「いつも見せてるのは大立ち回りですよね。アントニオ猪木がシンに伊勢丹前で襲われたときのように、血だるまになって見せてるんですよ」

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「橋下徹が『阿川さん、1回だけ僕にチャンスをください! 絶対一発で命中させます!』って言ったんですよ」

博士 今回、『橋下徹とは何か?』というのをやると聞いたけど、俺は橋下徹っていう存在が、昔から気になってるんだよね。

山口 昔から。それはなぜ?

博士 橋下さんが『スタメン』っていう番組に出たときに阿川佐和子さんが司会してて、「ゲストは橋下徹さんです。橋下徹さんは今度、7人目のお子さんが生まれるんですよね?」かなんか言ってて。それでえー7人?って思って。この人はちょっと異常、というか過剰な人だなと思った。

山口 異常! もしかしたら、どこかが壊れてるんじゃないか?と(笑)。

柳沢 実にいい視点ですね、それは。

博士 人類学的にいうと、生活が安定して高学歴になるほど少子化になる。これは世界共通なの。頭いいひとは将来に対し考え、人生計画を持つから。意外だけど豊かになり、教養が満ち渡ると子供産まなくなる。これは古来からそう。だから少子化の現代で7人、しかも弁護士で知性のある人がっていうのは珍しい例なの。しかも7人ってちょっと度が過ぎてるでしょ?

柳沢 度が過ぎてますね! それは実にいいキーワードだ。

博士 逆にビッグダディとかさ、ああいう人たちは産むんですよ。

山口 人類学的には(笑)。

博士 そう、ホントにわけもわからず無計画が多いんですよ、ヤンキー気質は。それはすごく納得できるんだけど、橋下さんの場合は無計画な人に見えないでしょ。

山口 見た目とのギャップもありますよね、橋下徹の場合。とても7人も子供がいるように見えない。

博士 でも、考えてみたらもともとヤンキーで売ってたから、髪の毛染めて(笑)。

山口 ああ、そうか。

博士 それで、その番組で俺がもっと驚いたのは、阿川佐和子さんが「私なんてひとりも子供産まないまま人生来てしまったんですけど……」って言ったら、橋下徹が「阿川さん、1回だけ僕にチャンスをください! 絶対一発で命中させます!」って言ったんですよ。

山口 命中率の問題か!

博士 っていうより、ものすごいセクハラじゃないですか、それ。

柳沢 それはものすごい!(笑)。

博士 司会は爆笑問題だったんだけど、爆笑問題が「橋下、これ完全なセクハラだぞ」って。そのフレーズがかなり衝撃的だったの。一応、バラエティではなく、ニュース番組だし、場を考えずそういうこと言う人なんだって認識して、興味を持ってしまったの。それで、そのころ俺が子供雑誌で子育ての話を連載してたんだけど、その雑誌の対談のゲストに呼ぶんですよ。7人の子供をどうやって育ててるか関心もつでしょ? 特に俺も3人子供を育ててるわけだから。

山口 ありますね。僕なんか、ひとり育てるのでも七転八倒してますからね。

博士 で、子育ての模様をあの人がテレビでしゃべってるのを聞いたことないから、その部分で語り会いたかった。でも、その対談は中身が虚ろだった。というか、子育ての実感が虚ろなのね。「いや、もうカミさんに任せてるだけで俺はなんにもしてないです。博士みたいに自分でやってる人間じゃないから、俺ホントなんにも言えないですよ」っていう感じで。終始本題から話を逸らし、その話はしないっていうトーンだった。だけど、かと言って浮気をするような人間には見えなかったけど……将来的に見るとそうでもなかった(笑)。既にコスプレしていたのかも。

山口 その部分では馬脚をあらわしたと(笑)。

博士 そのときは、わりと一穴主義的なところで家庭を守る父権的な人だと思ったの。ただ実質的な子育ての話に目を逸らすのは理由があるんだろうなって思った。とにかく7人の子供はキーワードになってくるの。しかも地方改革にはタブーがあるから。

柳沢 タブー…。

博士 東国原さんも知事になったあと一番大変だったのは、公共事業をカットする方向。談合をやめさせるっていうね。東さんが「あれが一番大変、ホントに身をさらわれて、おどされるようなことは地方行政っていうのは出てくるから、一番苦しいのはそこやで」っていうふうに、具体的には語ってくれないけど、東国原さんはそう言ってたのね。だから橋下府知事になったあとに、『たかじんNOマネー』で会ったときに「これだけの改革をやったら身の危険もあるでしょうし、お子さんどうしてるんですか?」って訊いたら、「そこが一番大変ですよ」って。

柳沢 ほう。

博士 いつ、とんでもない目に遭うかわからないからって。特に大阪の土地柄もあるでしょ。それを聞いて俺はね、橋下徹ってすごいヤツだなと思った。東国原さんは政治をやるために奥さんと子供と別れた。奥さんと子供は宮崎まで行って、そんなことやってほしくない。でも俺はやりたいんだ、と。身の危険もあるからひとりになってでもやる、と。橋下徹だって弁護士時代にタレントとしても稼いでて、年収が数億円もあって、そのままタレントで行っていいわけじゃない? でも、7人の子供の身を危険にさらすことになってでも、命知らずで行政をやろうとしてるんだなっていうふうに感じたの。

柳沢 まさに命懸け、という話ですよね。石原慎太郎も言ってますからね。「あんなに身体を張ってやってる政治家はいない」「SPを10人以上つけて市長選を闘った男なんか見たことない」って。

山口 そこの覚悟が見えてない人もたくさんいるんでしょうけどね。政治や行政に対する昔ながらのイメージも大きいんだろうけど。

博士 だから、基本的に橋下市長の改革政策そのものに関しては、大きく言うと僕は賛同してるし、普通なら出来ないことをやっていると評価はしているの。それが大前提。

柳沢 なるほど。やっぱり橋下徹は、度が過ぎる男なんだな。

山口 まさに度を超えた男なんですね。

博士 ふつうの感性でいったら、子供を人質に取られてるのと同じ状態だから、そこは諦めるよね。彼はそこでも突っ張る。なかなか根性がある。

柳沢 敢えて抵抗勢力の大きいところを狙っていってるから。先日、グレート・サスケを呼んで違うテーマで、議員時代の話とか、地方自治の話とかいろんなことを聞いた。サスケはUFOとか好きな人間だから、そういう抵抗勢力とかを「陰謀がですねぇ……」って言うわけ。

山口 いわゆるオカルト方面に持っていくわけですよ。

柳沢 全部陰謀論になるわけ。なんか言おうとすると消されるとか、さらわれるとか。「政治の世界というのは陰謀が渦巻いていてですね」って。

山口 言いたくなったり、勘ぐったりしたくなる気持ちもわからないわけではないけど(笑)。

柳沢 陰謀というのは、要は表に出ない抵抗勢力の話だよね。その抵抗勢力の存在であったり手法であったりプロセスそのものを表に出そうっていうことが橋下徹のやり方であり、オープンな時代の特徴。逆に言えば抵抗勢力が大きければ大きいほど、自分が旗を振りさえすればメディアも今まで触れられなかったことが、「この人が言ってるんだったら」っていうことでギリギリ触れられるようになるっていう。

博士 柳沢さんはこの前、会った時「橋下徹はプロレスをやろうとしてリングに上がってこいと文化人たちにも呼び掛けてるけど、みんなリングに上がろうとしないんだ」って言ってたじゃない。そういう感覚でいうと、橋下市長の上がってるリングは、3局(PRIDE、Dynamite!、猪木祭り)でやってた頃の格闘技のリングなんですよ。リングの上はガチンコだったし、裏でも闇社会が暗躍してたっていう話もあるじゃないですか。つまり、そういう舞台なんですよ、橋下徹の世界は。

柳沢 イメージとしては、わかります。

博士 だから知識人の人たちに、「リングに上がれよ」って言ったって、橋下に論戦で負けるっていう、その危機感だけで躊躇しているわけじゃないんですよ。もっとダークでディープで恐ろしいところがある。でもそれ故に強烈に俺が惹きつけられてるところでもある。

柳沢 その格闘技の暗躍部分ということでいうと、俺も長年この世界で生きてきてわかったことがあって。昔は結局、興行=裏社会みたいな、興行が裏社会のひとつの既得権益みたいになってた。でもこれが格闘技においては、興行=テレビ局事業部に変化していったと。そうなるともう、興行のビジネススキームの中に裏社会の人たちが入ってくることはないわけですよ。興行会社のコンプライアンスではなく、テレビ局のコンプライアンスを基準に構造改革したわけだから。ただね、中には自分から好きこのんでそういう世界と接点を持ちたがる人もいるんだよ。

山口 そういう方面が好きな人だけが、そういう方面に行くというね。

柳沢 そんなところにこちらから触らなければ向こうからは来ない。警察とコンプライアンスがこれだけ厳しい時代だから。

博士 芸能界も基本そうだけどね。好きな人だけが触ってるだけで。普通なら接点はないよね。

柳沢 つまり格闘技業界も芸能界も、テレビ局のコンプライアンスに準じた構造改革をせざるを得ない時代になったと。それがいい悪いは別にして、そういう時代にもかかわらず、行政組織は治外法権のように構造改革がなされていない。行政とか役所とか、一番コンプライアンスに厳しいと思われてる世界で、なぜ「入れ墨問題」が起こるのか? 橋下徹はそこに斬り込んでるということだよね。

博士 新聞なんかで見る「入れ墨問題」っていうのは、市の職員の中にたまたま子供に応対した人が入れ墨を見せびらかしたっていうのが契機になって、問題化したっていうふうにしか見えてないけど、そうではなくて、大阪市が裏社会の食いものになってるんだっていうのを表に見せようとしてる。

柳沢 そういうことですよね。例えばゴミ収集の下請けが問題になってたけど、市が結局そういうところに下請けを出してるっていうだけでなく、そういう人たちを直接雇ってる。ホントに公務員試験受けたの?っていう人たちが「公務員です」ってなっちゃってる。その構造自体を浮き上がらせようとしてるんだけど、とてもそこまで理解してる人は少ない。

博士 まず、その構造自体をしっかりと新聞は書かないから。テレビも言わないし。

柳沢 橋下徹を考えるには、かなりの想像力が必要だと思いますよ(笑)。

博士 入れ墨問題のときも、思想の自由を権力者が奪っていいのか、若者はタトゥーをオシャレで入れてるんだ、みたいなことを言って抗議する人がいる。でも、ファッションタトゥーのことを言ってるわけじゃないんだよね。そういう人たちは表の世界しか見えてない。社会のきれいなところにしか住んでない人。

山口 その、ありきたりの議論そのものさえも、まずはあぶり出して、問題の核に辿りつこうという手法ですよね。

博士 それを読み取れよってことでしょうね。

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「ABCの『キャスト』なんて大阪まで行きたくないにもかかわらず、あそこが橋下徹のリングだなって思うと、もう好奇心が止まらないのよ」

博士 でもさ、最初に橋下府知事になるときの公約って、「校庭に芝生を」なんて言ってたんだから。出だしは高田延彦と変わらないんだよ(笑)。「子供たちに笑顔を」とか、そんなレベルなんですよ、最初の公約は。

柳沢 今回は「橋下徹とは何か? 初級編」ということで、彼が打ち出していることの本質というか、彼があの手この手で伝えようとしている“あぶり出し感”をなんとか伝えられればな、と思っているんですけど、そもそも橋下徹の純粋な政治家としてのモチベーションってなんなんでしょうね? 「校庭に芝生を」から「維新八策」まで、政策の振り幅が凄すぎて(笑)。要は本気度が違ってきたんでしょうけど。

博士 橋下徹は政治の世界に入る前に、弁護士として「商工ローン」とか悪い側の弁護もやってたから。世の中の仕組みが見えていて、世の中には悪い人もはびこる構図があるんだなって思って、ある種その構図も容認していたはずなんですよ。それが政治家になるっていうことでベビーフェイスターンをする。そこで、政治家は、その悪いことすらもお目こぼしする存在だということを、「許せない」って自分の中で決めて、「その構造を変えるために俺は権力を持って、すべてを潰していくぞ」って決めた。しかも権力者になった万能感があるから、それには法律を変えればいいんだ、と。自分が不正だと思うことに対して、「間違ってる」と正すための法律を変えていけばいいんだって発想したと思うんですよ。

柳沢 なるほど。

博士 政治的な話をすると、地方行政の実績って何かっていうことをホントに理解してる人は1パーセントもいないんじゃないかな。たとえば「石原都政どうでした? 何か実績ありましたか?」って聞かれて、東京マラソンとトラックの排気の規制ぐらいしか言わないじゃん。地方行政って実は毎日いろんなことやってるんですよ、細やかなことを。でもそんな実績なんて一切見えない。予算を黒字にしたみたいなことはあっても、新銀行東京が破綻したのに我々の血税を注ぎ込んで許せませんとか言うじゃない。そう言うと、俺がまた石原さんを庇ってるかのように聞こえて、攻撃されるけど。

山口 政治に口を出すと、ターゲットにされやすくなるのは昔からそうですよね。

博士 でも、ごくごくふつうに言って、石原都政っていうのは青島幸男がやってる頃よりはまともなんですよ。地方行政はいろいろやってるんだけど、ふつうの人は毎日、ふつうに生きてて、橋がかかり、道路が舗装され、明日ローソンの肉まんが2万円にならなかったらいいわけですよ。それが80円で買えてるあいだは、「政治が悪いんだ」っていうのは、ただの合言葉なだけで。その橋下徹のやってる、あぶり出し感が見えてないっていうところで言うならば、橋下市長が発信してることは、ほとんどが見えてない。ほとんどが見えてないから、じゃあ、君が代だ、入れ墨だ、文楽だ、それを入り口にする。だから、いつも見せてるのは粛々と進めているものの中でも、一部の大立ち回りですよね。アントニオ猪木がシンに伊勢丹前で襲われたときのように、血だるまになって見せてるんですよ。

山口 伊勢丹前の大立ち回りを、闘いの本質に辿りつくための導入として見せるというね(笑)。単純に言って政治の世界は、ガチンコだというしんどさとか優位性を盾にして競技をまっとうするだけじゃ伝わらないことが多々あるリングだし、そもそも伝えたいことがあるから、上がるべきリングなわけですよね。

博士 そうそうそう!だから俺なんかタレントで、ABCの『キャスト』なんて、大阪までの往復で1日かかるかし、今、ハードスケジュールだから行きたくはないんですよ。行きたくないにもかかわらず、あそこが橋下徹のリングだなって思うと、もう好奇心が止まらないのよ。

山口 あげくの果てには、そのABCでの博士のコメントに、橋下徹がツイッターで噛みついてくるし(笑)。

博士 いや案の定そうなるじゃない。自分が総攻撃受けてるけど……。橋下徹本人からツイッターで批判されるのはかまわない。でもね。橋下徹の支持者に一斉に非難される。1時間に200通くらいの抗議がくるのは面倒くさいんですよ。

山口 そこで大○ュース(流血の意)してくれないと。たとえPRIDEのリングであっても大ジ○ースするぐらいの勢いで行ってほしいな、博士には。プロレスラーとして(笑)。だって、橋下徹と博士のツイッターのやり取りを見てたら、橋下徹はタイガー・ジェット・シンモードに入ってるから、まず場外乱闘で暴れ回ってるわけでしょ。

柳沢 「博士、わかってるよね?」って目配せしながら(笑)。

山口 それを博士がジュー○もしないでエプロンに上がるから、闘い方のテンポがちぐはぐになっちゃってる印象はある。

博士 それは俺に期待されても(笑)。でも、俺があそこで「このバカ市長」とか言い返したらさ、基本的には危ないですよ。ツイッターの使い方を知らない人ですよ。

山口 うん。だから、ツイッター上でいわゆる場外乱闘をどう闘うかっていうのは、俺もまったくわからないけどね(笑)。

柳沢 博士は「橋下徹と論争しても2万パーセント負ける」とか振ってたでしょ(笑)。

博士 「2万パーセント負ける」っていう俺のプロレス的言葉使いは、橋下市長からしたら、「うまい!」とか返せばいいじゃん。思わない? プロレス者の心得があればわかるはずなんだけどね。自分が言った「2万パーセントに出ない」っていうのを掛けてるから。安生洋二なら200%飛びつくけど(笑)。橋下さんは拾わないんだよね。

柳沢 そこを拾う能力はない(笑)。

山口 とりあえず、場外を徘徊しながら、老人と子供だけは避けるっていうことしか頭にない。

博士 でも、サーベルは俺に向けてないよ。暴れ回ってて、たまたま目の前に俺がいるから、博士だけには行かないっていうことができなくなってるだけで。「あ、この人プロレス関係者だ」ぐらいには思ってる。観客じゃないっていうぐらいは区別は出来てる。

山口 それか、もっと信頼度が大きくて、サーベルで殴りかかっても大丈夫だって思ってるかもしれない。

博士 俺は殴られてないからね。寸止め度はわかる。ほかの文化人、コメンテーターたちへの寸止めしてない感じはすごいから。

柳沢 見てる限り、橋下徹は博士に“入れてない”よね。

博士 入れてない。でもさ、そもそも俺なんか敵に回してどうすんの? 猪木をずっと見てる俺として言いたいのは、俺のポジションとしては、むしろ彼の過剰さ、過激さに注目している村松(友視)さんですよ。触媒ですよ。橋下さんは、それが見えないの?って思っちゃう。

柳沢 やっぱり博士を文系への触媒というより “マス”と感じて対応してるわけでしょ、橋下徹は。

博士 俺がABCの『キャスト』って番組のゲストで毎週行ってるのは、橋下さんの視野に俺を入れようとして行ってるのね。『キャスト』っていうのはABC朝日放送だから、毎日橋下さんがチェックしてる番組なんですよ。そこに俺が行って橋下さんのことを何か言ったら、橋下さんは反応するに違いないと思って。しかも橋下さんの数少ないフォロワーに俺は入ってる。俺がツイッターに書いてることっていうのは橋下さんは読むわけだから。

山口 で、案の定、反応したのはその番組で言ったコメントだったと。

博士 そう、それは文楽のことでね。「博士も伊藤アナウンサーも森永卓郎も文楽について何もわかってない」っていうのをつぶやいた。そのあとも「博士」って呼びかけながら、「こうこうこういうことなんですよ」って書くんだけど、基本的には「じゃあ博士、市議会のこの文書を全部読んでますか?」って来る。読んでるわけないじゃん、そんな退屈なもん!

山口 「おもしろくもねえですし」(笑)。

博士 「それを読んでから言え」みたいな理屈だから。だから俺が、「僕の全てを晒す」と言うお上は良いお上ですが『全てを晒している僕の全てを知らなければ僕については何も言ってはならない』という人がお上に居ることを警戒してしまう人が多いということをわかった方が、より良いお上になると思いますよ』って。忠告みたいなことをツイッターで書いたの。でも基本、もちろん俺の不勉強もあるんだよ。っていうのは橋下維新のほうのツイッターでは、「この記者会見を見てくれ」っていうのを書いていて。その映像を20分見たら、俺が言ってるような文楽側との対立じゃなくて、早い段階で「振興するためにこういうことをしてるんだ」って一応言ってるのね。でもね。その構図や意図が世の中とかテレビに届かないんであって。じゃあ少しは俺の誤解かなと思う。とはいえですよ。彼は「能、狂言を好きなひとは変質者」とまで以前に言ってるわけだから、言質はあるんだよと。

山口 言質というと?

博士 文楽問題でいうとね、2002年の『サンデー・ジャポン』の時点で、「能、狂言をおもしろがれる人は変質者だ」とまで言ってるんですよ。

柳沢 あの、度が過ぎた男が!

山口 あの、度を超えた男が!

博士 そう。だから10年後に自分が権力者になったときに文楽を観たら、「二度と観ない」って言ってしまうんですよ。それが文化人としてっていうより、ふつうの人間として、どんだけ文化を理解できない体質なのか、ってことに繋がるの。

柳沢 本質的には、まさに文化的なことを理解しないタイプなんだろうね。

博士 しかも、理解しない自分を正当化するんですよ。

柳沢 ガハハハハッ! その人間としてどこか“足りない部分”が見えるところがすごいおもしろいな。“足りない男”であり“度が過ぎた男”というパターンは、まさに「何か?シリーズ」の原点!(笑)。

博士 ちなみに最後に言っておくと、俺がTBSラジオの『キラ☆キラ』って番組で2011年2月1日にレポートしたんだけど、2011年2月1日に橋下知事が突如ツイッターを始めたのね。最初からこれが異常なの。それで2月1日から2日にかけて、全ツイートを紙に打ち出したのよ、俺は。

山口 打ち出しましたか!

博士 それがさ、初日の24時間で111回ツイートしてるんだよ。

柳沢 111回!(笑)。

博士 俺はその時点でもうおもしろがってるんですよ。この人、確実に変だっていう。

柳沢 そんなとこでも、度が過ぎてる(笑)。

博士 さらに、しばらくの間、誰ひとりもフォローしてない。ツイッターの使い方をまったく理解してなかったんだよね。

山口 そんなとこでも、足りない男だったんだ(笑)。

博士 俺、そのラジオの『キラ☆キラ』の最後でね、こう言ってるの。「将棋では『ふ(府)』が敵陣で成り金になると『と(都)』になるわけで、まさに大阪市に攻めこんで『ふ』が『と』になれるかどうか!」って、いい締めでしょ。だから基本、おもしろがってんだよ。既にね。

柳沢 いやあ、やっぱり「橋下徹とは何か?」っていうテーマは、リアルタイムのアクション巨編みたいなもんで、いったん“おもしろがる角度”を見つけちゃうと、かなり楽しめると思うなあ。今回は「初級編」でしたけど、次はいきなり「キラー編」をやるかもしれません(笑)。