むかしばなし ２

漫研時代の話を書いてたら、あれもこれもで長引いてしまいました。さて、実は4年のときに出版社を狙って何社か試験を受けたものの決まっていなかったこともあって、1年留年することにしました。火事にも遭ったし。てなわけで、5年生になったわけですが、この頃からフリーで仕事をポツポツ始めました。住まいは高田馬場のマンションの一室に、今風に言えばルームシェア？　3人のうち一人は変わりました。慶応漫研の友人でしたが、やはり仕事を拾ってくる人間だったので協力して記事を作ったりしました。

そんなこんなで就職せずにフリーライターでやってけそうだな、となったわけです。漫画参考書でできた関係から、高校雑誌編集部に出入りすることも決まりました。『高1コース』がメインですが、『高3コース』の受験情報の部分も担当することになりました。ただ、実は付属校出身なんで、大学受験そのものをまったく知らないんですよ。まあ、仕事としては全国の大学の受験担当に電話をかけて、来春の受験要項を聞いてまとめるものなので、知らなくてもなんとかなる範囲でした。なによりやっかいだったのは、ここはまだ活版のページだったんですよね。教えてくれる人もいなかったので、前任者の残した指定を見ながらやりました。この頃は1/4広告の版下を寄せる（指定の位置に置く）作業なんかもやりましたね。

なんのかんので学習マンガの仕事はいろいろやってきました。もっとも、気がついたら13年前のやつが最後でしたが。ただ、ここでの仕事はアニメと無関係です。学研の『アニメディア』は中学雑誌編集部で、当時は高校雑誌と一緒に本社にありましたがフロアが違いましたから。

これが今のところ最後の漫画参考書の仕事。池ヶ谷は全体の構成とチェック。最初はネームまでやろうかと思ったけど、元の参考書の内容を割り振ったところで力尽きてしまいました。

アニメ関連の仕事は、これまた漫研でのつながりからです。現在もいろいすとお世話になっている先輩が、今やっているアニメ誌から外れることになったので、代わりにやらないかというお話をいただいたんです。高校雑誌で仕事を始めるより少しだけ早かったはず。それが秋田書店の『マイアニメ』。最初に担当したのは新作ニュース関連とビデオレビュー記事。『ルパン三世 PartⅢ』もやったかな。番組の記事担当も次第に増えていきました。いちばん多いときは20ページちょっと持ってたはずですね。ニュースなんで、校了間近になることは宿命。写植屋で原稿を書いたこともありました。

『マイアニメ』はビデオアニメに力を入れていましたが、オリジナルものが増えてくるとニュースのコーナーでもアイコンが必要という話になりました。で、一発でわかるアイコンをつけるから、なにか名前をつけろ、と担当から言われまして。まだメーカーも商品を作り始めたばかりで、タイトルをど～んと出すのがメインの時代です。ビデオだけで見られる新作だ、ということが重要なので、ジャンルとしての呼び名なんてありませんから、考えるしかありませんでした。

とはいえ、日本語の頭文字から作るとわけがわからないので、アルファベットですよね。普通に言えば、ビデオ用オリジナルアニメですからVOA。Voice of Americaか～い。なんか響きも悪い。一方、その頃までに定着していたAVの語順にするのは避けたい。今でこそAudio Visualが通じますが、この当時はAdult Videoのイメージが強すぎました。なによりメインはアニメですから、オリジナルのビデオ用アニメということでOVA。少し前に放映されていた『戦国魔神ゴーショーグン』のOVAが頭にあったことも否定しません。1985年夏のことですね。世間的にもこれが定着してしまいました。ただし、自分もこの後仕事をするようになる学研のアニメ編集部ではOAVと表記する決まりになってます。

さて、スタジオ・ジェミニはメンバーが変わったこともあって、ジェミニ・プロダクツとなってました。呼び名だけで会社でもなんでもありませんが。会社というわけでもないので、大学同期のたまり場的要素も残っていて、岡村監督が先述の自主制作を完成させたのもここでした。スタジオ・ジェミニ時代といちばん変わったのが、慶応のヤツが女の子を連れてくるので華があったこと。