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菅野薫×廣田周作×東浩紀「〈広く告げる〉をやめた「広告」の新しい形——データベースが支配する世界で、欲望はどこにあるのか?」【2014/10/17収録】@suganokaoru @shusaku @hazuma

動画パックの説明 現在、広告会社の人間が「広告」つまり「広く告げる」ことに大きな困難を抱えているのをご存知だろうか?「広告」と言えば文字通り「広く情報を告げる」ことによって人々の欲望を刺激する技術である。しかし成熟社会の到来&ネットの普及以降(google的な個別の情報最適化が進む中で)「みんなの欲望」を広告で喚起することが難しくなっている。その困難を最も象徴しているものとしてカンヌで開催される広告祭「Cannes Lions」の混乱が挙げられるだろう。世界中の広告クリエーティブの中で最も優れた作品を評価するこのアワード、実は2011年に「カンヌ国際広告祭」から「カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバル」と名称を変えてしまったのである。広告業界の賞なのに「広告」という言葉が抜け落ちてしまったのだ。
では「広告抜きの広告」は今どこにあるのか?広告はどこに向かっているのか?この問いに答えるのは難しい。しかし今年一つの方向性/可能性がまさにカンヌの場で(なんと)日本人から示された。それはクリエーティブ・テクノロジストを名乗る菅野薫率いるクリエーティブチームである。今年菅野は広告の世界で最も優れた作品に贈られるチタニウム部門のグランプリに輝いた。菅野は元々テキストマイニングやデータベースなどの技術の研究をしていた出自を持つ。彼の作品は人間のライフログや、データベースの中から意味やストーリーを見いだし仕上げられる所に特徴がある。Copy、ArtだけでなくCodeも含めて表現するのだ。菅野は自動車の走行データや、国家が所有する様々なローデータなど、膨大なデータを巧みに可視化し、そこに「生のストーリー」を立ち上げる。それはもはや言葉(コピー)や記号が欲望を媒介する従来の「広告」ではない。
一方、マーケティングの世界でもリアルタイムに現れては消えて行く顧客の欲求を素早くデータとして可視化しながら、瞬時に対応することが重要になってきている。廣田はソーシャルメディアのリアルタイムの解析を通じて顧客の欲望の「今」を可視化する「リアルタイムマーケティング」という分野を開拓している。
本イベントでは、広告の世界で今起こっている変化を事例ベースで紹介しながら、「広告ではない広告の形」すなわち現在の人々の欲望のありかについて東浩紀と対話を行う。

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