久瀬視点
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 できることもなくて、オレはソルのスマートフォンを眺めていた。
 そこに、奇妙なコメントが流れる。
 
――久瀬くんみてるかい?

 それに気づいた直後だ。

 ――久瀬くんみてるかい?
 ――またかあああああああああああ(ソル
 ――久瀬くん見えるか?!@ソル
 ――久瀬いるならなんか考えろ
 ――久瀬くんみえてる?
 ――久瀬くん、見えますか?
 ――久瀬みえてるか?
 ――やっほー久瀬くん!久しぶり!!!
 ――ただいまー!
 ――久瀬ファーブルに英雄の証の居場所がばれた相手はそれを探しに行った

 唐突に、ばっとコメントが増える。
 ソル? 疑うまでもないが。思わず透明なケースにつかみかかる。 
 ――☀久瀬氏,このコメントが読めたら「大丈夫,読めてる」と考えてくれ!
 大丈夫、読めてる。
 できるだけ素直にそう念じる。
 ――久瀬君ー グレープジュースはおいしかったかい?
 残念ながら、まだ手をつけていない。
 ――久瀬、ドイルを狙っているのは強硬派のダザイかホールだ!!
 どちらも知らないスイマだ。でも、情報が増えるのはありがたい。
 ――☀青年へ、先ほどの知性勝負、私は実に楽しめたよ
 それはよかった。なによりだ。
 ――久瀬、今八千代と何をしようとしているのか考えて
 ちょっと待ってくれ。混乱しているんだ。
 でもこの、言葉が大量に流れ込んでくんる感覚が懐かしくて、胸が熱くなる。
 その時、意識をかき乱すように、ファーブルの声がきこえた。

       ※

「お飲物をお取替えいたしましょうか? 久瀬さん」
 サイドテーブルの片隅には、まだ手をつけていないグレープジュースが載っている。
「同じものを頼む」
 とオレは答えた。
「了解いたしました。少々、お待ちください。そのあいだにひとつ、久瀬さんにお伝えしておきたいことがございます」
「なんだ?」
「こちらの方で、久瀬さんのお帰りが遅くなる旨を、ドイルさんにお伝えしようと考えていたのですが……どうやら、連絡が取れないようです」
 きたか、と思った。
「あんた、強硬派になにを話した?」
「ほんの些細な雑談ですよ」
「強硬派はどこにいる?」
「私は存じ上げません」
「でも、予想はついている」
「いえ」
「なら、知り合いに見張らせている。その上でまだ報告を受けていない」
 当たりだろう。
 しばらくのあいだ、ファーブルは沈黙した。
 それからゆっくりと答える。
「あるいは、私の知人であれば、なにか知っているかもしれません。もしよろしければ、手を尽くしてそれを調べ、貴方にお教えしても構いません」
「ぜひ頼みたいな」
 ファーブルはくぐもった笑い声を漏らす。
「でしたらひとつ、私とゲームをしませんか?」
「どんな?」
「私が久瀬さんに、2つの謎を出します。あなたがひとつ答えるたびに、私はひとつ、あなたの言うことを訊きましょう。ドイルさんの居場所も調べて差し上げます。一方で、答えられなかったなら、私のいうことを訊いて頂きます」
「それは、フェアな問題か?」
「もちろん。フェアでエレガントな答を持つ問題ですよ。貴方のご友人が、それを証明しています」
 友人? ――ソル、か?
 ファーブルがなにをしようとしているのか、おおよそ予測できた。
 ここまで彼の予定調和なのだろう。
 ――ファーブルは性格が悪い。
 隅から隅まで、むかつく奴だ。
「いつから始める?」
「そうですね。では、15分後にいたしましょう」
「23時30分だな?」
「はい。早い方がいいでしょう」
 オレはスマートフォンに視線を向ける。バッテリーの残量は、それほど多くはない。だが、もうしばらくはもつだろう。
「ひとつだけ条件がある」
「また条件ですか」
「2問あるなら、まとめて問題をくれ。制限時間は20分」
 短い沈黙の後で、ファーブルは答える。
「まあ、いいでしょう」
「なら、いいよ。あんたの言葉に嘘がないなら、受けよう」
 ファーブルは笑う。
「私は嘘はつきませんよ」
 助かるよ、とオレは答えた。
読者の反応

沙耶/Sol岐阜/名古屋班 @susukiyumi 2014-08-13 23:17:30
まさかのクイズ返しきたああああああああああああああああああああうわああああああああああ  


ぷいむーたん@カレーパンタジスタ @puimuutan 2014-08-13 23:17:51
久しぶりの緊急ミッション!  


ちょくし@平常時 @DodoRoku 2014-08-13 23:18:00
そのまんま返しか、この野郎・・・
 

( ᐛvv)パァっつぁん@た つ や @8SHIN8O 2014-08-13 23:30:05
謎くる~?  





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