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「ブラック企業」という言葉が使われるようになったのは10年。それまで相談をかなり受けていたので、これは正社員雇用の問題だ。
ブラック企業というのは若者が職場で追い詰められてうつ病になっているとか、いじめられて辞めさせられているという話です。働き続けることができない、体を壊す、精神疾患にかかる。最大の問題は、結果的に心身を破壊するということ、人を使いつぶすことなのです。
その結果、得られるはずの税収が減り、医療費や社会保障費を増大させ、若者の未来を奪うことで少子化にもつながる。そういう社会的損失、人間の体や人生をないがしろにして成り立つ経済などあり得ない。問題の本質はそこにある。
日本の場合、特殊なのは、どんな条件でも我慢しなさい、ということがまかり通ってきたことです。日本型雇用というのは、頑張って我慢すれば報われる世界。そうしたいつか報われるという信用を逆手に取る、裏切る企業はあるということを前提に、社会は行動しなければいけなくなっている。
そこをまだ社会全体が認識できていない。例えば教育現場では、何かあれば専門家に相談しに行くとか、勤務記録をつけておいて、後で裁判になったときに対応できるようにするとか、そういう労働法をぜひ教えてほしい。
認識が変わることで、本人が自分を追い込んでしまう、自分が悪いんだと思い込んでしまうことから脱却していく可能性が広がります。
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