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「勇者の冒険」第9回 デジタルゲーム事業部 妄想記録【221日目】
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「勇者の冒険」第9回 デジタルゲーム事業部 妄想記録【221日目】

2015-03-12 15:00
    こんにちは、すすろです。

    リレー小説の第9回を書いていきたいと思います!
    第8回はこちら
    http://ch.nicovideo.jp/neet-coltd/blomaga/ar743704



    ようやく「勇者18きっぷ」の発売される時期になった。
    俺は切符を購入し、勇者鉄道に乗って、「魔王島クルーズ」の行われている町へと向かった。

    その町は、港町だった。
    港にたくさんのコンテナが積まれ、それらは貨物として列車で運ばれていく。
    この町の駅は、乗客の利用はそれほど多くないものの、貨物輸送の拠点となっているらしく、駅の規模はそうとうなものだった。
    駅の中に観光案内所があり、そこで魔王島クルーズのことを聞くと、詳しく場所を教えてくれた。
    そして、この町にはクルーズ以外にもたくさん見どころがあると言われ、「おでかけMAP」なるパンフレットももらった。
    クルーズ以外は興味がないからいいですと言ったが、そのマップにはクルーズの料金が10%OFFになるクーポンが付いているということだったので、もらっておくことにした。

    クルーズの観光船乗り場は、駅からすぐ近くにあった。
    クルーズのプランはいくつかあるようだ。
    できるだけ島に接近し、できるなら上陸できるプランがないだろうかと、詳しく見てみることにする。
    しかし、どのプランも、クルーズのコースは変わらないらしい。
    プランの違いは、時間帯(デイタイム・サンセット・ナイト)と、料理(スイーツ・フレンチ・懐石・バイキング)の種類が異なるだけのようだ。
    正直俺は、島が見たいだけなので、料理はいらないから値段を安くして欲しかった。
    しかし、そういうプランはないということなので、一番安いスイーツプランにし、島がよく見えるデイタイムの時間帯にした。

    観光船は港を出発した。
    世界を脅かす恐ろしい魔物を生み出す元凶である魔王、その城があるという島が、本当にこの付近にあるのだろうか。
    そんな雰囲気は微塵も感じられなかった。
    海は穏やかで、空は晴れ、水面が光できらきらと輝いている。
    中高年女性が大半を占める乗客たちは、ケーキセットを食べながら、大声で談笑していた。

    やがて島が見えてくる。
    島が近づいてくると、高速で進んでいた船は速度を緩めた。
    これでゆっくりと、島の様子を観察できる。

    島を見た第一印象は、普通の島と、何の変わりもないように思える、ということだった。
    切り立った崖に、波が打ち付け、崖の上には木々が生い茂っている。
    これが魔王島だと言われなければ、きっと気づかないだろうと思われた。

    しかし、船が島の周りを進んでいき、島が別方向から見えたとき、そこに、ものものしい要塞があるのを見つけた。
    あれが魔王城か。
    そして、その要塞を出入りしているいくつもの影。
    魔物だろうか。
    そう思ったが、どうも様子がおかしい。
    持ってきた双眼鏡で見てみると、それはトラックや、人間であることがわかった。
    魔王城に出入りしている人間がいる!

    俺は、船のスタッフに、島に上陸することができるのかと聞いてみた。
    すると、一般人は無理なのだという。
    あそこにいる人間は、魔王島の安全を管理する、国の特別な役人だということだ。
    ですから、このクルーズも、安全が保証されているのです、と説明された。

    クルーズを終えて、俺は一つの手がかりを得た。
    魔王島に上陸し、魔王城に入り込む確実性の高い方法がある。
    それは、「国の特別な役人」となり、魔王島の安全管理業務につくことだ。
    さっそくそのことについて調べてみると、その役職につくには「第1種国家役人特別区域護衛官採用試験」というものに合格する必要があるらしい。
    俺は、そのための勉強を始めることにした。

    その試験の倍率はとても高く、難関であることがわかった。
    俺は役人試験対策の予備校に通い、筆記試験の勉強と、適性検査、面接、集団討論の対策をみっちりやって、3年かけて、ようやく採用試験に合格した。
    しかし、最初の3年間は、魔王島の任務にはつけてもらえず、何だかよくわからない地方都市の護衛をさせられた。
    そしてついに、クルーズの日から6年の歳月を経て、念願の魔王島上陸が叶うこととなったのである。

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