私たちはある動物の名前がついたカフェで、早めの夕食をとった。
私とノイマンはカレーを、ニールはアンチョビトーストとビールを注文した。
よく歩いたからか、空腹だ。私は運ばれてきたカレーにスプーンをつっこむ。本格的なスパイスの味がして、とても美味しい。
ニールは相変わらず不機嫌そうで、私とノイマンもとくに会話を交わさなかった。黙々と食事を終えて、食器が下げられたテーブルの上に、40枚のイラストが並べられる。
「今日の1枚目は、これよ」
とノイマンが3番のイラストをさした。
まず、大きく書かれた「嘘」の文字が目につく。
絵は、記号的な人間が仮面を外している様子だ。その下から、違う仮面を被った顔が現れている。二重の仮面。
なんとなく、この作業のコツがわかりつつあった。
彼のエピソードの全貌は知らない。
私は彼の、ささやかな言葉を思い出すことに努めればいい。
二重の嘘。
思い当る、久瀬くんのセリフがあった。
――うちの学校に、塾だって言ってすぐに帰る転校生がいてさ。そいつは二重の嘘をついてたんだ。
あのとき、彼はなんだか悲しそうに笑っていた。
――あいつはオレと同じだった。
と久瀬くんは言った。
※
直後、また。
貧血のような、意識がすっと抜けていく感覚があって、私は目を閉じる。
まぶたの裏側に、白いスクリーンが浮かび上がっている。
――リュミエールの光景。
3度目ともなると、もうおどろかない。
私が久瀬くんのエピソードを理解したときに、ここに彼の過去が浮かび上がるのだ。
※
目をひらいて、私はつぶやく。
「塾だと言ってすぐに帰る転校生は、二重の嘘をついていた。あいつはオレと同じだ、と彼は言った」
私の呟きに、ニールが不思議そうに眉を寄せた。
「つまり、こいつは転校生なのか?」
「たぶん」
久瀬くん自身、転校の多い子供だったというが、その彼が「転校生」と呼んでいた。
だから、きっともう一人いたのだろう。転校生が。
二重の嘘、というのが具体的にどんなものだったかはわからない。たぶん久瀬くんは、抽象的にしか話してくれなかった。でも、私はそれよりも、「オレと同じ」という表現が気になっていた。
どうぞ、と言って、ノイマンがスマートフォンを差し出す。私はそれを受け取った。
ツイッターアプリを起動する。
――何度もすみません。また力を貸していただけますか?
たすけて! @4koma_memories 8月9日
男の子が尾道の小学校に通っていたころのエピソードを思い出すのに、協力して欲しいんです。
たすけて! @4koma_memories 8月9日
たすけて! @4koma_memories 8月9日
この中に、「4枚組」のエピソードが紛れ込んでいます。1コマめは、これ。
たすけて! @4koma_memories 8月9日
のこり3枚がどれで、どういう順番に並べればどういうエピソードになるのかが、わかりません。
たすけて! @4koma_memories 8月9日
思い出せるのは、「塾だと言ってすぐに帰る転校生は、二重の嘘をついていた。あいつはオレと同じだ」という、彼のセリフだけです。
たすけて! @4koma_memories 8月9日
なにか思い当たることがあれば教えてください。記憶を刺激されれば、思い出せるかもしれないので、正解でなくてもヒントになるようなアイデアを伝えてくれると嬉しいです。
Aot(3D小説bell没入中) @aot_sol 2014-08-09 16:58:08
ソルの番狂わせだけでなく天候の気まぐれも考慮に入れなければいけない、スタッフの方々大変すぎるだろ… 頭が下がります
鬼村優作 @captain_akasaka 2014-08-09 17:01:52
http://tabelog.com/hiroshima/A3403/A340302/34018594/
はい、コヨーテがヒット。
コウリョウ @kouryou0320 2014-08-09 17:02:29
特定はっやw
空つぶ@3D小説bell参加中 @sora39ra 2014-08-09 17:03:23
自分のために嘘をつかない久瀬くんの嘘か・・・
達句英知 @tac9999 8月9日
@4koma_memories 彼は何か夢を持っていたのでは? 33とか。
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