何通かのメールが届いた。
オレはそれにしたがって、「青の鍵」を回収し、「赤と薄紅の世界」に移動する。
その部屋の入口は、恰幅のよい男が塞いでいた。
――ファーブル?
似ているけれど、違う。偽物みたいな男だ。
「おや、あなたが今回の新人さんですか?」
と、偽ファーブルは言う。
ソルからのメールで、すでに「招待状」と「白い星」は回収していた。
オレは無言で、それをみせる。
「……確かに。失礼いたしました」
偽ファーブルはなんだかつまらなそうに眉をひそめて、道を譲る。
「ひとまず、みなさんにご挨拶をお済ませになったらどうでしょう?」
そこには、偽ファーブルを含めて、6人の男たちがいた。
※
この部屋はとにかく苦痛だった。
スイマたちの偽物みたいなやつらを相手にしなければならないから。
気球はまだましだ。
善行発表会ってなんだ。まったく、理解できない。
あとからやってきた八千代の偽物が、微妙に恰好悪くて、それが面白かったくらいた。
オレは極力、意味を理解しないように注意して、その文章を読み上げる。
※
夜空を見上げるとき、人は誰しも詩人になるものです。
ですがクラクションという、人を不快にする騒音が街には満ちています。
最近のものは刺激が強すぎ、むしろ人々の対立をあおっているようにきこえます。
うるさいものといえば目覚まし時計ですが、どうしてもあいつは好きになれません。
なぜならば、それは本来自然界に存在しえなかったものだからです。
より広く、より深く、よりフェアに、そしてエレガントに――
この世から、あの憎き冷徹な獣を排除することは、よりよい社会を作るうえで最優先事項です。
冷酷な獣は慟哭します。なんの心も持たないままに。
たとえば、電車です。
それはどちらも、せわしない現代社会の象徴です。
本来、人々はもっと余裕をもって生活し、のどかに生きるべきなのです。
そのためには、あらゆる「強制」を排除しなければならないのです。
強制を生み出し、人々の余裕を奪う物は他にも、いろいろあります
満員電車、事故、神経質なタイムスケジュールなど問題点を数えればきりがありません。
私たちがすべきことは、その「窮屈な檻」を壊すことです。
なぜなら、それは本来、人間にとって必要のないものだからです。
それを人々に知らしめるために、まずは自身の生活から変えて見本を示すのです。
総括すると、悪しき現代文明を拒絶すればよいということです。
交通網もない、携帯電話の電波も届かない、山奥へと向かい――
そして私たちが理想とする、平穏な、新たな社会を築き上げるのです。
終わったら、静かな場所で淹れたてのコーヒーでも飲みながら――
夜空を見上げ、人生を振り返り、そこに生まれる一編の詩に耳を傾けようではありませんか。
※
とてもつかれた、けれど、これで3つの鍵が揃った。