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【N0.37】「被ばく受忍論」の根源を垣間見た甲状腺学会学術集会
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【N0.37】「被ばく受忍論」の根源を垣間見た甲状腺学会学術集会

2015-12-21 12:07
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    木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                       2015/12/21(No.037)
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    [目次]
    1.東電福島第一原発事故トピック
    「被ばく受忍論」の根源を垣間見た甲状腺学会学術集会
    2.ニュースにひと言
    3.メルマガ後記
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    1.福島第一原発事故トピック
    1)甲状腺ガン多発と放射線の関係を完全否定──甲状腺学会学術集会

    <山下俊一氏の源流>
     前回に続いて、2015年11月5日〜7日に福島県文化センターで開かれた「第58回日本甲状腺学会学術集会」(会長・鈴木眞一福島県立医科大学教授)の様子をお伝えしたい。すでにお伝えしたように、学術集会のメインテーマは「放射線と甲状腺、震災後4年半を経て」だった。

     このテーマからは、県民健康調査検討委員会でも多発を認めた小児甲状腺ガンについて、なにか突っ込んだ議論があるのではないかと思っても不思議はない。一方でぼく自身は、福島県の県民健康調査検討委員会や環境省の専門家会議などが見解を示しているように、多発する甲状腺ガンについては、放射線の影響は「考えにくい」という考え方を示すだけになるのではないかとも思っていた。結果は、予想通りのものになった。

     ぼくが会場に入ったのは、冷たい風が吹く2日目の朝。前回メルマガでお伝えしたように取材申請でひとしきりもめたあと、まずは「教育講演」と題した山下俊一氏の講演に向かった。演目は、教育講演というだけあって、学術集会のメインテーマと同じく「放射線と甲状腺 震災から4年半を経過して」だった。

     講演の司会で山下氏を紹介したのは、鈴木眞一氏だった。鈴木氏は「高名な方でご存じでしょうけど」と前置きして山下氏の経歴を紹介した。山下氏は現在、長崎大学副学長と福島県立医科大学の副学長を兼任している。副学長の兼任というのはあまり聞いたことがないと、大学関係者らは不思議がっているが……。

     山下氏の講演スライドは、冒頭、長崎の原爆投下後の調査などに携わった放射線科医師であり、後に作家でもあった永井隆氏を大写しにしたものから始まった。スライドには永井氏の写真に重ねて、「永井隆の精神を現代に生かす。」というコピーが入っていた。そして永井氏の写真を起点に、長崎の原爆、チェルノブイリ、福島まで、一本の線がつながっていた。

    「永井隆氏の精神」とはなんなのか、このときはよくわからなかった。後で調べると、永井氏は1945年に「原子爆弾救護報告」をとりまとめ被害状況を報告したとき、原爆の威力に驚愕すると同時に、結語では以下のように記していた。

    ──原子爆弾の原理を利用し、これを動力源として、文化に貢献出来る如く更に一層の研究を進めたい。転禍為福。世界の文明形態は原子エネルギーの利用により一変するにきまっている。そうして新しい幸福な世界が作られるならば、多数犠牲者の霊も亦慰められるであろう。(「原子爆弾救護報告」長崎大学HP http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/abcenter/nagai/index.html)──

    「禍(わざわい)転じて福と為す」っていうのはどっかで聞いたような話だなぁ……と思う方も多いのではないか。そう、山下氏が震災直後に講演会等で話していた内容とダブってる感じがするのだ。

     例えば山下氏は、2011年3月21日に福島テルサでの講演会で「これから福島という名前は世界中に知れ渡る(略)ピンチはチャンス。最大のチャンス。これを使わない手はない」と語っている。まさに「転禍為福」だ。加えて山下氏はこの講演会で、原発についての見解を聞かれた際に永井氏に触れ、永井氏が、原爆の惨禍を乗り越えるためには原子力のエネルギーを世界の幸福のために使うべきといっていたことを考えると「科学をコントロールすることが我々の責務」だと説明している。 
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