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【自然災害メモリアル】第107回:宝永大噴火(1707)の日 [防災]大噴火における遠方降灰時の被害想定
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【自然災害メモリアル】第107回:宝永大噴火(1707)の日 [防災]大噴火における遠方降灰時の被害想定

2018-12-16 21:00
    どうも、
    管理者のNDです。

    12月16日は、
    宝永大噴火から301年です。

    即ち、富士山での最後の噴火から301年が経ったことになります。
    高度20000mという凄まじい噴煙を上げ、江戸の町にも降灰し、
    小田原はコメの収穫量が元に戻るまで、なんと90年を要する途方もない事態でした。
    冬だったこともあってか登山者はおらず、直接的な死者はいないとされています。

    しかし、噴出した溶岩石による火災などで富士山周辺は甚大な被害を及ぼしました。
    当時はまだライフラインなどが確立されていない世の中だったため、
    現代の災害想定はこの災害だけでは比較できない点も多いです。

    今回は、
    「大噴火における遠方降灰時の被害想定」をテーマにお伝えしていきます。

    離島や地方境界周辺を除くと、首都圏である関東の大部分は通常火山に縁がない地域になります。
    故に地震とは違って、火山が起きたらこうなるだろうという予測が安易にできません。
    ただ、過去に噴火した事例がある以上はその情報を頼りに現代社会と照らし合わせてみましょう。

    都心部のような大都市の場合、火山が噴火した時は真っ先に降灰情報を確認してください。
    状況に応じて補足に、現在の風速や風向を確認することで今後の状況を素人でも
    ある程度短期的な予測ができます。しかし、富士山で大噴火をした時、
    "運よく西風じゃないケース"を思い浮かべる人もいますが、
    残念ながら高層風は、日本の緯度の関係上、噴煙高度が高いと、
    偏西風の影響で東方が基本的に被害想定地域になっています。
    長期的には風向き関係なく、程度の違いはあれどいずれ被害を受けるものと考えると良いです。

    富士山の場合は未知数ですが、他の火山の傾向からおよそ火口4000m以上の噴煙を上げた場合は
    降灰の心配があると思ってよいです。
    実際に阿蘇山で近年噴火した事例では、四国にも火山灰が降灰し、松山在住時代は驚きました。
    自分が大分県の別府市や山形の蔵王周辺で経験したやや硫黄臭のする空気を感じていました。
    富士山が大規模に噴火すれば、同じようなことが東京でも起きます。

    鹿児島市の桜島被害では、洗濯物の被害や車のフロントガラスが傷つくなどといった被害が出ます。
    しかし、大がつく都心部はそれ以上の被害を懸念しなければなりません。
    東京都23区では昨今は、地下に電気設備が移行しつつあるため、電線付着による停電リスクが
    少しずつ下がってきているので、火力発電が機能停止に陥るまで僅かですが、
    即停電のような事態は生じにくいです。
    しかし、恐ろしいのはここからで、街中に降り注いだ火山灰は
    いずれ雨などで町の至る所にある下水から流れていきます。また、火山灰は満遍なく広範囲に
    降り注ぐために、あなたの街に供給するダムや水道局及びその施設にも多大な影響を及ぼします。
    そうなった場合、ライフラインではまず、水道の機能を失う可能性を懸念しなければなりません。
    火山噴火のリスクは低いだけに、水を常時貯めている人は少ないと思います。
    つまり、噴火すれば水の確保は同じことを考える人々が殺到し、
    スーパーも避難所も、取り合いは必至、大混乱に陥ることでしょう。

    噴火したら都会から逃げればいいじゃないかと思う人もいますが、
    これも人の多さが故に厄介な点を生じます。ただでさえ道路や車は火山灰で覆われ、
    そう簡単には高速道路などは復帰しません。富士山噴火のケースだと2週間の噴火継続も
    考えられるために、その期間は緊急車両の確保がやっとということになります。
    当然飛行機は欠航します。過去の事例でも世界的に空港閉鎖が真っ先に生じることは有名です。
    大量輸送に優れた鉄路は、噴火直後1時間程度であれば東北に逃走は可能でしょうが
    それ以降は電化区間は電線に降り積もってしまい、運航継続は困難、交通網はたちまち麻痺します。
    鉄路・道路・空路全てが絶たれると、もはや最後の手段として唯一残るのは"航路"になるでしょう。
    東京では東京湾の竹芝付近が唯一の逃げ道になるかもしれません。

    そして一番恐ろしいのは、病気を生じることです。これは以前にもお伝えしましたが、
    火山灰を吸い込むことで、肺に異常をきたして病院の需要が爆発的に増えてしまい、
    機能不全に陥ることが考えられます。
    この状態でライフラインの使用もままならなければ大変なことになるでしょう。

    そんな恐ろしい火山噴火による降灰災害ですが、唯一都会にいる我々の身分特権なのは、
    この災害は台風よりも明確に予測でき、災害発生までに数時間の猶予があることです。
    地震と違い、災害の発生は即時ではありません。また、火山灰であれば当たっても
    直接死に関わるものでもないです。まず、噴火災害の冷静になるべきポイントはここにあります。

    普段の備えとして重要なものは、これからの時期備えている人も多い、マスクを蓄えると良いです。
    風邪対策以外にもマスクは活用することができますので、防災対策に持っておくだけでも
    実は損はしません。「我こそは風邪をひかない馬鹿である」と自信を持って主張する人でも、
    これを持っておくことで、気管支炎などの健康被害のリスクを抑えることができます。
    1~2枚なら、バッグに常日頃携帯しておくというのもありでしょう。
    ハンカチでは手の自由が奪われてしまうので、
    緊急度とは関係が薄い噴火災害ではやや不適なものになります。

    火山から離れた地域で降灰を中心とする噴火災害を気にして、対策をしたい人は、
    ・ライフライン復旧など、長期的な災害になること
    ・すぐに命の心配はないこと
    ・襲来頻度がかなり少ないこと
    この3つを念頭にどう備えるべきかを考えると良いです。

    ヒントとしては、災害発生の時に地震の場合は身を守るように、
    噴火災害時は、直後ならまだライフラインが使えるので即時でも可能な限り全ての携帯を充電、
    風呂や桶などに可能な限り水を溜めるなどの対策をすることです。

    また、降灰の情報は音声で聞く時は市区町村などの地域単位で知るようにすると良いです。
    その際は「多い所で」ということを留意し、最大でどれぐらい積もるかということを周知します。
    より詳細な情報を知りたいのであれば、図示確認ができる、テレビのdボタンでの情報や、
    ホームページの情報で掴むと良いです。情報によって、音声の方が優れている場合、
    図の方が優れている場合の双方があります。情報の入手しやすさも変わってきますから、
    一つの媒体に依存することを避けるとよいです。
    情報を簡潔に知りたいなら、文字や音声で手に入れ、
    情報を詳しく高度に知りたいなら、図や細部まで発表される地域の情報を確認すると良いです。
    状況に応じ、使える情報源は有効に多彩に活用してみてください。


    今日の記事は以上です。
    皆さんの防災意識に少しでもプラスすることができたら嬉しいです。

    なお、明日からは、年末まで全て地震の記事になります。
    噴火災害・水害・雪害など、地震以外の記事は今年はあと1つで終了となります。
    12月17日から31日まで、1日除いて
    日本の地震災害記事やその内容に沿った防災記事を今後もお送りいたします。

    ちなみに今日は紹介はしませんでしたが、1960年のチリ地震津波クラスと同規模とされる地震が
    1575年の今日に発生しました。この世界で昔の地震は、
    日本の文献から日付が特定されたと言われています。

    明日以降もどうぞお楽しみください。
    尚、感想はブロマガコメント欄でも放送内のコメントでもお気軽にどうぞ。
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