしまう可能性はめちゃくちゃ高いのだ。(そういえば、まどか☆マギカとかピングドラムの時もこんな嬉しい裏切りはあったよなー…)
だから、ひとまず言えることをまとめよう。
この作品は現代のために編み上げられた作品だ。
未来の光景を想像し、自分ならどうするかを判断し、この世界をどうアップデートするかを考えるための作品だ。
だから、物語が完結したら、みんなで立川のバーにでもいって、一晩中『ガッチャマンクラウズ』の話題で盛り上がろう。
みんながこの作品のメッセージを元に何を考え、どう感じたのかを聞くこと。僕はそれが楽しみで仕方ない。
(※1)バンダイチャンネルにて現在一話は無料で見れるみたいよ。
おまけ
『ガッチャマンクラウズ』はニコニコで配信されてないので、全然動画がないけど、『演奏してみた』タグでOPを演奏していたのがあったから貼っておくよ。
やっぱ、OPのホワイトアッシュは素晴らしい仕事したね。うん。
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次の記事2014-05-04 21:19:42おひさしぶりです。ゆりいかです。
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12話で、如何にも打ち切りという終わり方でした。残念でした。
盛り上がらなかった理由は、割とはっきりしていたと思います。主人公がウザい。シナリオが、分かり難さを深さと勘違いしている。の二つ。
主人公については、実際にこんな女居ねえよwという「斬新な」造詣が、視聴者の共感を妨げると同時に、立川という実在の街を舞台とした「現実味のある?」設定と噛み合わなかった、様に思います。主人公らしい葛藤や成長も皆無でした。最初から完成されたキャラを描いて何が面白いの?という感じデス。
シナリオは、最終回だけは昔のカッツェの様なヒヨり方で笑えましたが、そこまで行くのが長過ぎました。攻守共に手法が婉曲的に過ぎて、リズム感が生まれなかった印象を受けました。今風の話題を盛り込むだけで、盛り上げる為にエピソードをテンポ良く積み重ねる構成になってなかった。宮野の演技力に頼り過ぎたのでしょうか?
私は最初のガッチャマンをリアルタイムに見ていた世代ですが、昔とまるで違う、という点については、それほど気になりもしなければ、苦にもなりませんでした。当時も「お洒落で斬新な」作品として登場していたと思うのです。ただ、本作の製作陣は、「Crowds=群衆」という明確な主題を持ちながら、それを戦略的に表現する力量に欠けているという、残酷な結果に終わりました。その辺りは、贔屓目にならずに評価しなければならないと思います。
盛り上がらなかった理由は、割とはっきりしていたと思います。主人公がウザい。シナリオが、分かり難さを深さと勘違いしている。の二つ。
主人公については、実際にこんな女居ねえよwという「斬新な」造詣が、視聴者の共感を妨げると同時に、立川という実在の街を舞台とした「現実味のある?」設定と噛み合わなかった、様に思います。主人公らしい葛藤や成長も皆無でした。最初から完成されたキャラを描いて何が面白いの?という感じデス。
シナリオは、最終回だけは昔のカッツェの様なヒヨり方で笑えましたが、そこまで行くのが長過ぎました。攻守共に手法が婉曲的に過ぎて、リズム感が生まれなかった印象を受けました。今風の話題を盛り込むだけで、盛り上げる為にエピソードをテンポ良く積み重ねる構成になってなかった。宮野の演技力に頼り過ぎたのでしょうか?
私は最初のガッチャマンをリアルタイムに見ていた世代ですが、昔とまるで違う、という点については、それほど気になりもしなければ、苦にもなりませんでした。当時も「お洒落で斬新な」作品として登場していたと思うのです。ただ、本作の製作陣は、「Crowds=群衆」という明確な主題を持ちながら、それを戦略的に表現する力量に欠けているという、残酷な結果に終わりました。その辺りは、贔屓目にならずに評価しなければならないと思います。